福岡大臣会見概要

(令和6年11月1日(金)10:18~10:31 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行等について申し上げます。本日、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されます。本法は、個人で働くフリーランスの方に業務委託を行う発注事業者に対し、取引条件の明示や買いたたきの禁止等の取引の適正化、育児介護等と業務の両立に対する配慮やハラスメント対策のための体制整備等を義務付けるものです。フリーランスの方は、発注事業者に本法違反と思われる行為があった場合には、その旨を全国各地の都道府県労働局や公正取引委員会・中小企業庁にご相談ください。また、広く取引上のトラブルなどがある場合などには、弁護士にワンストップで相談できる「フリーランス・トラブル110番」にご相談いただくことも可能です。厚生労働省としては、公正取引委員会・中小企業庁と連携しつつ、フリーランスの方の就業環境の整備を進めてまいります。また、本法上のフリーランスの方であっても、これまで労災保険の特別加入の対象となっていなかった方々も、本日から新たに特別加入の対象となります。これにより、委託された業務に起因するケガや病気等に対して補償を受けられることとなります。さらに、請負契約や委任契約といった契約の形式や名称に関わらず、働き方の実態として労働者である場合は、本法は適用されず、労働基準関係法令が適用されます。このため、本日より、全国の労働基準監督署に「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」を設置し、自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考えるフリーランスの方からの、労働基準関係法令の違反に関する相談に対応していきます。これらの取組を進め、フリーランスの方が安心して働ける環境を整備してまいります。 
もう1点申し上げます。お配りしている資料のとおり、厚生労働省では、本年度も、本日から経験者採用の募集を開始しました。これまで一般職では毎年40名程度採用しているほか、総合職では一昨年から経験者採用を開始し、2年間で計13名を採用しました。社会人としての経験を踏まえて、即戦力としてご活躍いただいています。厚生労働行政は、人生のあらゆるステージに寄り添っていくことが求められる非常に重要な行政分野であり、様々なバックグラウンドを有する多様な人材が活躍できる機会が豊富な職場環境だと思います。ぜひ、この機会に、多くの方にご応募いただきたいと考えています。私からは以上です。 

