福岡大臣会見概要
(令和7年8月15日(金)10:18~10:33 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 冒頭私から1点ございます。本日8月15日は、戦没者を追悼し平和を祈念する日です。政府は、日本武道館において、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、遺族代表及び各界代表の参列の下に、先の大戦における三百万余の戦没者の皆様方に対して、全国民が深く追悼の誠を捧げるとともに、恒久平和の確立への誓いを新たにする趣旨で、全国戦没者追悼式を挙行します。正午には、国民お一人おひとりが、その家庭、職場など、それぞれの場所において、この式典に合わせ、戦没者をしのび、心から黙とうを捧げていただきたいと思います。なお、本日は、お手元に戦後80年の関連施策に関する資料を配付させていただいています。先の大戦を体験された方が少なくなられている中で、改めて戦没者とそのご遺族の方に対する弔慰の意を示しつつ、世代を超えて広く記憶を継承していくための施策を推進してまいりたいと存じます。
質疑
- 記者:
- 冒頭にもありましたが、このあと開催され、大臣も参列される全国戦没者追悼式について伺います。参列を予定している遺族のうち、戦後生まれの方が初めて半数を超えました。遺族の高齢化が進む中、厚生労働省としてどのような施策を推進していきたいか、また、戦後90年に向けた課題をどう捉えているのか、大臣のお考えをお聞かせ下さい。
- 大臣:
- 戦後80年を迎える中で、改めて戦没者とご遺族に対する弔慰の意を示しながら、世代を超えて広く国民が記憶を継承していくための施策を推進しているところです。具体的には、戦没者のご遺族に対し特別弔慰金を支給するとともに、閣僚など政務三役に対し、主要な戦域ごとに政府として建立した慰霊碑への訪問を要請し、私も硫黄島やパラオ共和国ペリリュー島で献花を行い、哀悼の意を表してきたところです。ペリリュー島で確認された集団埋葬地からの遺骨収集の加速化を始め、引き続き、一柱でも多くのご遺骨を一日も早くふるさとにお迎えできるよう、国の責務として遺骨収集に取り組んでいるところです。さらに、教育現場などで語り部による記憶の継承に取り組む「平和の語り部事業」を大幅に拡充し、次世代への記憶継承にも取り組んでいるところです。先の大戦を体験された方が少なくなり、戦没者のご遺族のご高齢化が進む中にあっても、今後とも、戦没者のことを決して忘れることなく、記憶を引き継ぐための取組を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 生活保護最高裁判決の関連でお伺いします。8月13日に第1回専門委員会が開催されました。原告側は国の謝罪を求めていますが、現時点で、改めて謝罪するお考えはあるのか、お聞かせください。また、今後の専門委員会をどう進めていくか、大臣の見解をお聞かせください。
- 大臣:
- 平成25年から実施した生活扶助基準改定に関して、最高裁判決において、「物価変動率のみを直接の指標として用いたことに、専門的知見に基づいた十分な説明がされているということはできない」として、「デフレ調整に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があった」と指摘されたことについて、生活保護行政を所管する厚生労働省として真摯に反省し、その上で、判決の趣旨及び内容を踏まえた今後の対応の在り方について、専門家にご議論いただく場として、生活保護基準部会の下に専門委員会を設置したところです。13日に第1回目の専門委員会を開催したところですが、8月下旬以降、複数回開催し、この中で原告関係者からのご意見を伺った上で、できるだけ速やかに専門委員会としての結論をいただけるように進めていきたいと考えています。
- 記者:
- 生活保護費引き下げは違法とされた最高裁判決についてお伺いします。最高裁判決では、物価変動率のみを直接の指標としてデフレ調整を実施し、保護費を一律4.78%減額した行政処分を取り消しました。長年、被保護者に不利益となる行政処分を放置してきた責任は重大と考えます。行政処分に瑕疵があったことを認めるのであれば、そのことだけをもっても、まずは原告に謝罪すべきではないでしょうか。最高裁判決で国家賠償が認められなかったことから、厚生労働省は「謝罪に後ろ向き」という報道がございますが、例えば、高額療養費の限度額引き上げをめぐる行政対応の不手際など、国家賠償に至らない事案でも謝罪は行われています。行政として瑕疵があったことは率直に認めて誠意を示すことが、最高裁判決に真摯に向き合う態度ではないでしょうか。
- 大臣:
- 先ほどのお答えとも重複する部分がありますが、平成25年から実施した生活扶助基準改定に関して、最高裁判決において、「物価変動率のみを直接の指標として用いたことに、専門的知見に基づいた十分な説明がされているということはできない」として、「デフレ調整に係る判断の過程及び手続に過誤、欠落があった」と指摘されたことについて、生活保護行政を所管する厚生労働省として真摯に反省し、その上で、判決の趣旨及び内容を踏まえた今後の対応の在り方について、専門家にご審議いただく場として、生活保護基準部会の下に専門委員会を設置したところです。この専門委員会において、原告関係者の方々からのご意見を伺うこととしており、厚生労働省としては、専門委員会における議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと存じます。
- 記者:
- 原告にご意見を伺った上で誠意というか謝罪、お詫びとかいろいろなやり方があると思うんですけど、そういう誠意を、行政のトップとして表明する意思はございますでしょうか。
- 大臣:
