福岡大臣会見概要

(令和6年11月22日(金)10:42~10:57 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
明後日11月24日から30日までの1週間は「医療安全推進週間」です。「医療安全推進週間」は、患者の安全を守るための医療機関や医療関係団体による取組の推進を図るとともに、この取組について患者様・国民の皆様にご理解を深めていただくことを目的としているものです。今年度、厚生労働省では、国民の皆様に医療安全への関心を高めていただくため、「劇場版ドクターX」とタイアップし、「医療の安全のこと、一緒に考えてみませんか」をキャッチコピーに周知することとしました。また、医療安全に向けた取組や、患者様の役割について理解を深めていただくため、医療機関の実際の取組を取材した動画を作成し、周知を進めていきます。厚生労働省としては、患者様や医療従事者の方々を含む全ての関係者が協働して患者様の安全を目指すことが重要だと考えており、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。こちらに周知のためのポスターを掲げさせていただいております。私からは以上です。 

質疑

記者:
高額療養費制度の自己負担額についてお伺いします。上限額の引き上げや所得区分を細分化する案が、昨日の審議会で提示されました。高齢化が進み医療費が膨らむ中、現役世代等の社会保険料負担の軽減が狙いの1つにあると思いますが、改めて上限を見直す狙いを教えてください。また、高額の保険料を負担している高所得者といった、上限の見直しで自己負担が増える人から反発も予想されますが、制度の公平性をどう担保し、理解をどう得ていくか、大臣のお考えを教えてください。 
大臣:
高額療養費については、昨年末に閣議決定された「改革工程」において、「高額療養費の自己負担限度額の見直し」が盛り込まれており、先週開催された「全世代型社会保障構築会議」において、負担能力に応じた負担を求める観点や、保険料負担の軽減といった観点から、見直しを早急に求める意見があったところです。このような中、社会経済情勢については、高齢化の進展、医療の高度化等により高額療養費の総額が年々増加している中で、近年、高額療養費の自己負担限度額の上限が維持されてきたことから、医療保険制度における実効給付率は上昇しており、物価・賃金の上昇など経済環境も変化しているという状況にあると考えています。こうした状況を踏まえ、現役世代を含めた全ての被保険者の保険料負担の軽減を図るため、セーフティーネットとしての高額療養費の役割については維持しながら、負担能力に応じた負担を求める観点から、検討の方向性について、昨日の審議会において議論を行ったものです。審議会においては、引き上げの必要性は理解するといった声や、一方で、セーフティーネットとしての機能が果たされるようにすべきといった声など、様々なご意見があったと報告を受けています。いずれにせよ、見直しにあたっては、必要な保障が欠けることのないよう、見直しによって生じる影響を考慮しながら、丁寧に進めてまいりたいと考えています。 
記者:
医師の偏在対策、特にそのうち経済的インセンティブについてお伺いします。一昨日開かれた検討会で、厚労省は対策に必要な財源の一部を保険料財源から拠出するとして対応する案を示されましたが、保険者などからは慎重な意見も出ました。こうした意見もある中、今後、年末の対策パッケージの策定に向けて、経済的インセンティブについてどのように具体化を進めていくお考えでしょうか。また、偏在対策に保険料財源を活用することの趣旨・意義とともに、あわせてお伺いできればと思います。 
大臣:
医師偏在対策については、年末に向けて、「新たな地域医療構想等に関する検討会」を中心に、経済的インセンティブ、規制的手法等を組み合わせた総合的な対策のパッケージの検討を進めているところです。11月20日に開催された検討会においては、経済的インセンティブの具体的な取組案として、医師不足地域における承継・開業する診療所への支援、また医師への手当増額といった支援等をお示ししたほか、一定の支援策については、保険者からの拠出を求めてはどうかという論点を提示したところです。支援の在り方や保険者からの拠出の必要性等に関しては様々なご意見をいただいたところです。こうしたご意見も踏まえながら、引き続き、検討会や関係審議会等において、都道府県、医療関係者、保険者等のご意見を伺いながら、今後も「保険あってサービスなし」という地域が生じないよう、関係者が一丸となって適切な医療サービスを支える仕組みづくりを検討していきたいと考えています。 
記者:
マイナ保険証の本格導入が12月2日に迫っています。国民が使い慣れた健康保険証を廃止してマイナ保険証を基本とする、政府の狙いやビジョンを改めてお教えください。また、先日の閣議後会見で、マイナ保険証の利用促進のため国民の不安解消に向けた取組を続けるとおっしゃっていましたが、国民のどのような不安をどのように解消するのか、取組について具体的に教えていただけませんでしょうか。 
大臣:
我が国が置かれている少子高齢化・人口減少社会の状況の中において、医療DXを推進し、より質の高い医療やケアを効率的に提供する体制を構築することは、大変重要なことだと考えています。医療DXの成果を国民の方々に還元していく上では、マイナ保険証を基本とする仕組みへと移行しながら、医療情報の2次利用も含めて、我が国の医療の進歩や、医療の質の向上にも繋げていく必要があると考えています。マイナ保険証は、医療DXの基盤として、過去の医療情報を活用したより良い医療の提供を可能にするなどのメリットがあり、こうしたメリットを多くの国民の皆様にいち早く実感いただくため、本年12月2日から、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとしています。他方、国民の皆様からは、12月2日からは保険証は使えなくなってしまうのかといった声や、マイナ保険証を持っていない場合にどのようにして医療にかかればよいのかといった、様々な不安の声も寄せられていると承知しているところであり、マイナ保険証への移行に際しては、最長1年間、現行の保険証を使い続けられること、またマイナ保険証をお持ちでない方も、申請によらず、保険者から資格確認書が交付されることなど、全ての方々が安心して保険診療を受けられる環境整備に取り組んでいきます。具体的には、国民や医療機関等の双方に対して、こうした対応を周知するためのチラシを作成するほか、高齢者・障害者の方々がマイナ保険証や資格確認書をご利用するにあたり、ご本人やそのご家族、支援者の方々に向けたマニュアル等も作成し、周知しているところであり、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行に向けて、引き続き、国民の方々の不安解消に向けた取組を進めていきたいと考えています。 
