福岡大臣会見概要

(令和7年9月9日(火)11:03~11:25 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にありません。

質疑

記者:
日曜日に石破総理が退陣を表明されました。その関連で2点伺います。一つ、今回の辞任についての大臣のご所感をお聞きします。もう一つは、今後総裁選が行われて、新しい政権が、どういった体制か分かりませんが生まれます。その間の過程で厚生労働行政への影響として大臣が考えられるものがあればお聞かせください。
大臣:
石破総理が自民党総裁の職を辞することを表明されたということですが、この石破総理のご決断を重く受け止めさせていただいています。次の政権が発足するまでの間、引き続き、諸課題に全力で取り組んでまいりたいと考えています。また、厚生労働行政に与える影響ということですが、それについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
記者:
長生炭鉱についてお伺いします。今月4日、社民党の福島みずほ議員をはじめとした野党の超党派議連から厚生労働省に対し、長生炭鉱の遺骨問題に関する要請書が提出されました。石破首相、福岡大臣に現地訪問を求めるほか、長生炭鉱の遺骨収容に政府の参画を求める内容でしたが、これらの内容に対して今後どのように対応されていくか、考えをお伺いします。
大臣:
改めまして、長生炭鉱の坑道の落盤事故により犠牲になられた方々に心からお悔やみを申し上げさせていただきます。9月4日に、長生炭鉱水没事故のご遺骨発掘作業を支援する議員有志一同からの当職あて要請書を、担当審議官を通じて受領したところです。8月25、26日に、長生炭鉱の水没した坑道内において人骨のようなものが確認され、27日に山口県警察が人骨と判明したことを公表したものと承知していますが、80年以上も前に落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査・発掘することについては、安全性の懸念を払しょくできていないこと等から、現時点では財政支援等の検討を進める状況にはないと考えています。今後、実際に潜水されたダイバーの話を事務方が改めてお伺いする等の対応も含め、引き続き専門的な知見の集積を進めてまいりたいと考えています。
記者:
昨日来、アラブ系の資本に移っていたバック製剤やアンプル製剤といった、わりと特殊な製剤の関東の製造拠点であるネオクリティケア製薬会社が破産手続に突入したことが判明しました。医薬品の安定供給に大きな影響が出そうな事態になっていますが、大臣としてこの件を把握されているのか、また、どういった対応をしているのか教えてください。もう1点、国家の危機管理にも関わる医薬品製造において、外資系資本が運営する工場が突然破産するといった事態が起こったわけですが、例えばアメリカでは自国生産を推し進めていますが、日本では外資系資本に医薬品の生産を任せることの適切性について大臣はどのようにお考えなのか、併せて教えてください。
大臣:
令和7年9月5日、医療用医薬品の製造販売等を行うネオクリティケア製薬株式会社が、破産の申立てを行ったということについては承知しています。本件を受けて、厚生労働省においては、同社に対しては、代替薬の増産の依頼を他の製造販売業者に行うといった必要な調整を行うよう指示するとともに、同社に医薬品の製造を委託する製造販売業者に対しては、代替供給先の探索を行う等、本件を踏まえた対応について検討を行うよう依頼したところです。いずれにしても、外資であろうが国内の製薬会社であろうが、安定した医薬品の供給を行うことが大切なことですので、そういった観点からしっかりと対応してまいりたいと存じます。
記者:
新型コロナワクチンについて伺います。前回9月5日の記者会見において、予防接種健康被害救済制度における心筋炎・心膜炎の申請あるいは認定事例の副反応疑い報告制度への提出の有無を調査するかどうかについて、福岡大臣は「担当部局と相談したい」とおっしゃいました。その後の進捗等について教えていただけますでしょうか。
大臣:
前回の会見の際に、担当部局と相談するということを申し上げました。確認内容については、事務的にどのような形で確認できるか検討するように、私から担当部局に指示させていただいたところです。どのような形で確認できるのか検討してもらっている最中であり、まだ答えが出ていない状況ですので、方針が出次第、またご報告させていただきたいと思います。
記者:
前回死亡認定者について調べていただきましたが、全く同じ方法でできるはずですし、死亡の認定者は1,000名を超える突合作業でしたが、心筋炎・心膜炎は認定事例で600件前後だったと思います。数も少ないですし、十分前回同様の作業ができると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
大臣:
どういう形でできるか、担当者に指示させていただいていますので、方法も含めてまたご報告させていただきたいと存じます。
記者:
ファイザー社の新型コロナワクチンの治験結果の公表についてお尋ねします。ファイザー社の同ワクチンの治験結果については、福岡大臣は「厚生労働省から公表する予定はございません」と答弁されています。8月26日の会見では、「安全性及び有効性に関する懸念が判明した場合、必要な対応を検討することになる。ただし、現在はそのような状況に置かれていない」と説明されました。しかし、安全であるとの結果が出ているならば正々堂々と出せると思いますが、なぜ公表できないのか、今一度ご説明をお願いいたします。
