福岡大臣会見概要

(令和7年1月14日(火)10:39~10:55 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にございません。

質疑

記者:
年金制度改革についてお伺いします。昨年末、社会保障審議会年金部会で、議論がある程度取りまとめられました。改革の方向性が示された項目がある一方で、マクロ経済スライドの早期終了の発動要件や適用拡大における事業主の保険料負担の軽減策など、具体策や方向性がまだ決まっていないものもあります。こうした中、今月24日からの通常国会で、こういった内容の法案の提出も見込まれますが、具体的にどのような場などで政府案の具体化を進めるお考えでしょうか。法案提出に向けたスケジュールも含めて教えてください。 
大臣:
次期年金制度改正に向けては、昨年7月に公表した財政検証の結果も踏まえ、働き方に中立的な制度の構築や、高齢期の所得保障・再分配機能の強化といった観点から検討を進め、昨年の12月25日に、社会保障審議会年金部会の議論の取りまとめを行ったところです。年金部会の取りまとめでは、ご指摘のように、被用者保険の適用拡大など、概ね意見の一致した項目もあった一方で、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了などのように、様々なご意見があり、さらに検討を深める必要がある項目もあったことはご指摘の通りです。現時点においては、具体的な進め方が念頭にある訳ではないですが、引き続き、成案を得るべく、様々な関係者の方々の意見も踏まえながら、法案提出を目指して検討を進めていきたいと考えています。 
記者:
国内で新型コロナウイルス感染者が初めて確認されてから、明日15日でちょうど5年となります。これまでの新型コロナ対応への振り返りと、今なお取り組むべき課題があれば、対応策も含めてお聞かせください。すでに感染症法でも普通の感染症の扱いになり、感染対策の緩みも指摘されていますが、コロナ対策の現状についての受け止めや国民への呼びかけをお聞かせください。また、インフルエンザの患者報告が最多となるなど他の感染症が流行する中、新型コロナウイルス感染症の患者も増加傾向が続いています。新型コロナの流行拡大に備えた医療体制の現状についての見解もお聞かせください。 
大臣:
新型コロナウイルス感染者が国内で確認されてから5年が経過しましたが、政府としては、感染拡大の防止と社会経済活動の維持のバランスをとりつつ、科学的知見やエビデンスを重視し、専門家とも連携しながら、各般の対策を講じてきたところです。この間の医療従事者の方々のご尽力や、国民の皆様のご理解とご協力に改めて心から感謝申し上げたいと思います。新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月に5類に移行したものの、引き続き、国民の健康に大きな影響を与える感染症であることには変わりなく、直近の感染状況は、1週間ごとの定点医療機関からの報告数は7.01であり、昨年の同時期よりも増加しています。引き続き、感染動向に留意することが必要だと考えています。こうしたことから、11月に事務連絡を発出し、外来や入院医療体制の整備、また、地域住民の方々などに対する基本的な感染対策の再周知、医薬品の供給などについて自治体に周知を行ったところです。さらに、昨年12月末においても、季節性インフルエンザへの対応も含めた注意喚起の事務連絡を発出したところです。引き続き、感染拡大に備えて、都道府県と連携し、医療提供体制の確保に万全を期すことに加え、国民の皆様におかれては、手指衛生や咳エチケットといった、基本的な感染防止対策の実施に努めていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。 
記者:
厚生労働省は、昨年のパブリックコメントで5類感染症に「風邪」を含むことは明確に認めているかと思います。改めて、この4月から、日本呼吸器学会の正式名称である「かぜ症候群」に当てはまるような感染症は、全て5類に格上げすると同時に、「特定感染症予防指針」の対象にも位置付けて、発生の予防・蔓延防止の対象とする予定であるということで間違いないのか、改めて明確に教えてください。そして、これら「かぜ症候群」に当てはまる感染症の病原性に対する評価を変えたのかどうか、これも改めて教えてください。また、今後は普通の「風邪」とは言わずに、様々な耳慣れない病原体の名前がついた感染症の動向が発表されたり、報道されたりすることになる可能性があります。ヒトメタニューモウイルスを巡る誤報に見られるように、社会に不安や混乱を与える恐れがあると考えられないでしょうか。この点についてお聞かせください。 
