武見大臣会見概要

(令和6年2月2日(金)9:39~9:49 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 昨日、岸田総理をトップとする「令和6年能登半島地震復旧・復興支援本部」が新たに設置されました。総理からは、能登半島の高齢化等に鑑み、新たな交付金制度を創設することや、1月25日に取りまとめられた「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」にしっかりと取り組む旨ご発言がありました。私からは、まず能登地域の高齢化の状況や地理的制約などに鑑み、新たな交付金制度を創設し、その支援メニューとして、能登地域6市町を中心に、高齢者等がいる世帯の家財等・住宅再建について、合計最大300万円を目安とする給付を行うことなどを想定していることをご報告しました。加えて、被災者の医療・健康支援、高齢者への支援について、震災関連死を防止するため、在宅等で避難生活を送る被災者の見守り等の強化など、支援が必要な方を支える体制を強化していくこと、そして水道施設の復旧状況について、石川県内の断水戸数は約6割が解消しており、一部地域を除き、概ね3月末に断水が解消する見込みであることなどをご報告しました。以上が、昨日の復旧・復興支援本部に関するご報告ですが、被災地におけるオンライン資格確認の活用状況についてもご報告させていただきます。具体的には、オンライン資格確認の災害時モードについて、先月31日までに、石川県・富山県を中心に、約22,000件利用されており、被災者の方々がマイナンバーカードや保険証を医療機関・薬局に持参できなかった場合であっても、被保険者番号などを確認しているほか、ご本人の同意の下、薬剤情報・診療情報・特定健診等情報を確認することもできています。被災地に赴いた医療関係者の方々からは、今回オンライン資格確認等システムが、被災者の方々の医療提供に大変役立っているとのお話を伺っています。厚生労働省としては引き続き、被災地のニーズを真摯に受け止め、関係府省庁と緊密に連携しながら、全力を挙げて被災地の復旧・復興支援に取り組んでまいりたいと思います。
 花粉症についても申し上げます。スギ花粉の本格的な飛散シーズンに向け、厚生労働省では、環境省と連携し、花粉への曝露を軽減するための花粉症予防行動や治療等についてわかりやすくまとめたリーフレットを作成し、昨日の「第4回花粉症に関する関係閣僚会議」に報告し、発表いたしました。花粉症は、多くの国民の皆様が直面する健康課題です。その症状を抑えるには、花粉が飛散し始める時や、症状がごく軽い時から薬の使用を開始することが有効であることがわかっています。今回作成しましたリーフレットも活用しながら、引き続き広く周知を図ってまいります。詳細については、本日事務ブリーフィングを行いますので、その際に事務方にお尋ねください。

質疑

記者:
2025年の年金制度改正に向けて、社会保障審議会年金部会や経済前提専門委員会で財政検証の議論が本格化しています。公的年金制度改革における財政検証の意義について改めてお教えください。また年金部会では、2023年度の1年間で適用拡大など様々な論点について議論が行われました。2025年改正に向けて、大臣が喫緊の課題として捉えていらっしゃる論点があればお教えください。
大臣:
財政検証については仰る通りです。年金制度においては、少なくとも5年ごとに人口や経済の長期の前提に基づき、おおむね100年間の収支の見通しを確認する「財政検証」を行うこととしており、今年がその年になります。財政検証においては、年金財政の健全性を検証しており、加えて、一定の制度改正を仮定した試算、オプション試算を実施しております。この結果をもとに、制度改正の議論を行うことが通例となっています。今後、検証に必要な作業を進め、制度改正の議論につなげていきたいと考えています。また年金制度については、社会や経済の状況を踏まえて、不断の見直しを行っております。現在、社会保障審議会年金部会において、現役期、家族、高齢期といったライフコースと年金制度の関わりという切り口から様々な議論を行っているところです。ご指摘の適用拡大も含むそれぞれの検討事項はいずれも重要な課題であり、次期改正に向けてしっかりと検討を進めていきたいと思っています。
記者:
能登半島地震での被災者に対する、生活支援について伺います。冒頭のご発言でもありましたが、昨日の復旧・復興支援本部の中で、岸田首相が新たな交付金制度の導入を表明しました。被災地域は4県にまたがっておりますが、今回の支援策は対象地域が石川県内の6市町に、対象世帯が高齢者、障害者がいる世帯に限定されており、専門家からは不平等ではないかとの指摘も出ています。対象を限定した理由や、政府の考え方を教えてください。
大臣:
厚生労働省の所轄の中で1番迅速にやれる方法が、今回のかたちになったということをまず前提の上で申し上げますが、今般の災害において石川県は、能登地域6市町を中心に特に被害が甚大でした。そして高齢化率が著しく高い上、半島という地理的な制約があり、通常の災害公営住宅の建設などに課題があることなど、他の被災地域には見られない特殊性があるとまず考えます。また高齢者や障害者は、長期の貸付という従来の支援手法が馴染みにくいです。自力での生活の再建が困難な方が多いことから、今般の支援策は高齢者や障害者がいる世帯を対象としています。なお、若者・子育て世帯については、過疎地が多い能登半島からの人口流出を防ぐ観点から、被災地に住み続けていただくことが引き続き重要です。したがって、そうした観点から地域の実情を踏まえたきめ細かな支援を行うことができるよう、今後も政府として支援策の検討を進めてまいりたいと考えています。若者・子育て現役世代の件に関しても、今後の検討事項になるということをお伝えしておきたいと思います。
記者:
障害者グループホームを展開する「恵」が食材費を過大徴収していた問題について伺います。厚労省が勧告を出されて、先月末が報告書の提出期限だったと思います。まず提出があったかどうかということと、過大徴収額の規模と、金額に対する大臣の受け止め、また今後の対応について教えてください。
大臣:
まず、基本的に個別案件について具体的に申し上げるのは、なかなか難しい課題だということを前提として申し上げておかなければなりません。お尋ねの株式会社恵の事案については、食材料費を過大徴収している旨の報告がありました。厚生労働省においても、関係自治体と連携して法人の管理体制に係る検査を進めているところです。個別の検査の進捗状況や、検査の具体的内容を申し上げることはできませんが、一般論として申し上げれば、検査において必要があれば、障害者総合支援法に基づく改善勧告を発出し、この勧告を受けた事業者が期限内にこれに従わなかったとき初めて、同法に基づきその旨を公表することができるとされています。引き続き自治体との連携の下、障害者総合支援法に基づいた対応をしっかり行っていきたいと思います。
記者:
この問題を巡っては、食材費の過大徴収が愛知県内だけで2億円を超えるということですが、この事案の悪質性について、大臣は率直にどうお感じになられますか。
大臣:
悪質性について、まさに今調査をしているのだろうと思います。その調査に係る対応を、まずは都道府県で行われるものだろうと思います。こうしたことをしっかり見極めた上で、私どもでその後どう対応するかということを考えるということが順番だと思いますので、今まさにその途中経過だということをご理解ください。

(了)