大臣:
ご指摘のファイザー社の新型コロナワクチンの第3相試験については、薬事承認時点で確認された結果が公表されており、今その内容は独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されているところです。8月29日の閣議後会見でもお答えしたとおり、薬事承認後も継続して実施されていたファイザー社の新型コロナワクチンの第3相試験の最終解析結果については、当該試験を実施した実施者の責任の下で公表されるものであると考えています。ですから、ご質問でなぜ公表できないのかとありましたが、それは実施者の責任の下で公表されるべきものであると考えているということです。
記者:
ただし、そうであっても、政府としては、懸念が判明した場合には必要な対応を検討するとおっしゃっています。大臣が。厚生労働省としては重大な懸念は認められないのかもしれませんが、国民側には懸念があると思います。例えば昨日も、このワクチンを打って亡くなったご遺族及び後遺症を伴っている患者が裁判を起こして、昨日第3回目の口頭弁論がありましたし、その後も厚生労働省の前でご遺族を含む市民がワクチンの即時中止を求めて街頭演説をされています。国民を安心させるためにも、公表というのは政府でやった方が良いのではないかと思いますが、ご説明をお願いします。
大臣:
先ほども申し上げたように、薬事承認時点のデータについては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページにおいて掲載されているものです。その後、安全性も含めて状況に変化があるような場合については、当然、必要な対応を検討するということですが、その時と大きな状況の変化があるとは私どもとしては認識していないということです。
記者:
承認が終わった後もメーカーにおいて治験を継続しているわけですが、その間に蓄積された知見というのは、社会的にはどういう意義があると大臣はお考えでしょうか。
大臣:
当然、承認時点において確認された結果に加えて、その後も様々なデータの集積を各製薬会社等でしていただいていると。その内容が当然承認時点で得られたものに加えて、更に様々な懸念が判明するようなことがあれば、それについては公表していただく必要があると考えていますが、現時点ではそのような状況に至っていないと考えているということです。
記者:
承認後の治験というのは、あくまでメーカーの開発のために資する治験であって、公のために役立てるものではないという認識でよろしいでしょうか。
大臣:
全く公のためにならないと言っているわけではありません。様々な知見を集積していただいて、そこで新たな懸念が生じる場合については、それは公表していただくべきものだと考えています。
記者:
この記者会見でも以前質問が出ているのですが、8月29日にNHKの九州地方で、「ネクストパンデミックに備えて コロナワクチンとデータ検証」という番組、報道がありました。市民や専門家が各地に分散しているデータを情報開示請求をして検証するという動きで、特段何かその番組で結論を出しているものではありませんでしたが、その番組を大臣はご覧になったのでしょうか。
大臣:
私自身は視聴していませんが、概要について事務方から報告を受けています。
記者:
この番組では、今申し上げたように、各地に分散しているコロナワクチンのデータがあると。こういった事後検証を今後求められた場合に、国できちんと集約する必要があるのではないかと思いますが、現状は、各地に分散しているワクチン接種歴等のデータというのは、国には集約されているのでしょうか。
大臣:
現時点では、国において集積されるには至っていないということです。
記者:
そのような現状を大臣は問題ないと。問題ないというか、きちんと今後の事後検証に備えて、そういったデータを国の下で集約しておくということはお考えになりませんでしょうか。
大臣:
今おっしゃったように、そういったことが有効だという考え方については私も同様の考え方を持っています。厚生労働省では、副反応モニタリングをはじめとする安全性・有効性を迅速に分析する基盤の構築を目的として予防接種データベースの整備を進めており、令和8年度以降は、予防接種法に基づき、自治体は予防接種の実施状況を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされているものです。しっかりそういったものを使って実態の把握に努めてまいりたいと思います。
記者:
先ほども申し上げたNHKの番組は、9月12日までNHKプラスでも視聴できます。大臣はもともと薬害防止の制度を作るための議連にも所属されていたと承知しています。もちろん事務方から報告を受けているのかもしれませんが、一度、9月12日まで視聴できるので、ご覧になってみたいとはお考えになりませんでしょうか。
大臣:
今ご指摘がありましたので、アーカイブで見られるようだったら、時間が許す限り見るように努めたいと思います。
記者:
少し前の報道になりますが、5月26日にNHKの調査で、法定耐用年数を超える築40年以上の病棟を持つ病院は全国で1,623、全体の27%に上り、その他築50年以上、築60年以上と、かなり病院全体の築年数が超えているという状態になっているということが調査で明らかになっています。しかし、多くの病院団体では、ご存じのとおり、かなり複数にわたって経営実態調査を基に窮状を訴えています。必要な入院環境整備というのが早急に求められると思いますが、老朽化していると。あと、これから感染防止対策やICT導入、さらには厚生労働省として進めている地域医療構想を伴う改築や病院の統廃合など、これらの実態の関係で統廃合すらできないという報道も出ています。これについて何か見解や方策の検討段階などがあればお聞かせいただきたいのと、もう一つ、一部の病院や有床診療所などにおいて、建築資材や建築業界の人件費の高騰で改築費用が高額になっている中、一部ではありますが、法外な見積り額を提示する業者や、悪質な施工を提供する業者がいるとの声も出ています。こういった実態についても何か対応策や検討状況などありましたらお聞かせください。
大臣:
これまでの会見でも再三申し上げてきたとおり、医療機関は物価高騰などの大変厳しい状況に直面しているということは認識しており、私自身も関係者の方々から様々なお声をお聞きしているところです。医療機関の建て替え等については、これまで、地域医療構想の達成に向けて、地域医療介護総合確保基金を通じて医療機関の施設整備等を支援するとともに、足下の資材高騰を踏まえて、令和6年度補正予算による緊急的な支援を行っているところです。先ほどご指摘があったように、建築コストの上昇に伴い、その上昇分等を補正予算等の中でみるという対応もさせていただいているということです。また、物価高騰に苦しむ医療機関への支援については、重点支援地方交付金の積み増しや福祉医療機構の融資の大幅な拡充といったことでも対応しているところです。今後、骨太の方針2025も踏まえて、今講じている施策の効果を把握しながら、次の診療報酬改定をはじめ必要な対応を検討してまいりたいと考えています。なお、建築現場の不正なことへの対応等については、建設業者への指導監督は建設業の許可を行う許可行政庁において対応されているものと承知しています。
記者:
新型コロナワクチンに関して、他の記者からも質問があった件と重なる部分もありますが、昨日、厚生労働省前でワクチンのご遺族の方が10名前後お集まりになって、また支援者の方も集まってスピーチが行われました。これは、厚生労働省の職員、福岡大臣をはじめ、この痛ましい事実が起きたことなどを知ってほしいという思いで行われたわけですが、そしてそのご遺族の方々から伺いましたが、これまで大臣にアポを取ってお会いしたいということで連絡をしてきて、実際昨日も福岡大臣の東京事務所に、会えないかということでアポを取られていますが、こういった、例えば昨日の慰霊トークがあった事実や、アポを取るためのアプローチがあったということは、大臣のお耳まで入っているのでしょうか。
大臣:
私昨日は在京しておらず、昨日から事務所にも寄らずこちらに来ていますので、そういったご要請を昨日いただいたという事実については把握していません。これまでも、ワクチンをはじめ様々な健康被害に苦しんでおられる方々の声を受け止めるということは大切だと思っており、様々な機会を通じてそういった声はしっかりと受け止めるように努めてきたつもりです。ただ、前も記者会見で申し上げたように、様々な健康被害で苦しんでいる方がいらっしゃる中で、当然お一人お一人と会うということもかないませんので、どういった形で皆様方の声を受け止めていくことが良いのかということについては、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
記者:
コロナワクチンは特別ではないとお考えになっているのかもしれませんが、大臣が在任中に100名を超える死亡認定を行っているという、福岡大臣は非常に希有な体験をお持ちの大臣なわけです。在任中に、是非実際にお亡くなりになった方や被害を受けた方の意見を聞く。これは他の薬害関係の方も文句は言えないはずです。大臣が当事者として、非常に大きな問題に直面している大臣ということで。特別だとは思わないのでしょうか。このコロナワクチンの今進行中の被害について。
大臣:
先ほども申し上げましたように、コロナワクチンに限らず様々な健康被害で苦しんでおられる方々の声を受け止めるということは大事な責務だと思っています。時間的制約もある中で、どういう形でそういう声を受け止めるのが良いのかについては、引き続き検討を進めていくということです。
記者:
コロナ後遺症と新型コロナワクチン後遺症を見分ける技術の活用についてお尋ねします。高知大学の佐野栄紀特任教授らの研究チームが2024年4月に発表した論文によれば、成人水痘や帯状疱疹などの皮膚病変から検出されるスパイクタンパク質が、コロナウイルス由来のものかmRNAワクチン由来のものか見分けることが可能です。この知見の活用について福岡大臣は7月8日の記者会見で、「検討を行わせていただく」と答弁されました。現在の進捗状況を教えてください。
大臣:
7月8日の会見においては、スパイクタンパク質の残存と副反応の可能性を示唆する知見については、ワクチンの安全性を評価する観点から、ご指摘があった論文も含めて様々な知見を集積した上で、重大な疾病等の発生等に関わらず、専門家の意見を伺った上で検討を行う予定であるとお答えしたところです。今は必要な情報の収集・整理を行っている最中であり、その整理が行われた後に、専門家による評価・検討を行うこととしているところです。
記者:
是非よろしくお願いいたします。

(了)