武見大臣会見概要

(令和6年1月30日(火)9:51~10:06 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 令和5年12月の有効求人倍率は1.27倍と、前月から0.01ポイント低下となりました。また完全失業率は2.4%と、前月から0.1ポイント低下しています。なお、令和5年平均の有効求人倍率は1.31倍と、前年から0.03ポイント上昇しました。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直していると見なしています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。
 避難所におけるインフルエンザワクチンの接種についてです。石川県能登地方を震源とする地震により、多くの被災された方々の避難所での生活が長期化していることから、2月1日より、現在1.5次避難所となっている金沢市のいしかわ総合スポーツセンターで、インフルエンザワクチンの無料接種を開始する準備を、石川県等と進めております。今回の取組みは、インフルエンザによる重症化を予防する観点から、65歳以上の方を対象とした上で、接種を希望される方に対して接種機会を提供するものです。引き続き被災自治体と緊密に連携し、感染症対策など引き続き現場のニーズに即した必要な支援に取り組んでまいります。私からは以上です。

質疑

記者:
能登半島地震についてお伺いします。地震発生から4週間が経ちました。お受け止めをお願いします。また、避難生活が長期化し、健康状態や要介護度が悪化する高齢者も増えています。2次避難が難しい方もいる中で、避難所におけるリハビリ対策をどのように進めていくか、また大臣からの呼びかけがあれば教えてください。
大臣:
まず、令和6年度能登半島地震で亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げます。4週間が経ちました。被災された方々全てにお見舞いを申し上げたいと思います。厚生労働省においては、1月1日の発災直後から、緊急的な医療対応、避難所等における健康管理、介護職員等の応援派遣、応急給水や水道施設の復旧などの応急的な対応に全力で取り組んでまいりました。今後は、被災された方々が再び住み慣れた土地に戻って来られるよう、生活と生業の再建、そして復旧・復興に向けた取組みを加速化していくことが必要です。そのためにも、先週末に取りまとめられた支援パッケージに盛り込まれた施策等の速やかな実行に省を挙げて取り組み、被災された方々が1日も早く元の平穏な生活を取り戻すことができるよう全力を尽くします。避難所等におけるリハビリテーションの実施体制を確保するために、まず日本災害リハビリテーション支援協会、JRATに対してリハビリテーション専門職の方々の派遣を依頼し、避難所での生活不活発の予防等に尽力頂いているほか、避難生活における心身機能の低下の予防についてのマニュアルやリーフレットを周知する等の取組みを行っているところです。このような支援を引き続き行っていきたいと考えており、避難者の方々におかれましては、2次避難に向けた準備を進めつつ、できるだけ体を動かすことを意識して過ごしていただきたいと思います。
記者:
冒頭の有効求人倍率に関連して伺います。宿泊業等で求人数が回復する一方、製造業や建設業では原材料費等の高騰で、人手不足でも求人を出せない状況が続いていると見られます。この状況の受け止めと今後の対応方針について現時点でお考えがあればお願いします。
大臣:
有効求人倍率は、令和5年12月の雇用情勢の時には1.27倍と前回から0.01ポイント低下して、完全失業率は2.4%と前月から0.1ポイント低下です。この有効求人数というものは季節調整値で出していますが、前月比で0.2%増加であり、2か月ぶりの増加となっています。これらを総合的に勘案して、現在の雇用情勢については求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直しているという情勢判断を私どもはしており、物価上昇等が雇用に与える影響についてはしっかりと留意し、対応していく必要があると考えています。
  
記者:
精神科の訪問看護について、弊社の取材で不正や過剰とみられる診療報酬の請求が一部の事業者の間で横行していることが分かりました。早朝や夜間に訪問したように装っていたり、症状がなく一律で週3回訪問したりするといった手法が確認されていますが、これについての受け止めと今後どのような対応を考えているかお聞かせください。
大臣:
個別事案についてのお答えは差し控えますが、一般論として、訪問看護ステーションにおいて医療保険の「訪問看護療養費」の不正請求の疑いがある場合には、健康保険法に基づき、地方厚生局において必要な調査・指導を行い、不正請求が確認された場合には厳正に対処することとします。次期診療報酬改定に向けては、多様化する利用者や地域のニーズに対応するとともに、質の高い効果的なケアが実施されるよう、訪問看護ステーションの機能強化を図る観点から「訪問看護管理療養費」の要件及び評価を見直すことについて、中央社会保険医療協議会において、現在その議論を行っているところです。訪問看護における適切な評価が行われるよう、引き続き議論していきたいと考えています。
  
