福岡大臣会見概要
(令和7年1月21日(火)10:39~10:52 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にございません。
質疑
- 記者:
- 年金制度改革について伺います。マクロ経済スライドの調整期間の早期終了に関し、実施するかどうかを2029年以降に判断する方向で調整に入ったとの報道があります。厚生年金部分のマクロ経済スライドを2030年度まで時限的に継続するという点も報じられていますが、厚労省内での検討状況についてお伺いします。
- 大臣:
- 昨年末にとりまとめた社会保障審議会年金部会の議論の整理において、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了について、将来の基礎年金水準の確保に向けて、経済が順調に推移しない場合に発動されうる備えとして、さらに検討を深めるべきとされたところはご承知の通りです。現在、こうした経緯も踏まえ、引き続き検討を続けているところであり、現時点で具体的な案が定まっているものではありません。引き続き成案を得られるよう、関係者と調整を進めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 先ほど、アメリカのトランプ大統領がWHO脱退を進める大統領令に署名しました。これに対する受け止めと、国際保健への影響などをお伺いします。
- 大臣:
- まず、当該事実について私自身が確認を取れていません。改めて確認した上で、その質問についてはお答えをさせていただきたいと思います。
- 記者:
- 厚生労働省は、高額療養費の限度額を引き上げにより、被保険者の保険料が一人当たりで年1,100円から5,000円軽減されると説明しています。しかし、高額療養費の見直し等で捻出された財源は子ども子育て支援法に基づく支援金制度に充当されるため、結果として被保険者の保険料軽減には充当されない、つまり下がらないのではないでしょうか。「保険料軽減」との表現は実際に保険料が下がると誤解するのではないでしょうか。
- 大臣:
- 昨年成立した子ども・子育て支援法においては、子ども・子育て支援金の創設にあたり、国民や企業等に拠出をお願いする一方で、社会保障について徹底した歳出改革などによって、社会保険負担の軽減を図り、実質的な追加負担を生じさせないこととしたものと承知しています。今回の高額療養費の限度額の見直しは、こうした考え方を踏まえ実施するものであり、見直しによる保険料の軽減部分が、直接支援金に充当されるものではなく、医療保険における社会保険料負担の軽減に資するものと考えています。
- 記者:
- 保険料の軽減はされるということでしょうか。実際には、その部分を追加的な負担がないようにということで、大臣折衝事項で薬価引き下げも含めて0.49の財源で、残り0.5を積み上げるというようにペーパーを出されていますので、関係部局の説明では、結果として、それが子ども・子育て支援法の支援金の制度に流用されると理解しましたので、その点について、もう一度明確にお願いします。
- 大臣:
- 先ほどおっしゃった件については、社会保障の削減を進めていく一方で、支援金を国民皆様方にお願いすることで、トータルでそれぞれの方の負担が増えないようにするという考え方を示したものです。この保険料の軽減部分については、先ほど申し上げた通り、直接支援金に充当されるものではないため、保険料の軽減に資するものだということです。
- 記者:
- 充当されるかどうかは別として、下がるのではなく、上がらないようにするという趣旨でしょうか。トータルで上がらないようにするという趣旨で、社会保障給付を抑えたり、賃上げ等を取り組まれるという趣旨でしょうか。保険料が明確に下がるということの印象になるようなことは、誤解を招くと思いますので、その点についてご見解をお願いします。
- 大臣:
- 医療費は全体で毎年伸びていく部分もあります。ただ、今回の高額療養費の限度額の引き上げにより、ご負担をいただく部分もありますので、実質的な社会保険料の負担の軽減に資する面があるということです。実際の保険料そのもの等については、医療費の推移等も見ていく必要がありますが、当然、今回の高額療養費の見直しについては、保険料の軽減に資する部分に充てていくということで説明させていただきました。
- 記者:
- 昨日、大阪高裁で2018年に大阪市で当時11歳の難聴の生徒が重機にはねられて死亡した事故について、健常者と同額の遺失利益を認める判決が出ました。将来的に、ささやかな合理的配慮があれば、健常者と同じ条件で働けるという理由が挙げられており、このような判決が出たのは初めてだとみられていますが、障害者雇用を所管する厚労大臣の判決への評価と受け止めをお願いします。
