福岡大臣会見概要(財務大臣折衝後)

(令和6年12月25日(水)11:39~11:53 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
先ほど、財務大臣と令和7年度予算編成に関して折衝を行いました。厚生労働大臣の折衝事項についてご説明いたします。
まず、令和7年度社会保障関係費についてです。1にありますように、令和7年度の社会保障関係費については、経済・物価動向等に適切に配慮しつつ、社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分におさめる、との方針に沿った姿を実現するなどにより、プラス5,600億円程度の38兆2,800億円程度とすることとしました。
続きまして、医薬品関係です。2の(1)、(2)にありますように、令和7年度薬価改定の対象範囲については、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給確保、国民負担の軽減の観点から、品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定しました。また、薬価改定基準の適用について、安定供給確保が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げ、新薬創出等加算の累積額については控除する等の対応を行うこととしました。今後の診療報酬改定のない年の薬価改定についても、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民負担の軽減といった要請にバランスよく対応する中で、その在り方について検討することとしました。2の(3)にありますように、後発医薬品の安定供給の実現に向け、法改正など所要の措置を講じた上で、後発医薬品供給支援基金を造成するとともに、我が国の創薬力強化のための安定的・継続的な支援の在り方について、法改正までを目途に検討し、結論を得ることとしました。
続きまして、年金制度改革です。3にありますように、年金部会における議論の整理を踏まえ、次期常会での法案の提出を目指すこととしました。将来の基礎年金水準を確保する観点から検討されている基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了については、今後の経済が好調に推移しない場合に発動され得る備えとして、安定財源の確保の必要性を明確化しつつ、検討を深めることとしました。
続きまして、生活保護制度等に関してです。4にありますように、生活扶助基準については、社会経済情勢等を総合的に勘案して見直しを行い、当面2年間、令和7年度から8年度ですが、臨時的・特例的な対応として、特例加算を月額1,500円とするとともに、加算を行ってもなお従前の基準額から減額となる世帯については、従前の基準額を保障することとしました。
続きまして、全世代型社会保障の実現等についてです。5の(1)にありますように、高額療養費制度については、現役世代をはじめとする被保険者の保険料負担の軽減を図るとともに、セーフティネットとしての役割を今後も維持していくため見直すこととします。5の(2)にありますように、医療提供体制改革については、2040年度頃を視野に、新たに地域医療構想を策定し、2027年度から同構想に基づく改革が着実に進められるよう必要な対策を図ることとしました。医師偏在対策については、新たな地域医療構想を踏まえ、重点医師偏在対策支援区域における財政支援について検討することとしました。支援の具体的な内容については、令和8年度予算編成過程で検討することとしました。
続きまして、介護職員等の処遇にかかる実態把握等です。最後に、介護職員等の処遇改善について、令和6年度の報酬改定及び補正予算で措置した施策による効果について、実態を把握するとともに、令和8年度以降の対応については、実態把握を通じた処遇改善の実施状況等や財源とあわせて、令和8年度予算編成過程で検討することとしました。
大臣折衝事項の説明は以上です。社会保障は、国民の皆様の生活に直結する分野であり、本日の折衝事項を中心に、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。この後、事務方のブリーフィングがありますので、詳細はそちらでご確認いただければと思います。私からは以上です。

