福岡大臣会見概要
(令和7年7月8日(火)10:11~10:25 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にございません。
質疑
- 記者:
- 今週金曜に審議会が開かれる最低賃金についてお伺いします。政府は2020年代に最低賃金の全国平均を1,500円まで引き上げることを掲げていますが、これを達成するために、今回どれほどの引き上げを検討しているのか、また、いつまでに一定の方向性を示したいのか、スケジュール感を教えてください。
- 大臣:
- 最低賃金の改定については、今お話がありましたように、7月11日に中央最低賃金審議会を開催し、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について諮問を行う予定です。今年度の具体的な引上げ額については、最低賃金法に定める3要素のデータに基づき、公労使の三者で構成される最低賃金審議会でご議論いただき、決定することとされており、審議会において真摯なご議論をお願いしたいと考えています。改定に向けた今後の審議スケジュールについては、審議会委員の皆様と調整の上、7月11日の審議会の場において事務方から説明する予定です。
- 記者:
- 国立循環器病研究センターのパワハラについてお伺いします。センターは2日、ハラスメント調査委員会が、大津欣也理事長の部下に対する言動をパワハラと認定したと発表しましたが、調査内容は公表していません。今般、フジテレビなどの民間企業でも、ハラスメント問題で調査報告書を公表しています。ナショナルセンターのトップのパワハラが認定されているにも関わらず、調査内容が非公表となっている事態について問題ではないのか、どのように認識されているか、任命権者である厚生労働大臣のお考えをお伺いします。また、パワハラをめぐっては、昨年12月、理事長が3カ月間の役員報酬10%の自主返納を発表しました。パワハラの処分を自分で決めた形となっていますが、意思決定として適切かどうか、大臣のご認識をお伺いします。
- 大臣:
- ハラスメント調査委員会の調査報告書については、個人名を含む事案が含まれているため、非公表の取扱いにしているとセンターから聞いているところです。この事案については、令和6年3月になされた、理事長の人事権の行使等が労働契約法等に違反するのではないかという、センターからの職員による通報があったものです。当該公益通報による外部の調査機関の報告書を踏まえて、令和7年1月、センター内にハラスメント調査委員会を立ち上げて調査を行い、令和5年9月の理事長の言動に関して、今般、ハラスメントに該当するとの結論を得たものです。本件については、ご指摘のとおり、すでに昨年12月に、理事長は役員報酬を自主返納しており、これは、センターが独立行政法人として行った、自発的な再発防止の取組の一環であると承知しています。厚生労働省としては、昨年12月に法人として再発防止策を講じるように指示しており、引き続き、センターの再発防止策が適切に実施されているのか、その状況を注視してまいりたいと思います。
- 記者:
- 任命権者として、大臣がしかるべく処分をお考えになるということはありますでしょうか。
- 大臣:
- 今申し上げましたように、昨年12月に法人として再発防止策を講じるように指示したところです。それにのっとって、再発防止策がしっかり実施されているかどうかを、引き続き、注視していくということです。
- 記者:
- 新型コロナワクチンによる副反応と、いわゆるコロナ後遺症の関係についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、すなわちコロナ後遺症と呼ばれる症状の発生が後を絶ちません。また、帯状疱疹が増えているとのことで、帯状疱疹ワクチンが4月から65歳以上を対象に定期接種化されています。しかし、コロナ後遺症や帯状疱疹の多くが、新型コロナワクチン接種の副反応である可能性が否定できません。高知大学医学部皮膚科学講座の佐野栄紀特任教授らの研究チームが、2024年4月、ワイリー社の英文国際雑誌「the Journal of Dermatology」にmRNAワクチン由来のスパイクタンパク質が長期にわたって皮膚障害に関与する可能性を示唆する論文を掲載しました。これによれば、成人水痘や帯状疱疹などの皮膚病変から検出されるスパイクタンパク質が、コロナウイルス由来のものか、mRNAワクチン由来のものか、見分けることが可能です。mRNAワクチン由来のものはウイルス核タンパク質が存在せず、陰性となるからです。疾患を正確に把握し、有効な治療を施すためにも、この研究成果を採用してみるお考えはありませんでしょうか。お答えお願いします。
- 大臣:
- 個別の論文についての具体的な評価は差し控えさせていただきますが、今ご指摘のあった論文については、検出されたスパイクタンパク質が皮膚障害の原因であるかどうかは更なる検討が必要であると、著者が述べていると承知しています。その上で、スパイクタンパク質の残存と副反応の可能性を示唆する知見については、ワクチンの安全性を評価する観点から、ご指摘の論文を含めて様々な知見を収集した上で、重大な疾病等の発生等に関わらず、専門家の意見を伺った上で検討を行う予定です。
- 記者:
- コロナ後遺症とワクチン後遺症を見分ける技術がもし見つかったら、これは画期的なことだと思うのですが、治療を正確にしていくために有益だと思いますが、大臣のご見解をお聞かせください。
- 大臣:
- 前回の記者会見のやりとりでもありましたが、様々な論文が出ているところです。専門家のご意見を伺った上で検討を行う予定だということは、前回も申し上げましたが、今後の検討の中では、先ほど申し上げましたように、ご指摘の論文も含めて検討を行わせていただくということです。
