福岡大臣会見概要
(令和7年3月7日(金)9:20~9:35 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にございません。
質疑
- 記者:
- 高額療養費制度の見直しに関連して2点お伺いします。1点目ですが、石破総理が先の予算委員会で、患者団体と面会する考えを明らかにされました。団体側は来週中の面会を要望していますが、実現のめどについて教えてください。続いて2点目ですが、予算委では与党の委員からも、見直しに対する国民の理解が得られていないという趣旨の指摘が相次ぎました。厚労省としてこの指摘にどう対応するお考えですか。
- 大臣:
- 一昨日の予算委員会において、総理が、患者団体からアンケートを受け取ると答弁されたところですが、具体的な日程等については現時点で決まっていません。高額療養費については、その総額が医療費全体の倍のスピードで伸びており、この制度の持続可能性の維持と現役世代を中心とした保険料負担抑制の観点から、見直しは必要だと考えています。国会での審議等を踏まえ、当初案を変更し、多数回該当の金額を据え置き、長期療養の方の経済的負担に極力配慮することとしたところです。その上で、令和8年度以降に実施する所得区分の細分化については、一旦立ち止まり、患者団体の皆様方等のご意見を十分に承った上で、本年秋までに、増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、改めて方針を検討し、決定することとしています。高額療養費制度を次の世代にも持続可能なものとするという今回の見直しの趣旨や内容について、丁寧に説明を尽くしていきたいと考えています。
- 記者:
- 年金制度改革法案についてお伺いします。今国会では重要広範の法案に指定されていますが、与党内には提出に対して慎重な意見もあり、現在法案審査が遅れているほか、来週14日に迫っている予算非関連法案の提出期限に間に合わないという見方も出ています。こうした状況への受け止め、改めて今回の法案の意義、そして法案提出に向けて、今後厚労省としてどのように調整を進めていく考えかお聞かせください。
- 大臣:
- 次期年金制度改正については、様々な見解があることは承知していますが、5年に1度行われる財政検証の結果を踏まえ、被用者保険の適用拡大など働き方に中立的な制度の構築、また、高齢期の所得保障・再分配機能の強化といった観点から、今国会への法案提出に向けて検討、及び今、各種調整を進めているところです。政府として法案を提出するに当たっては、各方面に幅広くご理解をいただくことが必要であることから、引き続き丁寧な説明と努力を重ねてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 高額療養費の受診抑制についてお伺いします。多数回該当のみ据え置く政府案でも1,950億円の受診抑制を見込んでいますが、限度額引き上げにより治療中断に追い込まれたがん患者が死亡した場合、誰が責任を取るのか。あと2点、受診抑制の事後検証について行うとされていますが、制度利用者の収入減少や医療費の支出、受診抑制を含むデータを厚労省は保有していますか。最後、2月27日の予算委員会審議で、立憲民主党の柚木道義議員から「受診抑制で患者が亡くなった場合に責任取れるのか」と質問されましたが、仁木博文厚労副大臣は「責任は取れない」と答弁されました。大臣も同じお考えですか。以上3点です。
- 大臣:
- 高額療養費の見直しにあたっては、平均的な所得を下回る方については、自己負担上限額の引上げ率を抑制するとともに、長期にわたって治療を継続される方々の不安の声を踏まえ、高額療養費に年に4回以上該当する方の自己負担限度額を据え置くこととしており、受診抑制が極力生じないよう配慮しています。加えて、令和8年度以降に実施する所得区分の細分化については、一旦立ち止まり、患者団体等のご意見を十分に承った上で、本年秋までに、増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、改めて方針を検討し、決定することとしており、我々としては、引き続き、見直しの必要性について、丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えています。なお、今回の見直しが家計や受療行動に与える影響については、今後、データ収集の方策を検討していく必要があると考えており、統計上の制約もある中でどのような対応が考えられるか、よく研究していきたいと考えています。
- 記者:
- データを保有しているかどうか、YESかNOかでお答えくださいということと、責任問題については、責任は取れないと副大臣が発言されていますが、それについてコメントをお願いします。受診抑制を、事後的にも事前的にも検証するデータがないと、昨日要請で担当課長が答えられています。データがないのにどうやって受診抑制が起こるか起こらないか、制度の改悪によって受診抑制を起こさせないためにどうしたらいいか、もしくは、制度を改正した後、受診抑制が起こったかどうかの検証ができないです、今、データがないので。ないものをどうやってやるのかと聞いています。
- 大臣:
- データの収集の方法を、今後検討していく必要があると考えており、どのような対応が考えられるか、よく研究していきたいということです。そして、先ほども申し上げましたように、受診抑制が極力生じないように配慮すること、また、高額療養費という日本が誇るべきセーフティネット機能を将来にわたって守っていくということ、この両方が私の責務であると考えています。
- 記者:
- 生活保護の関連で伺います。厚労省の発表で、2024年の生活保護の申請件数が速報値ベースで25万5,897件となり、比較可能な2013年以降で過去最多、5年連続で増加となりました。新型コロナウイルス禍以降の物価高や、単身世帯の増加が影響したと考えられますが、大臣の受け止めと、生活困窮者への支援策をお聞かせください。
- 大臣:
- 生活保護の申請件数は2020年以降増加しており、その背景としては、生活保護の適用が世帯単位で行われる制度となっている中で、単身世帯の増加によって社会全体の世帯数自体が増加傾向にあることなどが考えられます。なお、2024年の申請件数の増加は対前年比0.3%プラスとわずかであり、物価高の影響については明確ではないと考えています。また生活保護の受給者数については、2015年以降、減少傾向で推移しています。生活困窮者の方々への支援については、政府全体で物価高対策に取り組んでいるほか、生活困窮者自立支援制度においては、課題がより複雑化・深刻化する前に就労や家計改善、住まい等の自立に向けた支援を実施し、生活保護が必要な場合には福祉事務所に繋げているところです。生活保護制度は最後のセーフティネットであることから、保護を必要とする方に、確実かつ速やかに保護を利用していただくことが必要と考えており、今後とも、自治体と連携を図りながら、生活保護行政の適正な実施に努めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- マイナ保険証を持たない人への資格確認書の交付について、加入者からの申請を求めている保険者があるとの一部報道がありました。厚労省としてもこの事実を把握しているでしょうか。また、報道で指摘のあった企業の保険組合以外でも、本来職権で行うべき資格確認書の発行に申請を必要としている保険者があるのか、把握されている状況があれば教えてください。
- 大臣:
- 厚生労働省としては、医療保険者に対し、マイナ保険証をお持ちでない方には、申請によらず資格確認書を交付するよう依頼しています。ご指摘の報道を受けて事実関係を確認したところ、報道の健康保険組合においては、新規加入者に対して、申請によらず、有効期間が3か月の資格確認書を職権交付した上で、その有効期間の間に、マイナ保険証を保有していない方に取得を促すこととし、それでもなおマイナ保険証を選択しない意向が確認された方に対しては、申請に基づき資格確認書を交付する方針とのことであり、新規加入者には、まずは職権交付した上で、マイナ保険証の活用を促すという取組を進めているとのことでした。また、厚生労働省において、現段階では同様の事例は他に把握していません。いずれにせよ、厚生労働省としては、マイナ保険証をお持ちでない方にも、これまで通りの医療が受けられることが重要であると考えており、引き続き、医療保険者ともその認識を共有し適切に働きかけていきたいと考えています。
- 記者:
- 予防接種健康被害救済制度についてお尋ねします。厚生労働省のホームページでは、この制度が始まった1977年以降の、健康被害の認定者数の累計値が公表されています。以前は、ほぼ毎年データが更新されていたようなのですが、新型コロナワクチンの接種が始まった2021年のデータを最後に、更新されなくなっています。こちらを更新しなくなった理由を教えてください。また、現在更新されていませんが、2024年末時点での全てのワクチン、予防接種の被害認定の総数、できれば給付の種類別の認定件数についても教えてください。
- 大臣:
- ご指摘の通り、令和3年末までの累計の認定者数については、厚生労働省のホームページにおいて公表し、随時更新してきたところです。令和4年以降は、請求件数が増大し、複数の請求区分で請求があった場合の整理など、公表方法を事務方が今、検討しており、精査が完了次第、改めて公表したいと考えています。それまでの間は、ややご不便をおかけしますが、お尋ねの件数も含め、別にホームページで公開している審査会ごとの認定件数や、認否の情報を確認していただきたいと考えています。いずれにしても、改めてしっかり精査し、こちらとしても対応していきたいと考えています。
- 記者:
- 精査をした上で、近いうち、そう遠くないうちには公表されるお考えがあるとお聞きしてよろしいでしょうか。
- 大臣:
- 精査の上で、なるべく早めに公表できるよう、対応を検討したいと考えています。
- 記者:
- 新型コロナワクチン接種後の死亡事例の再調査の状況について2点伺います。2月27日の衆議院予算委員会において、原口一博議員の質問の中で、レプリコンワクチン接種後の死亡報告3名のうち、2名の死亡日が不明であることの指摘がありました。福岡大臣は「調査をしないということではなく、引き続き調査を続ける」旨の答弁をされました。その後2名の死亡日はわかったのでしょうか。関連して、副反応疑い報告では、新型コロナワクチン接種後の死亡報告が2,263件あり、そのうち99.4%にあたる2,250件が「情報不足等によりワクチンと因果関係が評価できない」となっています。ここまで評価不能が多いと、そもそも不足している情報を集めて、再評価するよう努めているのか疑問に思えてしまうのですが、2,263件の死亡報告のうち、これまで再調査などをした結果、因果関係の評価が変更された例は何件あったのか、教えていただけますか。
- 大臣:
- レプリコンワクチン接種後の死亡例のうち、死亡日が不明の2例については、製造販売業者が引き続き調査を継続しているものと承知しており、現時点で死亡日については把握していません。また、お尋ねの「情報不足等により因果関係が評価できない」死亡例については、初回報告以降、PMDAに対して追加報告がなされた症例について、再度評価が行われているところです。追加報告された件数については、PMDAに対して確認を求めているものの、現時点では把握していませんが、追加の情報の報告があっても、偶発的に起こったもの、合併症によるもの、併用薬によるものなど、判断が困難な事例も多く存在する状況であるとのことです。こうした状況ではありますが、3月6日時点で、因果関係の評価が変更された事例については、「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」から「ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの」への変更の2件となっています。いずれにしても、引き続き科学的知見の収集に努め、専門家に評価いただき、ワクチンの安全性の評価を適切に行うとともに、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関に情報提供を行ってまいりたいと考えています。
- 記者:
- 福岡大臣は、99%以上が評価不能であるという現状は問題だという認識はお持ちでしょうか。
- 大臣:
- 数自体が問題かということではなく、しっかりその後をフォローアップしながら、精査が必要なものについては精査していくということだと思っています。
(了)