- 大臣:
- ご指摘のあった報道については、承知しています。その上で、改めて、その判決内容等については精査させていただき、コメントをさせていただきたいと存じます。
- 記者:
- 岐阜県関市において、新型コロナワクチン接種後の健康被害申請がこれまで6件あったところ、そのすべてが市で留まっており、厚生労働省に進達されていなかったことが分かりました。今回の新型コロナワクチン救済制度の厚労省進達受理件数は現在12,697件となっています。単純計算で日本人1万人に1件を超える確率で健康被害の救済申請が出ていることになります。すると、人口約84,000人の関市で申請者がゼロということは確率的におかしかったわけですが、被害者の迅速な救済の観点から、同様の事例がないかなど、厚労省側からもチェックすることも可能かと思いますが、いかがでしょうか。
- 大臣:
- まず、ご指摘のあった岐阜県関市において、予防接種健康被害救済制度に関する厚生労働省への進達が適切になされなかった事案があったことについては、誠に遺憾なことだと考えています。予防接種健康被害救済制度においては、申請者からの申請を受けた市町村が、それぞれの市町村に設置している「予防接種健康被害調査委員会」において、必要な調査を行った後、速やかに都道府県を経由して厚生労働省に進達される仕組みとしています。こうした事案が発生したことも踏まえて、この制度が確実に運営されるように、改めて、都道府県や市町村に対して、確認・点検いただくよう周知していきたいと考えています。
- 記者:
- 先週の会見で大臣は、日本呼吸器学会の正式名称である「かぜ症候群」も5類に位置付ける急性呼吸器感染症に含まれ、特定感染症予防指針の対象にも含まれると明確に答弁されました。その理由について大臣は、「かぜ症候群の病原性の評価は変えないが、発生・まん延を防止する必要性を考慮した」とおっしゃいました。これは法律の立て付け上、厚労省が「かぜ症候群」について、流行・蔓延を防止すべきものという立場に変更することになるのではないかと考えられますが、そのように理解して良いのかどうか、年がら年中流行している様々な原因ウイルスのかぜを防止するということが、現実的に有効な政策だといえるのかどうか、大臣の所見をお聞かせください。
- 大臣:
- まず、改めて申し上げた部分を申し上げると、今回の急性呼吸器感染症のサーベイランスの導入については、流行している感染症の動向を把握し、それに基づいて、国民や医療機関等に感染症の流行状況や感染対策の周知を行うこと等による感染対策を実施することを可能とするために行うものです。特定感染症予防指針の策定についても、具体的な内容については今後検討することになりますが、同様の趣旨で策定するものです。なお、特定感染症予防指針とは、特に総合的に予防のための施策を推進する必要がある感染症について、その原因の究明、発生の予防および蔓延の防止、医療の提供など、当該感染症に応じた総合的な施策の推進を図るための指針であり、新たな指針の策定によって、かぜの流行防止に関する考え方を変えるものではありません。
- 記者:
- 大臣の率直なご認識をお伺いしたいのですが、大臣は10月1日に就任され、今回の施行規則改正は昨年11月29日に決定されたかと思います。この間、この改正について説明を受けたかと思いますが、この改正により、新たに監視・蔓延防止の対象に格上げされる、急性呼吸器感染症(ARI)というものの中には、具体的に何が含まれるのか、つまり、これにはヒトメタニューモ、ライノ、アデノといった、従来普通のかぜ症候群であったものが、すべて入ってくるということを、事務方からはっきりと説明を受けたご記憶はありますでしょうか。それとも、あくまで急性呼吸器感染症という耳慣れない用語で、大臣は説明を受けただけだったのでしょうか。ぜひここは、率直なご認識・ご記憶をお聞かせいただければと思います。
- 大臣:
- 先ほど、様々な疾患名をおっしゃいましたが、その疾患名から派生するARI(急性呼吸器感染症)の症状が出たそういったものについて、この今回の対象に含まれるという説明を受けています。
- 記者:
- そこの事務方からの説明で、いわゆる従来の様々な原因ウイルスによる普通のかぜが含まれる、これを今、大臣も何度も答弁されていますが、それを今回の施行規則改正の前から、はっきりとご認識はありましたでしょうか。今回の対象にかぜが含まれるのだと。
- 大臣:
- 先ほど申し上げた通り、従来からの説明の中で、急性呼吸器感染症(ARI)の症状を今回の5類の対象に加えるという説明は受けています。
- 記者:
- あくまで、ARIという説明を受けてきたということでしょうか。
- 大臣:
- その通りです。
(了)