武見大臣会見概要

(令和5年12月5日(火)9:38~9:49 院内閣議室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
社会保障改革についてです。現在、2028年度までの改革工程表が検討されていますが、このうち後期高齢者医療制度の患者負担について、財政審は「原則2割化」が必要と指摘しています。原則2割化は検討されるのか、「2割負担の対象拡大」の必要性と併せて、お考えを教えてください。また介護保険では、介護老人保健施設や介護医療院の多床室室料の自己負担化について、4日の介護給付費分科会では、反対意見が多く出ました。年内に結論を出す方針に変わりはないかについても教えてください。
大臣:
社会保障制度の「改革工程」については、現在、全世代型社会保障構築会議においてまさに検討中です。現時点で何かが決まったということは、全く承知しておりません。いずれにせよ、ご指摘の後期高齢者医療制度の患者負担の原則2割化については、厚生労働省として、現時点で具体的に検討しているという事実はまだありません。一方で一般論として、人口構造が大きく変わる中で、制度の持続可能性を高めることは必要だということは当然考えていますが、医療保険制度全体として、不断の検討を行っていくということは重要だと考えています。介護保険における多床室の室料負担については、骨太の方針において、年末までに結論を得るとなっていますので、昨日、12月4日の介護給付費分科会においてご議論いただき、様々なご意見をいただきました。こうした様々なご意見を踏まえながら、引き続き、年末までに結論を得るように検討を進める予定です。
記者:
少子化対策の財源を巡って、岸田首相は国会で「社会保障にかかる国民負担率は上昇しない」と説明しています。最新の国民負担率の数字を教えてください。また、現状より上昇させないという意味なのか、上昇抑制に向けた厚労省の取り組み方針と併せて、教えてください。
大臣:
少子化対策の当面の集中的な取組の財源確保にあたっては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより国民に実質的な追加負担を生じさせないことと理解しています。この実質的な国民負担について、先日総理が述べられたとおり、社会保障負担に関わる国民負担率のことであると承知しています。これは社会保障負担に関わる国民負担率。社会保障負担に関わる国民負担率は、財務省が今年2月に公表した令和5年度の見通しでは、「18.7%」となっています。厚生労働省としては、現役世代の負担にも配慮しつつ、持続可能な社会保障制度を構築していくことが重要であると考えていますので、能力に応じて皆さんが支え合う「全世代型社会保障」の構築に全力を挙げていく所存です。
記者:
コロナワクチン副反応についてお伺いします。ワクチン接種後の遷延する症状について、実態把握や治療法研究、現在までの進展はいかがでしょうか。
大臣:
新型コロナワクチン接種後の副反応等の個別事例について、副反応疑い報告制度や健康状況調査等により把握を行っています。そして新型コロナワクチン接種後の遷延する症状については、厚生労働省の研究班において、今年2月から調査を行っています。それによると、ワクチン接種後の副反応が疑われる症状を診療する専門的な医療機関から、報告された症状等の一覧からは、現時点で懸念を要するような、特定の症状や疾病の報告の集中は見られなかったこと、そして多くの事例で軽快又は回復していることが確認されたことが報告されたと承知しています。こうした調査・研究を通じて、症状や治療の実態を含めた科学的な知見の収集に努めるとともに、専門家に評価をしていただき、ワクチンの安全性の評価を適切に行っていきたいと考えています。
記者:
先日の厚労省の医療経済実態調査について伺います。調査では2023年度の医療機関の利益率の推計値を公表しました。 支払い側から推計データをもとに報酬改定の方向性を議論すべきでないとの指摘がありますが、改定の議論に活用する考えはありますでしょうか。
大臣:
今回の調査対象年度、令和3年度及び令和4年度ですが、令和5年度にかけても、新型コロナウイルス感染症の影響や物価高騰の影響などを大きく受けていたという特殊性が考えられるために、それらの影響も勘案した直近の動向も把握すべく、令和5年度の推計値もお示ししたところです。令和6年度の診療報酬改定に当たっては、医療経済実態調査の結果や推計も参考にしつつ、今般の改定率の決定に向けて予算編成過程で検討するとともに、具体的な改定内容は中医協において検討してまいりたいと考えています。
記者:
厚労省が開設した女性の活躍推進データベースの女性幹部比率などの数値を調べたところ、少なくとも500件を超える誤記や記入のミスが見つかりました。大臣のご所見と、今後の対応策について聞かせてください。
大臣:
女性の活躍推進企業データベースにおける女性活躍推進法に基づく情報公表項目である、管理職に占める女性労働者の割合などにおいて、500件程度の誤記が見られているということは事実です。データベースで情報公開している企業の約2%に相当します。企業自らデータベース情報を入力する仕組みなので、企業の入力ミスが原因と考えます。今後、掲載時の目視確認の強化や、さらには入力時のヒューマンエラーを防止するための機能の改修などにより、引き続き、掲載情報の正確性が担保できるよう取り組んでいきたいと思います。
記者:
診療報酬などのトリプル改定に向けて伺います。与党内では、いわゆる「歳出の目安」、社会保障費の次年度の伸びの中におけるものとは別枠で、消費税や社会保険料の増収分を物価高や賃上げへの対応に充てるべきという意見が出ています。少子化対策の財源の確保との兼ね合いもあるかと思いますが、増収分はどの程度が見込まれ、財源としてどのように活用していくお考えかお聞かせください。
大臣:
次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定ですが、骨太の方針2023で、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とされていることを踏まえ、財源の取扱いなども含め、今後の予算編成過程において、財政当局としっかり議論を進めます。なお、報道は承知しておりますが、具体的な内容は現時点でまだ決定していません。その上で、昨今の高水準となる賃上げの動向、さらには人手不足の状況を踏まえれば、医療、介護における賃上げをはじめとする人材確保への対応は、喫緊の重要な課題であるものと認識しております。今後とも改定率の決定に向けて予算編成過程で検討するとともに、具体的な改定内容は中医協において検討していきたいと考えています。
記者:
報道というのは、コメディカルの賃上げにかかった費用を医療機関の報酬に上乗せする仕組み、これが報じられていますが、今回の診療報酬改定でそれを担保することで関係者の合意ができていると理解してよろしいでしょうか。
大臣:
そのような報道があることは知っています。ただ報道はあるが、現時点で政府の中で我々が決定していることではありませんということを申し上げております。

(了)