武見大臣会見概要

(令和5年12月22日(金)10:58-11:27 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 冒頭の私からの発言をいたします。まずマイナンバー法改正法の施行期日等についてです。健康保険証については、先週12日に開催されたマイナンバー情報総点検本部において、総理から「予定通り、現行の健康保険証の発行を来年秋に終了し、そしてマイナ保険証を基本とする仕組みに移行する」とのご発言がありました。本日、マイナンバー法等の一部改正法の施行期日を定める政令が閣議決定され、保険者の準備に要する期間や窓口での円滑な対応等も考慮して、令和6年12月2日、月曜日とすることとしました。また、先日成立した令和5年度補正予算で計上した、マイナ保険証の利用促進に向けた医療機関等への支援金については、来月からのマイナ保険証利用率が支援金算定の基礎となります。医療機関・薬局において積極的に取り組んでいただくため、年内にも本支援金をはじめとした支援施策についてわかりやすく解説した動画を配信するとともに、年明け1月12日に、全国の医療機関・薬局の皆様を対象として、オンラインセミナーを開催いたします。私自ら発信する予定ですので、皆様揃ってご視聴いただければ幸いです。
 それから、マイナ保険証の利用促進に向けて、現在、公的医療機関等に対し、利用率の目標設定・専用レーンの設置を要請していますが、厚生労働省所管の医療機関においては、原則として、全ての施設に対し専用レーンを導入いただくよう働きかけをしていきます。民間医療機関等に対しても、自主的な目標として活用できるよう、利用率実績を通知していくことを予定しています。さらに、各保険者においてもマイナ保険証の利用率の目標を設定いただき、事業主と連携して、マイナ保険証の利用促進のための取組を進めていただこうと考えています。厚生労働省、医療機関・薬局・保険者、さらには経済界が一丸となって、より多くの国民にマイナ保険証をご利用いただき、そのメリットを実感していただけるよう、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用促進に向けて努力する予定です。
 それから、もう1つ別件がありまして、本日の閣議において日本年金機構理事長の人事について了解が得られました。約11年と長きにわたり、日本年金機構の業務改革・組織改革にご尽力頂いた水島藤一郎氏におかれましては、今回、任期満了で退任となります。令和6年1月1日付けで 大竹和彦氏を新たに任命いたします。以上が冒頭発言です。

質疑

記者:
来年度予算について伺います。本日、来年度予算案が閣議決定される予定ですが、社会保障関係では医療DXなど様々な課題が山積する中で、特にどの分野に力を入れて必要な予算の確保されたか、お聞かせください。
大臣:
令和6年度予算案では、人口の減少、それから超高齢社会に対応した持続可能な地域医療・介護の基盤構築、それから地域の共生社会の実現、それからイノベーションや「新しい資本主義」による成長の加速化を推進し、国民一人ひとりが豊かさを実感できる社会を実現するために、まず第1に、今後の人口動態・経済社会の変化を見据えた保健・医療・介護の構築。第2に構造的人手不足に対応した労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進。第3に、特に包摂社会の実現の3つを柱として必要な予算を盛り込んだところです。特に、一丁目一番地の課題であった3報酬改定については、物価高騰・賃金上昇等の影響を踏まえた必要な改定率を確保できたと考えています。本日閣議決定予定ですが、予算を効果的に活用し、国民の安心につながる持続的な社会保障制度の構築等にしっかりと取り組んでいきたいと思います。
記者:
マイナ保険証に関してお伺いします。政府は現行の健康保険証について、先ほどもお話がありましたが、来年12月2日に新規発行を停止する考えですが、先ほど冒頭発言でも準備期間等を考慮したとご説明がありましたが、それ以外に、12月2日という日程とした理由があれば教えてください。またマイナ保険証の利用率について最新の数字と、10月には4・49%と利用率が低迷する中で、来年12月までにどのように利用率を向上させていくのかのお考えについてお聞かせ下さい。
