武見大臣会見概要

(令和6年1月12日(金)10:57~11:15 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
能登半島地震についてお伺いします。今後、現地では震災関連死の増加が懸念されますが、厚労省としてはどのような支援や対策を行っていくのかお聞かせください。また昨日の省内対策本部では、大臣のご発言の中で、被災者の心のケアなどにも取り組むというお話がありましたが、改めて派遣するチームの規模や活動地域、活動内容などの詳細をお聞かせください。
大臣:
冬の厳しい環境の中、心身ともにつらい状況にある被災者の方々の命と健康を守ることを最重要に考えております。健康管理や衛生対策という観点で、まず避難所における健康管理や衛生対策を進めるため、第1に、DMAT(災害派遣医療チーム)等の医療チームが避難所等においても活動しているほか、医薬品などの物資の供給を行っております。第2に、各地の避難所等に26チーム約100名、1月11日時点です。この26チーム約100名の保健師等を派遣し、被災者の健康管理を行うとともに、第3に、感染症の専門家等を派遣し、避難所の感染症対策を実施しています。2次避難についてですが、特に配慮が必要な方々がより良い環境で安心して避難生活を送れるよう、第1に、医療ニーズの高い方々の医療機関の受入れ調整、これはDMATなどによる診察や応急措置、医療機関への搬送支援などです。2つ目に、2次避難先における、医療・介護ニーズをお持ちの方が安心して滞在できる体制の整備です。これもDMAT・DPAT・JMATなどによる医療ニーズへの対応、そしてDWATによる福祉ニーズへの対応、そしてコロナ等感染症対応などが、こうした体制整備の一環となります。最後に、被災地の高齢者施設や障害者施設等に入所されている方々の、被災地外での受入れ施設の整備です。厚生労働省ではすでに、現地に40人ほどの人員を派遣しており、この連携体制を確保する取組を行っているところです。 さらに心のケアについては、1月11日時点で28隊活動している、心のケアの専門チームであるDPAT(災害派遣精神医療チーム)の体制の強化を図るとともに、福祉関係の専門職で編成されるDWAT(災害派遣福祉チーム)を派遣し、避難生活における困り事に関する相談支援等、福祉的な視点からの支援を行っております。
 さらに、中長期における被災者の心のケアについては、石川県の精神保健福祉センターを中心とした保健師、精神保健福祉士、公認心理師等の専門職による被災者への電話相談や訪問支援を行っています。そして応急仮設住宅に入居した被災者等の見守りや日常生活上の相談支援等、さらに被災された在宅高齢者等について、個別訪問等による早期の状態把握や必要な支援へのつなぎ等を実施するため、自治体から委託を受けた団体等による実態把握、そして自治体の取組に対して、被災自治体のニーズを丁寧に伺いながら必要な支援に取り組んでおります。
記者:
能登半島地震で被災した介護現場の現状と支援策について伺います。現場では介護事業所の職員自身が被災していることもあり、入居者だけでなく職員の負担も深刻となっています。厚労省はDWATの派遣や全国から介護職員らを派遣する方針を示すなど対応をされていますが、改めて被災事業所の現状についての認識と課題をお聞かせください。併せて、支援策の優先順位として、被災地にDWATや介護職員を派遣することが優先なのか、被災した高齢者や障害者らをいったん県外等の被災していない地域に避難させることを優先するのか、厚労省の対応方針を教えてください。
大臣:
被災から10日以上が経過し、停電や断水がまだ続いている地域が相当地域あります。施設に入所している高齢者の健康状態の悪化が懸念されているほか、職員自身も被災し、疲弊する中、限られた人員で懸命にケアを提供していただいていることが現状だと認識しています。今後、一部地域では電気・水道の復旧に時間を要する見込みであり、そうしたことを踏まえると、高齢者等の命と健康を守り、災害関連死が生じないようにするためには、施設の被災状況やインフラの復旧状況、職員の状況等を総合的に勘案し、他施設への避難を優先させる判断も必要と考えています。このため、高齢者施設や障害者施設に入所されている方の2次避難について、石川県や隣接県と協力して、他施設における受入れ調整を開始したところです。他方、介護職員等の応援派遣やDWATについては、被災地において継続して介護サービスや障害福祉サービスを提供する施設及び避難所の高齢者等のケアや相談支援に従事いただくことを主に想定しており、厚生労働省では、他県からの応援派遣の調整を進め、必要な人員を確保できるよう支援することとしています。この点、本日開催する介護・障害等の福祉関係団体による連絡会議において、要介護高齢者等の施設での受入れや介護職員等の応援派遣について、私から各団体に協力をお願いする予定です。引き続き、県や関係団体と緊密に連携し、こうした現場のニーズに即した丁寧な対応に努めていきたいと考えております。
記者:
能登半島地震に係わる企業支援、雇用者支援の状況について伺います。一時的な離職を余儀なくされた人向けの失業給付や雇用調整助成金の要件緩和をすでに打ち出していますが、更なる支援の必要性や今後の検討状況について教えてください。
大臣:
雇用保険については、被災地域内の事業所で勤務していた方について、災害により休業したり一時的に離職した場合に、雇用保険の基本手当を受給できる特例措置を実施しました。また雇用調整助成金の特例措置については、昨日の厚生労働省災害対策本部会議において、第1弾として、今回の地震に伴う経済上の理由により事業活動を縮小した全国の事業主を対象として、生産指標要件や雇用量要件の緩和などの対応を1月1日から適用する措置を実施することを発表しております。今後更なる対応については現在検討中であり、速やかにその検討を進め、実施に入っていくことになるだろうと思います。
記者:
昨日1月11日、大学の名誉教授や臨床現場の医師などで構成される、一般社団法人ワクチン問題研究会が、新型コロナワクチンに関し、武見厚生労働大臣宛に要望書を出されました。同研究会の調査によると、2021年12月から2023年11月までの約2年間に、我が国ののべ134の開催学会で、444件の非常に広範囲、事実上の全臓器、並びに精神にわたるワクチン接種後の副作用と考えられる多種多様な疾患が報告されており、また全世界で出版されている論文では、数千人に上る同様の症例が報告されているとのことです。要望書では、ワクチン接種後の死亡者やワクチン接種後の健康被害の全例調査を求めていますが、武見厚生労働大臣は要望書をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
一般社団法人ワクチン問題研究会から、新型コロナワクチン接種による健康被害者の速やかな救済に関連して、ご指摘のワクチン接種死亡者やワクチン接種後の健康被害の全例調査などについてご要望をいただいたと承知しています。ご要望いただいた項目のうち、ワクチン接種後の死亡や健康被害については、医師等が行う副反応疑い報告において、報告基準がある症状や死亡等も含めて報告されています。こうした報告に加えて、製造販売業者からの報告、さらに研究、そして海外規制当局等の情報等も総合的に勘案して、審議会において安全性を評価し、必要に応じて安全対策を講じています。また新型コロナワクチン接種後の健康被害については、健康被害救済制度に基づく救済を行っており、審査の迅速化を目的に、審査会の開催頻度の増加、審査会の増設、そして事務局機能の増強などの取組をすでに行ってきた結果、これらを行う前の令和4年10月から12月と直近3か月を比較すると、ひと月当たりの平均審査件数は約4倍に増加しており、引き続き、迅速に審査を進めてまいりたいと考えています。さらに、新型コロナワクチン接種後の遷延する症状については、厚生労働省の研究班において、昨年2月より調査を行っています。いただいたご要望に関して厚生労働省としては、現在のこうした取組を継続して対応していきたいと考えています。
記者:
副反応疑い報告の報告が氷山の一角であるということは、これまでの記者会見でもお伝えしてきました。これは引き続き、今までの氷山の一角の報告体制を続け、全例調査はしないということでよろしいでしょうか。
大臣:
ワクチン接種に伴う副反応情報は、ワクチンの安全性を評価する上で重要だということは私どももよく理解しております。このため、医師や製造販売業者に、副反応疑いの報告を義務付けております。そして国内外の研究のみならず、海外規制当局等の情報等も常時これを収集しています。これらを総合的に勘案し、審議会において安全性を評価しています。したがって、副反応報告制度とは別に全数調査を実施しないことをもって安全性評価が不十分とのご指摘には同意することはできません。厚生労働省としては、引き続き副反応疑い報告制度の適切な運用に努めるともに、様々な観点から安全性の評価は行ってまいりたいと考えています。
記者:
昨日1月11日、この会見室にて「一般社団法人ワクチン問題研究会」の記者会見が開催されました。ワクチン問題研究会は、PubMedという論文検索エンジンを使い、新型コロナワクチンの副作用に関する論文のデータベース構築作業を行っていますが、その過程で、現在副作用の報告数としては3,071本の論文が把握されており、1つのワクチンでこれだけの論文が出ているというのは人類史上初めてであり、ただならぬ事態が現在進行中であるとのことです。2023年1月9日の定例会見で武見大臣は「予防接種後の健康被害が極めてまれではある」と仰いましたが、ワクチン問題研究会の現状把握と、大臣の「極めてまれ」という認識には、非常に大きな乖離があります。武見大臣及び厚生労働省は、新型コロナワクチンの副作用について、ワクチン問題研究会の報告を受け止め、認識を改めるというお考えはありますか。それでもなお「極めてまれ」であると仰るのであれば、ワクチン一般論ではなく、新型コロナワクチンに限定し、PMDA等から提示される根拠も含め、「副作用が起こるのは極めてまれ」であるというエビデンスを示した上で、答弁していただきたいと思います。ぜひ、大臣の主張を支えるエビデンスをご教示ください。
大臣:
ご指摘の「予防接種後の健康被害が極めてまれではあるが、不可避的に生ずる」ということについては、あくまで予防接種法に基づく健康被害救済制度の趣旨背景を謳ったものです。ワクチンの副反応を疑う症状については、医療機関等から報告された情報を収集し、関係審議会において接種総数に対する副反応の報告頻度も評価し、現時点において新型コロナワクチン接種を見合わせる等の意見はいただいておりません。厚生労働省としては、今後とも科学的な知見の収集、専門家によるワクチンの安全性の適切な評価、新たな情報の速やかな医療機関等への提供など、必要なことは確実に対応し、実行していきたいと考えています。

(了)