福岡大臣会見概要

(令和7年9月2日(火)11:20~11:39 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にありません。

質疑

記者:
生活保護基準部会最高裁判決への対応に関する専門委員会について伺います。先月29日に2回目の会合が開かれ、原告側へのヒアリングが実施されました。原告側は、専門委員会の運営に関する要望として、一般傍聴を認めることや、録画のアーカイブ配信のほか、原告側が適宜作成する書面を委員会で配布すること、審理の終盤に再度直接意見を表明する場を設けることを求めています。厚生労働省として、こうした要望にどう対応されるのかを伺います。対応されない場合には、その理由も併せてお伺いします。
大臣:
8月29日に開催した第2回最高裁判決への対応に関する専門委員会において、原告関係者からヒアリングを行った際に、専門委員会の運営に関して、今ご指摘があったようなご要望があったということについては承知しています。原告関係者の方々が作成する書面や、再度の意見表明の取扱いといったことについては、専門委員会の今後の議事運営に係ることですので、岩村委員長と随時ご相談しながら進めさせていただきたいと考えています。なお、一般傍聴や録画のアーカイブ配信に関するご要望については、ご承知のとおり、YouTubeでライブ配信をしていることや、公式記録としては議事録を掲載していることから、そちらをご覧いただくように、既に事務方よりお伝えしているものと聞いています。
記者:
本日の自民党の両院議員総会で、参院選の総括について了承されれば、総裁選を前倒しで実施するかどうかを巡る党内の手続が始まる見通しです。厚生労働省では、吉田真次政務官が自身のSNSで総裁選の前倒しを行うべきとの意見を表明されていますが、福岡大臣は総裁選の前倒しについてどのようにお考えか、お伺いします。また、党内には、総裁選の前倒しに賛成した政務三役は辞任するべきだとの意見もあります。辞任した場合、厚生労働行政への影響も考えられますが、賛成した政務三役は辞任するべきかどうかについても、大臣のお考えをお伺いします。
大臣:
前倒しすべきかどうかといった点、これは自民党の運営に関する話ですので、厚生労働大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。また、政務三役等のお話が今ありました。これも自民党における活動に関する事項ですので、この点についても、厚生労働大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきます。
記者:
生活保護基準引き下げ訴訟に関連し、判決についての対応をお伺いします。8月29日の第2回専門委員会では、委員から、デフレ調整の手法を改めて適用することはできないなどとして、「追加支給しないという結論は出ない」との見解が示されました。9月8日の第3回会合から、より具体的な議論に入っていくと思いますが、追加支給の必要性が指摘されたことをどのように受け止め、対応されるお考えでしょうか。
大臣:
平成25年から実施した生活扶助基準改定に関する最高裁判決を受けた対応の在り方については、ご承知のとおり、現在、専門委員会においてご審議いただいているところです。8月29日に開催した第2回専門委員会においては、今後の検討の前提として、判決により、原告に対する保護変更決定処分が取り消されたことによる法的効果や、処分の取消しの理由として、判決中において、デフレ調整及びゆがみ調整に係る判断が示されたことによる法的効果などについて、専門家から様々なご意見をいただいたものと承知しています。今、一人の委員の発言についてご紹介がありましたが、今の時点で、今後の対応について、何らかの方向性が出たものではありませんので、引き続き、様々な論点について丁寧にご議論いただいて、できるだけ速やかに専門委員会としての結論をいただけるよう進めてまいりたいと考えています。
記者:
スマホ搭載マイナ保険証についてお伺いします。デジタル大臣が8月5日の会見で、iPhoneのマイナカードは7月末現在で145万人が登録という報告がありました。そこで4点。スマホリーダーを設置していない医療機関を受診した患者さんからスマホマイナ保険証が提示された場合、当該医療機関でスマホの使用はできないとお断りしてよいのか、が1点。もう1つが、スマホマイナ保険証がやむを得ず読み取れない場合に、自身のマイナポータルの資格情報をスマホで表示して提示すれば、受診できるという対応が示されていますが、この対応はスマホリーダーを設置していない医療機関ではできないという理解でよいでしょうか。3点目、スマホマイナ保険証でマイナポータルを表示する方法では、マイナカードを併せて提示することは不要とされていますが、この対応では、医療機関が本人確認することができないのではないかということで、法令上の不備がないかということについてお伺いします。最後、意識がない患者さんを救急搬送する場合、スマホマイナ保険証しかなかった場合、スマホがロックされていると思います。その場合は救急医療機関で資格確認が困難と考えますがいかがかでしょうか。
