福岡大臣会見概要

(令和7年5月5日(月)16:30~16:40 パラオ共和国コロール島桟橋近辺のホテル前)

広報室

会見の詳細

発言要旨

大臣:
本日、西太平洋戦没者の碑や、昨年確認された集団埋葬地などを訪問しました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場に斃れ、尊い犠牲となられた御英霊に対し、哀悼の誠を捧げるとともに、今日、我々が享受している平和や繁栄は、戦没者の方々の尊い犠牲の上に築かれたものであることを改めて認識し、戦争の惨禍を決して繰り返すことがないよう、平和への誓いを新たにしました。また、パラオ共和国の遺骨収集の担当大臣と会談し、遺骨収集などに対するこれまでの協力に謝意を述べるとともに、集団埋葬地での遺骨収集の加速化に向けた協力を要請しました。担当大臣からは、最大限の協力を行っていく旨の御発言をいただいたところであり、今後、加速化の取組を具体化し、一日も早くご遺骨を祖国にお迎えできるよう、最大限の努力をしてまいりたいと思います。最後に、遺骨収集及び慰霊碑の管理に長年ご協力いただいているパラオ共和国の皆様、本日大変暖かく歓迎していただいた地元の皆様に感謝申し上げます。

質疑

記者:
終戦から80年近くが経ち、昨年、集団埋葬地が発見されたということですが、年々遺骨収集が難しくなる中で、今回の発見をどのように受け止められておられるか、どのように位置付けられているか、お伺いできますでしょうか。
大臣:
おっしゃったように今年は戦後80周年の節目になります。政府はこれまで遺骨収集の集中実施期間を設け実施してきましたが、コロナ等もあり、集中実施期間を延長して取り組むなどの措置を講じてきたところです。一方で、戦後80年ということで、ご遺族の方々もかなり高齢化しているので、なるべく1日でも早く家族の元にご遺骨をお戻しするということは、大変重要な責任だと思っております。そういう観点から、1月の閣僚懇談会で、各府省庁にも海外慰霊碑の訪問を依頼し、総理も4月30日にフィリピン共和国の比島戦没者の碑を訪問されたと聞いております。私としても3月の硫黄島に続きまして、本日、ペリリュー島の西太平洋戦没者の碑において謹んで献花をさせていただいたところです。実際に訪れてみると、まだ当時の激闘の跡があちこちに横たわっていたり、ということがありますから、ここで多くの戦没者の方々の御英霊が眠っていらっしゃるんだなということを感じることができました。多くの戦没者が祖国への帰還を待たれていることだったり、照りつく炎天下のもと、大木の伐採や掘削作業など、遺骨収集のご苦労を大変強く感じたところです。錆び付いた戦車も拝見しましたが、当時の激戦の様子が伺われました。このような苛烈な環境の下で、数多くの同胞が家族を思いながら斃れられ、その多くが未だ帰還を果たされず、この地に眠っていることに思いを致すと、遺骨収集を担当する大臣として可能な限り多くのご遺骨を収集し、1日も早くふるさとにお迎えできるよう全力を尽くすとの決意を新たにしたところです。その上で、メトゥール大臣と会談いたしましたが、本日訪れた集団埋葬地は、遺骨収集推進法に基づく集中実施期間中に米国国立公文書館での資料調査等で得られた情報により確認することができたものです。さきほど申し上げたように、発見以来、着実に成果が上がってきていると承知しています。本日、今なお多くのご遺骨が眠っているであろう集団埋葬地を拝見したところで、今後、遺骨収集を加速化していくことになりますが、遺骨収集は政府の派遣団だけではなく、現地の方々のご理解・ご協力が不可欠でございます。今般、遺骨収集を担当するメトゥール大臣から、令和8年度以降のさらなる派遣期間の増加への対応を含め、最大限の協力を行っていく旨のご発言をいただいたことは大きな成果であると考えております。今回の会談における合意を踏まえ、今後もパラオ共和国政府と緊密に連携し、日本側の体制や予算の充実を含め、集団埋葬地における遺骨収集の加速化を具体化し、進めてまいりたいと思います。
記者:
遺骨収集の事業全体について、ご遺族の高齢化が進んでいる現状も踏まえ、今後の進め方について、どのようにお考えでしょうか。
大臣:
さきほど申し上げたように、ペリリュー島のように、最近の文献によって、ここにご遺骨があるだろうという蓋然性が高い場所については、資源を集中的に集め、なるべく早く遺骨収集の作業が進められるようにしていきたいと思っております。今日のメトゥール大臣との会談におきましても、遺骨収集団とは別に現地の方の立ち会いも必要となることから、人的な体制の要請は、我が国だけでなく相手国に対してもお願いしていかないといけないところはたくさんあると思っています。そういったところについて、今日はパラオでお願いさせていただきましたが、蓋然性の高いところを政府を挙げて取組みを進めていきたいと思います。
記者:
戦後80年が経つわけですが、遺骨を日本に送還することの意味や重要性について、大臣個人としてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
政治活動する中で、遺族会はじめ様々なご遺族とお話させていただく機会がある中で、戦地で斃れられてまだご遺骨が帰還を果たされていないご遺族の思いに触れたときに、なるべく早く多くのご遺骨を家族の方々に戻していくことは、国の責務として非常に重要な任務と思っております。そのような思いを持って、戦後80年も経過して難易度は高まってきていますが、なるべく早くご遺骨を戻せるように、引き続き最大限の努力を重ねていきたいと思っております。

(了)