福岡大臣会見概要

(令和6年11月29日(金)9:58~10:11 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
本日、「認知症施策推進本部」が開催され、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に基づき、政府が策定する「認知症施策推進基本計画」の案が了承されました。本計画案は、認知症の方とそのご家族等に参画いただき、その声を尊重し、取りまとめられたものとなっており、認知症になってからも、希望をもって自分らしく暮らし続けることができるという「新しい認知症観」に立ち、今後の認知症施策を進めていくこととしております。今後、速やかに閣議決定を行うとともに、各省庁と連携し、政府一体となって、共生社会の実現に向けて取組を進めてまいりたいと思います。 
先ほど、令和6年度の「感染症危機管理対応訓練」として、「厚生労働省対策本部訓練」を実施しましたので、ご報告いたします。本訓練は、7月の政府行動計画改定後に初めて実施した訓練であり、まず、私から、本日の閣議前に開催された「政府対策本部会合訓練」における総理指示を共有した上で、各担当から、現在の感染状況、水際対策、保健医療提供体制といった現状について報告を受け、今後の対応方針を決定するといった、感染症有事の初動対応について、改めて関係者間で確認しました。こうした初動対応を含め、平時からの備えを徹底することが感染症有事の対応の基本であり、引き続き、感染症危機管理にしっかり取り組んでまいります。 
雇用統計についてです。令和6年10月の有効求人倍率は1.25倍と、前月より0.01ポイント上昇となりました。また、完全失業率は2.5%と、前月より0.1ポイント上昇となりました。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。私からは以上です。 