- 先ほど申し上げました専門委員会においては、原告関係者からのご意見をしっかり承りたいと思います。その上で、この専門委員会におけるご議論がこれからまた行われるわけですから、それを踏まえて、厚生労働省としての対応を早急に進めてまいりたいと存じます。
- 記者:
- 終戦の日に関連して伺います。先の大戦では多くの民間人も犠牲になっています。民間人の犠牲に対し、国としてどう責任を受け止めているのか伺います。また、国の補償対象になっていない空襲の被害者や沖縄戦の被害者が国に補償を求める声も上がっています。厚生労働省としての対応も併せて伺います。
- 大臣:
- 本年は戦後80年を迎える年です。先の大戦においては、全ての国民の方々が何らかの犠牲を被られており、一般市民の中にも、筆舌に尽くし難いご労苦を体験された方が多数いらっしゃると承知しています。こうした方々を含め、先の大戦における三百万余の戦没者のために、本日政府として全国戦没者追悼式を挙行し、追悼の誠を捧げることとしています。政府としては、これまでも、空襲被害者などの一般戦災者の方々に対して、一般の社会保障施策の充実を図る中で、その福祉の向上に努めてきたところです。ご承知のとおり、現在、超党派の議員連盟において、空襲被害者等に対する一時金の支給、実態調査等を内容とする議員立法について議論されていると承知しており、厚生労働省としては、引き続き、その動きを注視してまいりたいと思います。
- 記者:
- いわゆるホスピス型住宅の最大手であるアンビスホールディングスが、訪問看護における不正などを指摘する報道を受けて、特別調査委員会の報告書を8月8日に公表しました。調査の結果、組織的な不正や不正請求は認定されなかったというのが会社側の受け止めなのですが、一方で報告書では、アンビスは病棟のような巡回方式で機動的に訪問看護を実施するスタイルをとっていて、組織として1回あたりの訪問に30分以上かけることを求めない方針であったということが記されています。厚生労働省の通知において、指定訪問看護の実施時間は1回の訪問につき30分から90分を標準とするという旨がありますが、仮に、1回の訪問が30分未満であっても、1日を通じて必要なケアをされていたら、報酬を請求しても問題ないという解釈は、果たして成り立つのでしょうか。また、令和8年度には診療報酬改定が予定されていますが、その中で、こうした集合住宅に併設する形の訪問看護ステーションの報酬の在り方というのは、今後、どのような改正が必要かということが議論に上っていくのでしょうか。
- 大臣:
- ご指摘がありました、法人が運営する訪問看護ステーションの訪問看護療養費の請求に関して、当該法人が設置した特別調査委員会による調査結果報告書が公表されたことは承知していますが、個別事案についてのお答えは差し控えさせていただきます。その上で、一般論として申し上げれば、診療報酬の不正請求の疑いがある場合には、健康保険法に基づき、地方厚生局において、必要な調査・指導を行い、不正請求が確認された場合には、厳正に対処することとなります。医療保険における訪問看護の実施時間は、訪問看護療養費の算定方法に関する留意事項を定めた通知において、「1回の訪問につき、30分から1時間30分程度を標準」としているところです。その趣旨は、訪問看護の回数や実施時間については、利用者の疾病や症状等の個別の状況により判断されるべきということであり、利用者の個別の状況を踏まえず一律に訪問を30分未満とする運用は適切ではないと考えています。そうした事実がある場合には、まずは事実確認などを行っていくこととなります。令和6年度の診療報酬改定においては、訪問看護管理療養費について、訪問看護ステーションの利用者のうち、同一建物居住者であるものが占める割合に応じて、評価を分けることとしたところです。令和6年度の改定も踏まえ、その影響について必要な検証等を行って、利用者の状態に応じた必要な訪問看護がなされるよう、引き続き、診療報酬の中で適切に評価を行ってまいりたいと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの死亡報告について伺います。福岡大臣は、8月8日の大臣会見において、簡易的な突合の結果、予防接種健康被害救済制度における死亡認定者1,031件のうち、副反応疑い報告が提出されていると確認できたものは351件、34%とおっしゃいました。約680名の死亡認定者がワクチンの安全性を評価する制度に報告されていなかったということですが、この新たに判明した事実に対し、現時点では大臣はどのような問題意識をお持ちなのか。また、氏名等での突合作業も進めるとのことでしたが、進捗や結果について分かれば教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- 性別・接種日年齢・死亡日、この3情報で簡易的に突合した結果、予防接種健康被害救済制度における死亡事例の認定件数1,031件のうち、ご指摘のとおり、副反応疑い報告が提出されていると確認できたものは351件であり、残りの副反応疑い報告が提出されていなかった事例は680件でした。これらは、医師等が報告対象となる副反応として判断しなかった一方で、遺族の方々などが救済制度の申請を行った結果であり、副反応疑いの報告がなされた351件と同様に、救済制度の趣旨にのっとり、幅広く救済が認定されたものと考えています。先般私が申し上げた、氏名等を含めた突合については、ご承知のとおり、システムにおいて氏名等のデータが入っておらず、そこには受付番号・性別・年齢・接種日等が書いてあります。その受付番号をもとに、それぞれの原本・個票を特定して、そこから氏名・都道府県・市町村・生年月日を含めたデータを拾い、それが救済の申請リストと合致するかどうか、1件1件作業している最中であり、まだこの時点でその作業が完了していないということですので、それが分かり次第、ご報告させていただきたいと思います。
(了)