福岡大臣会見概要
(令和7年1月17日(金)10:20~10:33 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にございません。
質疑
- 記者:
- 春闘に関することでお伺いします。来週22日には労使フォーラムが開催され、春闘の事実上スタートになります。連合は5%以上、中小企業では6%の賃上げを要求する方針を公表していますが、一方で、毎月勤労統計の最新の速報値をみると、実質賃金はマイナスの状態が続いています。賃上げが物価の上昇に追い付かない状況が続いていますが、賃上げのことも踏まえ、今年の春闘への大臣の期待感を教えてください。
- 大臣:
- 今お話しがありましたように、来週1月22日に連合の会長と経団連の会長との懇談会が開催され、春季労使交渉が本格的にスタートするものと承知しています。今年の賃金交渉に向けては、昨年11月26日に開催された政労使の意見交換において、労働者の賃金水準を引き上げるベースアップを念頭に、33年ぶりの高水準の賃上げとなった昨年の勢いで、大幅な賃上げへのご協力を総理から経済界に要請したところです。私としても、最大限の賃上げを期待したいと考えています。厚生労働省としては、引き続き関係省庁と連携し、価格転嫁や生産性向上の支援等により、中小企業等が賃上げできる環境整備に取り組んでいきたいと考えています。
- 記者:
- 訪問看護の不正問題についてお伺いします。パーキンソン病専門の有料老人ホームを各地で運営する「サンウェルズ」が、ホーム入居者への訪問看護で不正や過剰な診療報酬の請求をしていたことを社内で事実上認めていたことが、弊社の取材で分かりました。これについて大臣の受け止めをお伺いします。また、報酬の返還を求めることになるのか、厚労省として同社に今後どう対応されるか、お考えをお伺いします。
- 大臣:
- まず、ご質問の報道があったことは承知していますが、個別案件についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。その上で、一般論として申し上げると、訪問看護ステーションにおいて、医療保険の「訪問看護療養費」の不正請求の疑いがある場合には、健康保険法に基づいて地方厚生局において必要な調査・指導を行い、不正請求が確認された場合には厳正に対処することとなるということです。
- 記者:
- 25年薬価中間年改定では、平均乖離率5.2%を超えた後発医薬品が薬価引き下げ対象とされ、品目数は後発品全体の66%と報告されています。急激な薬価引き下げが後発医薬品の供給不安の原因の一つであり、引き下げる環境にないとの意見が業界団体からも出されています。今般の薬価引き下げで安定供給に支障が出ないとする根拠をお示しください。また、インフルエンザ等の感染症急増を受けて、出荷調整、増産要請などが実施されている感染症対症療法薬等が不採算再算定の対象とされました。限定出荷等の影響を受けて、歯科医療現場では、麻酔・解熱鎮痛剤等の入手が困難となっています。歯科用医薬品の安定供給に向けて、どのような対策が図られていますでしょうか。
- 大臣:
- まず、医薬品の供給不足に対する薬価上の対応としては、市場実勢価格を踏まえた改定を基本としながら、「基礎的医薬品」や「不採算品再算定」など、薬価を下支えする仕組みを設け、令和6年度の薬価制度改革でその対象拡大の取組を行ってきたところです。加えて、令和7年度薬価改定では、保険料負担の軽減と、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の両立が重要であるという観点から、品目ごとの性格に応じて改定の対象範囲を設定し、薬価の引き下げだけではなく、後発医薬品も含めた医薬品の安定供給の観点から、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げるなど、メリハリのある対応を行ったところです。歯科診療でも使用される、解熱鎮痛薬等の感染症対症療法薬や局所麻酔薬については、昨年の需給状況を踏まえ、昨年12月、令和6年度の補正予算も活用し、これらの製造販売業者に対して増産を要請するとともに、本年1月、卸売販売業者に対し、適切な量の医薬品を供給するよう協力を依頼しています。引き続き、後発医薬品等の安定供給に向けて、足下の供給不足の解消や中長期的な産業構造の改革の双方にしっかりと取り組みながら、品質の確保された医薬品を安定的に供給できる体制を確立していきたいと考えています。
- 記者:
- 昨日、この厚労省会見室で一般社団法人ワクチン問題研究会の記者会見があり、福岡大臣宛ての提言書の提出が行われました。提言書では、今回のメッセンジャーRNA新型コロナワクチンが悲惨な薬害を起こしている原因として、制度面での指摘、例えばカルタヘナ法の不備の指摘、また、本来遺伝子治療薬として詳細な試験を行うべきところ、これまでのワクチンと同様に少ない試験項目にて承認されてしまったことが指摘されていました。提言書に対する大臣の受け止めを聞かせていただけますでしょうか。
- 大臣:
- ご質問の要望書については、自己増幅型メッセンジャーRNAワクチンが、カルタヘナ法の規制対象である遺伝子の組換え生物に該当しないために、規制対象に含めるべきであるといったご意見があったと承知しています。ご承知の通り、カルタヘナ法は複数の関係省庁が所管しているところであり、この段階で政府の統一見解を申し上げることは大変困難ですが、厚生労働省としては、このカルタヘナ議定書の実施の確保の観点から制定されたことや、また、国際的な動向も踏まえて、規制対象を、遺伝子組換え生物に該当しない物まで日本のみ拡大することは困難だと考えています。
- 記者:
- カルタヘナ法以外の部分で、提言書では、本来今回のメッセンジャーRNAワクチン、遺伝子ワクチンなどと表現される方もいらっしゃいますが、遺伝子治療薬として試験等の審査を行うべきで、そうすると、詳細な審査や、年単位、あるいは何十年単位での試験が必要となってきますが、今回のメッセンジャーRNAワクチンは、それに当てはまらない不活化ワクチンなどと同じカテゴリーで審査されてしまい、色々と省かれた簡単な審査がされてしまっており、この長期的な健康被害などが分からないまま始まってしまい、今、大変なことになってしまっているのではないかという指摘もありますが、その部分についてはいかがでしょうか。
- 大臣:
- まず、審査体制については問題があるとは思っていません。その上で、ご指摘のことがどのようなものかということに対してのお答えについては、一度内容を精査させていただき、改めてお答えさせていただきたいと思います。
- 記者:
- 今回の厚生労働省の感染症施行規則改正について、改めて確認します。こちらの5類位置付けについてこれまで質問させていただきましたが、特定感染症予防指針というものについて確認します。これまで、こちらの予防指針は、従来、結核や性感染症などを対象に作成され、急性呼吸器感染症については、唯一インフルエンザだけが作られていたと承知しています。今回、インフルエンザ以外の「かぜ」を含むARI全般に拡大したのはなぜなのか教えてください。これに関連して、コロナ禍が始まり6年目に入っていますが、医療機関や高齢者施設などで「人権侵害」の一種と捉えられる「面会制限」の問題が未だ続いています。この特定感染症予防指針の対象を「かぜ症候群」など、ARI全体に拡大することによって、施設管理者があらゆるARIの流行情報に反応するようになり、「面会制限」の問題に影響するのではないでしょうか。また、就労制限や登校制限などが拡大する可能性もないとは言い切れないと思います。これは文部科学省の所管だと思いますので、それが影響がないと言い切れるのかどうか、大臣の所見をお聞かせください。
- 大臣:
- 「特定感染症予防指針」とは、特に総合的に予防のための施策を推進する必要がある感染症について、その原因の究明、発生の予防及びまん延の防止、医療の提供など、当該感染症に応じた総合的な推進を図るための指針です。特定感染症予防指針は、特定の感染症についてそれぞれ策定されており、急性呼吸器感染症については、現在、インフルエンザのみであったところです。そういった意味では、コロナなども入っていなかったということです。感染動向の把握に加えて、感染症に関する正確な知識の普及を図り、適切な感染症対策の推進につなげるため、先ほど申し上げた、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザも含む急性呼吸器感染症に関する包括的な特定感染症予防指針を策定することが、昨年の感染症部会において了承されたところです。こうしたことも踏まえながら、今後、感染症部会において、今般の感染症施行規則の見直しを受けた、特定感染症予防指針の具体的な内容について議論をしていくこととなります。急性呼吸器感染症サーベイランスの実施や、「急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針」の策定は、感染動向の把握等、適切な感染症対策の推進につなげていくことを目的としており、再三申し上げていますが、医療機関や高齢者施設等の面会制限への影響はないと考えています。しかしながら、今おっしゃったように、他省庁の所管の部分もあるではないかというお話しもありました。わかりやすく周知するために、Q&Aを厚労省ホームページに掲載するなど丁寧にご説明するほか、ご指摘のあった文部科学省を含む関係省庁としっかりと連携していきたいと考えています。
(了)