武見大臣会見概要

(令和5年12月19日(火)10:50~11:08 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
看護師による暴行事件が起きた東京都八王子市の精神科「滝山病院」の問題で、医療法に基づく措置命令を受けて法人が設置した第三者委員会が調査報告書を公表しました。それによると、立件された暴力行為以外にも、看護職員による暴力行為があったことや、違法な身体拘束が行われていたこと等が明らかにされました。この報告書の内容に対する受け止めと、国として今後、どう対応するかについて教えてください。
大臣:
第三者委員会が、この滝山病院での虐待行為の事実解明及び原因究明等の調査がこの第三者委員会によって行われた、そしてその調査報告書が昨日公表されたということは承知しています。滝山病院では改善計画に基づき、虐待の再発防止等に向けた取組を進めているものと承知しておりますが、引き続き指導監督権限を有する東京都と密接な連携を図り、厚生労働省として必要な対応を行っていきます。また来年4月から、精神科病院における虐待防止措置や、虐待を発見した場合の都道府県等への通報義務、これらに関する報告徴収等の仕組みが創設されます。こうした取組の推進により、入院中の患者の処遇の改善というものを確実に図っていきたいと考えております。これは精神保健福祉法の改正です。それによって、例えば従業員や患者自身からの通報義務というものが規定されるようになりますし、すべての、一部ではなくすべての精神科病院の従業員に対して研修を受けていただくということもそれで決まりますし、そうした事案が発生した場合には各都道府県が公表するということになりますので、この新たな法的な改正措置を通じて事態をより一般的に改善していくということに繋がるだろうと考えています。
記者:
市販薬の過剰摂取、オーバードーズについてお伺いします。12月18日、昨日の医薬品の販売制度に関する検討会で示された調査結果によると、オーバードーズが原因と疑われる救急搬送事例が、昨年は2020年と比べ10代で約1.5倍、20代で約1.2倍になっており、若年層で急増しています。検討会では濫用等のおそれがある医薬品について販売規制の強化を検討していますが、これはいつから実施するお考えでしょうか。また濫用等のおそれがある医薬品に指定されている6成分以外でもオーバードーズは相次いでいます。指定範囲を見直すお考えがあるかどうかも合わせて教えてください。
大臣:
この一般薬に関わるオーバードーズの問題というものは、これからさらに若者の間でも広がっていく深刻な課題として受け止めています。濫用等のおそれのある医薬品の販売ルールの見直しについては、有識者で構成される検討会において取りまとめを行っています。厚生労働省としては今後取りまとめを踏まえさらに検討することとしており、現時点では制度の見直しの具体的な時期はまだ決まっておりません。しかし検討会での検討が終了したのち、検討会の報告の中には法改正の内容を含んでいるため、今度はそれを受けて医薬品医療機器制度部会が、今度は法改正に関わる審議をそこで行うことになっています。それが出てきたことを受け、今度は実際に立法府における法改正の審議に入っていく。こういうかたちで進んでいくものと思います。時期はまだ明確には、そういうプロセスはわかりませんが、こうしたプロセスを経て確実に改善していこうと考えております。「濫用等のおそれのある医薬品」に指定される成分、ご指摘の6成分等がありますが、これについてはコデインなど鎮咳去痰薬に限って指定していた成分が一部ありましたが、昨今の一般用医薬品による依存症例の実態等を踏まえて、今年4月に当該成分が含まれている全ての製品に、指定範囲を拡大したところです。引き続き、指定範囲の見直しのための実態把握等に常に努めてまいりたいと考えています。
記者:
法改正が必要な内容があるということでしたが、法改正になると2025年以降と昨日の検討会では事務方の方から説明がありましたが、それ以前に濫用等のおそれのある医薬品に対する規制強化については、法改正を待たずして進めていくというお考えはありますでしょうか。
大臣:
もちろんです。法改正をして法的根拠を明確にしていくということをまずしっかりとやりながらも、現状の法制の中でできる規制は確実に進めるという考え方です。
記者:
濫用等のおそれがある医薬品の指定範囲の見直しですが、これは現在具体的に検討進めているわけではないという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
指定範囲の見直しについては、先ほども申し上げた通り現状でその実態の把握を進めているところです。実際に思ったより広がっているようですが、まず実態把握をしっかりすることが必要ではないかと考えます。
記者:
政治資金問題について伺います。先ほど自民党安倍派と二階派の事務所の強制捜査が始まりました。大臣の所属派閥は異なりますが、内閣の1人として受け止めをお願いいたします。
大臣:
これは今政府の立場にいるので、党の中でのそうしたことにいろいろと詳細を申し上げるわけにはいきませんが、やはり国民からの政治不信を解消するためにあらゆる努力を党として行うということを、我々自民党の1人としてやはり考えなくてはいけないということは痛切に認識しています。
記者:
新型コロナワクチン接種後の死亡について伺います。予防接種健康被害救済制度における新型コロナワクチン接種後の死亡認定数ですが、昨日4名が新たに追加され現在381名となっています。そこで伺います。381名のうち「副反応疑い報告」に計上されている人数を厚生労働省では把握していますでしょうか。把握しているのであれば何名でしょうか。教えていただければと思います。
大臣:
現状で、予防接種健康被害救済制度は予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合に救済を行う制度ですが、この新型コロナワクチンについては令和5年11月24日時点で、国に進達されている死亡事例は1,040件です。それから、そのうちの426件が審査され、そのうち377件が認定されたわけですが、ご指摘の通り4件増えて審査会で昨日午後公表されたようですが、381件となったと理解しています。その上で、予防接種健康被害救済制度は副反応疑い報告制度と異なる制度であるために、ご指摘の377人、当初はですが、そのうち「副反応疑い報告」に計上されている人数についてはまだ把握していません。副反応疑い報告制度等に基づき、死亡を含むワクチンの副反応を疑う症状について医師や製造販売業者等から報告があった場合、これはPMDAに対して報告があった場合ですが、審議会で安全性等を評価した上で必要な対応を行ってきており、現時点で審議会において新型コロナワクチン接種を見合わせるといったような意見はいただいていません。
記者:
関連して、厚生労働省では把握していないということですが、私独自で調べておりまして、377名のうち少なくとも半数以上は副反応疑い報告に計上されておりません。つまり大臣がワクチンによる死亡と認めた事例の大半が副反応疑い報告に計上されていないのが現状です。これではワクチンの安全性の適正な評価や国民への正しい情報ができておりません。できればこの救済制度の認定と副反応疑い報告の制度を突合させてしっかり実態を把握されるほうがよろしいかと思いますがいかがでしょうか。
大臣:
新型コロナワクチンについては、医師や製造販売業者等から2,000件を超える死亡に関する副反応疑い報告等を受けています。この審議会で安全性を評価しており、現時点で審議会において新型コロナワクチン接種を見合わせるといった意見はまだいただいていません。我々としては専門家による科学的知見に基づく判断という受け止めをそこでしているわけです。その上で、この救済制度で認定された377例についての副反応疑い報告の提出有無については、それぞれの制度の目的や報告、申請を行う主体というものが異なることから現時点では把握しておらず、また死亡事例を含む副反応報告も含めて安全性を評価していることから、現時点で調査の実施というものは考えていません。
記者:
mRNAワクチンとレプリコンワクチンについて、この質問は以前10月17日もした質問ですが、重要なので再度させていただきます。mRNAワクチンを繰り返し接種すると、免疫を抑制する免疫グロブリンIgG4が増加することを示した論文が2023年5月、オープンアクセスの学術サイト『MDPI』にて公開されました。血清中の免疫グロブリンIgG4の増加は自己免疫疾患の原因となり、感受性の高い人、免疫不全、合併症がある人においては、がんの増殖や自己免疫性心筋炎を促進するリスクがあると指摘されています。日本は7回もの追加接種を行っています。追加接種とそれによる免疫力の低下の関係性について包括的な調査は行われているでしょうか。また調査をする予定はおありでしょうか。11月28日に国内承認されたレプリコンワクチンも同様のリスクを負っていないと責任をもって断言できるのでしょうか。お願いいたします。
大臣:
まず追加接種と免疫力低下の関係性ですが、ワクチン接種後の副反応が疑われる症状については、副反応疑い報告制度に基づく報告も踏まえて、定期的に開催している審議会においてワクチンの安全性についての評価が行われています。接種回数を重ねても、免疫疾患を含めた副反応疑い報告の頻度は上がっていません。直近の10月27日の審議会においても、安全性において重大な懸念は認められないと評価されているところです。今後とも科学的な知見の収集にしっかりと努め、専門家によるワクチンの安全性の評価を適切に行い、新たな情報が得られた場合には速やかに医療機関等に情報提供するなど必要な対応を行っていきます。レプリコンワクチンについてですが、ご指摘の11月28日に薬事承認されたMeiji Seikaファルマ社のレプリコンワクチンについては、国内臨床試験において4回目の接種として投与されたわけですが、比較対象としたファイザー社ワクチンと比べて有害事象の種類や発現割合等に明確な差は認められませんでした。したがって安全性は許容可能と判断されたことを申し添えておきたいと思います。
記者:
このIgG4の免疫抑制の問題はmRNAワクチンを接種して初めて起こり、もしmRNAを接種していなければ起こらない問題ですので、もし新しい情報が得られる場合には速やかに情報を周知していただくようお願いいたします。
記者:
診療報酬改定についてお伺いしたいと思います。先週、大臣・岸田首相・鈴木財務大臣と協議が行われ、今回の0.88%という数字が伝わってきていますが、これはまだ正式な決定ではない段階ですが、その3者の協議の中でどのようなやりとりでそのような数字に詰めていったのかということがもしお話しいただけるようであれば教えていただきたいというのが1点。大臣にとっては初めての診療報酬、介護報酬改定となりますが、その感想をお伺いできればと思います。
大臣:
まだ終わったわけではなく、まだまだ実際に内容の整理がこれからですし、実際に決まったのは大きな財源の枠組みだけですので、それを最終的な姿に、20日程度でしょうか、予算編成でそのプロセスを終わらせた後の、今度はそれに基づいて現実の診療報酬の改定作業が1月から始まるわけです。したがって実際にどういう改定をするとそれが実際にどういう診療報酬改定となって、そして現実の医療の現場あるいは患者さんの立場にどういう影響を及ぼすのかという全体像は、まさにこれからしっかりと把握していかなければならない課題だと思っていますので、今回の診療報酬改定もその始まりが始まっただけだと私は認識しています。
記者:
数字の詰めについては大臣からどのようなことを言われたのでしょうか。
大臣:
それについては予算の編成が終わるまでは今の立場では申し上げることはできません。
記者:
感想などがあればお願いします。
大臣:
感想は20日が終わったらお答えします。

(了)