福岡大臣会見概要

(令和7年6月20日(金)8:59~9:13 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にございません。

質疑

記者:
今日で、通常国会が事実上の閉会となります。今国会では、高額療養費の上限引き上げ見送りや、年金制度改革関連法の成立など、厚生労働分野での施策も論戦の中心となりましたが、閉会に際しての所感をお聞かせください。一方で、医師の偏在対策などを盛り込んだ医療法等の改正法案は国会に提出されましたが、成立には至らず、次期国会以降で議論されることになりました。これによる政策の施行への影響、それから、今後の対応についてお聞かせください。
大臣:
この国会においては、医療保険制度や年金法案の審議など、厚生労働行政に関する様々な課題について熱心にご議論をいただきました。今国会でのご議論を通じて、国民の生活を生涯にわたって支える厚生労働行政の重みを改めて感じるとともに、引き続き、全世代型社会保障の構築をはじめ、様々な課題に全力で取り組んでいきたいと考えています。ご指摘のありました、この国会に厚生労働省から提出した6つの法案のうち、医療法案については、この国会での成立が厳しい状況となったわけでございます。その影響については、現時点で予断をもってお答えすることは難しいですが、厚生労働省としては、今後とも、法案の意義や内容について丁寧に説明を行い、国会のお求めに応じて適切に対応したいと考えています。
記者:
先回の記者会見で、新型コロナウイルス感染症対策分科会元会長の尾身茂氏が民放番組に出演した際の発言について、コメントを求めましたが、その関連でもう1つお尋ねします。尾身氏は8日の民放番組に出演した際、「若い人は感染しても重症化しないし、副反応にも比較的強いから。これについては、本人たちがやられたいんならどうぞ」とも発言されています。新型コロナ対策を審議する内閣官房の諮問機関が、若者の接種は不要と言っているのに、なぜ生後6カ月以上の乳幼児を含む子供や若者まで、努力義務が課される特例臨時接種の対象としたのでしょうか。教えてください。
大臣
前回も申し上げましたが、尾見先生の発言についてのコメントは、差し控えさせていただきます。その上で、新型コロナワクチンの若年者への接種については、重症化のリスクや、ワクチンの効果の持続期間に関する知見を踏まえ、審議会で議論を行い、その時点での最新の知見を踏まえ、接種対象の見直しが行われてきたものと認識しています。お尋ねの、生後6ヶ月以上の乳幼児については、令和4年10月の審議会において、この時点の知見として、小児におけるコロナ感染による重症例や死亡例の割合は低いものの、感染者数の増加に伴い重症者数は増加傾向にあることや、基礎疾患がない乳幼児でも死亡する例があること、薬事審査において、オミクロン株流行下でのワクチン接種による発症予防効果などが確認されたこと、などの知見を踏まえてご議論いただき、乳幼児を特例臨時接種の対象とし、接種勧奨等の公的関与の規定を適用してきたものです。なお、乳幼児への公的関与については、令和5年8月の審議会において改めて議論し、オミクロン株流行期の状況として、令和5年度以降の接種は重症化予防を目的としていることや、高齢者以外の者では重症化率は低いことを踏まえ、令和5年9月20日以降は公的関与の対象から外しています。今後とも、科学的知見に基づき、有効性・安全性評価を行うとともに、接種の判断に必要な情報発信に努め、ワクチン接種を希望される方が接種しやすい環境整備に努めていきたいと考えています。
記者:
関連で確認をお伺いしたいのですが、そうしますと、当時の知見が乏しかったために、本来必要でない若者への接種を、特例臨時接種の対象としてしまったと解釈してよろしいでしょうか。
大臣:
当時の知見が乏しかったというよりも、その時々で当然コロナ株も変異していますし、その時々で得られている知見に応じて、必要な対応を行ってきたという意味で申し上げました。
記者:
当時の判断は間違いではなかったと思われている、ということでよろしいでしょうか。
大臣:
当時得られている知見に基づいて判断したということです。
記者:
ただし、今は否定されているわけですよね。若者は重症化しにくい、治療しにくい、ということは今はっきりしているわけですから、今から振り返れば、妥当とはいえない、という判断でよろしいでしょうか。
大臣:
否定はしておりません。繰り返しになりますが、その時々の知見で必要な対応を行ってきたということです。
記者:
確認ですが、現時点では、若者への接種は必ずしも必要でないというのは、厚生労働省の見解という理解でよろしいでしょうか。
大臣:
先ほども申し上げたように、現時点においては、公的関与の対象からは外しているということです。
記者:
必ずしも必要でないと理解してよろしいでしょうか。
大臣:
必ずしも必要でないということを、どのような意味でおっしゃっているのか、よく理解できません。当然、今、若年者の方で自ら任意で接種を希望される方については、任意接種も当然できる環境にあるので、そういった環境について否定しているという言い方が、どういう意味でおっしゃっているのか理解できませんが、いずれにしても、その時々の知見に応じて、必要な対応を行ってきているということです。
記者:
現時点で、推奨しているのでしょうか、していないのでしょうか。現時点で、若者に対しては。
