武見大臣会見概要

(令和6年5月10日(金)8:38~8:49 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 私からは特にございません。

質疑

記者:
厚労省が昨日発表した毎月勤労統計調査で、実質賃金が24か月連続で前年同月比割れとなり、マイナス期間が過去最長を更新しました。もちろん実質、賃上げは政権の重要課題として認識していますが、今回の大臣としての受け止めと、今後の対応をお聞かせください。
大臣:
5月9日に公表した毎月勤労統計調査令和6年3月の速報値ですが、基本給等の「所定内給与」の対前年同月比はプラス1.7%となった一方、残業代等の「所定外給与」はマイナス1.5%、賞与等の「特別に支払われた給与」はマイナス9.4%となり、その結果、名目賃金はプラス0.6%、また、実質賃金はマイナス2.5%となりました。賃金は、労働者の生活を支える基本的な労働条件であるとともに、経済成長の原動力であり、経済の好循環により国民生活を豊かにしていくためにも、実質賃金の上昇が必要だということは強く考えています。今後の結果についてもしっかり注視してまいりたいと考えています。また賃上げに向けては関係省庁とも連携し、三位一体の労働市場改革を推進しつつ、大企業だけでなく中小企業が賃上げしやすい環境の整備に、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
記者:
大臣は連休中スイス・ジュネーブに行かれました。具体的にどのような話し合いをしたのか、決まったことなど外遊の成果を教えてください。
大臣:
今般、主にジュネーブに訪問した目的は、WHOをはじめ、保健分野における国連の関係機関の責任者との意見交換でした。WHOのテドロス事務局長や、グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長、そしてGaviワクチンアライアンスのサニア・ニシュタール事務局長などとも会見いたしました。さらに、ストップTB(結核)や薬剤の耐性菌に関わる関係者や、ユニットエイドや、全てが責任者だったわけではないですが、幹部の方々と相当突っ込んだ意見交換をする時間も十分取れましたので、大変成果があったと思います。月末からWHOの総会がありますが、恐らく私は国会日程で行けないと思いますので、それに先立ち色々と意見交換をさせていただいております。このユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた取組、UHCナレッジハブを日本に誘致する話ですが、これなどWHOとして、世界銀行とも協力して、そして日本政府とも協力しながら、日本にそうしたナレッジハブをどのようにつくるかという意見の交換もかなりできました。そしてパンデミック条約、今大変厳しい状況ではありますが、最終局面での意見の調整という状況下において、テドロス事務局長などと意見交換できたことは大変意義があったと思っています。いずれにせよ、こうしたときだからこそ、お互いに信頼関係を深めるということができる、そうした会見が多々ありました。テドロス事務局長などとは、最初30分の予定でしたが、結果として1時間半、意見交換し、相当突っ込んでやりました。
記者:
新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行して1年が経過したことに関連して3点お尋ねします。まずは、現在の感染状況と5類移行1年に伴う大臣のご所見を伺いたいです。また、今後の感染対策について呼び掛けがあればお願いします。2点目は、コロナの後遺症に悩む人の支援について、今後政府としてどのように取り組んで行くのか教えてください。最後に、今後新たな感染症危機に備えた国の行動計画について、6月にも閣議決定される予定とのことでしたが、現在の状況を教えてください。
大臣:
新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況は、1週間ごとの定点医療機関当たりの報告数は3.22です。本年2月以降継続して減少傾向にあり、国民の皆様のこれまでのご協力に改めて感謝申し上げます。引き続き、新型コロナウイルス感染症も含め、国内外のさまざまな感染症の動向を注視しつつ、必要な情報提供や、基本的な感染対策の適時適切な周知に努めてまいりたいと思います。次に、新型コロナの罹患後症状、いわゆる「後遺症」の問題です。困難をかかえる方々への支援は、引き続き極めて重要であり、これまでも行ってきた実態解明等につながる研究はしっかり継続することになります。傷病手当金や労災保険給付といった支援制度も、周知・徹底していきます。こうした取組を通じて、新型コロナ罹患後症状で困難をかかえる方々の不安や負担を軽減していきたいと思います。そして行動計画ですが、さらに、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定については、4月に開催された政府の新型インフルエンザ等対策推進会議で改定案が示され、議論いただいているところであり、厚生労働省としても引き続き、とりまとめの内閣感染症危機管理統括庁とともに、精力的にとりまとめを進めていきたいと思います。
記者:
認知症について伺います。認知症の方の推計が新たに公表され、今回初めて軽度認知障害の方の推計が公表されました。2040年には612万8,000人にのぼるとされていますが、この数についての大臣の受け止めと、また軽度認知障害の人たちについて厚労省として今後どのような施策が必要か、お考えがあれば教えてください。
大臣:
5月8日に開催された、第2回認知症施策推進関係者会議において、厚生労働省の研究班から、認知症・軽度認知障害の有病率や人数等の報告が行われ、我が国の2040年時点の認知症者数が約584万人、軽度認知障害の人数が約613万人となるなどの推計結果が発表されました。軽度認知障害と認知症の有病率の合計値は、2012年に行われた前回の調査結果と比較して大きな変化がなかったわけですが、内訳をみると、認知症の有病率が低下しています。これは、健康教育の普及や喫煙率の低下、生活習慣病管理の改善などによって、軽度認知障害から認知症への進展が抑制された好ましい可能性があると専門家からも指摘されているところです。こうした結果を踏まえ、「誰もが認知症になり得る」という認識のもと、認知症になっても生きがいや希望を持って暮らすことができるよう、認知症バリアフリ-の推進、社会参加機会の確保等に取り組んでいくことが重要と考えています。また、本年1月に施行された認知症基本法においては、その基本理念・基本的施策に軽度認知障害が位置づけられており、こうしたことも踏まえ、法に基づく認知症施策推進基本計画策定に向けて、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思います。この認知症に関わる課題というものはこれからますます多くなることは明確です。軽度認知障害の数も出させていただいたということは、これから認知症予防についても、より総合的な対策をしっかり実行していくことが必要であるということを示していると理解しています。

(了)