記者:
例年であれば近く閣僚の資産が公開される時期かと思います。大臣ご自身の資産への評価と、資産公開制度に関して制度の意義や必要性などをどのようにお考えかお聞かせください。 
大臣:
資産公開制度については、公職にある者としての清廉さを保持・促進し、行政への国民の信頼を確保し、もって行政の円滑な運営に資するものと承知しています。公職に就いている以上、国民の皆様から疑念を抱かれないよう公開するものと考えています。私自身に関しては、大臣等規範に照らして問題ないと考えています。個別の内容については、会館事務所にお問い合わせいただきたいと思います。 
記者:
11月18日、新型コロナワクチンを接種した11歳の男子の突然死の事例が、予防接種健康被害救済制度において認定されました。こちらの事例は、副反応疑い報告に掲載されている、2022年12月にワクチン接種し、その後、4時間後に風呂で水没、当日死亡した事例だと思われます。同様に13歳の男子が接種4時間後にお風呂で水没、当日死亡した事例も救済制度においてすでに認定されています。厚生労働省は以前、「ワクチンを接種した日にお風呂に入ってもかまいません。入浴により何か不具合が起きる可能性は低いと考えられます」と案内していましたが、現在では「入浴により何か不具合が起きる可能性は低いと考えられます」という一文は削除されています。この一文がいつ、どういった理由で削除されたのか、そして現在はワクチン接種者が入浴するリスクについてどのようにお考えか、教えていただけますでしょうか。 
大臣:
ご指摘については、審議会において、一般論として、ワクチン接種後に体調が悪いときは無理をせず入浴を控えるという趣旨を、Q&Aに追加して情報発信してはどうかとのご意見があったことを踏まえ、修正したものです。ワクチンを接種した方が入浴するリスクについては、現在でも、体調が悪い場合を除き、ワクチン接種後に入浴することについては問題ないと考えていますが、新しい知見が得られた場合には、速やかに情報提供を行っていきたいと考えています。 
記者:
体調が悪いときに風呂を控えるということは一般論として理解しますが、コロナのワクチンを打ったあと、特段気をつけた方がよいのかどうか。例えば副反応疑い報告には、私が調べた限りですが、風呂の中での死亡事例が50例ほどあると思います。ワクチンと風呂という観点では特段何かお伝えするようなことはありますでしょうか。 
大臣:
入浴とワクチン接種の因果関係等については、専門家の方々によってしっかり分析していただくということだと思いますが、現時点においては、先ほど申し上げたように、体調が悪い場合を除き、ワクチン接種後に入浴することについては問題ないと考えており、専門家の方々のご評価によって新たな知見が得られた場合には、速やかに周知を図りたいということです。 
記者:
初入閣されてから50日が経過しました。福岡大臣は、就任前は、薬害再発防止の制度実現に取り組む国会議員連盟の事務局次長をされていました。厚生労働大臣に就任し、薬害再発防止に向けた取組を行う立場から、新型コロナワクチンの接種を国民に求める立場に変わり、良心の呵責からか最近元気がないように見受けられます。新型コロナワクチン政策に関して、厚生労働大臣として執務されての現時点での感想をお聞かせください。想定通りだったこと、想定外だったこともあれば、あわせてお聞かせください。 
大臣:
私が元気がないということはございません。その上で申し上げますと、新型コロナ感染症については、例年、冬にかけて感染者の増加が見込まれます。まさにこれから感染者の増加が見込まれるため、厚生労働省としては、ワクチン接種の検討の呼びかけを含め、国民の皆様に必要な情報提供を行うとともに、感染対策の呼びかけを進めていきたいと考えています。私としては、ワクチンを接種したいと思う方が安心して接種いただけるような環境整備をしていく必要があると考えており、引き続き、科学的知見の収集に努めるとともに、専門家にご評価いただき、ワクチンの安全性の評価を適切に行い、再三になりますが、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関等に情報提供するといった対応を行ってまいりたいと思います。新型コロナワクチンの定期接種については、重症化予防を目的としており、例年、冬にかけて感染拡大が見られていることから、定期接種の対象の方は、接種のご検討をお願いしたいという立場については、一貫したものです。 
記者:
救済制度において健康被害が増えているのは事実です。良心の呵責というものは心の中にありますでしょうか。 
大臣:
そこについては、お話いただきましたように、私は薬害の問題もずっと取り組んできました。一方、「ドラッグ・ラグ」や「ドラッグ・ロス」の話で、薬を早く自分は使いたいけれど、なかなか海外で承認されているものが国内では使えない方々のもどかしい思いにも接してきたところです。そうした中において、当然、安全性をしっかり確認していく。それは承認段階だけでなく、その後もいろいろな知見を集積しながら、安全状況について確認しながら、やはりそこは必要な情報を開示しながらワクチンや薬を求めていらっしゃる方にしっかり薬が行き渡る環境整備に努めていくということも私の責務だと考えています。 

(了)