福岡大臣会見概要
(令和7年9月12日(金)11:04~11:28 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 冒頭私から1点ございます。百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈についてです。本日の閣議で、百歳の高齢者の方々へのお祝い状と記念品の贈呈について報告しました。老人福祉法では、9月15日を「老人の日」として定めており、その記念行事として、毎年贈呈を行っています。今年度、対象となる方は52,310人であり、そのうち、男性は7,964人、女性は44,346人です。また、百歳以上のご高齢の方は99,763人であり、そのうち、男性は11,979人、女性は87,784人となっており、いずれも過去最高です。このたび百歳を迎えた方々の長寿をお祝いするとともに、多年にわたり社会の発展に寄与してこられたことに感謝を申し上げます。詳細については、配布している資料をご確認いただければと思います。
質疑
- 記者:
- 全国の最低賃金の改定額が出そろいました。5日の会見でも質問があり、その際大臣は議論が続いているということで言及を避けられましたが、出そろったことを受けての所感を伺えればと思います。また、厚生労働省でも業務改善助成金の拡充が発表されましたが、その意義について大臣からも伺えればと思います。
- 大臣:
- 今月5日までに、全ての地方最低賃金審議会において答申が示され、今年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1,121円、過去最高額の66円、6.3%の引上げとなりました。また、地域間格差についても、最高額に対する最低額の比率が11年連続で改善することとなります。これは、公労使三者で構成する地方最低賃金審議会において、真摯なご議論をいただいた結果であると考えています。最低賃金の引上げによって、今後、着実に賃金の底上げにつながっていくと考えられます。労使団体や業界団体の皆様にもご協力をいただきながら、しっかりと周知広報を行ってまいりたいと思います。また、中小企業等の最低賃金引上げを支援するため、今月5日から、業務改善助成金の対象事業者の範囲を拡大するとともに、申請手続を簡略化したところです。引き続き、生産性向上等に取り組む中小企業等への支援強化などに、関係省庁と連携しつつ、取り組んでまいりたいと思います。
- 記者:
- 昨日、日本医師会等が福岡大臣に対し、物価や賃金の上昇で医療機関や薬局の経営状況が非常にひっ迫しているとして、今年度中に補正予算を編成し、財政支援を行うように要望されました。この要望について大臣はどのように受け止められていますでしょうか。要望書には補正予算の編成による補助金や期中改定ということもありましたが、こういったことを検討していくお考えはあるのかお伺いします。また、大臣自身、今の医療機関や薬局の経営状況についてどのように認識しているか。この点についても併せてお願いいたします。
- 大臣:
- 医療機関や薬局については、物価高騰や医療需要の急激な変化などの大変厳しい状況に直面していると認識しています。これまで国会審議等でもそうでしたし、様々な関係者の方々からも私は直接話を承ってきたところです。診療報酬改定や補正予算などで一定の措置を講じてきたところですが、依然として物価高騰などの影響があるため、昨日のご要望に至ったものと承知しており、次期診療報酬改定を待たず機動的な財政支援が必要であるという切迫感のあるご要望を承ったところです。承った内容や骨太の方針2025も踏まえ、現在講じている施策の効果を把握しながら、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるように、必要な対応を行ってまいりたいと考えています。
- 記者:
- 確認ですが、必要な対応を行っていくという中には、補助金などの対応も含まれているということで良いですか。
- 大臣:
- 様々なことを検討の俎上に載せて、どういったことができるのか検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 5日付けで破産手続きを開始したネオクリティケア製薬について伺います。福岡大臣は9日の会見で、アラブ系の資本に移っていたネオクリティケア製薬が破産の申立てを行ったことを受け、厚生労働省が、医薬品の製造を委託する製造販売業者に対して、代替供給先の探索を行うなど、本件を踏まえた対応について検討するよう依頼したと説明されました。しかし、会見翌日の10日に複数の企業が、ネオクリティケア製薬の破産を受けた供給停止などに関する案内文を配布する事態になっています。ネオクリティケア製薬に製造を委託していた製造販売業者に代替供給先を探すなどの対応を検討するよう依頼されていた中で、供給停止となる事態になっていますが、供給停止が起こったことについてどのように受け止めているのか、お考えを教えてください。また、供給停止となる事態になっていますが、厚生労働省としては、代替供給先の探索などの対応検討の依頼で医薬品の供給は大丈夫なのでしょうか。今後何か対策を取られるのか、お考えを教えてください。
- 大臣:
- ネオクリティケア製薬の破産を受けて、当該企業に医薬品の製造を委託している一部の製造販売業者が、一部の品目で、今ご指摘があった限定出荷や供給停止といった案内を出していることについては承知しています。先日の記者会見でもご説明したとおり、厚生労働省においては、当該企業に製造を委託する製造販売業者に対して、代替供給先の探索を行うことを依頼するとともに、限定出荷や供給停止が発表されたものについても、代替薬を製造している他の製造販売業者がありますので、そういった他の製造販売業者に増産の依頼を行うといった、必要な調整を行っているところです。引き続き、医薬品の供給状況を注視しながら、必要に応じて安定供給の観点から必要な対応を行ってまいりたいと存じます。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの有効性についてお尋ねします。厚生労働省は新型コロナワクチンに感染予防効果はないと認識されていますでしょうか。
