福岡大臣会見概要
(令和7年3月25日(火)10:10~10:28 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 本日の閣議において、厚生労働省所管の独立行政法人のうち、2法人の理事長の人事について了解されましたので、4月1日付けで任命いたします。詳しくは別途お配りしている資料をご覧いただければと思います。私からは以上です。
質疑
- 記者:
- 医療機関の経営難についてお伺いします。先日、日本医師会と病院団体から、経常利益が赤字となっている病院が61%に増加しているという調査結果が示されました。この調査結果の受け止めと、今後どのように対応していくか、大臣のお考えをお聞かせください。
- 大臣:
- ご指摘の調査結果については承知しており、医療機関の経営状況については、物価高騰や賃金上昇、医療需要の急激な変化など、大変厳しい状況に直面していると認識しています。厚生労働省としては、令和6年度の報酬改定で一定の措置を講じた上で、目下の状況を踏まえ、補正予算において、物価高騰への対応や経営状況の急変に対応する緊急的な支援として約1,300億円の措置を盛り込むとともに、令和7年度予算案では、医療機関の入院時の食費基準の引き上げを行うこととしています。まずは、こうした措置を着実に実施し、必要な支援が行き届くよう取り組むとともに、その効果や、物価等の動向、経営状況など、足下の情勢変化もしっかりと把握した上で、必要な対応を検討してまいりたいと思います。また、資金繰り悪化により医療が継続できなくなる事態は避けなければならないため、今後、福祉医療機構による、資金繰り支援のための融資の特例などの対策も進めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 冒頭発言についてお伺いします。今回のGPIFの新理事長の任命ということですが、内田さんを大臣として任命された理由と、今後、理事長として運営に期待することをあわせてお願いします。
- 大臣:
- 年金積立金管理運用独立行政法人の理事長には、内田和人さんを新任させていただくということですが、内田さんについては、大手金融機関、大手証券会社において、資産運用やマーケットに関する業務に長く携わっておられ、専門的知識、経験を十分に有し、また、これらの金融機関、証券会社において役員や会長を歴任されるとともに、公的な法人においても、役員としてのマネージメントの経験も有されており、組織運営に関する豊富な知識や経験も有していることなど総合的に勘案し、GPIFの理事長として適任であると判断させていただいたものです。
- 記者:
- 今後期待することもあわせてお願いします。
- 大臣:
- GPIFは日本の公的年金の一翼を担う、運用資産約260兆円の世界最大の年金基金であり、内田氏におかれてはその能力を遺憾なく発揮していただき、GPIFの経営委員の皆様と協力して年金積立金の管理運用を適切に行っていただきたいと考えています。
- 記者:
- 高額療養費についてお伺いします。先日の閣議で決定された山井議員に対する答弁書ですが、こちらで様々なデータに基づき有識者で議論したと繰り返されていますが、そこに患者家族の経営状況、様々なパターンの困難に対するデータはなく、今後の家計調査をするのかという質問に対しても、どういったかたちで患者の声を聞くか今後検討するという答えでした。そこで気になるのは、聞いた患者さんの声をどのように理解し、政策に反映するのかというところが気になります。つまり、死にそうだとこちらは訴えているのに、大したことないと理解されたら話を聞いていただいたことになりませんので、そこで2点質問したいのですが、1点目の質問、先日水戸部ゆうこさん、がん患者の当事者の方ですが、オンライン署名と5万筆の署名とコメントを鹿沼保険局長に提出しました。保団連のオンライン署名15万筆と、こどもを持つがん患者さんを対象にしたアンケート結果も報告しています。これについて、大臣自身はどのような報告を受けたのか、石破首相にはどのように報告をしているのかということを1点目。また、患者さんが求めているのはやはり白紙撤回なわけです。アンケートでもそうだったように。再検討した結果がどのようになるのかということが大変気になっています。そこで山井議員の質問にも繋がりますが、答弁では、現時点では予断を持って答えることができず、方向性や可能性についても、患者さんの声を聞くということ以上のことは言えないとおっしゃっていますが、つまり現段階では白紙撤回はするつもりはなく、参議院選挙前に方向性を示すこともなく、そして選挙後、秋までに方針の決定をするつもりだという理解でよろしいでしょうか。