大臣:
マイナンバー法等の一部改正の改正事項のうち、健康保険証の廃止に係る規定の施行期日については、12月1日付けで現行の保険証の年次更新を行う保険者、国保等ですが、が十分に経過措置を受けられるようにすること。次にシステム改修など、施行に向けた保険者の準備の期間をできるだけ長くとる必要があること。その次に、窓口の混乱を避けるために、自治体等の営業日とする必要があることなどの観点から、令和6年12月2の月曜日にあえてしたものです。このマイナ保険証の利用率は直近、10月で約4.5%です。現行の健康保険証の廃止を見据えて、マイナ保険証の利用促進を図ることは、喫緊の課題であると認識しています。今後、さらに多くの国民の皆様にマイナ保険証を使っていただき、そして健康・医療データに基づく質の高い医療を受けられるなどのメリットを感じていただけるようにしていかなければなりません。その上で、マイナ保険証の利用率の増加に応じた医療機関等への支援金の周知をし、それを加速化させます。そして公的医療機関や保険者に対するマイナ保険証の利用率の目標設定と、達成に向けた取組の要請など、医療機関や保険者、事業主とも連携して、利用促進の取組を積極的に行うこととしています。このように、厚生労働省、医療機関・薬局・保険者、さらには経済界が一丸となって、より多くの国民の皆様にマイナ保険証をご利用いただき、そのメリットを実感していただけるように、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用促進に取り組んでいく所存です。なお、12月1日ではなくて2日にした理由は説明しましたが、12月1日付け更新の保険者というのが、実際のところ市町村国保で10、それから国保組合で5、そこで約95万人の方がまさに更新の手続きの日が12月1日になっています。この時に更新をされた方々について、しっかりと1年間引き続きその保険証を有効とするわけですから、それによって、その準備期間として丁寧にマイナ保険証に移行していただくという考え方で12月2日にしたということも、少し詳しくなりましたがご説明とさせていただきたいと思います。
記者:
2点お伺いします。まず1点目、冒頭発言がございました年金機構理事長の任命についてお伺いします。水島理事長は11年やられたということで後継者がなかなかいなかったという指摘があった経緯もありますが、今回、大竹和彦氏に任命された理由について詳しくお伺いできますでしょうか。
大臣:
水島さん、本当に長年よくやってくださいました。民間の金融機関から実際にこうした国の組織機構という、従来の極めて硬直な組織というものをより効果的に再構築していく上で、大変重要な役割を担っていただいたと私は認識しています。任命される当初から私は存じ上げていたものですので、この11年間の役割に対しては極めて敬意を表し、また感謝を申し上げているところです。それから大竹さんですが、この農林中央金庫の事業部門・管理部門などを歴任した他に、役員として経営全般を統括するなど、幅広い業務を経験されてこられました。単なる理事ではなく、専務を担当しておられます。大竹氏がこれまで農林中金において取り組んでこられた事務の効率化、それから利用者の利便性の向上などについては、日本年金機構においても共通した課題があります。これまでの豊富な知識と経験を活かして的確に組織運営を行っていただけると判断して、理事長として任命するということがその経緯です。
記者:
もう1件別件で、こども未来戦略における実質的な社会保険負担軽減効果についてお伺いします。一昨日の大臣折衝で、今年度と来年度の歳出改革で3300億円の歳出改革による負担軽減効果があるとされた一方で、医療や介護分野での賃上げや全世代型社会保障構築に伴う制度改革で増える3400億円の社会保険の負担増については、追加の負担と考えないとする方針が示されました。実際には増える負担を負担としない考え方というのはなかなか理解が得にくい部分もあると思いますが、どういった考え方でこの整理が行われたのか、また、こういった説明をどう国民に対して説明し理解を求めていかれるのかお伺いします。
