福岡大臣会見概要

(令和7年9月5日(金)10:40~10:58 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にありません。

質疑

記者:
最低賃金についてお伺いします。全国47都道府県の金額が本日出そろう予定です。国の目安を上回る答申を出す都道府県が8割超にのぼっており、全国加重平均は目安よりも上回りそうですが、いかがでしょうか。目安超えが相次いだことへの受け止めとあわせてお伺いします。また、骨太の方針にも、目安を超えた都道府県に対する特別な支援が盛り込まれています。都道府県の中には、9月の補正予算で最低賃金の引上げに対する支援を計上しているところもあります。国からの支援については、時期としてはいつ頃を予定されているのか、どのような支援を用意されているのかをお教えください。
大臣:
今年度の最低賃金の審議に関して、現時点で答申が出ている都道府県については地方最低賃金審議会において最低賃金の3要素に基づく真摯なご議論が行われた結果であると受け止めています。なお、地方最低賃金審議会において議論が続いている県があることから、私から現時点で最終的な引上げ額について言及、評価することについては差し控えさせていただきたいと思います。支援策については6月に閣議決定された骨太方針等を踏まえて、現在政府部内で支援措置の具体的内容を検討しているところです。引き続き中小企業・小規模事業者の賃上げ環境の整備に取り組んでまいりたいと考えています。
記者:
PMDAから厚生労働省への出向者の人数と、配置されている部署の内訳を教えてください。
大臣:
PMDAから厚生労働省への出向されている方の人数は21名です。配置されている部署の内訳については、医政局が4名、健康・生活衛生局が1名、医薬局が13名、保険局が2名及び国立医薬品食品衛生研究所が1名となっています。
記者:
関連でもう1問。そうしますと、例えば、医薬品等の審査、医薬局にあたることも想定されますし、健康・生活衛生局ですと、予防接種課などもありますので、ワクチンの購入や選定などについて、利益相反が生じるおそれはないのでしょうか。PMDAは収入の8割以上を製薬会社や医療機器製造会社から得ていると認識しています。そのあたりは大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
医薬品医療機器法においては、医薬品等の承認・審査等にあたり厚生労働大臣はPMDAに審査等を行わせることができることとされており、大臣はその結果を考慮しなければならないとされるなど国とPMDAは一体的に業務を行うこととされているところです。また、PMDAは国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの、又は一つの主体に独占して行わせることが必要であるものを効果的かつ効率的に行わせるために独立行政法人として設立され、PMDA法に基づきその役職員には秘密保持義務が課されるほか公務に従事する職員とみなされるなど、業務執行に当たっての中立性が確保されている法人です。そういったことからPMDAから厚生労働省への出向が利益相反の問題を生じさせるとは考えていません。
記者:
新型コロナワクチンに関して2点伺います。長崎大学の新型コロナワクチンの有効性に関する研究に対し厚生労働省は令和3年度約260万円、令和4年度約1.6億円、令和5年度は約1.2億円を支援しているとのことですが、この資金の使途の詳細、また令和4年度に増額した理由、それから令和6年度以降の金額も教えていただけますでしょうか。もう1点ですが8月15日の会見で質問させていただきましたが、その時点では作業中とのことでしたが救済制度の死亡認定者のうち副反応疑い報告に提出されている件数の詳細な突合作業の結果と、その結果を受けての対応について教えていただけますでしょうか。
大臣:
長崎大学の研究については令和3年度は外来受診を対象とした研究を行っていましたが、令和4年度からは入院や重症化の予防効果等も含めて確認できるように研究規模を拡大したことに加え、患者検体を用いた検査体制構築にかかる研究等を新たに開始したため増額となっているものです。令和4年度の補助額1.6億円の経費の内訳については、物品費、人件費、旅費等となっています。令和6年度の補助額については約3,900万円であり、令和7年度、これは予算額ですが予算上は約6,100万円となっているものです。もう1点のご質問についてです。