福岡大臣会見概要
(令和7年7月29日(火)9:45~10:00 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 冒頭私から2点ございます。1点目が令和7年版厚生労働白書についてです。今日の閣議で、令和7年版厚生労働白書を報告しました。今年の白書では、「次世代の主役となる若者の皆さんへ -変化する社会における社会保障・労働施策の役割を知る-」と題して、社会保障や労働施策の役割と方向性、若者の意識、それらを知る意義、社会保障教育や労働法教育の取組を紹介しています。厚生労働省としては、今後とも、国民の皆さん、特に若者の皆さんに、社会保障や労働施策を身近に感じていただき、必要な制度を円滑に利用いただけるように取り組んでまいりたいと思います。もう1点です。第六次薬物乱用防止五か年戦略フォローアップについてです。本日、私が議長を務める薬物乱用対策推進会議で「第六次薬物乱用防止五か年戦略」のフォローアップをとりまとめましたので、ご報告します。令和6年の薬物情勢は、大麻事犯の検挙人員が6,342名であり、過去最多であった前年に比べ減少したものの、引き続き、覚醒剤事犯の検挙人員を上回る結果となりました。また、コカイン事犯や、危険ドラッグ事犯も前年に比べ急増しています。特に、大麻事犯の検挙人員の7割以上は30歳未満の若年層であり、我が国は引き続き、若年者大麻乱用期の渦中にあると認識しています。このため、従来からの取組に加え、大麻の不正使用等への規制・罰則を強化した令和6年12月の大麻取締法等改正法の施行も踏まえ、大麻の乱用拡大を阻止すべく、引き続き、関係省庁と連携の上、予防啓発や取締りの強化などの対策を徹底してまいります。また、フェンタニル等の乱用をはじめ、国際社会が直面している薬物問題にも対応するために、国外の関係機関とも緊密に連携し、政府一丸となった総合的な薬物対策を推進してまいります。
質疑
- 記者:
- 日米関税交渉についてお伺いします。日米両政府は先週、相互関税を15%とする交渉に合意しました。過去の会見でも何度かお伺いしておりますが、改めて医薬品、医療機器、雇用、最低賃金の各分野に今回の合意が与える影響についての見通しや、仮に影響がある場合のご対応をお聞かせください。
- 大臣:
- 医薬品については、現時点では相互関税措置の対象から除かれており、また、今般の日米間の合意においては、仮に将来、分野別関税が課される場合にも、日本を他国に劣後する形での扱いとはならないとの確約を得ているところです。医療機器については、相互関税措置の対象となっています。関税の引き上げにより、日本製品の輸出への影響や、米国から輸入する製品価格への影響等が生じる可能性があり、動向を十分に注視してまいりたいと思います。雇用への影響については、都道府県労働局において、米国関税措置に係る雇用維持等に関する相談対応や支援等を行っているところです。現状においては、休業等雇用調整に関する声は少数に留まっていますが、先行きへの不安に関する声も聞いているところであり、各産業の動向等の把握に、引き続き努めてまいりたいと考えています。最低賃金については、現在、中央最低賃金審議会において、今年度の改定額の目安についてご議論いただいているところであり、その影響について予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。引き続き、各分野における我が国への影響を十分に精査しながら、関係省庁と連携して、必要な対応を図ってまいりたいと思います。
- 記者:
- まもなく期限を迎える健康保険証について、3点質問します。直近のマイナ保険証の利用率及び7月末に有効期限を迎える国保加入者の人数と、国保全体の割合が1点。8月以降、マイナ保険証の利用が急増し、医療機関受付の混雑やトラブル、不具合への対応が迫られますが、どのような対策を考えておられるかが2点目。有効期限後も保険証が使える暫定措置が事務連絡で出されていますが、国民全体への周知が不足しているのではないでしょうか。この3点です。
- 大臣:
- 令和7年6月のマイナ保険証の利用率は30.64%です。また、市町村国保において、7月末に発行済みの健康保険証が有効期限を迎える被保険者数はおよそ1,700万人と承知しており、これは市町村国保の全被保険者数、約2,400万人の約7割に当たります。8月以降の医療機関等の受診に当たって、当面は有効期限が切れた健康保険証だと気づかないまま、引き続き従来の保険証を持参するなどして、保険医療機関等を受診する場合も想定されることから、暫定的な対応として、こういった患者さんに対して、3割等の一定の負担割合のみを求めてレセプト請求を行っていただく運用を医療機関等に対してお示ししているところです。また、何らかの事情で、マイナ保険証で資格確認ができなかった場合でも、窓口で適切な負担割合で保険診療を受けられることとしており、このような取扱いを医療機関、国民双方に対して周知しています。従来どおりの保険診療が確実に受けられるように必要な対応を講じているところですが、保険証の切替えによって患者さんが不利益を被ることがないように、医療機関や国民の皆様に、これまでも周知していますが、引き続き周知を図ってまいりたいと考えています。
- 記者:
- 自民党の両院議員懇談会では、総理が、農業や税、社会保障の改革をやらないといけないと発言しました。衆参が少数与党の状況の中、また自民党内からも退陣論が出る中で、政策をどう石破政権として実現していくおつもりなのか、ご見解をお聞かせください。
- 大臣:
- 前国会における年金制度改正法の成立をはじめ、石破政権においても、これまで同様、社会保障制度を持続可能なものとしていくための改革に取り組んでいるところです。社会保障制度改革については、給付と負担の在り方など、国民生活に広範な影響を与え得るものであることから、厚生労働省としては、引き続き、丁寧な議論を行いながら、全世代型社会保障の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
- 記者:
- 原子爆弾被爆者実態調査についてお伺いします。厚生労働省は、1965年から10年ごとに実施されてきた被爆者の生活や健康状態の実態調査について、今年分を実施せずに終了されると決定しました。終了の理由と、今後被爆者の生活等の実態を厚生労働省としてどのように把握、公表されていくかをお伺いします。また、調査への回答として多くの体験記が寄せられてきましたが、そうした被爆者の経験や思いを今後どのような形で調査・収集されるのかについてもお伺いします。
- 大臣:
- 昭和40年から10年おきに実施してきた原子爆弾被爆者実態調査については、現在では、この調査において取得していた被爆者援護施策の実施に必要な各種数値については、各都道府県市で全数管理の上、毎年報告いただいており、把握が可能となっていることや、被爆者の高齢化による負担なども考慮し、昨年11月に中止することを決定しました。被爆者関係団体に丁寧にご説明の上、ご了解もいただいているところです。これまで公表していたデータについては、引き続き、各都道府県市からの報告に基づき把握し、今後も公表してまいりたいと考えています。また、ご指摘のありました、これまで被爆者実態調査の自由記述欄において、抽出で把握していた被爆体験等については、令和7年度から、新たに、被爆者の方々全員から体験記の寄稿を募る取組を毎年実施することとしており、こうしたことを通じて、被爆の実相の継承に努めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの副反応疑い報告について、7月25日に開催された審議会に関連して2点伺います。1点目、新型コロナワクチンの死亡報告のこれまでの合計数と、製造メーカー別に内訳を教えていただけますでしょうか。2点目、別制度ではありますが、予防接種健康被害救済制度では現在、1,795件の死亡に係る申請があり、うち1,030名が死亡認定されています。すでに死亡認定された1,030名のうち、副反応疑い報告されている事例が何件あるか、把握していらっしゃいますでしょうか。
- 大臣:
- 副反応疑い報告制度における、これまでの新型コロナワクチン接種後の死亡報告の件数については、7月25日の審議会における報告を含め、合計2,294件です。この2,294件の各社ごとの内訳は、ファイザー社が2,008件、モデルナ・ジャパン社が269件、第一三共社が10件、Meiji Seika ファルマ社が1件、武田薬品工業社が6件となっています。また、予防接種健康被害救済制度については、予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合に救済を行う制度である一方で、副反応疑い報告制度は、ワクチンの安全性の評価に用いるために、医師等に副反応が疑われる症状の報告を求める制度であり、両者は異なる制度であるため、ご指摘の1,030名のうち副反応疑い報告に計上されている人数については把握しておりません。なお、死亡を含む新型コロナワクチンの副反応を疑う症状について、副反応疑い報告制度等に基づき、医師や製造販売業者等から報告があった場合には、審議会において全例評価しており、現時点で重大な懸念は認められないと評価されています。
- 記者:
- 私独自に調べていますが、一部報道もあったのですが、死亡認定事例、救済制度認定事例の大半が、副反応疑い報告されていないのが実情なんですね。そして、5月13日の参議院厚生労働委員会で薬機法の改正に関する附帯決議が採択されており、附帯決議の4によりますと、安全対策には救済制度における情報も生かすことという、これが委員会で採択されています。福岡大臣は、この救済制度の申請事例や認定事例を副反応疑い報告に生かして、より安全性をしっかりと見ていく。このようなお考えはありますでしょうか。
- 大臣:
- 先ほども申し上げましたように、制度の趣旨が違うので、それぞれどういった方が重複しているかということについて、厚生労働省としては捕捉していません。今おっしゃったような観点も含めて、どのような在り方があるのかについては、検討してまいりたいと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの接種勧奨終了の告知と、治験結果の公表について、合計2問お尋ねします。1問目ですが、先回7月22日の記者会見で福岡大臣は、同ワクチン接種の勧奨は2023年9月で65歳未満一般の方に関しては終了していたと説明されました。この告知方法について後日、予防接種課に話を聞いたところ、基本的に自治体への事務連絡にとどまったとのことです。福岡大臣は、接種勧奨終了の周知は十分だったとお考えになりますか。2問目です。同ワクチンの治験について、ファイザー社の場合、第3相試験が2023年12月まで続けられていたと大臣は説明されました。予防接種課に確認したところ、この治験結果はPMDAに提出され、評価を終えているが、審査報告書等を作って報告する予定はないとのことでした。公表するお考えはありますでしょうか。
- 大臣:
- 接種勧奨の範囲については、その見直し内容について事務連絡を発出したほか、自治体が住民に対して周知する際に活用していただくためのリーフレットを作成して、自治体にも周知するなど、国民の皆様の接種の判断に資する情報発信を行ってきたと考えています。今後も、どのような情報発信が適当かについて、模索してまいりたいと思います。また、ご指摘のファイザー社の新型コロナワクチンの第3相試験の結果については、追加の注意喚起を要する安全性の懸念は認められていないと承知しており、現時点において、厚生労働省から公表する予定はありませんが、ファイザー社からは、その結果の概要が米国の臨床試験の公的データベースを通じて公表される予定だと聞いているところです。
- 記者:
- 1問目の接種勧奨終了の告知についてですが、実際、国民のほとんどが終わったことを知らなかったようです。これについて、もう少し周知を検討するお考えはありませんでしょうか。
- 大臣:
- 先ほど申し上げましたように、これまでも自治体等を通じて周知を図ってきたところですが、今おっしゃったように、周知が十分図れていなかったのではないかというご指摘を受け、どういう周知の在り方ができるのかも含めて、検討させていただきたいと思います。
(了)