福岡大臣会見概要

(令和6年11月15日(金)10:39~10:52 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にございません。 

質疑

記者:
国立社会保障・人口問題研究所が12日に公表した都道府県別の世帯数の将来推計で、2050年に単身世帯の割合が27都道府県で4割、65歳以上の単身世帯が32道府県で2割を超える見通しとなりました。一人暮らし化が進むことで家族を前提としたセーフティネット機能が低下し、身寄りのない高齢者や孤独死など様々な課題への対応がますます重要になりますが、この将来推計への受け止めと、厚生労働省としてどう対策に取り組んでいくか、お考えをお聞かせください。 
大臣:
今月12日に、国立社会保障・人口問題研究所が公表した都道府県別世帯数の将来推計において、婚姻率の低下などにより、2050年に向けて単独世帯の割合が全ての都道府県で上昇が続くことが示されたところです。単身高齢者の方も含め、誰もが住み慣れた地域で、孤立せずに安心して暮らせるような社会づくりが、今後、ますます重要になると感じています。このため厚生労働省としては、単身等の高齢者の身元保証や日常生活の支援等を行う「終身サポート事業」に関する事業者向けのガイドラインの周知や、身寄りのない高齢者等に対する相談窓口の整備や、日常生活、死後事務といった支援を総合的に提供するモデル事業を実施しているところです。また、身寄りのない高齢者の方々が抱える課題への対応については、現在、地域共生社会の在り方検討会議において、必要な支援策の検討が進められているところです。引き続き、地域で住民の方々がお互いに支え合い、ともに暮らしていく「地域共生社会」の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。 
記者:
弊社の取材で、薬局や病気にかかった人から「咳止め薬がない」「解熱剤がない」といった声が多く寄せられています。この件に関連して、咳止めや解熱剤の不足について厚生労働省の認識をお伺いします。現在もこれらの薬が不足しているという認識でしょうか。また、薬が不足しているなら、どのような理由で不足していると考えられていますか。例えば生産量が減っている、あるいは特定の病気の流行などは原因にあたりますでしょうか。さらに、対策などすでに講じていることがあれば教えてください。そして一連の状況について、大臣のご所感や、また、困っている医療関係者・国民に呼びかけをお願いします。 
大臣:
医療用医薬品の供給状況について、令和6年9月時点の調査において、約19%の品目で限定出荷・供給停止の状況であり、状況は改善してきているものの、未だ供給不安が完全に解消されていない、そのような状況であると認識しています。特に解熱鎮痛剤といった感染症の対症療法薬の供給不安に対しては、昨年来、メーカーへの増産要請や生産体制整備に向けた補助を行ってきており、製薬企業からは、「昨年同期以上の出荷量を確保可能であり、一定程度、増産余力もある」ことを確認しています。解熱鎮痛剤、咳止め等については、医療機関・薬局で手に入りにくい場合の相談窓口を厚生労働省に設置しているので、医療関係者におかれては、もしそのような状況が生じた場合には、今後もご活用いただきたいと考えています。ここ数年の医薬品の供給不安の要因については、メーカーの薬機法違反を契機とした供給量低下などが考えられますが、少量多品目生産による非効率な製造といった、後発医薬品産業の構造的課題が大きな要因であると考えています。このため、5年程度の集中改革期間を設定して、金融・財政措置等の企業間の連携・協力・再編を後押ししていきたいと考えています。 
記者:
独立行政法人医薬品医療機器総合機構、PMDA設置の背景について質問します。12日の会見で、私が「PMDAは米国が自国の製薬企業の製品を日本に早く承認させるため、『年次改革要望書』を通じて我が国につくらせた機関」と申し上げたことに関し、福岡大臣は「それに則ってつくられた組織ではない」と繰り返し否定されました。しかし、「年次改革要望書」の2002年版には、「薬事法の改定と、医療機器・医薬品の承認審査を行う新たな審査機関の設置は、日本の薬事制度のスピードと効率を向上させるとともにバイオ・ゲノム時代の新たな課題に適応するための重要な措置である」と書かれ、新たな審査機関の設置を促しています。さらに2003年版では、「日本は薬事法を改正し、医薬品・医療機器の承認及び承認を所管する新たな機関を設けた。米国政府は云々、医薬品医療機器総合機構の設置を歓迎する」と評価しています。PMDAが米国の要望を受けて設立されたのは明らかではないでしょうか。改めて大臣の見解をお聞かせください。 
大臣:
