武見大臣会見概要

(令和6年2月27日(火)8:34~8:49 衆・分館(1階))

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 地域福祉推進支援臨時特例交付金についてご説明させていただきます。住宅に被害を被った被災者世帯への支援として、「新たな交付金制度」の検討を進めてきましたが、その内容についてご説明いたします。まず「新たな交付金制度」の名称を「地域福祉推進支援臨時特例交付金」とし、能登地域6市町において、住宅半壊以上の被害を被った高齢者等のいる世帯については、全ての世帯を対象とします。さらに、若者・子育て世帯を含め、資金の借入や返済が容易でない世帯も幅広く対象とします。資金の借入により住宅を再建しようとする世帯については、石川県の事業として「自宅再建利子助成事業」の実施が検討されています。中でも、子育て世帯については、所得制限を設けない方向で検討が進められていると承知しています。こうした対応を組み合わせることで、住宅半壊以上の被害を被った、支援が必要な子育て世帯はフルカバーされる仕組みとなります。
 また、「地域福祉推進支援臨時特例交付金」の対象となる「資金の借入や返済が容易でない世帯」の判断に当たっては、住民税非課税世帯、住民税均等割のみ課税世帯、そして家計急変世帯、そして児童扶養手当受給世帯、そして離職・廃業した者がいる世帯、そしてローンの一定以上の残債がある世帯、そしてその他の類似の事情があると認められた世帯の類型に該当する世帯を対象といたします。実際に住宅ローンを借りられなかったことを逐一判断するのではなく、簡便に判断することを可能とする仕組みとします。さらに、これらの類型に該当しない世帯であっても、自宅再建利子助成を受けられなかった世帯も交付金の対象となるよう、丁寧に対応してまいります。
 支援内容については、自動車も含めた家財等支援に最大100万円、住宅再建支援に最大200万円を実費も勘案して支給します。必要な経費は国が5分の4を負担します。なお申請手続については、できる限り申請をワンストップで行うことができるような窓口対応の工夫なども含め、被災者の目線に立って、簡便かつ迅速な手続で必要な支援が受けられる方法を引き続き検討してまいります。今回の取組を通じて、高齢者からこどもまで住宅に被害を被った被災者世帯に必要な支援を届け、地域コミュニティの再生にしっかりとつなげていきます。
 3月は「自殺対策強化月間」です。昨年、令和5年の自殺者数は、暫定値ではありますが、総数が21,818人、小中高生の自殺者数が507人であり、いずれも高い水準となっています。今回の月間では、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けて、中高年向けのポスターや動画を作成し早期の相談を呼びかけるとともに、こどもや若者向けには、SNSを活用した情報発信や相談体制の拡充など、関係府省庁と連携し、対象に応じたきめ細かい対応を講じていきます。さらに本日、厚生労働大臣、文部科学大臣、こども政策担当大臣及び孤独・孤立対策担当大臣の連名で、国民の皆様に向けたメッセージを発出します。お悩みをお持ちの方、1人で悩みを抱え込まずに、家族や身近な人や、相談窓口に相談してみていただきたいと思います。また、身近な人の様子がいつもと違うと感じたときは、優しく声を掛けてみてください。声を掛け合うことで、不安や悩みを和らげることができるかもしれません。最後に、メディアの皆様方にお願いがございます。自殺に関する報道は、その報じ方によっては自殺を誘発する可能性があります。WHOの「自殺報道ガイドライン」を踏まえた対応につき、ご協力をぜひお願いします。