質疑

記者:
患者にわいせつな行為をするなどした医師の行政処分について、厚生労働省の審議会が基準づくりの議論を打ち切ったとの報道があります。具体的に打ち切りの理由やその判断に至った経緯を教えてください。被害者と示談が成立して不起訴処分になった医師が診療を再開するケースなどが起きている中、大臣はこうしたケースへの対策の必要性についてどのように認識されており、議論が打ち切りになったことへの受け止めをお聞かせください。また今後、審議会の場などで議論を再開するのか、方針もお聞かせください。 
大臣:
ご質問は、医師法に規定している、医師の処分の判断要件である「医師としての品位を損するような行為」の解釈に関するご指摘であると承知しています。令和3年から、医道審議会医道分科会において、具体的な内容を明確化する観点で検討を進めています。本年2月に、分科会において、その時点までの議論を取りまとめたところですが、「品位を損するような行為」については、一定の方向性を示すには至らず、厚生労働省において今後も検討を継続することとされたところです。そのため、打ち切ったということではなく、引き続き検討を継続することになったということです。取りまとめを受けて、現在は、「医師法と刑事責任との関係等についての調査・検討事業」において、諸外国の状況等についても調査しているところであり、引き続き、そうした調査結果なども踏まえて、検討を深めてまいりたいと考えています。 
記者:
年収の壁について伺います。自民公明両党の幹事長が、103万の壁引き上げの議論に合わせて、106万、130万の壁もセットで議論していく方針を確認しました。すでに社会保障審議会の年金部会で議論している中、両党の意向を踏まえて、厚労省としてどのように対応するかお聞かせください。 
大臣:
「年収の壁」への対応については、就業調整を行っている労働者の方々が希望に応じて働くことができるよう、賃金要件の扱いも含めた被用者保険の更なる適用拡大などの制度的な対応にも取り組むこととし、次期年金制度改革に向けて議論を行っているところです。年末に向けて、次期年金制度改正の方向性を取りまとめていく際には、与党も含め関係各位のご意見も伺いながら、丁寧に対応してまいりたいと考えています。 
記者:
富山県が11月26日、マイナンバー紐付け誤りが新たに53件見つかったと公表しています。政府のマイナンバー総点検では3件でした。総点検後に自主的に検査し、紐付けミスは17.6倍に広がっておりますが、こういったマイナンバーの紐付けミスの調査は、全国的に調査をすべきでないかと思いますが、いかがでしょうか。 
大臣:
昨年6月から12月にかけて政府全体で実施した「マイナンバー情報総点検」では、紐付け方法が適切でないと判断された自治体等において個別データの点検を行い、判明した紐付け誤りについては、すでに解消するなどの対応を行ったところです。一方、情報の転記ミスによる紐付け誤りについては、人手が介する以上、生じえるため、各種申請時の本人確認を徹底するとともに、通常業務における定期的なマイナンバーの確認を徹底するよう明記した横断的ガイドラインをデジタル庁が策定し、本年5月に全ての自治体に対して発出したところです。富山県の事案については、本ガイドラインに基づき、県が確認を行う中で判明したものと承知しています。こうした確認については、ガイドラインの発出日から1年程度を目安に完了していただくことを推奨しており、引き続き、各自治体で取組が進むよう促してまいりたいと考えています。なお、ガイドラインでは、総点検が終了した後に判明した紐付け誤りについては、自治体において公表の要否を検討することとされているところです。 
記者:
富山の精神医療についての点検は一切していませんでした。政府の方針では。そういった政府の昨年の総点検の方針自体に不備があったのではないかと思いますが、ご認識、ご見解をお願いします。 
大臣:
先ほども申し上げましたように、改めてデジタル庁が、本年5月に全ての自治体に対して本人確認を徹底するとともに、通常業務における定期的なマイナンバーの確認を徹底するよう発出しているところです。それを受け、厚生労働省としても、自治体で取組が進むよう促してまいりたいということです。公表の判断については自治体がご判断されるということです。 
記者:
戦前に旧陸軍がハンセン病療養所の入所者に投与した薬剤「虹波」についてお尋ねします。鹿児島県でも投与された可能性があるということが、今回新たに判明していますが、これまで、熊本、東京、香川の療養所で投与されたことが報告されています。国として調査に乗り出すお考えがあるか、また、過去の会見で、熊本の菊池恵楓園が進めている「虹波」に関する検証をサポートするという発言もありますが、経過を教えてください。園側には、カルテを分析する際の医師の協力が必要という声がありますが、こうした支援策を整えるお考えがあるか、併せてお尋ねします。 
大臣:
武見前大臣とのやり取りについても確認させていただきました。戦中戦後、菊池恵楓園において入所者に対して行われていた「虹波」の臨床試験については、入所者自治会の要請も踏まえ、令和4年より園において調査が開始され、本年6月に中間報告書が取りまとめられたということは、ご承知の通りです。現在、菊池恵楓園においては、さらに「虹波」投与の実態を明らかにするため、当時の入所者のカルテを確認することが検討されていますが、このカルテ分析には医師の協力が不可欠であるため、厚生労働省においても、園と連携しながら円滑な調査を支援する観点から、必要な対応を検討してまいりたいと考えています。また、本年9月に国立ハンセン病資料館等において所蔵する資料の中で、多磨全生園、大島青松園、星塚敬愛園に関する記述があったことも確認されています。新たに確認された園の調査については、菊池恵楓園のカルテ調査の結果も踏まえながら検討を進める必要があると考えており、自治会などの関係者の方々の意向を確認しながら、丁寧に進めてまいりたいと考えています。 
記者:
新型コロナワクチンの救済制度の認定について2点伺います。予防接種健康被害救済制度における新型コロナワクチンの健康被害の認定率が年々下がっていますが、この理由は何でしょうか。2点目、10月25日の記者会見で、福岡大臣は「今回の被害者救済制度はかなり幅広く網をかけるもの」と発言されています。これによると、コロナワクチンの認定が他のワクチンよりもされやすくなっているような印象を受けましたが、実際のところ、新型コロナワクチンの審査基準は、他のワクチンの審査基準と異なるのでしょうか。 
大臣:
私が「今回の」という言い方をしたため、誤った認識をもたれた部分があったのかもしれませんが、当初、私が申し上げた意図としては、健康被害救済制度は、副反応疑い報告に比べて、かなり幅広く網をかける制度となっているという、従来の立場を説明したものであり、基準が変わったということはございません。予防接種健康被害救済制度は、新型コロナワクチンも、その他のワクチンも同様、ワクチン接種後に何らかの健康被害が生じた事例について「厳密な医学的な因果関係までを必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」という共通の考え方に基づき審査、認定を行っているところです。ご指摘の認定率は、こうした考え方に則って、1件1件個別に審査を行った結果として算出された数値であり、現時点でその数値の推移に何か意味があるというようには捉えていません。 
記者:
認定の推移を見ますと、当初アナフィラキシー等から審査が始まり、私の考えでは、認定されやすいものから先に審査が始まり、難しいものが残っているという印象を受けましたが、そういったことは起こっているのではないでしょうか。 
大臣:
1件1件しっかり審査を行った上での積みあがった数字であり、今ご指摘があったことも含め、どういうものがあるかについては、私は現時点では承知していません。引き続き精査してまいりたいと思います。 

(了)