福岡大臣会見概要

(令和7年1月7日(火)10:45~10:56 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本年もよろしくお願いいたします。私からは特にございません。

質疑

記者:
能登半島地震について伺います。発災から1年を迎えましたが、厚生労働行政に関わるものを中心に、現状の課題とその対応について大臣のお考えをお聞かせください。DMATやDWATの活動、高齢者の避難所対策や福祉職の派遣、高齢者施設間の移送など、発災当初から厚労省が対応を迫られた対策について、1年が経過する中で浮き彫りになった課題はどこにあるとお考えでしょうか。
大臣:
能登半島地震から1年余が経過しました。その後、甚大な豪雨災害もありました。改めて、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞い申し上げます。能登半島地震においては、避難生活等が原因で亡くなられる災害関連死が直接死を上回り、改めて、被害の大きさを痛感しています。厚生労働省としては、災害関連死を抑止すべく、関係府省庁や被災自治体と連携し、在宅避難者の見守り支援やデイサービス等を提供するサポート拠点の整備などに取り組んでおり、引き続き対応していきたいと考えています。また、この能登半島地震においては、発災当初からDMATやDWATなどの医療・福祉等の専門職の派遣により被災者支援に取り組んできました。一方で、それぞれのチームの連携体制や、その実施体制に課題があったと承知しています。そのため、厚生労働省としては、能登半島地震での教訓を踏まえ、研修や訓練の強化、そして連絡会議の開催、関係者間での共有化を図るための各種情報システムの充実等を通じた、保健医療福祉チームの連携の促進や、被災地の保健医療福祉調整本部における各チームの効果的な参画がなされるよう、平時からの同チームの体制整備・人材育成等に取り組んでいきたいと考えています。こうした取組を通じて、関係府省庁と連携しながら、保健医療福祉分野における防災・減災の強化に、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
記者:
高額療養費制度の見直しについて質問させていただきます。今回、高齢者が利用している外来特例を見直すということですが、現行の外来特例の該当者数を、令和8年8月からの所得区分細分化後の区分に当てはめると、それぞれ何人になるのかお答えいただければと思います。
大臣:
まず、改めて今回の高額療養費制度の見直しについては、高齢化や高額薬剤の普及等により、総額が年々増加する中で、現役世代を中心に保険料が上昇している状況を踏まえて、高額療養費制度のセーフティネットとしての役割を維持しながらも、現役世代を含めた被保険者の保険料負担の軽減を図る観点から、見直しを行うものです。ご指摘のありました、所得区分細分化後の区分ごとの該当者数については、現時点では具体的な数字を持ち合わせていませんが、審議会においては、現行の所得区分を前提として、年に1回以上「外来特例」に該当する患者割合を提示し、議論いただいたところです。その上で、冒頭申し上げた観点、セーフティネット機能としての高額療養費の役割を将来にわたって維持しつつ、現役世代を含む全ての方々の保険料負担を軽減する観点から、外来特例を含めた制度の見直しを行うこととしたものです。その際、年間収入が80万円以下の方については、外来特例の上限額を据え置くことなど、負担能力に応じたきめ細かい見直しを行うこととしています。なお、平成29年から30年にかけての外来特例の上限を見直した際の高齢者の受診率については、マクロで見た場合は、その低下は見られていません。いずれにしても、今回の外来特例の見直しが、患者の方々の受診行動に与える影響を分析することは大変重要であると考えており、今後、具体的なデータ収集や分析方法を含めて検討していきたいと考えています。
記者:
昨年11月29日に感染症法の施行規則で5類感染症について改正した件についてお尋ねします。この改正では、新たに5類に位置付けることになった既知の感染症はいわゆる「風邪症候群」、これは日本呼吸器学会の正式名称ですが、これに含まれる感染症であると考えられます。この他に、新たに5類に位置付けられた既知の感染症があるのであれば、具体的にどういうものなのか教えてください。また、関連してまとめてお尋ねしますが、国立感染症研究所のホームページには、風邪のコロナウイルスは特に危険な病原体ではないため、感染症法上の位置付けがないと従来説明してきました。今回、感染症法の施行規則改正によって位置付けられるわけですが、5類感染症は、季節性インフルエンザや麻しん等と「同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるもの」と定められ、「発生・蔓延を防止すべき感染症」という位置付けだったはずです。厚生労働省は、風邪症候群についての危険性、病原性の認識を今回変更したのでしょうか。変更したのであれば、その根拠も教えてください。