質疑

記者:
現在、自民党と国民民主党の政策協議の中で、所得税の課税対象基準である「103万円の壁」が注目を集めています。厚労省の所管する社会保険については、「106万円」ないし「130万円」のハードルがありますが、これらへの影響をどのように考えていらっしゃいますか。 
大臣:
まず、今ご指摘があった点について、政党間の協力にあたっての個別の政策の取扱いについては各政党間で議論されるべき事柄であり、現時点で、それを前提とした質問について政府として回答することは差し控えたいと思います。ご指摘の「106万円の壁」、「130万円の壁」への対応策については、当面の対応策として「年収の壁・支援強化パッケージ」を取りまとめており、パッケージの活用にまずは取り組んでいきたいと考えています。さらに、その上で、就業調整を行っている労働者が希望に応じて働くことができるよう、被用者保険の更なる適用拡大などの制度的な対応にも取り組むこととし、次期年金制度改革に向けて議論を行っているところです。年末には議論を取りまとめることができるよう、社会保障審議会年金部会等において関係者の意見を伺いながら、引き続き丁寧に対応していきたいと思います。 
記者:
健康保険証の新規発行停止が明日で残り1か月となります。それに関して何点かあわせて伺います。直近の利用率、マイナ保険証は13.87%と低迷していますが、現状のそれに対する認識と、利用向上に向けてどのように取り組んでいくかという点、また、医療機関の窓口で「保険証資格の確認ができず10割負担を請求された」という報道も出ていますが、トラブルに対する不安の声もまだあります。不安払拭に向けて、どのように取り組んでいくお考えでしょうか。加えて先日、厚労省から発表がありましたが、厚労省の職員を装いマイナ保険証への利用登録を電話で求めるという、詐欺と疑われる事案が発生したということもありました。こういったことも含めて、注意喚起、また新たな対策などあれば、あわせてお伺いできればと思います。 
大臣:
直近9月のマイナ保険証の利用件数は2,715万件、利用率は13.87%と、上昇傾向にはあるものの、更なる利用促進の取組が必要であり、具体的には、マイナ保険証に関するメリットの広報や、マイナ保険証の利用実績に応じた加算の周知などを行っていきたいと考えています。マイナ保険証は、過去の医療情報を活用したより良い医療の提供を可能にするほか、リアルタイムでの薬剤情報の共有が可能になる、救急医療の現場で医療情報の共有が可能になる、患者のカルテ情報を医療機関等が電子的に送受信できるようになるなど、そのメリットが増えていくものです。まだマイナ保険証を使ったことがない方には、まずは1度使っていただき、こうしたメリットを実感していただきたいと考えています。 あわせて、12月2日に保険証の新規発行を終了するにあたり、不利益を感じる方がないよう、当面、最大1年間、保険証が使用可能とするほか、マイナ保険証の利用登録をされていない方には職権で資格確認書を発行するなど、国民の皆様の不安の解消に向けた対策を丁寧に講じていきたいと考えています。 ご指摘の一部報道については、マイナンバーカードでオンライン資格確認ができなかった場合でも、マイナンバーカードとマイナポータルの資格確認画面を提示することで資格確認が可能なほか、過去の資格情報の口頭確認や、資格申立書を記載いただくことで、10割負担ではなく、3割等の適切な自己負担割合によって受診できます。こうしたことの周知を含め、マイナ保険証へのスムーズな移行が図られるよう、対応に万全を尽くしたいと思います。今までも周知してきていますが、さらに周知を徹底していきたいと考えています。 また、ご指摘の詐欺と疑われる事案に関しては、今回のようなマイナンバーカードの健康保険証への利用登録を含め、厚生労働省の職員が、直接国民の皆様に対して電話を差し上げることは決してございません。さらに言えば、健康保険証の利用登録は電話で行うことはできない仕組みとなっています。このような不審な電話を受けた方におかれましては、すぐに110番していただいたり、また「♯9110」へ通報いただくこと、マイナンバー等を答えてしまったら「マイナンバー総合フリーダイヤル」にご連絡いただきたいという点を、厚生労働省のホームページ上で注意喚起したところであり、十分にご注意いただけるよう、報道機関の皆様方にも、ぜひ周知をご協力いただければと思います。今後とも、マイナ保険証のメリットをいち早く多くの国民の皆様に実感いただけるよう、利用促進に取り組んでいくとともに、国民の皆様の不安払しょくに向けた取組もしっかり進めていきたいと考えています。  
記者:
ワクチン関連で、Meiji Seikaファルマ社が原口一博議員を名誉毀損で提訴する準備を進めていると報道されていますが、製薬会社が国会議員を訴えるという行為に及ぶことが妥当な手続きなのでしょうか。例えばそれが自社製品を批判する言論であっても、科学の言葉、言論でもって応じるべきではないでしょうか。言論の自由は憲法上で保障されている最も重要な権利の1つであり、その言論の自由が強く保障されている国会議員ですら訴訟対象になるとすれば、報道機関や医療従事者、研究者、専門家など、またワクチン接種により健康を損ねた方々の発言すらをも萎縮させてしまい、誰も批判的なことを言えなくなります。科学的議論は相互批判の連続であり、それが科学の進歩の歴史です。反対論陣を張るものに対しても、提訴ではなく、公開討論などを通じた科学的な議論が行われるべきだと考えますが、スラップ訴訟とも言うべきこのたびの提訴について、福岡大臣のお考えを教えてください。 
大臣:
Meiji Seikaファルマ社が原口一博議員を提訴する準備をしているとの報道があったことについては承知していますが、この件について、政府としてコメントするということについては差し控えさせていただきたいと思います。 
記者:
前回に引き続き、厚生労働省が公表していた、新型コロナワクチン「注意が必要な誤情報」について伺います。「ワクチン接種により月経への影響が起こる」は誤情報であるとなっていましたが、一方で厚生労働省は、予防接種健康被害救済制度において、既に、女性の不正出血の事例を救済認定しています。「ワクチン接種により月経への影響が起こる」は現在も誤情報であるという見解のままなのか、それとも多少でも変更があったのか、教えていただけますでしょうか。 
大臣:
前回お答えしたとおり、ご指摘の「注意が必要な誤情報」については、新型コロナワクチンの情報に関し、新型コロナウイルス感染症の特徴や、ワクチンの有効性や安全性について、世の中に誤解を与え、ミスリードする可能性がある情報を幅広く情報提供する観点から、「誤情報」として本年3月まで厚生労働省のホームページに掲載したものです。なお、副反応による発熱や体のだるさなどのストレスで、月経周期が乱れる可能性はありますが、ワクチンが直接作用して月経不順を起こすという根拠はなく、「ワクチン接種により月経への影響が起こる」は、世の中に誤解を与え、ミスリードする可能性がある情報であるという認識については、変わりはありません。今後とも、最新の知見を踏まえ、接種に係る正しい情報を提供していくことが必要であると考えており、ワクチンの有効性や安全性に関し、科学的根拠や信頼できる情報源に基づいていない不正確なものなどについて、国民の皆様に広く注意喚起することは引き続き重要であると考えており、その立場は変わっていません。 

(了)