武見大臣会見概要

(令和6年5月24日(金)9:43~9:55 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
令和6年3月の大学等卒業者に係る4月1日現在の就職率は、大学卒業者が98.1%、短大卒業者が97.4%、専門学校卒業者が97.5%となりました。 大学卒業者と専門学校卒業者の就職率は、調査を開始した平成8年度以降の最高値となっています。これは、人手不足感が高まる中、採用活動に積極的な企業が増加し、学生が就職しやすい売り手市場が続いていることによるものと考えます。厚生労働省としては、未就職のまま卒業された方に対して、大学等とも連携の上、新卒応援ハローワーク等において、担当者制によるきめ細かな就職支援を行うとともに、既卒者が卒業後少なくとも3年間は「新卒枠」に応募できるよう、引き続き、経済団体等に働きかけてまいります。
派遣労働者の同一労働同一賃金を労使の協定で実施する場合に参照していただく「一般労働者の賃金の水準」、職業安定局長の通知ですが、その一部数値に誤りがあり、本日訂正し、公表いたしました。原因は事務的なミスであり、今後このような誤りがないよう、再発防止を徹底するよう速やかに事務方に指示を出しました。関係者の皆様にご心配、ご迷惑をおかけすることとなりましたことを深くお詫び申し上げます。広く使われている数値ではありませんが、今回の訂正の結果、現在の賃金が「一般賃金の水準」に満たなくなる場合は、派遣元の労使で、対応を検討いただくよう要請することとしています。この要請を受けて、対応をいただく事業主に対する支援策を労働政策審議会で議論いたします。詳細については、この後、事務方から説明いたしますので、その際にお尋ねください。

質疑

記者:
冒頭の大学等の就職率について伺います。今回過去最高という結果でしたが、これに関しての大臣の率直な受け止め、ポジティブな気持ちとして受け止められているのか、またこうした高い水準が今後続くかどうか、どうお考えでしょうか。
大臣:
就職率が高い水準となったのは、コロナ禍による就職・採用活動への影響がほぼなくなり、企業の人手不足感が様々な業種で高まっていることが1つ大きな背景になると思います。またそれによって、学生にとっても求人の選択肢が増えたことがその背景だと考えます。一方で、希望に反して就職が決まらないまま卒業する方もまだいらっしゃいますので、厚生労働省では全国の新卒応援ハローワーク等において、こうした方々が抱える課題にも、それぞれの事情に寄り添って支援していきたいと考えています。
記者:
22日に、悪質ホストクラブ被害の当事者の方と支援団体の方と面会されました。面会の後に当事者の方や支援団体の方は、「大臣に署名を受け取ってもらえたことがまず第一歩」「被害の現状について大臣に丁寧に聞いていただいた」との声がありました。改めてそこで当事者の方や支援団体の方からお話を聞かれた大臣の感想と、これから厚生労働省としてどう対応されるかお聞かせください。
大臣:
実際に当事者の方からお話を伺い、この問題の持つ悪質さと、そしてやはり深刻さ、それが全国まで広がっているという事態の深刻度というものを、よりきめ細かく理解させていただく機会になったと思います。ホストにおいて女性が多額の借金を負わされ、売春等を強要させられることは、あってはならないことです。22日に面会した被害の当事者の方からは、借金の返済のために海外で売春をさせられ現在も生活を立て直せずに苦しんでいる、大学生の娘が多額の借金を背負い売春をさせられ家からも出て行ってしまい、親として何とかしたいものの解決の方法が見つからない、親からの虐待等により自分の居場所がホストクラブしかない状況に追い込まれ、ホストによる管理売春の仕事をさせられたなど、自らの苦しい体験や思いについてお話をしていただき、この事態の深刻さを改めて認識しました。したがって、女性支援新法を私どもは所轄しておりますし、そのための女性相談支援センター等が全国にございます。そうしたところを窓口にして、このような悪質ホスト問題に係る相談を、よりしっかり寄り添って対応できるよう、その体制の強化を図るよう、直ちに関係局長に指示を出したところです。
記者:
個人型確定拠出年金「イデコ(iDeCo)」についてお伺いします。自民党の金融調査会が先日提言案をまとめた中で、「拠出限度額の大幅な拡充など、大胆な改革を求めたい」と明記しました。このことへの受け止めをお願いします。また、政府が2022年11月に決定した「資産所得倍増プラン」にも「拠出限度額引上げ」の記述がありますが、今後、社会保障審議会などでどのように議論を展開していくのか、税制との関係も含めてお聞かせください。
大臣:
金融調査会の提言案については、承知しています。政府の資産所得倍増プランにおいて、イデコ(iDeCo)の拠出限度額の引き上げや受給開始年齢の上限の引き上げについては、2024年の公的年金の財政検証にあわせて結論を得ることとされているところです。現在、社会保障審議会企業年金・個人年金部会において、イデコの拠出限度額の引き上げを含む私的年金制度の各課題について議論を進めていただいているところであり、ご指摘のように税制改正も関わってくるところであるため、年末の議論の取りまとめに向け、丁寧に検討を進めてまいりたいと思います。拠出限度額の引き上げはこの税制改正事項でもあるため、与党の税制調査会などで年末にかけてご議論いただくものと理解しています。
記者:
昨日の経済財政諮問会議で、武見大臣から提出資料の中で「最先端医療への迅速なアクセスを可能にするため、保険外併用療養費制度の見直し等の検討を行う」というお考えを示されましたが、具体的にどのような方向性、どういった狙いをイメージされているか、お考えをお聞かせください。
大臣:
昨日の経済財政諮問会議では、医学・医療等分野における科学的な進歩が著しく加速する世界的な潮流があるということ、特にデジタル化、データサイエンス、顕著に現れているということを申し上げました。そうした潮流の中で我が国として、イノベーションの成果を健康づくりや治療に活かす環境整備を進め、国民のQOLの向上や活力ある健康長寿社会を実現することが必要であるとの方向性でプレゼンを行っています。お尋ねの保険外併用療養費制度については、保険診療と保険外の診療を併用して治療を行う場合に、個別に、保険診療との併用を認めているところです。例えば、標準治療前に実施するがん遺伝子パネル検査については、現在、保険外併用療養費制度の一環である「先進医療」の枠組みにおいて実施され、保険適用の可能性を含め、評価が行われています。今後、有効性、安全性に係るエビデンスも含めて、専門家の意見も聞きながら、関係審議会において議論を進めていくことになります。こうした保険外併用療養費制度については、改めてこれをしっかり見直し、個々具体的に今まで進めてきた内容については、これを全体としてもう一度整理し、そしてどのようなかたちで、こうした保険外併用療養費制度についての在り方を考えるということを私どもとしては検討してまいりたいと考えています。
記者:
何か検討する省内の体制は考えていらっしゃいますか。
大臣:
保険局の方です。
記者:
一般労働者の賃金水準の誤りですが、一般的には使われていない数字とおっしゃっていましたが、誤りの影響についてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
賃金額への影響については、誤って低く算定していた地域指数の中央値は時給9円の差となり、1日8時間、月20日働いていると仮定すれば、月額で労働者1人当たり1,400円程度の差となります。なお本年4月からの適用であるため、仮に指数を参照し4月から賃金額を変更した場合は、2か月分の賃金に影響している可能性があります。いずれにしても、都道府県労働局で個別に状況を把握して丁寧に対応していきます。

(了)