大臣:
現在策定中の「こども未来戦略」の案においては、「歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築する」とされています。「実質的な社会保険負担軽減の効果」については、歳出改革による社会保険負担軽減額から、医療介護の制度改革による追加的な社会保険負担額を控除して算定するという引き算をしています。この点、ご指摘のあった、3,400億円の制度改革分については、まず第1に、国全体で賃金が上昇する中で医療・介護分野でも当然に必要となる、現場従事者の賃上げ分というものがまず見込まれます。それから、2つ目には負担能力が低い方の負担を軽減し、一方で負担能力が高い方に一定の負担をお願いするといった、能力に応じた全世代の支え合いの観点から実施する制度改革などがこれに含まれているわけです。こうしたことから、賃上げによる社会保険負担軽減効果が見込まれることを踏まえ、こうした追加的な社会保険負担額については計算しないという整理の仕方をしました。
記者:
そういった説明を国民にどういう形で理解を求めていかれるか、という対応があればお願いします。
大臣:
実際にこれは、1つ1つ丁寧に個別具体的なケースでご説明しながらご理解を求めていくというやり方が、1番適切ではないかと思います。全体をざっくりと説明したとしても、なかなかご理解を得るのは難しいということが現実にありますので、その都度、私の方から丁寧に説明し、この考え方というもののご理解を国民の皆様にいただけるよう努力したいと思います。
記者:
甲南医療センターでの過労死の問題について3点質問します。19日、労基署に甲南医療センターが書類送検されましたが、それについての受け止めをお願いします。2点目ですが、遺族を含めた家族会が20日に、武見大臣宛てに自己研さんの通達の見直しと法令で医師に労務管理の研修を義務付けることなどを求める請願書を提出されました。この請願書についてどのようにお考えでしょうか。最後3点目ですが、今後、過労死などにつながる重大な労基法違反があった場合、その病院に対して、残業時間の上限の特例措置を認めなかったり、専攻医の研修施設から外したりという措置を取ることはありえるでしょうか。
大臣:
お尋ねの事案、12月19日に兵庫労働局西宮労働基準監督署が、労働基準法違反の容疑で神戸地方検察庁に書類送検しました。その報告を受けています。今後、検察庁において、適切に対処がなされるものと考えています。実際に今現在、医師も含めて働き方改革というのは、私どもの主要な議題となっている時にこうした事案が発生しましたから、こうした1つ1つの事案に関しては十分に注意をはらって、この改革を進めていくことが必要という認識を私は持ちました。そして、ご家族からの請願書についても、12月20日に医師の過労死家族会の方々から、私あての請願書を確かにいただいています。医療現場で働く方々の健康確保は大変重要であると考えています。厚生労働省としては、いただいたご意見も参考にしながら、引き続き医療機関に対する支援を進めていくとともに、重大・悪質な労働基準法違反に対しては、厳正に対応していきます。残業時間の上限の特例については、医療法において、過去1年以内に、医療機関が労働基準法等に違反して処分等を受けている場合には、都道府県知事による特例の指定を受けることはできないとされています。また、専門研修施設については日本専門医機構と関係学会が審査・認定しているものですが、厚生労働省としても、専攻医も含め医師の適切な労働時間の管理と健康確保は大変重要な課題であると考えており、引き続き、医療機関における取組を進めるとともに、日本専門医機構とも適切な労働環境について意見を交わしていきたいと考えています。
記者:
今の甲南医療センターについて関連した質問です。病院側は高島さんが長時間労働ではなかった根拠として、「自己研鑽」が多く含まれていたと主張しています。医師の長時間労働の是正をめざす厚労省として、このような病院側の主張は許容できるのか、見解を伺います。
大臣:
まずお尋ねの事案ですが、12月19日、兵庫労働局西宮労働基準監督署が、労働基準法違反の容疑で神戸地方検察庁に書類送検したという報告は受けました。これは先ほど申し上げた通りです。労働基準監督署による捜査の結果、違法な時間外労働を行わせた疑いがあると判断し送検したものであり、今後とも検察庁において適切に対処がなされるものと考えています。医師については、的確な労働時間管理を行うことが重要であり、通達において医師の研鑽が労働時間に該当するかどうかの考え方を示しています。そしてまた、各医療機関においてこれを明確化するための手続等を示しているところです。医師の健康確保のためには、こうした考え方を医療機関に十分ご理解いただいた上で、適切に労働時間管理を行っていただくことが重要と考えており、引き続き、この研鑽と労働時間に関する考え方の周知を行っていきたいと思います。
記者:
武見大臣は、9月29日の記者会見において、令和4年の死亡数が増加した原因について、「地方自治体では既に死亡数が増加しているそれぞれの地域で、調査を始めている。色々よい調査も確実に行われている。」と発言されました。死亡数の増加の原因調査をしている地方自治体名と、そこがどのような調査を行っているのかについて、教えていただけますでしょうか。
大臣:
死亡数については、第1に新型コロナを直接の死因とするもの、それから第2に新型コロナを直接の死因としないが死因と関連するもの、第3に死因が新型コロナと関連しないもの、この3つに分類されます。各自治体における独自の調査・分析については、対象者が新型コロナ陽性者であるが、新型コロナを直接の死因としない者の死因を分析したものです。また自治体において新型コロナに限らない分析として、例えば今年度は、各地域の保健医療政策や健康増進計画策定などの検討に必要な情報を得るためや、それから看取り死、チャイルド・デス・レビュー、溺死など様々な目的のためなどに、人口動態調査票の利用申請を行い、この調査を進めているものと認識をしています。個別の利用申請について自治体名をお答えすることは差し控えますが、いずれにしても、こうした自治体との連携、それから自治体の分析の活用は確実に進めていきたい考えているところです。
記者:
具体的な自治体名を教えていただけなくて残念ですけれども、地方議会ではですね、地方議員の方がこの地元で起きている死者激増の問題を調査して欲しいという発言をされますと、大体というかほぼ全て執行部側は国でやればいいと返されております。例として10月5日の愛知県議会で末長啓議員の質問、あるいは12月12日、山梨県甲府市議会で村松裕美議員の質問など、地方は国でやればいいと言って国は地方での調査を期待しているという現状ですけれども、私からすると全然調査進んでいない現状に見えるのですが、武見大臣は地方自治体に対して正式に調査を依頼するなどもう一歩踏み込んだ対応をされるお考えはおありでしょうか。
大臣:
これはもう現に、協力する自治体が現実にできていて、そしてその新型コロナを含む全死因の超過死亡を通常のスキームより迅速に分析するために、28の自治体から協力を得て調査分析を進めています。協力自治体からは月に2回、日ごとの死亡者数を半月分独自に集計し、報告をしていただいています。いずれにせよ、今回のこのコロナの経験を踏まえてこうした超過死亡というものに関わる把握というのが、やはり重要な政策を考える上で課題になってきていることは十分承知した上で、こうした各地方自治体との協力を進めていきたいと思います。
記者:
確認ですが、28の自治体で調べているのは超過死亡数、つまり死亡の数字だと思うんです。死因について分析されているように見えないのですが、死因についても分析されているのでしょうか。
大臣:
これは実際に、こうした数を通じてお互いにまず協力をし、そしてその上で、その原因についての協議をお互いに行っていくという姿が自然だろうと思います。現にこうした数に関わる協力というのはできてきて、これは今後更なる新たな協力関係に結びついてくるものだと思います。しかし現実に、こうした全ての自治体が、全部まだ数値に関しても協力する体制になっていないわけでして、我々の方では既にご依頼を申し上げて、28まで増えてきていますので、こうした自治体をさらに増やして、そしてその数だけでなくて原因も含めた調査の把握、これを考えていくというのが段取りだろうと思います。

(了)