大臣:
何度も申し上げておりますが、公的関与の対象から今は外しているということです。
記者:
推奨していないと理解してよろしいでしょうか。
大臣:
していないということです。
記者:
骨太の方針2025と自民・公明・維新の3党合意の関係性に関わる質問を1点させていただきます。骨太の方針2025では、3党合意の文書について、39ページで注釈に触れられています。詳細は3党合意参照という記載になっています。OTC類似薬の保険外しや、2年間での11万の病床削減、医療DX、電子カルテの5年以内での100%などの、骨太の方針の改革で合意された内容を踏まえて、今後検討されると理解してよいか、その関係性や位置づけについて、現時点でのお考えをお聞かせください。
大臣:
ご指摘のありました、本年6月11日の自由民主党、公明党、日本維新の会の合意に基づき、骨太の方針2025に盛り込まれた内容については、3党の合意の内容も踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと思います。この合意においては「3党が引き続き、本協議体における社会保障改革に関する真摯な協議を継続する」とされており、今後の進め方については、この合意を含めて3党の協議体で決められていくものと承知しています。
記者:
政府としては年末の予算編成までに検討し、可能なものはという前提で配慮しながら、可能なものは2026年4月からと、前回お聞きしましたが、その議論とは並行して3党協議が行われて、より重みのある、配慮しつつも3党協議が色濃く反映される可能性が捨てきれないと、気にはしていますので、医療保険部会等での議論と、3党協議はどれくらい影響を受けるのか分かれば教えてください。
大臣:
いずれにしても、現時点で、この文言をもって方向性が定まっているものではありません。当然、政府としては、これまでどおり、様々な審議会を通して議論を進めていきます。それとは別に、この3党協議は、引き続き、協議をされるということですので、その中で検討がそれぞれ進められていくものであると承知しています。
記者:
昨日6月19日発売の週刊文春において、新型コロナワクチン後遺症患者にスパイクタンパク質が長期にわたり検出されているというイェール大学の研究が紹介されており、そこには、厚生労働省の見解として「mRNAワクチン接種後のスパイクタンパク質については、薬事承認において提出された試験データから、時間の経過とともに消失するものと承知しております。」と書かれています。国内でコロナワクチン接種が始まり4年以上が経過していますが、当初の薬事承認のデータ以外で、スパイクタンパク質の残存について、現時点で、どのような知見が厚生労働省として得られているのか教えていただけますでしょうか。
大臣:
毎回申し上げていますが、mRNAワクチンについては、副反応疑い報告を全例評価しているほか、製造販売業者が把握した、ワクチンの使用により重大な疾病、障害、死亡が発生する可能性があること等を示す研究報告や、関連する研究班からの報告等により、安全性に関する情報の収集を行っているところです。これまでのところ、こうした副反応疑い報告や研究報告等において、mRNAワクチン接種後のスパイクタンパク質の残存に関する報告はなされておりません。なお、ご指摘の記事については、私も読ませていただきましたが、記事にも記載があるとおり、論文の査読前の状況であると承知しています。引き続き、科学的知見を収集しながら、新たな知見が得られた場合には、速やかに情報提供を行いたいと考えています。
記者:
査読前ということですが、後遺症患者の3割を超えていたと思うんですけれども、3割を超えた方から、スパイクタンパク質が出ているということは、間違いないのだろうと思います。そうすると、時間とともに消失するという厚生労働省の表現、あるいは、河野ワクチン担当大臣が当時、「長期的な安全性が分からない、というのはデマだ」として、スパイクタンパク質は約2週間以内でほとんどなくなると発信しています。週刊文春が取り上げている論文では、700日を超えてもスパイクタンパク質が出ている方もいらっしゃったということです。これは明らかに不正確ではないかと思いますが、それでもまだ、スパイクタンパク質がすぐ消えるということを主張されるのでしょうか。
大臣:
先ほど申し上げましたように、今回報道になっているものは、まだ査読前の状況であるということです。仮に、論文として正式な扱いを受けた場合には、薬機法における報告の対象となるわけですから、そういった中で精査されていくものだと承知しています。
記者:
分科会の見解について、分科会は「若者への接種は不要」と当時主張されていたという認識でしょうか。それとも、そういう主張はされていないという認識でしょうか。教えていただけないでしょうか。
大臣:
新型コロナウイルス対策を審議する内閣官房の諮問機関である新型インフルエンザ等対策推進会議が、若者の接種は不要とした事実はありません。
記者:
ということは、尾身さんは嘘の発言を民放番組でされていた、という認識でよろしいでしょうか。
大臣:
尾身先生がどのようなニュアンスで発言されたかということについて、私は承知していませんので、そこについて申し上げることは差し控えさせていただきます。重ねてになりますが、新型インフルエンザ等対策推進会議が若者の接種は不要とした事実はないということです。

(了)