記者:
先週金曜日、1月26日に開催されたワクチン分科会副反応検討部会において、新型コロナワクチン接種後の死亡報告が2,168名に増えたことがわかりました。うち12名が現行のXBB対応ワクチン接種後の死亡、残り2,156名が従来のワクチン接種後の死亡です。今回の会議から、従来のワクチンの扱いが変わりました。供用が終了し今後は接種されないという理由で、参考資料にいわば格下げされ、次回より更新もしないとの考えが発表されました。これには問題があると考えます。従来のワクチン接種後の死亡2,156名のうち、ワクチンと死亡との関係が評価不能状態のものが2,143名、実に99.4%、ほとんどが評価不能の状態、ワクチンが原因でなくなったのかそうでないのかうやむやのままです。武見大臣は、従来のワクチンの副反応報告がうやむやのまま今後も議題にもならない、そしてもう更新もされない、これでよいとお考えでしょうか。ご見解を聞かせていただけますか。
大臣:
新型コロナワクチンについては、2021年2月の接種開始から2023年10月までの2年8か月にわたり、4億回以上の接種が行われており、接種後の副反応が疑われる症状については、副反応疑い報告制度により、常に情報を収集し、定期的に開催している審議会で評価を行ってきております。新型コロナワクチンは、昨年9月20日以降、オミクロン株XBB対応ワクチンに切り替えられており、起源株及び2価ワクチンは接種されておりません。そのため、審議会の資料は、起源株及び2価ワクチンの副反応疑い報告も考慮しつつ、今後新たに報告される事象にも注目するため、現在接種しているXBB対応ワクチンに焦点を絞ったかたちになっております。今後とも、副反応疑い報告制度により情報収集を続けることは当然です。これまでに得られた情報も含め、常にその時点で得られる最新の科学的知見や海外の動向等を踏まえながら、ワクチンの有効性と安全性を評価し、適切な安全対策や国民の皆様への適切な情報提供を行ってまいりたいとおもいます。
  
記者:
おかしいと思いますが、今回の副反応検討部会で、新たに増加した死亡例ですが、XBB対応ワクチンは12名でした。従来のワクチンは前回の会議より34名増加しています。このように、従来のワクチンの死亡報告の方がまだ多い状態にも関わらず、今後更新しない、議題にもかけないということは医師や医療機関からの報告、あるいは国民の命そのものを軽視しているのではないでしょうか。
大臣:
この情報はいずれも、ご存じのようにPMDAに情報が集積され、そこで分析が常に行われており、そこで問題があった場合には審議会の方にそれを提示し、審議会で協議していただくかたちになっています。現在まさにそのプロセスの中にあり、PMDAでのしっかりとした分析が行われている状況下において、今現在私たちがそれ以上のコメントをすることはできません。
  
記者:
インフルのワクチンの無料接種を1.5次避難所で始めるということですが、被災地の感染状況について、もし大臣が把握されている数字があれば教えてください。例えばインフルが何人、コロナが何人と。
大臣:
詳細の情報までは、今、私のところにはきておりませんが、確実に増えている、全体として増えている。そして明らかに避難所において、あのような集団生活をしておられる、特に高齢者の皆様方は、やはり最も感染率が高い、リスクの高い人たちだと考えました。したがって、先ほど申し上げたかたちで、そうした感染確率の高い方々をまず対象にして、無料でこうしたインフルエンザのワクチンを接種していただくことにより予防を強化しよう、そして関連死の方を1人でも救い出すということを考え、こうした処置を執りました。
  
記者:
大臣も1.5次避難所を視察されましたが、避難所の感染対策の現状と課題、何か感じられたことがあればお願いします。
大臣:
かなり現状の中でも、こうした緊急部隊の方々、DMATだけでなく保健分野の緊急部隊の人たちも含めて、実際に現地で避難しておられる1.5次施設の方々に、どのように自分の身の回りを通じて衛生環境を維持するか、あるいはそこを管理している皆様方に対して、実際に、例えば土足で上がっているところをこれからどのように土足でないかたちにしていくか等、そうした観点に関わる衛生環境の整備、これは結構専門的な知見がいるわけですが、それをやっていらっしゃり、あまり目に見えないところでの、こうした活動というものが、実は感染対策の中で非常に重要な意味を持っているということを現地で感じました。
  
記者:
避難所でのインフルエンザのワクチン接種の他に、コロナのワクチン接種はしないということですか。しない理由はどういったものですか。
大臣:
しないということを決めているわけではありません。コロナの場合はご存じの通り年度末まで無料ですので、それは実際に本人のご希望によってコロナの接種を受けられるということになると思います。ただ避難所の中においては、簡易診療所を通じて、こうしたインフルエンザ、本来は外では有料ですが、こうした避難所の、やはり感染率の高い、そしてリスクの高い、避難をしている方々がいらっしゃるという事実に鑑みて、こうした措置をとった次第です。

(了)