質疑

記者:
夏の概算要求の時点で、いわゆる自然増の部分が4,100億円とのことでしたが、今回、1番の部分でプラス5,600億円程度となっていますが、この数字の関係性を教えてください。
大臣:
社会保障関係費については、骨太方針2024において、これまでの歳出改革努力を継続する方針の下、日本経済が新たなステージに入りつつある中、経済・物価動向等に配慮しながら具体的な検討を行うこととされており、それを踏まえて財政当局と調整を行ってきたところです。その上で、ご質問の内容については、今、最終調整中ということで承知しており、その中では、経済・物価動向等には適切にご配慮いただいており、そうした中で、社会保障予算全体の中でのメリハリ付けで、最低薬価の引き上げや生活扶助基準の引き上げなど、物価高に関連する施策の実現が可能となっているものと考えています。重ねてになりますが、その中の詳細について、今、調整中ということです。
記者:
高額療養費のところに、国費分などの記載がなかったのですが、ここがもしわかれば教えてください。 
大臣:
そこについても調整中です。 
記者:
高額療養費制度の見直しについて伺います。今回、区分の細分化や所得区分ごとの細かい引き上げを行うという見直し内容となりますが、最終的にこのような制度設計とした趣旨と意図について教えてください。また、今回の見直しがどのような意義をもつか、そして今後どういった効果が期待できるかというところと併せてお願いします。
大臣:
今回の高額療養費制度の見直しについては、高齢化や高額薬剤等の普及により、その額が年々増加しており、結果として、現役世代を中心とした保険料も上昇しているという状況が生じていました。それを踏まえて、高額療養費制度のセーフティネットとしての役割を維持しながらも、現役世代を含めた被保険者の保険料負担の軽減を図るといった観点から、今回の見直しを行うものです。今回の制度見直しについては、恒常的に発生する保険料負担の軽減を図りながらも、そのセーフティネットとしての高額療養費をしっかり堅持していくという観点から実施するものです。今後、見直しの趣旨とともに、例えば、見直し後の保険料負担軽減額や自己負担額を、年齢別や年収別にわかりやすくお示しすることが重要であると考えており、国民お一人お一人の方々が、今回の見直しについて、ご自身の負担感を含めてご理解いただけるように努めていきたいと考えています。
記者:
予算関連以外で1点お伺いしたいのですが、2017年12月22日に、当時の加藤大臣に対して、野村不動産に対する特別指導について報告が行われています。その文書を弊社が情報公開請求したところ、厚生労働省が拒み、2019年の9月には総務省の審査会が「開示すべし」というような答申を出していますが、厚労省はこれに応じず黒塗りを維持しました。その理由について、昨日、いずれも当時の大臣は加藤さんなので、加藤大臣にお尋ねしたのですが、所管の厚労省に聞いてくれと言われましたので、本日お伺いしますが、総務省の審査会の答申に応じないということは極めて少ない、1%を切りますが、なぜこのとき厚労省は、総務省の審査会の答申に応じなかったのでしょうか。
大臣:
今ご指摘がありました情報公開・個人情報保護審査会の答申においては、本件審査請求における不開示部分の一部を開示したとしても、監督指導の端緒や経緯が明らかになるおそれがあるとは認められないとされたところです。しかしながら、厚生労働省としては、答申に従って開示した場合、個別の事業場に対する監督指導の端緒や経緯が明らかとなり、今後の監督指導の円滑な運営に支障をきたすおそれがあることなどから、2019年当時、全面不開示を維持することが相当であると判断したと承知しています。
記者:
野村不動産の労災認定と特別指導については、2017年12月26日の段階で、厚労省がご自身で特別指導を公表し、なおかつ労災認定については、翌年の通常国会のやり取りの中で、当時の加藤大臣が、4月の段階で労災認定しているということをご自身が認められているわけです。つまり、特別指導と労災認定はすでに明らかになっているにも関わらず、その前の、労災認定の予定であるということを隠すことが、監督指導に一体どのような悪影響を及ぼすのでしょうか。
大臣:
具体的な、そこの関係性がどう影響するか等については、このあと、事務方にご確認いただければと思います。
記者:
昨日の加藤大臣とのやり取りの中で、加藤大臣は、国会で答弁したのは決定の報告について3月5日に、具体的に言うと弊社の報道の後なのですが、受けたと答弁したのであり、予定については何も言っていないとご説明されたのですが、つまり予定は聞いていたが、決定を聞いたのはあくまでも弊社の報道の後だと。そのため自分の答弁は矛盾していないのだとご説明されたのですが、つまり弊社は矛盾だと報道しているのですが、矛盾ではないと昨日おっしゃいました。こうした説明の仕方について、福岡大臣は、政治家としてどのようにお考えになりますか。
大臣:
今おっしゃられたように、加藤大臣は決定した時点について述べられたということについて、時系列的に矛盾は生じないということを述べられたものだと承知しています。そのことについて、私個人としてのコメントを求められるということについては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
記者:
中間年改定について、国民民主と立憲民主が廃止法案を提出しています。こうした廃止のスタンスを示している中で、衆院で与党が過半数を満たない中で、この中間年改定を盛り込んだ政府予算案について、今後の国会での成立に向けて障壁になると思いますが、どのように賛同を得て成立を目指していかれますか。
大臣:
中間年改定については、国会の審議においても様々な議論が、与党、野党問わず様々なご意見があったということは十分承知しています。その上で、今回の薬価改定においては、薬価を切り下げるだけでなく、メリハリのついた対応の一環として、例えば創薬イノベーション推進の観点から、追加的承認品目に対する加算を臨時的に実施するほか、安定供給が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施すると共に、最低薬価を引き上げることなどをしています。今後の診療報酬改定のない年の薬価改定については、大臣折衝の項目の中でも、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民負担の軽減といった要請について、バランスよく対応する中で、その在り方について検討することということとされており、そういったことを踏まえて、今後関係者のご意見を伺いながら、丁寧に検討していきたいと考えています。

(了)