前回は、性別・接種日年齢・死亡日の3情報での簡易的な突合を行ったことをご報告させていただきましたが、氏名・住所・生年月日・性別・死亡日この5情報で詳細に突合させていただいたところ、予防接種健康被害救済制度における死亡事例の認定件数1,032件のうち、副反応疑い報告が提出されていると確認できたものは306件であったということです。予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告制度では制度の目的や報告主体が異なっており、これらの件数が一致しないということはあり得るものだと考えています。厚生労働省としては予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告の両制度が適切に運用されることが重要と考えており、これまで、 副反応疑い報告が適切に実施されるように、自治体に対して救済申請時に副反応疑い報告の提出状況を確認するように依頼してきたほか、救済を希望する方が円滑に申請できるように医療機関に対して受診証明書などの必要な書類作成について、事務連絡によって依頼しているものです。これらのことについては今までも周知してきていますが、改めて来週に実施予定の自治体向けの説明会において改めて周知することとしており、引き続き各制度の適切な運用を図ってまいりたいと考えています。
記者:
1点目についてですが、厚生労働省が出している予算についてはこの研究は、病院に入院患者等の情報を数えてもらって集計しているものですが、十数件病院等にも協力をお願いしていると思いますが、この病院にもこの厚生労働省のお金、元の支援金は払われているという認識で合っていますでしょうか。
大臣:
研究自体に出しているお金について今申し上げましたが、研究に協力いただいている医療機関にどういう形で支出されているかということについては、私自身、内容を承知していませんので改めて確認をさせていただきたいと思います。
記者:
2点目についてですが、今回、新たな調査を経て700名以上の死亡認定者が副反応疑い報告に提出されていなかったことが判明したということですが、これは本来報告されるべきものが報告されていなかった。予防接種法上問題はあるのかどうか。いかがでしょうか。
大臣:
先ほども申し上げましたように、予防接種健康被害救済制度と副反応報告疑い制度では目的や報告主体が違うので数自体が異なるということはあり得ると思っています。ただ、今ご指摘があったように本来報告されるべきものが報告されていないということがあってはいけないということですので、これまでもそういうことがないように周知を図ってきているところですが、先ほども申し上げましたように改めて来週実施予定の自治体向け説明会において、周知を図っていくということです。
記者:
法的に問題はないという認識でよろしいでしょうか。
大臣:
はい、それぞれ適切にご判断をいただくようにこれまでも依頼してきているところであり、それに沿って運用されていると思いますが、改めてしっかり周知を図るという意味で、もう一度周知させていただくということです。
記者:
是非、この流れで調査していただきたいことがあります。救済制度で心筋炎・心膜炎で申請された方、あるいは認定されていた方が副反応疑い報告に入っていないことは予防接種法違反になるはずです。28日以内に発症した者であれば報告しなければいけない。これがちゃんと守られているかどうか判断する、一つの提案ですが、心筋炎・心膜炎の申請事例が、私調べていますが、入っていません。入っていないものがたくさんありますが、調べていただけませんでしょうか。
大臣:
今のご指摘を受けて、実務的な対応がどのような形で対応できるかも含めて、担当部局と相談したいと思います。
記者:
雇用環境の改善は、取り組んでおられることと思います。いわゆる骨太の方針2025では、医療・介護・保育の人材確保に向けて、公定価格の引上げをはじめとする処遇改善を進めるという記述がされています。この間、新聞やテレビ等で歯科技工士の労働実態について、毎日10時間以上作業を続けて、「受注する金額を時給に換算すると600円くらい」というような報道が続いています。国家資格でありながら、受注単価が低く、長時間労働になりがちで、最低賃金にも満たない実態ということです。これを踏まえて二、三質問させていただきます。1点目ですが、歯科技工所の収入は、診療報酬が原資になり歯科医院から支払われているところです。歯科技工所に支払われる歯科技工委託料は、公定価格つまり歯科診療報酬に左右されますが、私どもが全国の技工所から集めた調査では、令和6年改定で補綴点数が引上げられたということですが、それを踏まえてもなお、長時間労働が続いているということが明らかになっています。こういう歯科技工士の労働実態を厚生労働省として把握されているかどうかお伺いしたいと思います。2点目です。把握されている場合、実効性のある対応に取り組んでこられなかったことがこういった事態を生んでいることも考えられますが、解決に向けて具体的な検討は省としてされていることと思います。この解決には、歯冠修復や欠損補綴などの保険点数の引上げと、歯科医院から技工所に適切な金額が渡るルール作りが必要と考えていますが、その認識はおありか、お伺いしたいと思います。