大臣:
1番目についてですが、スマートフォンのマイナ保険証を利用して医療機関等を受診するに当たっては、スマートフォンの利用に対応していない医療機関等に患者さんがスマートフォンだけ持参して受診してしまうことがないよう、医療機関等に事前に確認し、スマートフォンでの受付に対応していることを確かめてから受診いただくこと、ステッカーの掲示がない場合には、引き続き実物のマイナンバーカードをご持参いただくことなどについて、今、国民の皆様にリーフレット等を通じて周知を行っていくということです。2番目ですが、医療機関の窓口でマイナポータルにログインして表示される資格情報を確認する方法については、何らかの事情でスマートフォンが読み取れなかった際の資格確認方法であり、スマートフォンの読み取りのための汎用カードリーダーを設置していない医療機関等では、マイナンバーカードなどで資格確認を行うことになります。3番目です。マイナポータルによる資格確認を行う上では、ご自身のスマートフォンでスマホ用電子証明書を用いて、生体認証か暗証番号の入力によりログインをするため、本人確認として問題があるとは考えておらず、9月19日の運用開始に向けて関係告示を整備することとさせていただいています。4番目です。そもそも意識のない方の救急搬送時は、紙の保険証の場合でも所持しているかは状況によって異なり、所持していない場合でも、実態としては、まず治療をしてから、身元の確認を行っていることも多いと考えられるところであり、スマートフォンの場合にもどうするか、患者さんの治療を最優先に、実態を踏まえて関係省庁との検討を進めてまいりたいと考えています。
記者:
145万人、もっと増えていると思います。意外に多いなということで、初期の段階で、ステッカーとかポスターとか、関係団体には努力していただいていると思いますが、行ってみないとステッカーが貼ってあるか分からないですし、やはり「なんで使えないんだ」というトラブルがあるので、お断りするというのはちょっと良くない部分はあるんですけど、どうしてもマイナポータルでの確認が、リーダーを設置していないところでは、原則は、マイナポータルの確認ができないということですから、そういったトラブルが、今1点目と2点目というのが、今後大きな課題になってくると思いますので、是非、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
大臣:
今おっしゃったように、なるべく現場でのトラブルを回避するということは、大切な視点だと思います。スマホ未対応の医療機関にスマホだけを持って行かれた場合にも、10割負担とならないようなオペレーション等の在り方等について、対応について検討を進めてまいりたいと思います。
記者:
前回8月29日の会見で、福岡大臣は、Gaviワクチンアライアンスへの拠出金について、「Gaviとの連携を通じ、日本発のイノベーションでの貢献ができることを期待している」とおっしゃいました。この「日本発のイノベーション」とは、mRNAワクチン関連という意味でしょうか。具体的にご教示ください。また、Gaviの活動内容について、これは外務省のウェブサイト上のページを参照していますが、「ワクチン未接種の子どもを減らすための取組の強化」及び「ワクチン未接種の子どもを削減する」ことがうたわれています。厚生労働省は、現在、妊婦・小児へのワクチン接種を推奨していないと理解していますが、厚生労働省の方針と相反する活動を行う団体に資金を拠出することは、厚生労働省として問題はないのでしょうか。
大臣:
Gaviの途上国における予防接種率向上の活動に、これまで、日本発のイノベーションとして、例えば、ワクチンを保冷して輸送する車や、乳幼児の方の本人確認をするための指紋認証技術、こういったことがこれまでも活用された実績があります。ですから、様々な要因が含まれており、mRNAワクチンという特定の技術を念頭に置いて発言したものではありません。もう1点については、Gaviについてはワクチン未接種の子どもを削減するため、各国の状況に応じて、途上国向けに、新型コロナワクチンに限らず、様々なワクチンの配布・導入支援をしているものです。日本においても、小児の疾病予防を目的として幅広いワクチンを定期接種しているところであり、Gaviの扱うワクチンの範囲は、日本における小児の定期接種とおおむね一致しており、厚生労働省の方針がGaviの活動方針と反するというご指摘は当たらないと考えています。
記者:
もう1問、これも前回の会見で伺った内容ですが、一般社団法人ワクチン問題研究会が、2025年8月26日に、mRNAワクチンMessenger RNA脂質ナノ粒子製剤の承認取消しおよび市場回収を求める英文論文を、ピアレビュー誌に発表しました。論文の邦題は「日本におけるCOVID-19 mRNA-LNP遺伝子ワクチンの規制および安全性評価:承認取り消しと市場撤回の根拠」というものです。大臣自身、この内容を確認しましたでしょうか。もしくは、していないのであれば、確認するご予定はありますでしょうか。こうした外部の知見を活用しつつ、厚生労働省が率先して、mRNAワクチン施策の総括を行うべきだと考えますが、その点はいかがでしょうか。
