福岡大臣会見概要
(令和7年2月14日(金)9:05~9:14 院内大臣室前)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 本日「医療法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。この法律案は、地域医療構想の見直し、医師偏在是正に向けた総合的な対策、医療DXの推進等の措置を講ずるものです。今後、本国会において速やかにご審議をいただくよう、お願いしたいと考えております。私からは以上です。
質疑
- 記者:
- 高額療養費制度の見直しを巡って、大臣は12日に患者団体の方々らと面会されました。実際に患者の方々の切実な声を直接聞き、率直にどう感じましたでしょうか。
- 大臣:
- 一昨日、患者団体の皆様方と面会させていただき、多くの署名とともに、切実な思いを直接聞かせていただきました。皆様方からは、長期にわたって治療を余儀なくされておられる方にとって、今回の見直し案は大変厳しく感じていること、また多数回該当の限度額については引き上げを行うべきではないこと、毎月のように治療を受けておられる方だけではなく、一度に数か月分のお薬の処方を受けている方等にも配慮が必要であることなど、様々なご意見をいただきました。他方で、国民皆保険の維持と保険料の軽減は重要であることは理解するといったご発言もあったところであり、今回いただいたご意見を踏まえ、高額療養費制度を将来にわたって堅持しつつ、長期にわたって治療を継続される方々の思いに配慮した解決策を探っていきたいと考えています。
- 記者:
- 高額療養費制度について、関連して伺います。患者団体は負担感の増加を理由に限度額引き上げの凍結を求めています。厚労省がこれまで示してきた限度額の引き上げ案をどのように見直すお考えでしょうか。また、当初予算案の国会審議が佳境を迎える中、見直しを進めるスケジュール感についても教えてください。
- 大臣:
- 患者団体の皆様とのやり取りについては先ほど申し上げた通りです。その上で、現時点で、いつまでに成案を得るということについて申し上げることは大変困難ですが、様々な声を真摯に受け止めた上で、高額療養費制度を将来にわたって堅持しながら、長期にわたって治療を継続されておられる方々の思いに配慮した解決策を探ってまいりたいと思います。時間をなるべくかけずに解決を見いだしていくよう努力していきたいと思っています。
- 記者:
- 先ほど官邸でも取材に応じられたかと思いますが、閣議の前、総理と面会され、高額療養費の件でお話しされたと伺っていますが、具体的に大臣からどのようなお話をされ、総理からどのようなお話があったのか、またそれを受け止め、大臣として今後どのように進められていくか、あわせてお願いします。
- 大臣:
- 本日閣議前に官邸に行き、総理と面会しました。その内容としては、高額療養費制度の見直しに当たって、一昨日の患者団体の皆様とのやり取りでどのようなやり取りがあったのかという報告、それを受けての、今の検討状況について報告したということです。総理からは、引き続き、そういった患者の皆様の思いも大事にしながら、検討を進めていって欲しいというような話があったということです。
- 記者:
- それを受けて、どのように今後進められていくお考えでしょうか。
- 大臣:
- 先ほども申し上げました通り、制度を長期にわたって持続しながらも、そういった方々の声にもしっかり配慮できるような案を取りまとめるべく、引き続き検討の作業を進めていきたいと考えています。
- 記者:
- 田辺三菱についてお願いします。三菱ケミカルグループが、子会社の田辺三菱をアメリカの投資ファンド、ベインキャピタルに売却することで合意されました。この売却について、率直に大臣の受け止めをお願いします。また、医薬品の安定供給や経済安全保障の観点から、この売却についてどのように捉えているかもあわせてお願いします。
- 大臣:
- 当該報道については承知していますが、個別の会社のそういった買収等についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、所管する大臣として、どのような形になっても、薬の安定供給、そういったところに影響が出ないよう努めていきたいと考えています。
- 記者:
- スポットワーク、スキマバイトについてお伺いします。複数のアプリを使うことで長時間の労働、法定労働時間を超えるような働き方になっている問題が指摘されていますが、こうした状況について、厚労省として把握されているのかどうか、また業界の状況について調査していくお考えがあるのか、また、現行法令では限界があるのではないかという指摘もありますが、法整備等必要かどうか、大臣のお考えをお伺いできればと思います。
- 大臣:
- ご指摘の報道については承知しています。スポットワークで働く労働者の方々は、賃金や安全衛生などの取扱いについて通常の雇用と異なることはありません。そのため、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有しており、労働基準法に基づき時間外労働等に対する割増賃金を支払う必要があるということです。このように、使用者には労働基準法などの法令が適用されており、これらが遵守されるよう、監督指導を通じて、スポットワークで働く方々や求職者の保護を図っていくことが重要だと考えています。現時点において、各アプリ事業者の調査を行うということは予定していませんが、引き続き、労働者等からの相談に丁寧に対応するとともに、労働基準関係法令の違反が認められた場合には監督指導を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えています。
- 記者:
- 高額療養費の関係でお伺いします。いわゆる長瀬効果について、こないだ国会の中でもありましたが2,200億余りというお話が出ましたが、これに対して、受診抑制を前提に制度の見直しを進めているのかといった批判の声も、今、広がってきています。これについてどのようにお考えになっているのか、機械的な試算ということだと思いますが、ある程度予見しているということという意味では、一定の理屈が批判の声にあるのではないかと思いますが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- 重ねてになりますが、見直しについては、高齢化や高額な薬剤の普及等により、その総額が医療費全体の倍のスピードで伸びており、それが現役世代を中心に保険料負担が大きくなっている中で、セーフティネットである高額療養費制度を将来にわたって堅持するために行うものです。この見直しによる財政影響は、保険料と公費の合計で約5,330億円の減少が見込まれ、このうち、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果は、先日、1月23日の審議会で公表している通り、機械的に計算すると約2,270億円となります。これがおっしゃっていた長瀬効果というものです。あくまでも機械的な試算であり、今回の見直しが実際の患者の受診行動に与える影響については、その分析方法を含めて検討する必要があると考えています。見直しに当たっては、所得に応じたきめ細かい制度設計を行うとともに、長期で医療を受けている方の経済的負担も考慮していますが、冒頭申し上げた通り、制度を利用されている当事者の方々の不安の声に向き合うとともに、高額療養費のセーフティネット機能の堅持という課題の両方を満たすべく、検討を進めていきたいと考えています。
- 記者:
- これを医療保険部会による資料、委員会でもそうですが、提示することに対して、こうした配慮、そのように受け止められてしまう、要するに、抑制を前提にやっているのではないかと受け止められてしまうやり方についてはどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- 審議会の中で様々な検討をするにあたり、これまでも用いられていた指標を用いているということですが、今おっしゃられたように、それがどのような影響を及ぼすかということも含め、今後の審議会の在り方等については、今回の教訓も受け、様々な声をいただいておりますので、今後しっかり検証してまいりたいと思います。
(了)