武見大臣会見概要

(令和6年9月21日(土)8:55~9:03 中央合同庁舎5号館1階タリーズ前)

広報室

会見の詳細

発言要旨

武見大臣:
先ほど、総理と一緒に大石知事・鈴木市長と面会をいたしました。この中で、まず、これまで厚生労働省・長崎県・長崎市との間で調整を続けてまいりました具体的な対応策について総理からお話しがありました。具体的には、被爆体験者を対象として行われている現行の事業を抜本的に見直し、被爆者と同等の医療費助成を行うことといたします。今般の訴訟の原告であるかどうかに関わりなく、これまで被爆体験者とされてきた方々全員を対象として、精神疾患の発症は要件とせず、また、精神疾患に関連する限定的な疾病に限らず、幅広い一般的な疾病について被爆者と同等の医療費助成を行う事業を創設いたします。このような新たな事業の創設による医療費助成の抜本的な拡充にあたりましては、現行の精神影響等調査研究事業といったかたちではなく、精神科の受診を不要とするなど利便性を高めた端的な医療費助成事業といたします。年内のできるだけ早い時期に医療費から助成を適用することとし、この新たな事業の詳細設計を長崎県・長崎市と早急に調整してまいります。
次に、長崎地裁判決への対応についてですが、ご案内のように、原告44名の方については先行する訴訟で最高裁まで争われ、手帳を交付しなかった県市の処分は適切であるとの判決がすでに確定しています。一方で、今回の地裁の判決では、このうち29名の方については再度同じ判断が、残る15名の方については異なる判断が示されました。本判決では、15名の方を被爆者と認める重要な根拠の1つとして、この15名の方が原爆投下時に居住されていた地区の一部に「黒い雨」が降った事実を認定しておりますが、この事実認定の根拠として用いられた重要な証拠資料について、先の最高裁で確定した先行訴訟では、バイアスが介在している可能性が否定できないとして、事実認定の根拠として用いておりませんでした。その結果として今回とは異なる判決となったわけです。このように司法判断の根拠に対する考え方が、最高裁で確定した先行訴訟と今回の判決で異なるということから、上級審の判断を求めることが必要と考えるわけです。こうした根拠が不確かな要素を組み合わせて個別の原告に対して示された司法判断であり、同じ事情を持つ他の同様の地域に関する考え方が示されていないために、被爆者健康手帳を交付すべき統一的な基準をつくることが難しく、令和3年広島高裁判決と比べても、本判決における根拠に基づいた被爆者援護法の公平な執行は困難であると考えています。したがって、法務大臣とも相談の上、この15名の方を被爆者と認めた長崎地裁判決については、上級審の判断を仰ぐべく控訴せざるを得ないと考えております。知事・市長におかれましては、苦渋のご決断をお願いすることになりますが、ご理解をいただけるようお願いをしたところでございます。なお詳細につきましては、この後、事務方から説明させていただきます。