大臣:
ご指摘の論文は、前回ご質問いただきました。内容についてまでは、私は全部読めているわけではないですが、その存在については確認させていただきました。その上で、個別の論文についてのコメントについては差し控えさせていただきますが、今後、ワクチンの製造販売業者より本論文が研究報告された場合には、PMDA等において適切に評価されることとなります。また、厚生労働省としては、これまでも、国民の皆様の接種の判断に資する情報発信を行ってきていると考えています。新型コロナワクチンの安全性については、審議会において、副反応疑い報告制度等に基づき報告されたものについて、全例評価しており、現時点で重大な懸念は認められないと評価されているところです。今後とも、科学的知見の収集に努めるとともに、専門家によるワクチンの安全性の評価を適切に行い、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関に情報提供するなど、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
記者:
8月29日、九州地区で放送されましたテレビ番組、NHK「ザ・ライフ ネクストパンデミックに備えて コロナワクチンとデータ検証」の放送内容に関連して2点伺います。「厚生労働省は予防接種データベースを構築し第三者に提供を予定している」という放送内容がありましたが、このデータベースの目的、提供されるデータの範囲、提供の対象者、国民が得られるメリットや提供のスケジュールなど、詳細を教えていただけますでしょうか。もう1点、番組では、新型コロナワクチンの有効性として、長崎大学熱帯医学研究所による「60歳以上の入院が44.7%減」という研究が放送されました。この研究には、厚生労働省は資金提供を行っているのでしょうか。行っているのであれば、金額やその目的、期待される効果などを教えていただけますでしょうか。
大臣:
1点目の予防接種データベースについては、副反応モニタリングをはじめとする安全性・有効性を迅速に分析する基盤の構築などを目的として、整備を進めているところです。ご指摘があった第三者提供を行う提供対象者については、予防接種法に基づき、国の他の行政機関や地方公共団体、研究機関などになりますが、提供するデータの範囲等については、感染症に関する情報収集・分析・リスク評価の体制を有するJIHSなどの関係者とともに検討を今行っているところです。データベースの構築・運用により、能動的な安全性モニタリング等の評価分析を実施し、安全性及び有効性等に関する科学的知見を継続的、安定的に収集・評価することが可能となります。これにより、国民がより安全・安心に予防接種を受けられるようになることが、国民の方々にとってのメリットになるのではと考えています。2点目のご質問についてです。ご指摘の研究については、厚生労働省の研究事業の一部として実施されており、当該研究に対し令和5年度に約1.2億円を補助しています。この研究は、新型コロナワクチンの有効性を評価することを目的としたものであり、この研究により、多くの施設が参加する臨床研究が実施され、オミクロン株流行時期における新型コロナワクチンの発症予防効果、重症予防効果が明らかになったと考えています。
記者:
1点目に関してですが、公開されるスケジュールというのは、今いかがでしょうか。
大臣:
スケジュール等については、データベースそのものは令和8年6月に運用を開始する予定ですが、運用の開始時点で、全てのいろいろな情報がそこに入れ込むことができるかということについては、様々な調整がされていることですから、どういうデータがスタートの時点で付加されるかというのは、これからの作業になりますが、本格的な分析ができるというのは、それよりももう少し先になる見込みだということです。
記者:
確認ですが、1点目の方ですが、安全性や有効性の評価のためということですが、ということは、今回のコロナワクチンの安全性や有効性の評価が不十分であったということを厚生労働省自体がお考えになっているということでしょうか。
大臣:
そこは不十分だという認識は持っておりません。データベース化することによって、より迅速に様々なデータが把握できるような体制を作ることは、国民の方々にとっても有用なことだという認識です。
記者:
2点目についてですが、この長崎大学の研究は令和3年4月から始まっていると思うのですが、今大臣、令和5年度の予算を教えていただきましたが、総額、あるいはこの1.2億円は全て長崎大学の研究に使われたものなのか。詳細いかがでしょうか。
大臣:
令和5年度に関して言えば、ワクチンの有効性及び安全性をモニタリングする体制の構築に関する研究ということで、その中の研究の一つに長崎大学のものが入っており、その長崎大学の研究の部分に国として補助した金額が、約1.2億円ということを、今先ほど申し上げたものです。過去に遡ったことについては、今手持ちの資料を持っていませんので、また次回でも答えさせていただきたいと思います。

(了)