福岡大臣会見概要

(令和7年6月24日(火)10:47~11:00 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
冒頭私から1点ございます。「創薬力向上のための官民協議会」の開催についてです。我が国の創薬力をより強化して、国民の皆様に最新の医薬品を迅速にお届けするため、6月26日、あさってに、首相官邸にて「創薬力向上のための官民協議会」を開催します。本協議会では、創薬エコシステムを構築する様々な関係者の皆様にご参加いただき、創薬エコシステムの強化に資する取組や、官民協議会の今後の進め方について、私を含む関係閣僚と意見交換を行う予定です。可能であれば総理にもご出席いただきたいと考えております。本協議会の開催により、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消と、医薬品産業の強化という国家プロジェクトをより一層強化し、産官学が一丸となって創薬エコシステムの強化に取り組んでまいりたいと思います。

質疑

記者:
物価高対策について伺います。物価高対策は参院選でも主要な争点となるかと思いますが、医療機関や介護施設などからも資金繰りの悪化の声が聞かれています。医療・介護分野の公定価格の引き上げなど、今後、厚生労働省としてはどのように物価高対策を進めていくのかお考えをお聞かせください。また、足元の実質賃金がマイナスで推移している中、最低賃金の引き上げを含めて、物価上昇を上回る賃上げに向けた対応についてもお聞かせください。
大臣:
医療機関や介護施設等の経営状況は、物価高騰等により大変厳しい状況に直面していると認識しています。資金繰りが悪化することで、必要な医療や介護サービスが継続できなくなるような事態は避けなければならないと考えています。先日、6月13日に閣議決定された骨太の方針2025においても、医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある、また、次期報酬改定を始めとした必要な対応策について、2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や、昨今の物価上昇による影響等を踏まえながら、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う、社会保障関係費について、高齢化による増加分に相当する伸びに、こうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する、とされたところであり、こうした取り組みを進めてまいりたいと思います。賃上げに向けた対応については、最低賃金の引上げを含め、物価上昇を安定的に上回る賃上げの実現を図ることは大変重要であると認識しています。労働市場全体の賃上げを支援する「賃上げ支援助成金パッケージ」などにより中小企業等が賃上げしやすい環境整備に努めるほか、医療・介護・福祉等の分野における省力化投資促進プランの実行に取り組むなど、必要な支援を引き続き行ってまいりたいと思います。厚生労働省としては、骨太の方針2025も踏まえ、今般講じている施策の効果を把握しながら、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行ってまいりたいと考えています。
記者:
昨日、全世代型社会保障構築会議で改革工程の検討状況が報告されました。改革工程では、先日骨太の方針に記載されたOTC類似薬の保険給付のあり方の見直しなどを含め、社会保障費の削減効果が見込まれる一方で、国民の家計の負担に置き換わると考えられる検討事項も挙げられています。こうしたものについても、今後、示された時期までに検討が進むものと思いますが、具体的にどのようなタイミングで議論を進めていくのか、また、その際、国民の理解を得るためにどのようなプロセスが必要だと考えられているか、お考えをお聞かせ下さい。
大臣
改革工程に掲げられた取組のうち、今例示されました、OTC類似薬の保険給付の在り方について申し上げると、骨太の方針において、2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026年度から実行することとされ、また、医療機関における必要な受診を確保し、子どもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ検討していくとされており、医療の質やアクセスの確保、患者の利便性に配慮しつつ、医療保険制度の持続可能性の確保を目指すことを基本としながら、丁寧に議論を進めていきたいと考えています。また、その他の改革項目についても、能力に応じて全世代が支え合う「全世代型社会保障」を構築し、社会保障制度の持続可能性を高める観点から、検討を進めてまいりたいと思います。
記者:
今日からiPhoneにスマホ用電子証明書が搭載されるとの報道を受けて、マイナ保険証として受診時に、すぐに利用できるとの誤解が生じることを懸念しています。読み取りに一部機種しか対応していないことや、今後予定される実証実験を踏まえて導入されるというスケジュールも含めて、周知が不足していると考えますがいかがでしょうか。また、スマホ読み取りのためのカードリーダーが、顔認証付きカードリ-ダーとは別に必要とされていますが、医療機関への周知や、医療機関の設置は義務ではないということなどについて、どのように考えられているかについて、医療機関についても周知すべきではないかと考えていますが、いかがでしょうか。
大臣:
スマートフォンへのマイナ保険証の搭載については、本日、iPhoneへのマイナンバーカード機能の搭載が開始されることを踏まえ、Androidも含めて、本年7月から一部の医療機関等において実証事業を実施していくとしているところです。この実証事業において窓口で円滑に資格確認ができるか検証を行った後に、9月頃より環境が整った医療機関等から順次、スマートフォンに搭載されたマイナ保険証の利用を開始することを想定しています。医療機関等の対応については、環境が整った医療機関等からスマートフォンに搭載されたマイナ保険証の利用を開始するものであり、この段階で全ての医療機関等で対応を一律に義務付けるものではありません。いずれにしましても、スマートフォンでマイナ保険証を利用する上での周知も含め、国民の皆様が広く利用できる環境の整備に取り組んでまいりたいと思います。
記者:
スマホのみを用いて、物理的にマイナカードを持ち歩かなくなることによるトラブルを一番懸念しておりますので、今すぐにではないにしても、9月以降、是非、そういう国民に対しての周知も含めて、医療機関とともにお願いしたいと思っております。
記者:
冒頭、官民協議会のお話がありましたが、改めて大臣から官民協議会に対する期待をお願いします。
大臣:
先ほど申し上げたように、日本が抱える様々な製薬に関する課題、例えば、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスへの解消や、医薬品産業の強化といった観点から設けるものです。官民が積極的に対話して、意見交換や意思疎通を図ることによって、環境整備により資するものとなるようにしていきたいと考えています。
記者:
今回、初会合になると思いますけれども、それに対する意気込みや思いなどがあったらお聞かせいただいても良いですか。
大臣:
先ほども申し上げましたように、様々な関係者が一同に会して、今後話し合いをしていくということです。今後様々な課題の解消に資する協議体になるように、私たちとしてもしっかり取り組んでまいりたいと考えています。
記者:
新型コロナワクチンに関して2点伺います。1点目、前回6月20日の大臣会見において、スパイクタンパク質が700日以上残存していたというアメリカ・イェール大学の論文に関連して質問しましたところ、福岡大臣は、査読前であり論文として正式な扱いではない旨の答弁をされました。しかしながら、スパイクタンパク質の長期残存を確認できる、査読済み論文も存在します。国内の例で申し上げますと、高知大学の佐野教授らの、皮膚から1年以上経過してもスパイクタンパク質が出てきたという論文、あるいは札幌禎心会病院の約1年以上経過しても脳動脈から検出されたとう論文などです。こうした事例などもあることも踏まえまして、スパイクタンパク質の長期残存について、改めて厚生労働省の見解を教えていただけますでしょうか。2点目は、4月10日に、厚生労働省は自己負担額を抑えるための地方自治体へのコロナワクチンの助成金を今年度から取りやめる通知を出したとのことですが、この政策転換した理由について聞かせていただけますでしょうか。
大臣:
ご指摘の論文については、2つ具体的にお示しいただきましたが、今後、専門家の意見を伺った上で検討することにしています。続いて、ワクチンの件ですが、新型コロナワクチン定期接種の自治体助成事業については、令和6年度は、特例臨時接種から定期接種に移行することに伴い、引き続き、接種を希望する方が安心して接種をできるようにするための激変緩和措置として実施したものです。令和7年度については、令和6年度の接種状況や感染状況等を踏まえ、季節性インフルエンザ等、他のB類疾病の定期接種と同様に低所得者に対する接種費用相当としての地方財政措置を講じた上で、助成事業は実施しないこととしたところです。
記者:
1問目に関して、前回の記者会見では、福岡大臣はスパイクタンパク質の残存に関する報告はなされていないとおっしゃいました。査読前論文、年数のたっているものもあるんですけれども、残存しているという、これは薬機法に基づいて報告されるものと大臣前回おっしゃいましたけれども、査読済み論文があるにもかかわらず報告されていなかったのが現状であるという理解でよろしいのでしょうか。
大臣:
前回の議事録をもう1回読み起こしてみないと分かりませんが、報告をされていないと申し上げたかどうかについて、私は確たる記憶が。
記者:
報告はなされておりませんとおっしゃいました。
大臣:
そこについては一応事実関係を確認します。いずれにしても、先ほどおっしゃったように、2つの論文はあるということで、それは、今後専門家のご意見を伺った上で検討するということにしています。
記者:
あくまで2例挙げましたけれども、世界中にたくさん、長期残存の論文がありますので、是非最新の知見を取り入れていただきたいと思います。

(了)