大臣:
現在、感染症法に基づく届出及び報告が求められている感染症は、既知の感染症です。今回、いち早く呼吸器感染症の流行の動向を把握するため、また、未知の新たな病原体等による感染症の発生を覚知するために、5類感染症に急性呼吸器感染症、ARIを位置付けたところ、急性呼吸気感染症は、急性の上気道炎、鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎、あるいは下気道炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎を指す病原体による症候群の総称であり、これにはインフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱、A郡溶血性レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナなどが含まれうるということです。それ以外にも、肺炎球菌等の細菌性の肺炎や、肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症等も含まれうると考えています。今回の急性呼吸器感染症、ARIを5類感染症に位置付ける見直しについては、発生動向を早期に把握し、データ収集を積み重ね、いち早く未知の新たな病原体等による感染症の発生を覚知し、治療法や対処法の開発に繋げることを目的とするものです。ご指摘の、国立感染症研究所ホームページにおいては、感染症法に基づく実験室内で病原体を取り扱う際の考え方について、風邪のウイルスは「特に危険な病原体ではない」とされているものであり、急性呼吸器感染症の危険性についての指摘ではありません。いわゆる実験室内での考え方と、そもそもの急性呼吸器感染症の危険性の表記ということです。
記者:
すでに5類に位置付けられている感染症は、今回何の変更もないはずです。そのため、大臣がいくつか挙げられた感染症というものは、すでに5類に位置付けられているものですので、今回の改正とは何の関係もない話であり、今回の改正によって、今まで位置付けられていなかったものが、新たに位置付けられたわけです。この位置付けられていなかったものというのは、武見前大臣の時は、風邪コロナウイルスであることは一例として例示されていました。他に何かあるのでしょうか。位置付けられていなかったものが、今回新たに位置付けられるものとして、他に何かあるのでしょうかということが質問だったのですが、先ほどの答弁では、どれが新たに位置付けられたものなのかが少しはっきりしなかったので、もう1度教えてください。
大臣:
先ほども申しましたように、例えばARIの中で、インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱、A郡溶血性レンサ球菌咽頭炎、ヘルパンギーナなどが含まれうるということですし、例えば、それ以外でということで言えば、肺炎球菌等の細菌性の肺炎や、肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症等が含まれうると考えているということです。
記者:
その中に「風邪症候群」も含まれると、前大臣の時からも認識しています。風邪が含まれるということは、厚生労働省もパブリックコメントでも明記されていますし、そこを否定することはできないはずです。今回の答弁でも一切そのことをおっしゃらない。発熱の有無も問わずに、今回位置付けがなされたはずですので、本当に鼻水が出ている、熱は出ていないが喉が痛い、それも今回の定義に全部当てはまるはずです。全部サーベイランスの対象になるはずです。そのため、そういったものが今回5類に位置付けられたということは、今まで熱を伴わない鼻水や喉の痛みも、5類感染症と同じレベルの危険性があると認識を変更したのでしょうかとお尋ねしています。
大臣:
目的といたしましては、未知の新たな病原体等による感染症の発生を覚知するために、今回幅広く、そういったものを対象にしたということです。その中で、今おっしゃったように、現場の運用等については支障がないような形で運営していく。しっかり報告はしていただきますが、現場の運営に支障がないような形で行っていくということを、今後、現場とも調整上、行っていきたいと考えています。

(了)