- 大臣:
- 新型コロナワクチンの有効性については、薬事承認において、臨床試験による発症予防効果が確認されているところです。その上で、予防接種法に基づく接種においては、感染予防効果や重症化予防効果もあるといった海外の治験を審議会において確認しています。令和5年度以降の接種については発症予防効果や感染予防効果は持続期間等の限界がある一方で、重症化予防効果は比較的長時間持続し年1回の接種においても効果が見込めることから、審議会での議論を経て重症化予防を接種の主な目的としているところです。
- 記者:
- 感染予防効果はなかったと理解しました。これでよろしいということですね。
- 大臣:
- 感染予防効果がないとは申し上げておりません。感染予防効果もこれまで確認させていただいています。その感染予防効果は持続期間等の限界があるということですので、年1回の接種ということに鑑みて審議会の議論も経て、重症化予防を接種の主な目的としているということで、感染予防効果がないということではありません。
- 記者:
- 確認させてください。今、厚生労働省のホームページを開いているのですが、2021年2月17日時点の文書があります。医療従事者向けの文書かと思いますが、「医療従事者等の範囲について」という見出しであります。この中では、以下の点が重要であることを踏まえということで、「従事する者の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であること」とありまして、ただし書きがあります。「なお、ワクチンの基本的な性能として発症予防・重症化予防が想定され、感染予防の効果を期待するものではないことから」と書いてあります。「患者への感染予防を目的として医療従事者等に接種するものではないことに留意」とあります。これは、感染予防効果が当初からないことを、厚生労働省としては認識されていたという証左ということではないのでしょうか。
- 大臣:
- 当該文書について、私は手元にあるわけではなくニュアンスを確認できませんが、先ほども申し上げましたように、目的と効果の有無というのはまた別の話ですので、そういった点も含めて今のご指摘を踏まえてもう1回内容はこちらで確認させていただきます。
- 記者:
- この文書を担当課に送らせていただきますので、また次回ご見解を仰ぎたいと思います。よろしくお願いします。
- 大臣:
- 分かりました。
- 記者:
- 今回は新型コロナワクチンではなく、新型コロナウイルスによる死亡について伺います。まず前段として、新型コロナワクチンは、副反応疑い報告において2,295件の死亡報告がありますが、そのほとんど99.4%が「情報不足等により因果関係は評価できない」となっています。予防接種健康被害救済制度においては1,032名の死亡認定者がありますが、こちらは厳密な医学的な因果関係までは必要とせず認定されているとなっています。つまりワクチンと死亡との因果関係を証明するには高いハードルがあるわけですが、そこで質問です。厚生労働省の言うところである、厳密な医学的な因果関係に相当するレベルで、新型コロナウイルスによる死亡と証明できた死亡事例というのは、日本においてあるのでしょうか。あるとすれば何件でしょうか。
- 大臣:
- 全国の死亡数を集計している人口動態統計において、各死因の死亡数については、死亡診断書を作成した医師が、その時点で把握している情報に基づき判断した結果を、国際的な統一ルールに従って集計したものとなっています。令和6年人口動態統計における新型コロナウイルス感染症による死亡数は、35,865人となっているところです。
- 記者:
- これまでの累計を足すと15万人以上にその数字はなるかと思いますが、私がお伺いしているのは、その中で、厚生労働省がワクチンのように厳密な医学的な因果関係という観点で考えたときに、本当にコロナによる死亡といえるものは、厚生労働省では認識されているのかどうかということなのですが。
- 大臣:
- 厳密な医学的な因果関係に相当するレベルとしての数というものではなく、先ほども申し上げたこの人口動態統計においては、WHOが死亡診断書の国際様式及び原死因選択ルールを定め加盟国に勧告して、我が国もこれを基本としているということであり、そのルールにのっとって死亡診断書が作成されたその数を把握したものの数字が、先ほど申し上げた数字だということです。
- 記者:
- では、その数字というのは、厚生労働省が認識するコロナウイルスと死亡が因果関係があると、厚生労働省としては認識しているのでしょうか。
- 大臣:
- 先ほども申し上げたように、死亡診断書を作成した医師の方々がその時点で把握している情報に基づき判断した結果を示されているものですから、それが厚生労働省における認識と一致しているかどうかということについては、直ちにそのように言うことはできないと思います。
- 記者:
- すると、厳密な、本当にコロナで亡くなった方の人数はよく分からないのだと私は認識しましたが、これだけ5年以上対策をコロナに対してしてきましたが、これはどれだけの被害が本当にあったのかということを明らかにする。この状況改善といいますか、より詳細な調査などが必要だとは思いませんでしょうか。
- 大臣:
- これまでもそういう意味ではしっかり様々なデータを収集・把握してきたということです。今申し上げたように、死亡数についてはお医者さんが死亡診断書を作成したその医師の判断によって書かれたものの集計を行っているということであり、今おっしゃった医学的な因果関係等も含めた数値をどうやって把握するのかということについては、どういったことがあるのかも含めて、問題意識として受け止めさせていただきたいと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの今後の検証において必要となる予防接種記録の保存期間についてお尋ねします。少し前ですが、接種した人が生存中はずっと保管し、死亡した後は5年間まで延長する方針だという報道がありました。ただ、この方針の下でも、コロナワクチンは2021年2月から接種を開始されているので、2021年に接種後死亡された方の予防接種記録というのは来年から順次期限を迎え、記録が破棄されていくおそれがあると思います。将来の検証のため、記録の保存期間を更に延長するということは検討されているのかどうか、お聞かせください。
- 大臣:
- 予防接種法上の予防接種に関する記録については、法令に基づき、自治体において作成し、接種を行ったときから5年間保存することとされていますが、本年7月の審議会において、過去の接種履歴が、生涯にわたり接種可否の判断等に影響を与える可能性があること、不要となった接種記録はいたずらに保管し続けるべきでなく、適切なタイミングで消除する必要があることなどを踏まえ、今後の予防接種記録の保存期間については、被接種者が死亡した日から5年を経過する日までとする方針としたところです。また、令和8年6月以降、自治体が保存する接種記録について、予防接種データベースに格納していくこととしており、安全性及び有効性等に関する科学的知見を継続的・安定的に収集・評価することが可能となるものです。新型コロナウイルス感染症の特例臨時接種に関する記録については、現在、各自治体において過去の接種記録として現行ルールに沿って保存されているものですが、その重要性に鑑みて、今後の国における必要な調査研究に活かすため、自治体での保管を経て、適切に予防接種データベースに格納されるように、その取扱いを検討しているところです。
- 記者:
- 今の関連で予防接種データベースについてお尋ねします。このデータベースには予防接種記録と副反応疑い報告がインプットされて、レセプト等のNDBというデータベースと連結されると承知しています。ただ、これだと接種後の死亡事例、特に受診に至らず死亡されるケースが予防接種データベースから漏れてしまうのではないかとも思われます。そうならないようにするためには、このデータベースに例えば、死亡届の情報もリンクさせる必要があるのではないかとも考えられますが、こうした接種後死亡事例、いわゆる突然死ですね、医療機関にかからずに接種後亡くなられるケースというのは、複数承知していますが、そういったケースがデータベースから漏れてしまう問題点というのは認識されていますでしょうか。
- 大臣:
- 令和8年6月から稼働予定の予防接種データベースについては、自治体の予防接種記録と、PMDAの副反応疑い報告の情報が格納されるほか、NDBとの連結を可能とすることとしているというのは今ご指摘があったところです。加えて、予防接種データベースには、予防接種法に基づいて、死亡情報を格納する予定であり、死亡届の情報も格納されるため、接種後に受診に至らず死亡したケースも確認できることになると考えています。
- 記者:
- 75歳以上の医療費2割負担導入に当たって設けられた配慮措置が9月末で終了になります。2割負担導入当時に、配慮措置に代わる給付費は総額で600億円、対象は2割負担の外来患者の約80%と推計されていました。これについて給付費と配慮措置の対象者数の実績を教えていただければと思います。実績が不明な場合は、現時点での推計を教えてください。もう1点です。2割負担の対象となる方の所得基準を検討する際に、高齢者の家計の収入と支出を推計し、負担能力がある方を対象としたとされています。しかし、導入後、2021年ですかね。物価が毎年対前年比2%超上昇しており、この点をみても高齢者の家計は厳しい状況に変化していると推測されます。こういった物価高騰の現状を踏まえて、改めて高齢者の家計の状況や受診抑制の状況などを検証する予定はありますでしょうか。
- 大臣:
- 後期高齢者医療制度においては、令和4年10月より、一定所得以上の方について窓口での2割負担を導入したところです。その際、長期にわたる外来受診について急激な負担増を抑制する観点から、施行後3年間は、外来受診の負担増加額を最大でも月3,000円に収まるよう配慮措置を設けており、本年9月末に期限が到来することとなっています。配慮措置に係る給付費については、制度改正時の議論において、年間約600億円程度と見込んでおり、直近のデータでみても同程度の金額であると見込んでいます。また、年間で1回以上配慮措置の対象となる月のある方の人数については、直近のデータを用いると、約310万人と推計されている。配慮措置終了の影響を受ける方は、平均的な厚生年金額相当を受給する一定以上の所得の方であり、また、配慮措置の終了による自己負担増加額は、平均で年間9,000円程度、中央値で6,500円程度と推計しており、現役世代のご負担を抑制する観点から、配慮措置の終了についてご理解いただきたいと思います。また、2割負担導入に伴う受診行動の変化については、厚生労働科学研究等において、制度改正時の想定と大きくずれていないことを確認しています。厚生労働省としては、引き続き、高齢者の方々に対する必要な保障が欠けることの無いよう、受診状況や家計の状況等も確認しながら、制度の持続可能性を確保するために、丁寧に議論を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- ということは、家計状況の検証というのは今後行うということでしょうか。
- 大臣:
- これまでの受診状況や家計の状況というのはウォッチしてきているところであり、引き続きそういったものを確認しながら進めていくということです。
(了)