大臣:
厚生労働省では、日本歯科技工士会が3年ごとに実施している歯科技工士実態調査により、歯科技工士の現状について把握しています。この調査によると、例えば、就労時間については、令和6年で1週間当たり平均53.7時間と、令和3年に行われた前回の調査と比べて約4.5時間短くなっており、また、年収は「300万円以上、400万円未満」が17.5%と最も多くを占めている状況と承知しています。保険点数についても、令和6年度診療報酬改定において歯科技工士の賃上げ等を図る観点から、補綴物の製作に関する評価の引上げなどを行ったところです。また、歯科技工料金については、歯科医療機関と歯科技工所の自由取引に基づいて設定されているところですが、歯科医療機関から歯科技工所に対する委託が円滑に実施されるよう、標準的な費用の割合を告示でお示ししており、この考え方については、引き続き周知に努めてまいりたいと思います。いずれにしても、令和8年度診療報酬改定に向けて、歯科技工士の業務などが診療報酬において適切に評価されるように、中央社会保険医療協議会で議論してまいりたいと思います。引き続き、関係団体等とも連携しながら歯科技工士の処遇や就労環境の改善に努めてまいりたいと考えています。
記者:
mRNAワクチン接種の即時中止を求める請願に対する回答についてお尋ねします。川田龍平前参議院議員らが7月10日に提出した、「レプリコンワクチンを含むmRNAワクチン接種事業の即時中止を求める請願書」約11万筆に係る請願事項6項目に対して、大臣は8月5日に回答されたと答弁されました。この回答のうち、「4.治療法の開発に関する研究の推進」に対しては、「接種後の遷延する症状については、令和4~6年度に厚生労働科学研究において調査を実施しており、特定の症状や疾患が集中して見られることはなく、多くの場合、観察中に軽快または回復が確認されている」との回答でした。しかし、引用された調査でも5人の死亡が含まれていますし、実際に多くの方が後遺症に苦しんでいます。同ワクチン接種を主導した厚生労働省が治療法の開発に関する研究を推進するのは当然と思いますが、いかがでしょうか。
大臣:
新型コロナワクチン接種後の遷延する症状については令和4~6年度に研究班において調査を実施しており、特定の症状や疾患が集中して見られることはなく、多くの場合は、軽快または回復が確認されているほか、症状が30日以上遷延した症例については半数以上で何らかの疾患の診断に至っているということが報告されています。この報告でも言われているように新型コロナワクチン接種後に遷延する症状は多様であり、疾患概念の確立が大変難しいため更に実態を把握できるように令和7年度以降も調査研究事業を行う予定であり、引き続き科学的知見の収集に努めてまいりたいと存じます。
記者:
確認ですが、症状が多様であるために治療法の開発をする必要がないということになるのでしょうか。
大臣:
先ほども申し上げたように、非常に遷延する症状が多様であるため、その疾患概念の確立が大変難しい状況にあるということです。今も研究していますが、更に実態を把握できるように令和7年度以降も調査研究事業を行っていくということです。
記者:
確認ですが、新型コロナワクチンによる後遺症というものはないものと、厚生労働省は認識されているのでしょうか。
大臣:
何をもってそうおっしゃるかですが、接種後の遷延する症状ということについては先ほど申し上げたとおりです。
記者:
ワクチン後遺症という概念は存在しないのでしょうか。厚生労働省としては。
大臣:
先ほども申し上げましたように、接種後の遷延する症状ということで定義しているということです。
記者:
そういう後遺症というものは存在しないと考えているため、治療法の開発を推進する立場はとらないという解釈でよろしいでしょうか。
大臣:
先ほども申し上げましたように、遷延する症状は多様ですのでまずは実態を把握できるように、これまでも行ってきていますが令和7年度以降も調査して事実がどういうものかということをしっかり調べていくということです。
記者:
是非、調査をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(了)