大臣:
今般、いわゆる「かぜ」の症状も含まれる急性呼吸器感染症を5類感染症に位置付け、さらに特定感染症予防指針の対象としたところです。5類感染症とは、国民の健康に影響を与える恐れがあるものであり、発生動向の調査を行い、その結果に基づき必要な情報を国民一般や医療関係者に提供・公開し、発生・まん延を防止する必要がある感染症としています。したがって、ご指摘がありましたが、病原性に対する評価を変更しなくても、発生・まん延を防止する必要性等を考慮して、5類感染症に位置付けることは可能だと考えています。その上で、今般、「かぜ症候群」を含む急性呼吸器感染症を5類感染症に位置付けたのは、将来的なパンデミックに備えて、流行しやすい急性呼吸器感染症の流行の動向を早期に把握すること、仮に未知の呼吸器感染症が発生し増加し始めた場合に、迅速に探知することが可能となるよう、平時からサーベイランスの対象とすることを目的としたものです。なお、追加でおっしゃったように、なかなか聞き慣れない言葉によって不安や混乱を与えるのではないかといったご指摘についてですが、一般的に言えば、感染症に関する知識は、わかりやすく周知し、国民に正しくリスクや対応についてご理解いただくことが重要だと考えており、引き続き、SNSや厚生労働省のホームページを活用して、混乱がないように理解促進に努めていきたいと考えています。 
記者:
昨年12月13日、厚労省前で新型コロナワクチン被害者ご遺族が15名も集まり、切実な思いを語りました。ご遺族の声の一例として、「私がワクチンを打ちなさいと言ってしまったので、子どもが亡くなってしまった」、「亡くなった息子を返して欲しい」、「被害を一番わかっているは厚生労働省なのに」というようなものがありました。大臣はこのようなご遺族の声について、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。 
大臣:
まずは、尊い命が失われたことについて、心からお悔やみ申し上げさせていただきたいと思います。私としては、ワクチンに限らず、健康を害したり、命をなくしたりされる方を少しでもなくしていくことが、私の責務であると考えています。新型コロナワクチンを含む予防接種法に基づく予防接種後の健康被害については、不可避的に生ずるものであることを踏まえ、これまでも予防接種法に基づく健康被害救済制度による救済を行っているところです。また、新型コロナワクチンの安全性については、これまでも申し上げていますが、副反応疑い報告を全例評価しているところであり、その情報については広く公開しているところです。審議会においては、安全性を継続的に確認しており、現時点においては、ワクチンの安全性に影響を与える重大な懸念は認められないと評価されているところですが、引き続き、科学的な知見の収集に努めるとともに、専門家によるワクチンの安全性の評価を適切に行い、仮に新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関等に情報提供するなど、必要な対応を行っていきたいと考えています。 
記者:
今回のワクチンの規模は、これまでと比べて大きなものとなっています。大臣は、ご遺族の方と直接お会いしてお話しを伺うといったお考えはありますでしょうか。 
大臣:
様々な機会で、被害に遭われた方々の声については、私自身もしっかり承るようなことに努めています。今ご指摘の点については、どういう形でそういうご意見について承るかについては、検討させていただきたいと思います。 
記者:
国立感染研究所村山庁舎のBSL-4施設移転問題についてお伺いします。新宿区戸山一丁目に、旧国家公務員住宅の跡地があり、1月6日から解体工事が始まっています。国立国際医療研究センターと国立感染研に隣接しており、ここにBSL-4施設が移転するのではないかとの懸念が広がっています。ここが移転先なのでしょうか。 
大臣:
移転先については、現在検討を行っている最中であり、移転先を決定したという事実はありません。引き続き、地元自治体である武蔵村山市とも丁寧に協議を行いながら検討を進めていきたいと考えています。 
記者:
2020年12月11日の第2回検討会の報告書には、計画から稼働まで5年から7年かかることに留意が必要との項目があります。計画はすでにできているのでしょうか。また、いつできた、あるいはできるのでしょうか。 
大臣:
計画についてもまだ検討中であり、できたという事実はありません。 
記者:
稼働は5年以降、今2025年なので、2030年以降と理解してよろしいでしょうか。 
大臣:
今のご指摘については、一度こちらで精査し、改めてお答えさせていただきたいと思います。 
記者:
能登半島地震の医療費の一部負担金免除について、大臣が12月13日の記者会見で、要件を変更して今年の6月まで延長すると述べています。そして今年1月からは、財政支援の一部が事実上打ち切りになった保険者があり、そういったところで免除を実施する場合には、財政負担が発生する可能性が生じています。その結果、今年1月から、国保では新潟県内の全ての市町村、そして富山県内の一部の市町村、後期高齢者医療保険で、新潟県の広域連合で免除が打ち切られています。同じ被災者でありながら、居住地や加入している保険によって、免除を受けられるかどうかが異なるという点で、ある意味不公平な状況が生じているとも言えると思いますが、こうした状況について、どのようにお考えでしょうか。 
大臣:
国民健康保険や後期高齢者医療制度においては、災害が生じた場合、市町村等の保険者のご判断で、被災者の方々の医療機関の窓口での一部負担金の支払いを減免できることとしています。令和6年の能登半島地震による被災者の方々については、令和6年12月までの間、市町村等が実施した免除分を国が財政支援していたところであり、本年1月以降については、今ご指摘がありましたように、被災状況や市町村等の意向、過去の災害における支援状況等を勘案し、昨年までの要件等を一部変更の上、本年6月まで国の支援を延長するということを、昨年12月の記者会見で申し上げたところです。石川県においては、被害の大きかった珠洲市や輪島市をはじめとする全ての自治体において、1月以降も減免を実施される予定であると承知しています。その他の3県についても、国の支援要件は、国民健康保険、後期高齢者医療制度ともに同様であり、実際に免除を実施するかについては、各保険者が、その実情を踏まえてご判断いただくものと考えています。 
記者:
閣僚にもインフルエンザが発生しています。急増していることについて、労働環境の面からお尋ねします。感染抑制のためには、休みやすく復帰しやすい環境が必要だと思いますが、一方で社会基盤を支える労働者の人手不足は今も改善していません。欠勤が増えることにより企業活動に影響することが考えられることから、感染抑制に資する環境づくりは簡単ではないと思いますが、ご意見をお願いいたします。 
大臣:
例年、厚生労働省ホームページで公表しているインフルエンザのQ&Aにおいても、インフルエンザにかかったかもしれない場合は、人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにすることをお願いしておりますので、まずは、皆様方にはこの点をご留意いただき、ご協力いただきたいと思います。また、使用者の皆様には、Q&Aの中で、インフルエンザにり患した従業員の方々が職場復帰する際に、職場には治癒証明書や陰性証明書を提出することを求めることは不要であることをお示ししており、こうした点もご留意いただきたいと思っています。改めて申し上げますが、感染予防には手指衛生や咳エチケットといった基本的な感染対策が重要ですので、職場での声かけなども含めて、国民の皆様方にお願いさせていただきたいと考えています。 
記者:
創薬支援策についてお伺いします。業界団体のPhRMA(米国研究製薬工業協会)とEFPIA(欧州製薬団体連合会)が、政府が検討しているとする創薬支援基金に関して、課税のような形への仕組みだと強く反対する声明を年末に出しています。取材では、政府は今通常国会で基金の関連法案を出すつもりで想定していたと伺っていますが、今後基金を設置するかどうか、大臣折衝事項では、今後、創薬支援の対応策については継続的に検討するとありますが、今後どのように対応される方針か、大臣のお考えをお聞かせください。 
大臣:
今おっしゃった報道については承知しています。創薬支援の在り方については、今、政府内でも検討させていただいておりますが、具体的にこうした形で、という決まった成案が現時点でなされているわけではありません。引き続き、関係各位と調整を進めていきたいと思っています。 

(了)