福岡大臣会見概要
(令和7年1月10日(金)9:30~9:48 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
大臣:
- 私からは特にございません。
質疑
- 記者:
- 新型コロナ禍で収入を失った世帯に生活資金を貸す制度「特例貸付」について伺います。借受人の生活再建に向けた自立支援について、昨年10月公表の会計検査院による調査は、返済免除者や滞納者へのフォローアップ支援体制が整備されておらず、支援が不十分な点があると指摘しています。この受け止めと、今後の課題、具体的な改善策を教えてください。
- 大臣:
- 緊急小口資金等の特例貸付については、コロナ禍において休業などにより収入が減少した世帯に対する緊急・一時的な生計維持のための支援として実施し、延べ382万件の貸付によって、多くの方の生活を下支えしてきたものと考えています。通常の貸付を大きく超える申請に対し、迅速にご対応いただいた全国の社会福祉協議会の関係者の方々には、改めて感謝を申し上げさせていただきたいと思います。借受人の中には、現在も生活が苦しく、償還が困難な方がいらっしゃることから、引き続き、個々の借受人の状況に応じて償還免除や猶予を行うとともに、償還免除となった方も含めて、生活再建に向けた就労支援や家計改善支援などのきめ細やかなフォローアップ支援を進めていくことが重要であると考えています。その上で、令和6年10月の会計検査院による意見表示において、フォローアップ支援について、一部の都道府県社会福祉協議会と市町村社会福祉協議会との間の役割分担などが明確にされておらず、支援が十分に実施されていないと指摘があったところです。この指摘を真摯に受け止め、令和6年12月に、フォローアップ支援の留意事項として、都道府県社協と市町村社協等との役割分担を検討し、それぞれの役割を書面で明記するといった対応を、自治体を通じて社協に依頼したところであり、引き続き、借受人の方々に対して丁寧な支援が実施されるよう、取り組んでまいりたいと考えています。
- 記者:
- 介護の関連でお伺いします。東京商工リサーチの調査で、昨年の介護事業者の倒産件数が全国で172件となり、2000年以降最多となったことがわかりました。今年には団塊の世代が75歳以上となり介護のニーズも高まると考えられますが、大臣の受け止めをお聞かせください。また、高齢化や現役世代の減少が深刻化する2040年に向けて、介護サービスの提供体制に関する検討会が昨日から開かれました。介護人材の確保策や賃上げなどの課題が上がっていますが、今後どのような議論を望み、取りまとめていくか、お考えをお伺いします。
- 大臣:
- 個別の民間調査へのコメントについては差し控えさせていただきますが、介護サービス施設・事業所の運営が安定的に行われることは極めて重要であると考えており、介護事業の運営状況については、引き続き、丁寧な把握に努めてまいりたいと考えています。2040年に向けて、人口減少のスピードに地域差があり、そのサービス需要の変化が異なる中、地域の状況に応じたサービス提供モデルや支援体制を構築する必要があるという観点から、今、ご指摘がありました、有識者等で構成する検討会を立ち上げ、昨日、第1回の会議を開催したところです。具体的には、検討会において、サービス需要の変化に応じたサービスモデルの構築、介護人材確保・定着やテクノロジー活用等による生産性向上、雇用管理・職場環境改善など経営への支援、介護予防・健康づくり等の高齢者分野の課題や論点についてご議論いただく予定としています。この春頃に中間取りまとめをいただいた上で、審議会、介護保険部会に報告し、必要に応じて、制度改正に向けた議論に繋げてまいりたいと考えているところです。
- 記者:
- 高額療養費についてお伺いします。過去10年の推移を見ると、現役世代が多く加入する協会けんぽ、健保組合、共済組合での利用件数が増加しており、協会けんぽや健保組合では1件あたりの支給金額が約12万円となるなど、重篤な疾患を治療継続する上で非常に重要な役割を果たしています。今回の自己負担上限額引き上げは、多数回該当の基準も引き上げられるため、長期で治療を継続されている患者さんへの影響が大きいと考えられますが、現在、高額療養費を利用されている方の疾患種類や治療費の動向などについて調査・分析した上で引き上げを提案されていますか。また、患者団体などへのヒアリング等は実施されていますでしょうか。
- 大臣:
- 今回の高額療養費制度の見直しについては、高齢化や高額医薬品の普及等により、総医療費が年々増加している中で、現役世代を中心に、今、保険料が上昇している状況を踏まえ、セーフティネットとしての役割を維持しながら、被保険者の保険料負担の軽減を図る観点から、見直しを行うものです。見直しに当たっては、各界の有識者から構成される審議会、これは医療保険部会ですが、そこにおいて、高齢者に比較的多い疾患例を用いて、その場合の自己負担額や、外来特例に該当している患者の割合、過去同様の見直しを行った際の患者の受診行動や、1人当たり診療費の変化といったデータに基づき、ご議論いただいているところです。その審議会の中には、高齢者の方々の団体組織の代表にもご参加いただいております。さらに、今回の見直しに際して、住民税非課税世帯については、実質ベースで負担が生じない形とするなど、追加的な経済負担に十分に配慮しており、こうした点も含め、丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 今回の質問は、現役世代の方で多く利用している、がん等で、患者団体の方から声が上がっていると思いますので、高齢者についてというよりは、現役世代のビックリスクに対する利用が多いということで、その辺りは丁寧にヒアリングすべきでないかというご質問です。
- 大臣:
- ご承知の通り、様々な疾患があり、それぞれ様々な団体があります。それぞれ患者一人ひとりにおかれた状況は皆様違うわけですので、そうした意味においては、それぞれの団体から説明を聞くというわけではなく、先ほども申しましたように、これまでの過去のデータ、そういったものを用いながら、影響が大きく出ないよう配慮しながら改革を行っていきたいと考えているところです。
- 記者:
- 感染症について伺います。中国を中心に感染が拡がっているヒトメタニューモウイルスや、米国で初の死者が確認された鳥インフルエンザについて国民の関心が高まっています。政府として取り組む対策があれば教えてください。また国民への呼びかけがあれば、合わせてお願いします。
- 大臣:
- ヒトメタニューモウイルス感染症は、咳、発熱、鼻汁等のいわゆる風邪症状を示すウイルス感染症の1つであり、従来から日本においても感染が報告されている感染症です。ご指摘の通り、現在、中国を中心に感染が拡がっていると報道されていますが、WHOからは、この時期の流行は予想されるものであり、異常ではないとの発表があったものと承知しています。このため、このウイルスの中国における流行により、直ちに特別な対応が必要な状況であるとは考えていませんが、国民の皆様におかれては、インフルエンザ等の感染拡大も見られる中ですので、手指衛生や咳エチケットといった基本的な感染防止対策の実施について、改めてお願いさせていただきたいと考えています。なお、本年4月から、急性呼吸器感染症を5類に位置付けることにしていますが、この見直しにより、こうした病原体の発生動向の把握・分析ができるよう調整しているところです。また、鳥インフルエンザについてですが、1月6日に、米国で初めての鳥インフルエンザの患者の死亡が公表されたと承知しています。米国CDCからは、一般市民への公衆衛生上のリスクは低いと判断していること、ヒトからヒトへの感染は確認されていないこと、ヒトの感染リスクを高めるウイルス変異は確認されていないことが指摘されています。引き続き、国内外の発生動向を注視するとともに、各国と連携しながら、情報収集に努めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- ヒトメタニューモウイルスのニュースが出ました。このように、普通の風邪であっても、耳慣れない名前を聞くと人々は恐怖を感じ、社会に影響を与えることが如実に現れた事例かと思います。風邪には200種類以上の原因ウイルスがあり、5類移行の影響が懸念されます。そこで改めて、今、大臣も少しおっしゃいましたが、ヒトメタニューモウイルスは感染症法上の位置付けがこれまであったのかどうか、今後これを5類に格上げするのかどうか、その根拠も教えてください。併せて、従来知られていた4種類の風邪コロナウイルスも変更の対象になるのかどうか、国立感染症研究所には、実験室内の取扱いの話ではなく、「生涯に渡って何度も感染するが、軽い症状しか引き起こさないため、問題になることはない」と明記されています。5類移行によって、厚労省はこの見解を変更することになるのかどうかも含めて教えてください。
- 大臣:
- ヒトメタニューモウイルスによる感染症は、いわゆる風邪症状を示す感染症であり、現行の感染症法には規定されていない感染症ですが、これまで日本でも感染は見られた疾患です。今般、急性呼吸器感染症を5類感染症に位置付けることとしたところであり、これにより、ヒトメタニューモウイルス感染症により、急性の上気道炎あるいは下気道炎の症状がある患者については、急性呼吸器感染症、ARIとしての報告対象となります。また、一部の患者から採取する検体の分析により、ヒトメタニューモウイルスなどの病原体の発生動向の把握・分析ができるようにする方向で、今、検討が進められているところです。風邪ウイルスについてのご指摘については、5類感染症とは、すでに知られている感染性の疾病であって、現在、その中でも、例えば感染性胃腸炎や手足口病等が分類されていますが、国民の健康に影響を与える恐れがあるものであり、その感染力及び罹患した場合の重篤性などについては様々であるものと承知しています。今般、急性呼吸器感染症を5類感染症に位置付けることにより、こうした流行しやすい急性呼吸器感染症の流行の動向を把握すること、仮に、未知の呼吸器感染症が発生し増加し始めた場合には、迅速に探知することが可能となるよう、平時からサーベイランスの対象とすることを可能とすることとしたところであり、風邪のウイルスによる感染症についての見解を変更するものではありません。
- 記者:
- 手足口病はすでに5類になっているということかと思います。ただ、ヒトメタニューモウイルスや風邪のコロナウイルス、その他諸々の、たくさんある風邪の原因ウイルスについては、これまで位置付けがなかったと思います。今回、5類に移行するということは、これの病原性や危険性の評価を変えないと、5類という法的な位置付けはできないのではないでしょうか。それについての、改めて、厚労省の位置付け変更についての根拠を教えてください。
- 大臣:
- ヒトメタニューモウイルス感染症や、また、これまでの他のコロナウイルス等を5類にするということではなく、こういった症状に起因して、先ほども申しましたように、上気道炎もしくは下気道炎、こういった症状がある方については、ARIとして報告の対象とするということであり、病気自体の位置付けを変えるものではないということです。
- 記者:
- 季節性インフルエンザについてお尋ねします。昨日厚労省が発表しましたが、1週間のインフルエンザの患者数が過去最多となりました。そのことについての受け止めと呼びかけをお願いします。併せて、急激な医薬品の需要の増加で、供給が追い付いていないという声も出ています。これについても、受け止めと厚労省の行っている対策について教えてください。
- 大臣:
- 季節性インフルエンザの12月23日から29日までの週における定点医療機関からの報告数については、64.39ということで、前週の1.51倍と、過去最高となっています。厚生労働省としては、これまで、11月に、令和6年度のインフルエンザ総合対策及びQ&Aを取りまとめ、ホームページにおいて公表することに加え、冬の新型コロナの感染拡大に備え、11月に事務連絡で示してきた、外来医療体制の整備、地域住民等に対する基本的な感染対策の再周知、医療品の供給などについて、インフルエンザの感染拡大が予想される年末年始の連休を見据えて、12月に改めて対応を確認いただくよう自治体にお願いするなど対応を講じてきたところです。医療提供体制については、都道府県から、入院がひっ迫しているとの報告は受けていませんが、他方で、外来によっては一定の診療の待ち時間が発生しているとの情報があること等から、引き続き、都道府県と連携して、感染状況を注視するとともに、外来の発熱対応や相談対応の体制確保に努めていきたいと考えています。 また、抗インフルエンザウイルス薬については、今年度においては、インフルエンザの流行が拡大した昨年度の供給実績を上回る量の供給が計画されています。昨年で言うと、供給実績が1449.2万人分であったことに対し、令和6年度の供給計画量は2432.5万人分の量の供給が計画されているということです。在庫についても、1月5日時点で、メーカー及び卸売販売業者に約1,500万人分確保されているところです。今般のインフルエンザの流行拡大を受け、医療機関や薬局からの過剰な発注を抑制することなどを目的に、一部の製薬企業において、抗インフルエンザウイルス薬の供給停止・限定出荷が行われていることについては承知しています。厚生労働省としては、現時点においては、抗インフルエンザウイルス薬の適正な使用や発注によって対応できるものと考えており、医療機関や薬局に対して、過剰な発注を控えるといったことや、代替薬の使用について考慮すること等について協力を要請したところです。こうした取組を進めているところですが、国民の皆様におかれましては、手指衛生や咳エチケットといった基本的な感染防止の実施について、改めてお願いするとともに、足元の感染状況の推移等については、しっかり注視して見守ってまいりたいと考えています。
(了)