武見大臣会見概要

(令和6年1月23日(火)11:15~11:32 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
新型コロナについてお伺いします。新規患者数が全国で8週連続で増加し、各地の自治体などでは第10波に入ったとの見方を示しています。オミクロン株の変異株「JN.1」に置き換わったことが感染拡大に影響しているという専門家もいらっしゃいますが、厚労省として、現在の感染状況をどのように分析し、呼びかけなどあればお願いします。
大臣:
新型コロナの新規患者数は、1週間ごとの定点医療機関からの報告数で直近では8.96と、昨年11月下旬から緩やかに増加しております。底が11月13日から19日の週の1.95なので、それと比べると確実に上昇していることが明らかです。今後の感染状況をしっかり注視する必要があります。また、JN.1という、オミクロン株の1つである変異株が発生していますが、WHOによると、注目すべき変異株に指定はしているものの、公衆衛生上のリスク増加に繋がるエビデンスは今のところありません。他の変異株と比べて重症度に差がないと報告されています。引き続き、変異株の動向については、感染者の動向等を丁寧に把握しつつ、現状を適切に評価し、対策を進めることは常に重要だと考えているため、その基本的な方針に基づき、厚生労働省として対応していきます。国民の皆様におかれては、重症度に差がないということでWHOから報告がありますが、引き続き、感染症全般に関わる手洗いや消毒、咳エチケット等の基本的な感染予防を継続していただくことをお願いします。
記者:
子育てと家族の介護がいっぺんに重なる「ダブルケア」について、2点伺います。総務省が実施している就業構造基本調査についてオーダーメイド集計をしたところ、少なくとも約29万人が未就学児を育てながら家族の介護を担い、ダブルケアの状態にあることがわかりました。このうち9割が30~40代の働く世代で、介護離職を迫られる人もいます。1点目、ダブルケアに直面する人が少なくとも29万人いることについて、大臣の受け止めを教えてください。2点目、先ほど申し上げた29万人という数字は推計であり、かつ子育ては未就学児に限られるなど、実態の一部にすぎません。ダブルケアの調査は、内閣府が2016年に実施したのを最後に行われていません。今後、ダブルケアの実態調査や全国調査に乗り出す考えはありますか。
大臣:
育児と介護のダブルケアについては、これまでも内閣府において調査を行っています。平成27年度に調査したときは25万人という数字が出ていますので、今回御社で行われた29万人という数字は妥当な線なのだろうと思います。厚生労働省においても、家族介護者が子育ても行っている場合の地域包括支援センターの支援内容や課題についても調査を行うということは実際取り組んでいます。ご指摘の調査については、御社が委託して実施したものと伺っており、詳細についてまでは承知していませんが、引き続き関係省庁とも連携して、こうした課題に関わる多角的な実態把握にしっかり努めてまいりたいと思います。その上で、厚生労働省としては、世代が抱える課題が多様化する中、ダブルケアラー等を含め、家族介護者を社会全体で支えていくことが必要であると考えており、家族介護者本人に着目した支援として、まず市町村が設置する地域包括支援センターにおいて家族介護者に対する総合相談支援を行っています。ダブルケアラーについても、そこでまず対応できればと考えます。そして介護保険法上の任意事業として、家族介護者を対象とした介護の知識や技術の研修、介護者同士の交流会を開催するといった自治体の取組をサポートしています。さらに、ダブルケアラーのような複雑化・複合化した課題を抱える方や家庭であっても適切に支援できるよう、属性を問わない相談支援等を行う重層的支援体制整備事業の実施にも取り組んでいます。引き続き、こうした自治体におけるダブルケアラーを含む家族介護者への包括的・重層的な支援の構築に向けて取り組んでいきたいと思います。
  