- 記者:
- 画期的な発見だと思いますので、是非ご検討をお願いできたらと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの臨床試験についてですが、国民民主党の玉木代表と、福田徹衆議院議員が6月30日に公開したYouTubeにおいて、「わが国で2021年に接種を開始した時点で、ファイザー、モデルナのmRNAワクチンは、海外で第1相試験、第2相試験、第3相試験は全て終わっている」と説明をしています。これは正しいのでしょうか。第1相から第3相まで、それぞれいつ終わったのか教えていただけますか。
- 大臣:
- ご指摘のファイザー社及びモデルナ社のmRNAワクチンについては、いずれも承認の時点では臨床試験が終了していなかったものの、承認審査において、それまでに得られた第3相試験データ等に基づき、有効性と安全性に関して厳格な評価が行われた上で、薬事承認されています。その上で、より長期の安全性等を確認するために、承認後も臨床試験の一部が継続されているところです。ファイザー社及びモデルナ社のmRNAワクチンの海外臨床試験は、現時点でいずれも終了しており、お尋ねのあった終了時期については、ファイザー社の海外第1、第2、第3相試験の終了時期は2023年12月、モデルナ社については、海外第1相試験、第2相試験、第3相試験の終了時期は、それぞれ2022年4月、2021年10月及び2022年12月であると承知しています。
- 記者:
- 確認ですが、ということで玉木代表が言っていたんですけれども、確かに「第1相から第3相が全て終わっている」というのは、誤りであるということですよね。
- 大臣:
- どういう趣旨でその場でおっしゃったかについて、私は確認が取れませんので、事実関係として、私が先ほど申し上げましたように、それぞれの第1、第2、第3相試験の終了時期については、先ほど申し上げたことが事実であるということです。
- 記者:
- 不審死の急増について伺います。武見敬三前厚生労働大臣が、6月12日のご自身のYouTubeで、「50歳前後の方々の不審死が急増していることが分かってまいりました。」と話しています。厚生労働省ではこの、50歳前後の不審死が急増を把握していますでしょうか。
- 大臣:
- 武見前厚生労働大臣がYouTubeにおいて、「介護離職をする人達が増え、その負担が増している。孤立死・孤独死は高齢者だけの課題ではなく、両親を介護している50歳前後の方々の不審死が急増している」と発信していることについては承知していますが、この内容について、私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、お尋ねがあった「不審死」といった死亡数については、厚生労働省の人口動態統計においては、把握していません。
- 記者:
- では、一般論でお伺いしますが、介護で苦しむ方々が不審死をしているという、そういう情報は、厚生労働省はあるのでしょうか。私はちょっと、よく分からないのですが。その武見さんがおっしゃった、介護が大変で不審死が増えているという、50代ですね、親の介護が大変で介護している年齢の方々が不審死をしているという、こういった情報はあるのでしょうか。
- 大臣:
- こちらについても、武見さんがどのような真意でこの言葉を発していらっしゃるか、定かではないため、その内容についてはコメントを差し控えさせていただきますが、私どもとしては、両親を介護していらっしゃる方々の不審死が増えているという情報は、持ち合わせていません。
- 記者:
- アメリカの関税措置の関係で伺います。昨夜遅くに、アメリカのトランプ大統領が、来月1日から25%の関税を課すと発表しました。現時点での厚生労働分野への影響や、今後の国内企業などへの対応について、今の時点でのお考え、見解、所感があれば、伺えればと思います。
- 大臣:
- 相互関税に関して、米国政府から日本国政府宛ての書簡が公表されたことについては承知しています。ご承知のとおり、政府において、本日、閣議前に、米国関税措置に関する総合対策本部を開催し、総理からも各省庁に対して、適切に対応するように指示があったところです。厚生労働省としては、所管する産業や雇用への影響について、しっかり精査した上で、関係省庁と連携して対応していきたいと考えています。
- 記者:
- 参政党が「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」を参院選公約に掲げ、「胃瘻・点滴・経管栄養等の延命措置は原則行わない」と主張されています。終末期医療に関する厚生労働省のご見解をお伺いします。
- 大臣:
- まず、個々の政党が選挙公約として掲げる事項について、政府の立場からコメントすることは、差し控えさせていただきます。その上で、一般論として申し上げますと、厚生労働省としては、人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が前もって家族等や医療・ケア関係者と繰り返し話し合うプロセスである、いわゆる「人生会議」について、広く国民の理解を促進していくことが重要と認識しています。このため、本人が望む医療・ケアが実現されるように、引き続き、医療・ケアに関する意思決定支援を行うことができる体制の整備や、国民の皆様への普及・啓発に取り組んでまいりたいと思います。また、終末期における点滴等の医療費を全額自己負担にするなどの在り方の変更については、国民の方々の生命倫理に関わる問題として、国民的な議論が必要なものであり、慎重に検討すべきものだと考えています。
(了)