前回の会見後に資料もお出しいただきありがとうございました。その上でお答えいたしますと、平成16年のPMDAの設立以前、医薬品・医療機器の審査業務は、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター、財団法人医療機器センター、認可法人医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、この3つの機関が担っていたところです。当時、いわゆるドラッグ・ラグが生じており、その解消のため、審査期間の短縮といった業務の効率化が急務だった、そのような背景があります。その背景に加え、当時政府をあげて取り組んでいた特殊法人整理合理化の動きもあり、これらの機関の業務を統合し、質の高い審査官の増員等により、より有効でより安全な医薬品・医療機器をより早く国民の方々にお届けするため、平成13年、2001年12月に閣議決定された「特殊法人整理合理化計画」においてPMDAの方針が決定されたところです。こうした流れの中でPMDAが設置されたところであり、ご指摘のあった、PMDAは「年次改革要望書」に基づいて設置されたということについては当たらないと考えています。 
記者:
米国からの日本への要望書は、宮澤内閣、クリントン政権の時代から、1993年からずっと続けられており、その中でドラッグ・ラグの問題においては、米国がしびれを切らして日本に早く承認せよといったことを毎年要求していたと私は認識しています。こういった米国からの要請があったことは、大臣はお認めになりますか。 
大臣:
ドラッグ・ラグの問題については、ラグが生じることで、国内で薬を必要とされている方に薬が早く届かないといった国内的な問題というものが原点にあると考えています。ドラッグ・ラグへの対応であったり、特殊法人整理合理化を背景として、ご指摘の「年次改革要望書」が出された以前から、PMDA設置の方針については進められて決定しており、それが米国からの影響によって左右されたということは当たらないと考えています。 
記者:
PMDA設置以前は、非常に厚労省は慎重に新薬の承認審査をやっていたと思います。期間も長かったと思います。PMDAができたことによって、副反応被害者もたくさん生まれていますし、その承認審査の短縮と引き換えにこうした現象が増えていることはお認めになりませんか。 
大臣:
薬を承認するにあたっては、その安全性をしっかり確認することが大事だと思っています。その上で、先ほど申し上げました、組織が、いろいろなものが並び立っていることによって審査期間が長引くということの弊害が指摘されている中で、その整理・合理化を図る中で、より効率的な体制の下でしっかりした審査が行える体制をつくっていく、その下で行われたと承知しています。 
記者:
PMDA設置後、副反応被害が増えていることはお認めになりませんか。 
大臣:
その点については、今、手元に数字を持ち合わせていません。しっかりその情報を確認したいと思います。 
記者:
マイナ保険証利用率について質問します。9月の国家公務員のマイナ保険証利用率が国民全体の利用率より低い結果となりました。国民にはマイナ保険証利用を強引、強力に推し進めてきましたが、結果として国民より低い利用率となったことについてどのように評価・分析されていますか。 
大臣:
本年9月時点の国家公務員共済組合のマイナ保険証の利用状況を公表した際、厚生労働省においては、本省支部の利用率が28.50%、国共済全体としては、利用率が13.58%でした。いずれも十分に普及していない状況だということはご指摘の通りだと思います。国家公務員については、率先してマイナ保険証を使っていただくよう、各省庁の共済組合を通じ、メール等での利用勧奨等を行ってきたところですが、厚労省においての本省支部は28.50%であるように、各支部、省庁によって、かなり利用率等が違う状況があります。そういったことを受け、利用状況が低調な加入者の多い組合を中心に働きかけるなど、引き続き、利用促進の取組を行っていく必要があると考えています。 
記者:
関連して、厚労省は、公立病院や各保険者に11月末時点で50%の利用率の目標設定を依頼してきました。健保組合が負担する後期高齢者支援金の加減算制度において、50%を超えたら加点対象となるなど経済的インセンティブも駆使して利用促進に駆り立ててきました。国家公務員のマイナ保険証利用率が11月末時点に50%に到達しなかった場合、12月の保険証新規発行停止は延期すべきではないでしょうか。 
大臣:
私も再三申し上げてきたように、医療DXの基盤であるマイナ保険証には、より良い医療の提供を可能にするなどのメリットがあり、こうしたメリットをいち早く国民の皆様に実感していただくため、法律で定められたスケジュールに沿って、12月2日のマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行に向けて、現在、取り組んでいるところです。マイナ保険証への移行に際しては、最大1年間、現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない方には、申請によらず、資格確認書を発行するなど、全ての方々が安心して確実に保険診療を受けていただける環境整備に取り組むこととしており、国民の皆様の不安の解消に向けた対応を丁寧に講じながら進めてまいりたいと感じています。スケジュール通り進めていくということですが、そこにご対応いただけない方に関しては、しっかり丁寧に対応していくということです。 
記者:
50%の目標を国家公務員が達成しないことについてどう思われますか。 
大臣:
50%ということについて、利用率を上げていただく、そういう取組についてそれぞれしていただく。それは今後とも引き続きやっていく中で、まだマイナ保険証の登録をしていただいていない方については、引き続き丁寧に対応していきたいということです。 

(了)