記者:
昨日開かれた社会保障審議会介護保険給付費分科会で、2024年度介護報酬改定が取りまとめられました。各サービスの基本報酬に関しては、特養など多くのサービスが引き上げられた一方で、訪問介護は引き下げとなりました。厚労省は「介護職員等処遇改善加算」を最大24.5%取得できるようにすることで対応しているなどとの考えを示していますが、現場からは取得要件を満たすことができるのか、最上位の加算を取得しても基本報酬がマイナスでは補えないなどの声が上がっています。ヘルパー不足は深刻で介護事業所の倒産件数が過去最多を更新する中で、なぜ訪問介護の基本報酬を引き下げたのでしょうか。また、処遇改善加算の取得促進策として具体的に検討していることがありましたら教えてください。
大臣:
昨年末の令和6年度介護報酬改定に係る大臣折衝において、改定率については、「介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行い、サービスごとの経営状況の違いも踏まえたメリハリのある対応を行う」こととされたところです。介護報酬の改定率1.59%のうち、処遇改善加算以外の0.61%は、介護職員以外の職員の賃上げが可能となるよう配分する必要があり、訪問介護については、収支差率に示される経営状況が他のサービスに比べて良好であることや、介護職員以外の職員の割合が相対的に小さいことをしっかり考慮しながら基本報酬の見直しを行うものです。そこで、処遇改善加算について、今回の改定で高い加算率としており、賃金体系等の整備、一定の月額賃金配分等により、最も低い加算でも報酬全体の14.5%、最大で経験技能のある職員等の配置による24.5%まで、取得できるように設定しています。処遇改善加算については、事務負担が大きいとの声が多いことを踏まえ、今回の改定で一本化することとしており、取りやすいようにしてあります。その内容をわかりやすく周知するとともに、令和6年度予算案で計上している介護職員処遇改善加算の取得促進事業など様々な手段を通じて、取得促進に取り組んでまいりたいと思います。こうした小規模事業者の方々にも、この処遇改善加算の方を一本化して取りやすくなっておりますので、こちらをぜひ取得できるようご努力いただけることを、こちらとしては期待しているところです。
  
記者:
厚生労働省が公表している人口動態統計の死因について伺います。厚生労働省が公表している人口動態統計では、死亡数だけでなく、死亡者を1万種類を超える死因別に分類し、公表をしています。その1万種類を超える死因の中で、唯一、コード番号だけで書かれているよくわからない死因があります。「エマージェンシーコードU12」という死因です。2022年には10代前半の女の子がこの死因でなくなっていることもわかります。この「エマージェンシーコードU12」とはどのような死因でしょうか。
大臣:
「エマージェンシーコードU12」の死因コードについては、コロナウイルス感染症2019ワクチンの治療上の使用により有害作用を引き起こした死亡とされています。なおWHOが定めるICD10において「エマージェンシーコードU12」は、「治療上の使用により有害作用を引き起こしたコロナウイルス感染症2019ワクチン」と変更されているため、現在これに即した対応について総務省と調整を行っており、その対応を鋭意進めていきたいと考えているところです。
  
記者:
大臣はこの新型コロナワクチンの死亡だけコード番号で表記されていることに疑問は持たないのでしょうか。
大臣:
WHOでは、ICDというかたちで10や11と、常に様々な疾病に関わるコード番号を定期的に策定していることはご存じだと思います。これは極めて重要な、世界の感染や臨床の分布状態を把握するための大事なコードです。そのコードを通じて、こうしたパンデミックなどのケースの時の、感染症のコード分類も行われていると承知しています。したがって、これをしっかり1つのベースにしながら、厚生労働省としてもそれに対応して、統計学的な処理は着実に進めていく必要性があります。その上で、実際に我が国では総務省と連携して、最終的に政府としてのデータになりますので、その手続きに多少調整に時間がかかっているということが現実です。
  
記者:
同じ「エマージェンシーコードU07」は新型コロナウイルスの死亡だと思いますが、これはしっかりコロナウイルスの死亡と書かれていますが、ワクチンの方は書かれていないので、統一してしっかりワクチンであることを書いていただきたいと思います。
大臣:
わかりました。
  
記者:
昨日、官邸で政労使会議が春闘前に開かれました。総理の方からは、昨年を上回る賃上げをという要請もありましたが、大臣の昨日の政労使会議の受け止めと、地方や中小企業への賃上げの波及が大きな課題になるかと思いますが、この点についてどのように取り組まれるお考えか、改めてお願いします。
大臣:
この政労使会議は昨年の11月以来、今年になって初めて開催されたわけですが、やはりこの春の賃上げに向けて、関係各団体にしっかり協力していただき、賃上げの機運を盛り上げるという上で、この会議の持つ意味は大変大きいということを、私自身も認識しています。今年は特に持続的な賃上げの実現に向けて重要な年です。厚生労働省としては、業務改善助成金やキャリアアップ助成金の活用、同一労働同一賃金の更なる遵守徹底等により、賃上げに向けた環境整備を進めていきます。また、賃上げの流れが地方や中小企業にも波及していくよう、労使団体、地方公共団体、関係省庁と連携しながら「地方版政労使会議」を精力的に開催していきます。各県で、こうした開催を現在調整中です。それにより、地方にも、そして中小企業にも、政労使会議の議論、そしてその方針、賃上げに向けての機運、これを盛り上げるということをしっかり進めていきたいと考えています。今後、今年の春季労使交渉において、労使で真摯な検討と交渉が行われ、社会全体で力強い賃上げの機運が醸成されていくことを期待しています。

(了)