武見大臣会見概要

(令和6年3月1日(金)9:49~10:06 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 先ほど、岸田総理をトップとする「令和6年能登半島地震復旧・復興支援本部」が開催されました。私からは2点報告をしています。まず水道については、2月末時点で石川県内において約8割が断水解消し、3月末までには、ほぼ全域で断水解消する見込みです。国としても、全国の水道技術者の派遣による人的支援や、補助率のかさ上げの前倒し適用などの財政支援を行っているところであり、引き続き被災地の水道施設の早期復旧に向けて全力で取り組んでまいります。次に、「地域福祉推進支援臨時特例交付金」については、能登地域6市町において、住宅半壊以上の被害を被った高齢者等のいる世帯のみならず、若者・子育て世帯を含め、資金の借入や返済が容易でない世帯も幅広く対象とすることとしました。本日の閣議においては、これらの内容を盛り込んだ第3弾の予備費の使用が決定されたところです。厚生労働省関係では、水道施設の災害復旧に約34億円、地域福祉推進支援臨時特例交付金に約61億円、合計95億円が措置されました。厚生労働省としては、この予備費も有効活用しつつ、引き続き総力を挙げて被災地の復旧・復興支援に取り組んでまいります。
 次に雇用統計についてです。令和6年1月の有効求人倍率は1.27倍と、前月と同水準となりました。また完全失業率は2.4%と、前月から0.1ポイント低下しています。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。