- 大臣:
- まず、冒頭の発言の中で、大したことないとこちらが思っているような言い方をされましたが、これまでも患者様の発言には真摯に向き合ってきて、そこにしっかり向き合ってきたということですので、そういった認識は全くないということを申し上げさせていただきたいと思います。その上で、頂いた署名の内容については、事務方から私も報告を受けており、患者の皆様からの見直しに対する不安の声は真摯に受け止めさせていただいているところです。高額療養費の見直しについては、検討プロセスに丁寧さを欠いたというご指摘を真摯に受け止め、見直し全体について実施を見合わせることとしましたが、高額な薬剤の登場などにより、その総額が医療費全体の倍のスピードで伸びていく中で、現役世代を中心とした保険料負担の抑制や制度の持続可能性の確保の観点から提案したものであり、これらの必要性自体が変わるものではないと認識しています。 秋までとしている今後の検討にあたっては、患者の方々のお話を引き続きよくお伺いしながら、できる限りご理解をいただけるよう、最善を尽くしてまいりたいと思っています。いずれにしても、今後の方向性等については、まさに患者様のご意見も伺いながら、審議会等でご議論いただいて、方向性を見いだしていくということです。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの健康被害救済制度に基づく審査結果についてお尋ねします。これまで1万3,000件余りの申請があり、95%近くが審査を終えました。昨日までに9,015件が接種による健康被害と認定されています。私がデータを集計したところ、30代以下に限っても、被害認定されたものは2,300件以上、このうち死亡事案の認定は10代で10人、20代で28人、30代で30人が認定されています。全年齢では998人となっています。心筋炎・心膜炎で被害認定された方は約500件あり、その3分の2が20代以下の男性に集中しています。これは2021年の初回接種の時に出ていた、若い男性に心筋炎の発症が異常に多いとのシグナルと符合する結果になっていることがわかっています。そこで質問ですが、こうした救済制度の審査結果は、厚生科学審議会・副反応部会といった専門家会議では、今まで一度も共有されたことはないと思いますが、厚労省の内部で何らか、審査結果について分析や検証は行われているのかどうか、教えていただけますでしょうか。また、もう1点ですが、大臣はこうした健康被害の認定者に対しては、金銭補償がなされれば十分目的が達せられるとお考えでしょうか、それとも今後、結果を踏まえて何らか検証の必要性は感じていますでしょうか。
- 大臣:
- 新型コロナワクチンの安全性については、医師等に報告義務が課される副反応疑い報告制度等に基づき評価を行っており、審議会で安全性に係る審議を行っているところです。一方、健康被害救済制度と副反応疑い報告制度では制度目的や報告主体が異なっており、救済制度において認定されたことをもって、ただちに安全性の評価を行うことは適切ではないと考えています。なお、ご指摘の心筋炎・心膜炎については、審議会での検討を受け、令和3年7月7日にはワクチンの添付文書を改訂し、健康被害救済制度における認定の前から心筋炎及び心膜炎に関する注意喚起を行うよう指示したところです。さらに、副反応疑い報告制度の趣旨に鑑み、健康被害救済制度に申請があった事例については、必要に応じて副反応疑い報告を促し、適切な安全性評価を行うことは重要であると考えており、令和5年10月27日付けで事務連絡を発出し、健康被害救済制度に申請された方について、副反応疑い報告がなされているかどうかを確認し、報告のない場合、当該健康被害を診断した医師等に対し、必要に応じて、副反応疑い報告の提出を促していただくよう、各市町村に依頼を行っているところです。金銭面の補償以外のことについてのご指摘もございました。予防接種の副反応を疑う症状については、各都道府県において、相談窓口の設置や専門的な医療機関を円滑に受診できる体制の確保をお願いしており、今後も、健康被害を受けた方に寄り添った対応を行ってまいりたいと考えています。
- 記者:
- 私の質問は、副反応疑い報告制度がどうなっているかということではなく、健康被害救済制度でこれだけの被害認定がなされているということについての、これをどのように受け止めているのか、あるいは、これは救済制度だから金銭補償をするということが目的ですが、それをすればお終いということで、今後検証等をしないのかどうかということをお尋ねしたつもりです。大臣は着任前、長らく薬害再発防止の議員連盟の、確か事務局次長もやっていらっしゃったと思います。その際に、薬害防止の第三者機関が必要であるということで活動されていたと承知していますが、大臣の今のお立場もあると思いますが、これだけの健康被害の認定結果が出ているということについて、今後何らかの検証の必要性をお感じになるかどうかということについてもう一度教えてください。
- 大臣:
- 先ほど申し上げましたように、副反応疑い報告制度と健康被害救済制度、別制度でございますが、健康被害救済制度に申請があった事例について、副反応疑い報告の方にも医師の判断で報告いただくようにということで、各市町村に依頼しているところであり、そうした意味においては両方のところから案件が把握できる、そうした仕組みになっていると承知しています。しっかりそういった現場の医師の方々等の報告を通じ、副反応疑い報告制度、そちらでしっかり安全性やそういったものについて、確認を引き続き続けていくということだと認識しています。
- 記者:
- 副反応疑い報告制度というものは、私が承知している限りでは、接種を続けるかどうか、安全性を評価するための制度だと思います。そのためにモニタリング、集合的なモニタリングをされているわけですが、これまでの過去の接種でこれだけ結果が出ているということについて検証するための制度ではないと思います。副反応疑い報告制度はあくまで、今後これからも接種を続けますかということを判断するかどうかの、そのための制度だと認識しています。そうではなく、こういった3、4年間に渡る接種の結果、こういった結果になっていると、そして心筋炎・心膜炎でも亡くなっている方もいらっしゃいます。そうしたことも含めた検証というものは、これは副反応疑い報告制度でできるのですか。それは制度目的として、副反応疑い報告制度ではそもそもそういったことをする役割がないと思うのですが。検証ということはできないと思うのですが。
- 大臣:
- 役割については事務方の方に確認させていただいて、報告させていただきます。引き続き安全性を確保した上で接種し続けることが可能かどうかということの判断をしていただく上においては、過去の様々な症例においての安全性の確認というものは当然前提になっていると認識しています。
- 記者:
- 新型コロナワクチン副反応疑い報告の評価不能について伺います。3月7日の大臣会見において、死亡報告、今2,263件ありますが、99.4%にあたる2,250件が評価不能という状況にあり、福岡大臣はそれに関して「数自体が問題ではなく、しっかりその後フォローアップし、精査が必要なものについては精査をしていく」とおっしゃいました。評価不能の2,250件は、すべてフォローアップ、精査が必要なのではないでしょうか。もし違うのであれば、精査が必要な死亡報告と、精査が必要でない死亡報告が存在しているということになりますが、何を基準にどのように分けているのか、またそれぞれの、精査が必要な死亡報告とそうでない死亡報告の件数は今、把握されているのか、教えていただけますか。
- 大臣:
- 報告された副反応疑い報告のうち、死亡症例等については、専門家により報告された情報を1例ごとに精査し、因果関係評価を実施しています。ご指摘の「評価不能の2,250件」については、このように1例ごとに精査した上で、なお「情報不足等により因果関係が評価できない」と評価されたものです。評価ができないとされた事例については、1つは、評価時点で得られた情報が不足しており、死因と考えられる事象の判断や、事象とワクチンとの因果関係の判断が困難なもの、もう1つは、これ以上情報を収集しても、偶発的に起こったものか、合併症によるものか、併用薬によるものかなどの区別が困難なもの、この2つに大別できると考えています。このため、特に1点目については、製造販売業者が自ら追加の情報収集を行うとともに、必要に応じてPMDAからも追加の調査を依頼するなど、さらに追加情報を収集し、その状況によって再度評価を行わせていただいているものです。いずれにしても、引き続き、科学的知見の収集に努め、専門家に評価いただき、ワクチンの安全性の評価を適切に行うとともに、新たな知見が得られた場合には速やかに医療機関に情報提供を行ってまいりたいと考えています。
- 記者:
- 今、数字をお持ちでしたら、評価のための追加情報が必要なものが2,250のうちどのくらいかということを、もしお持ちであれば、いかがでしょうか。
- 大臣:
- 手元にその数字はございませんので確認させてください。
(了)