質疑

記者:
薬関連でお伺いします。長引く薬不足問題の対応で今年4月以降、薬の供給や出荷制限などの状況に関してHPなどで公表する予定ですが、現場からは依然、薬が十分に足りていないとの声が上がっています。厚労省として直近の薬不足にはどう対応される予定か、また今後中長期でどのように対応するか改めてお聞かせください。
大臣:
ご指摘のように、医薬品の供給不安への対応として本年4月より、メーカーから厚生労働省に対して、今後の供給不足が生じるおそれが判明した場合に、その不足を未然に防止することを目的にした報告を受けることといたします。おそれが判明したという事前の可能性のある場合の報告をいただくことになります。そして供給不足、限定出荷等が生じた際に供給情報を速やかに医療機関に共有することを目的とした報告について運用を開始することとしています。また、昨年秋以降取り組んでいる去痰薬や鎮咳薬の不足に対しては、供給増加に向けたあらゆる手段による対応を要請したところ、昨年末までには、昨年9月末時点よりも1割以上供給量が増加していますが、さらに令和5年度補正予算において、製薬メーカーが更なる増産への投資を行っていただくため、緊急的な補助事業を設けて、多くの企業から申請をいただき、採択を行ったところです。現状で15社の企業がこの選定を完了しています。また、後発医薬品をはじめとした医薬品の供給不安を解消するためには、品質の確保された医薬品を安定的に供給できる体制の確保が重要です。このため、少量多品目生産といった非効率な製造が行われている後発医薬品の産業構造上の課題の解決に向けて、有識者の皆様にご検討をいただいています。来月初旬に予定している次回の検討会では、後発医薬品産業の在るべき姿と今後の対策の方向性についても論点とする予定です。精力的にご議論をいただきたいと考えています。
記者:
人口動態統計について伺います。例年この時期に、人口動態統計の1年間の速報値が発表されます。昨年11月までの速報値から、出生数・婚姻数ともに大幅に減少する見込みです。婚姻数減少には若者の低所得が指摘されており、政府もこども未来戦略で雇用の安定と質の向上を掲げていますが、厚生労働省として若者の雇用の安定と質の向上の視点から少子化対策にどのように取り組むか、お考えをお願いします。
大臣:
令和5年11月までの出生数の累計からすると、令和5年の出生数・婚姻数は減少する傾向ですが、令和5年の1年間の出生数等については、この後公表する人口動態統計速報令和5年12月分においてお示しいたします。その上で、若い世代の所得向上を通じた少子化対策の観点からも、若者の経済的基盤の強化を図ることが重要であると考えています。このため厚生労働省として、希望する若者の正社員就職に向け、非正規雇用から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金による支援や、わかものハローワーク等における、安定就労に向けた就職支援などを実施しています。非正規雇用で働く若者については、処遇改善に向けた同一労働同一賃金の遵守の徹底を実施しています。さらに、若年層を含め持続的な賃上げを可能とするため、三位一体の労働市場改革に、関係省庁と連携しながら着実に取り組んでいきます。これらの施策により、若者の経済的基盤の安定を図り、若者が将来にわたる展望を描けるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
記者:
新たな交付金制度について2点伺います。まず、対象を6市町に限定された理由を教えてください。過去の災害、東日本大震災や熊本地震の対応と比較して、不公平だという声もありますが、その点についての受け止めもお願いします。
大臣:
「新たな交付金制度」の対象地域については、石川県の能登地域6市町に対象を限定しているところですが、その理由は、高齢化率が著しく高いことに加え、家屋を建設できる土地が極めて少ないなど、半島という地理的な制約があります。住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方々も大変多い。こうした事情があります。地域コミュニティの再生に向けて、乗り越えるべき大きな課題があるという実情・特徴があることがその理由です。こうした能登地域特有の実情・特徴、そしてその他の地域と比べて特に深刻な被災状況でもあるということに鑑み、石川県とも調整の上で、能登地域6市町を「新たな交付金制度」の対象としたところです。なお、石川県の事業である「自宅再建利子助成事業」については、県内を幅広く対象とする方向で検討されていると承知しており、これらの組合せによって住宅半壊以上の被害を被った、支援が必要な世帯を幅広くカバーできるものと考えています。また新潟県や富山県のケースについてですが、「新たな交付金制度」の対象とならない地域の被災者の方々に対する支援も重要であると考えることは当然です。その上で、平成28年の熊本地震をはじめ、これまでの大規模な災害時の対応も考慮し、おおよそ熊本地震並みで、生活福祉資金貸付の特例や関係府省庁の支援策も組み合わせながら、政府として対応していくという考えです。
記者:
過去の災害での対応との整合性はいかがでしょうか。
大臣:
先ほど申し上げた通り、高齢化や半島の特殊事情、さらには被害がここに集中しているということを主要な理由として考えているということです。
記者:
交付金について、申請はいつからどこの、どういう窓口で受けられる方向か教えていただけますか。
大臣:
現時点ではまだ、具体的な申請受付の開始時期をお答えすることは難しいですが、石川県においては、早急に申請の受付を開始できるよう準備を進めており、厚生労働省としても、この取組をなるべく早く進めていきたいと考えています。
記者:
3月中くらいでしょうか。
大臣:
できればですが、まだ明確には申し上げることはできません。
記者:
先ほどの人口の受け止めについて、前提となる人口減少、特にこどもの減少について、日本の社会、日本経済に与える影響について、どのようにお考えでしょうか。その危機感、受け止めをお願いします。
大臣:
やはり人口減少ということが極めて著しく、かつまたその中で、少子高齢化というかたちで生産労働人口が着実に減少している。特に2030年代にはこの生産労働人口が急速に減少することが明白なので、その分社会のダイナミズムが薄れ、また同時に経済活動も低迷していく、こうしたことが予見されます。したがって、その前に、この2020年代にこうした対策を着実に実行することにより、我が国の社会のダイナミズムというものが、この人口減少、少子高齢化によって損なわれることがないようしておくことが極めて重要だと考えています。
記者:
タイムリミットは相当迫っているということでしょうか。
大臣:
2020年代のうちに着実に進めなければならないと思います。

(了)