質疑

記者:
「年収の壁・支援強化パッケージ」について伺います。年収の壁を超えて、新たに社会保険に加入するパート従業員を支援するキャリアアップ助成金については、昨年10月20日から今年1月末までに、企業から3,749件の計画届が提出され、計14万4,714人の利用が見込まれています。この件数と人数を、どのように分析していますか。また今回のパッケージは時限的な対策ですが、今後3号被保険者制度の見直しにどのように取り組む方針ですか。
大臣:
「年収の壁・支援強化パッケージ」の対応策の1つであるキャリアアップ助成金については、昨日公表しましたが、1月末時点で、事業主からの計画届の受理件数は3,749件、対前月比約2.2倍となっています。その対象となる労働者数は令和5年度から令和7年度の合計で14万4,714人、対前月比約5.3倍となっています。対象となる労働者数等は大幅に増加しています。令和5年10月の制度創設から概ね3か月経過して、助成金の活用は確実に、着実に進んできていると考えます。今後、春闘や自社の賃上げのタイミング、4月と10月ですが、令和6年10月の社会保険適用拡大のタイミング等で活用を検討しているという声を企業からも聞いており、引き続き、多くの企業に助成金を活用していただけるよう、具体的な活用事例を用いた利用勧奨、新たな動画の作成等を通じて更なる活用促進に努めたいと思っています。現在、第3号被保険者制度については、社会保障審議会年金部会において議論を開始したところであり、現時点で方向性は定まっていませんが、今後とも関係者の意見を伺いながら、丁寧にしっかり検討してまいりたいと考えています。
記者:
来年度からの介護報酬改定についてお尋ねします。今回の改定では、介護職員の処遇改善加算を1本化するなどの対策が示された一方、訪問介護の基本報酬については引き下げが予定されています。基本報酬の引き下げを巡っては、関係団体などから経営状態の悪化などの懸念の声が上がっていますが、改めて、基本報酬を引き下げる判断に至った経緯のほか、こうした懸念を受けて今後国としてどのように対応をしていくかご教示ください。
大臣:
今回の訪問介護の基本報酬の見直しは、次の2つの考え方を踏まえたものです。1つ目は、今回の介護報酬改定の改定率プラス1.59%のうち、プラス0.61%分について、介護職員以外の職員の賃上げが可能となるよう配分することとされている中で、訪問介護の現場は、そのような職員の割合が低いということがまず1つ目の理由です。2つ目は、訪問介護の事業所において、介護事業経営実態調査における収支差率が、介護サービス全体平均の2.4%に比べて、相対的に高い、7.8%であるということが2つ目の理由です。ただし、報酬改定のうち介護職員の処遇改善に充てる改定率プラス0.98%分については、全職員に占める介護職員の割合が相対的に高い訪問介護は、見直し後の体系で14.5%から24.5%と、他サービスと比べて高い水準の加算率を設定しています。また、特定事業所加算や認知症に関連する加算を充実することとしており、訪問介護は改定全体としてはプラスの改定としたところです。地域包括ケアシステムの構築を推進し、住み慣れた地域でできる限り暮らしていただくために、在宅サービスを整備していくという基本的な方針は変わりません。そして小規模事業所の中には、処遇改善関係加算を取得していない事業所も想定されるところです。加算未取得の事業所が加算を取得し、すでに取得している事業所は新たな処遇改善加算の体系に早期に移行していただくことで、介護職員の賃上げを実現できるよう、必要かつ迅速な対応を講じることとしており、小規模な事業所も含めて確実に取得促進が進むよう、更なる環境整備を行ってまいります。
記者:
人口動態統計調査について2点お伺いします。今週公表された2023年の速報値では、出生数は過去最小の75万人台となり、婚姻数は90年ぶりに50万人を割り込みました。これらの結果についての受け止めをお聞かせください。また政府は次元の異なる少子化対策を掲げており関連法案も提出されていますが、厚生労働省としては今後どのように少子化対策に取り組む方針でしょうか。お考えをお聞かせください。
大臣:
令和5年の出生数は75万8,631人で過去最少となり、8年連続の減少です。また、令和5年の婚姻数は48万9,281組で、対前年比マイナス5.9%となっています。少子化の進行は危機的な状況にあり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでのこれからの6年程度が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあると受け止めています。厚生労働省としては、昨年末に取りまとめられた「こども未来戦略」に基づき、「共働き・共育て」を推進することとしています。具体的には、「子ども子育て支援法等改正法案」の中で「雇用保険法」や「国民年金法」を改正し、両親がともに育児休業を取得することを促進するための、最大28日間の育児休業給付率の手取り10割相当への引上げ、そして2歳未満の子を養育するための、時短勤務をしている場合に時短勤務時の賃金の10%を支給する育児時短就業給付の創設、国民年金第1号被保険者についての、その子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料免除措置の創設を行うこととしています。また育児期に出社や退社時刻の調整、テレワーク、短時間勤務などの柔軟な働き方を選べるようにする制度の創設などを内容とする所要の法案を今国会に提出することとしています。引き続き厚生労働省としても、医療・福祉・雇用政策等を所管する立場として、こども家庭庁を始めとする関係省庁と連携しながら、少子化対策にしっかり努めていきたいと考えています。
記者:
能登半島地震の被災地の生活再建のため、最大300万円を追加支給する交付金について伺います。この支援策の特徴として、大臣はこれまで「高齢化率が高く、半島という地理的な特性がある」と指摘してきましたが、「300万円」という水準の根拠については言及していないと思います。金額を300万円、従来の2倍とした理由をお教えください。また、住宅価格などを踏まえた試算があれば、お示し頂けますと幸いです。
大臣:
今般の「新たな交付金制度」、地域福祉推進支援臨時特例交付金は、高齢化が著しく進み、半島という地理的制約から住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多いなど、地域コミュニティの再生が乗り越えるべき大きな課題となっている能登地域特有の実情・特徴を踏まえ、高齢者の割合が著しく高い地域では長期の貸付という手法がなじみにくいことも勘案し、地域福祉の向上を目的として創設するということがその趣旨です。その支給金額については、家財等の再建支援に最大100万円、住宅の再建支援に最大200万円、合計最大300万円を支給することとしていますが、これは地域コミュニティ再生が重要な課題となる中で、必要な支援が届くようにする必要があることを踏まえて、生活福祉資金については、住宅補修費として最大250万円、災害援護費として最大150万円の貸付を行っていることなどを勘案して設定したものである。いずれにせよ、今後石川県において早急に申請の受付を開始できるよう、厚生労働省としても取り組み、高齢者からこどもまで住宅に被害を被った被災者世帯に必要な支援を届け、地域コミュニティの再生にしっかりと繋げていきたいと考えています。
記者:
令和6年度の予算について伺います。新型コロナウイルス予防接種健康被害給付費負担金の予算が約3億6,000万円となっていますが、この数字を算出した根拠を教えてください。例えば、死亡の認定を何名見込んでいるかなど具体的にお示しいただければと思います。
大臣:
ご指摘の通り、新型コロナワクチンの健康被害に対する救済として、令和6年度の新型コロナウイルス予防接種健康被害給付費負担金の予算案に約3.6億円を計上しています。令和6年度当初予算案については、定期接種後に新たに生じる進達について、予算編成時点では見込み難かったことから、一定の基準のもとに前年度同額程度の約3.6億円を計上しています。なお、令和6年度の予算措置の考え方として、審査業務の迅速化を図りつつも、一定程度の審査は令和6年度にずれ込む可能性があること、令和6年度接種は予防接種法に基づく定期接種となるため、こうしたことを踏まえ、令和5年度補正予算と一体として考えます、現時点において不足は生じないものと考えています。
記者:
現時点で不足が生じないということについて今驚いていますが、現時点でコロナのワクチン死亡後の申請は、死亡だけで586名まだ審査待ちの方がいらっしゃいます。このうち、わずか1.5%、8名認定されただけで3億6,000万円を超えてしまいます。これは予算が足りなくて認定されないということもあるのでしょうか。
大臣:
今申し上げた通り、5年度の補正予算と一体となって考えていますので、そのかたちで対応できますので、不足は生じません。
記者:
失礼しました。補正予算も含めてということですね。では、令和5年度のように、令和5年度は110倍に予算を膨らましましたが、そのように、何100倍になろうが救済の対応をしていくということでよろしいでしょうか。
大臣:
これは補正予算と一体的に考えるということ、そしてまた過去における執行額なども勘案し、対応していくことになります。
記者:
今、政治倫理審査会で政治資金に関する問題が扱われていますが、昨日、岸田総理が質疑しましたが、安倍派キックバックや収支報告書への不記載などが、いつから誰の指示で始まったのかなどについて、新しい事実は明らかになりませんでした。この問題について、大臣はいち政治家、いち自民党議員としてどのように受け止め、ご覧になっているか、言える範囲で伺えますか。
大臣:
昨日、岸田総理が自民党総裁として、衆議院政治倫理審査会に出席され、弁明を述べられた後、質疑が行われたものと承知しています。岸田総裁の発言内容や質疑における議論について、私も今政府の立場におりますが、政府の立場で評価することは差し控えたいと思います。ただ、政治資金を巡る国民の厳しい目や疑念を踏まえ、自民党総裁として、説明を尽くすべく努められたものと私は受け止めています。

(了)