武見大臣会見概要

(令和5年11月24日(金)8:35~8:42 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
医療経済実態調査について伺います。次の改定に向けて行われた医療経済実態調査の結果の取りまとめがまもなく予定されていると思いますが、財務省の調査では、診療所では黒字化との見通しがありますが、可能であれば調査結果の見通しと受け止めをお願いします。また看護補助者やコメディカルの方々の賃金が低いことが指摘されていますが、改めて、医療分野で特に賃金が低い職種の方々の賃上げ対応にどのように臨まれるか、お考えをお願いします。
大臣:
今年度の「医療経済実態調査」は本日の中医協で公表される予定です。これによると、一般病院の医業利益率は、新型コロナ後に赤字が拡大し、総損益率も大きく落ち込む見込みです。また一般診療所の医業利益率は、新型コロナ後の落ち込みから回復傾向にありますが、新型コロナの特例等の影響を除いた昨年度までの3年間の平均は、コロナ前の3年間の平均を下回っています。こういった状況と認識しております。その上で、昨今の状況を踏まえれば、看護補助者やコメディカルを含む、約900万人が働く医療、介護における賃上げや処遇改善の実現は、人材確保の観点に加え、日本経済の消費につなげ、成長と分配の好循環を実現するためにも大変重要な課題だと思っています。このような認識を踏まえ、令和6年度の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、そして患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行っていくつもりです。
記者:
財務省の諮問機関である財政審で、今週月曜日に、診療所などについては5.5パーセント報酬単価を引き下げるというかなり思い切った提言を出されていますが、これについての受け止めをお願いします。
大臣:
財政審の審議は財務省の中で行われていることです。新型コロナの感染リスクがある中、診療所を含め医療関係者の方々には、昼夜を問わず献身的にコロナ対応に当たっていただいたところです。国としても、緊急対応として、補助金や診療報酬の加算措置により後押ししてきたところでもあり、その結果として収益が増えたことの評価については、こうした経緯を踏まえて考える必要があると思います。また新型コロナが5類となり、補助金や診療報酬の加算措置も大きく見直しております。来年度からは、改正感染症法に基づく新興感染症対策も施行されます。先日、医療関係者の方々と共に「ポストコロナ宣言」を取りまとめたところでもあります。医療関係者の方々には、次の感染症有事にもしっかり取り組んでいただく必要性があります。厚生労働省としては、年末に向けて、医療機関の経営状況も踏まえつつ、賃上げ、物価高騰、そして感染症対策をはじめとした新たな課題に対応できる改定に向けて努力する所存です。
記者:
障害者向けのグループホームでの食材費の過大徴収問題でお尋ねします。愛知県の調査では、県内の対象となる施設の内、139施設で利用者から徴収した食材費が人件費や光熱費などに流用されていることが判明しました。指定基準はグループホームで食材費の実費を徴収できると規定していますが、他用途への流用が広く判明したことについて、受け止めをお聞かせください。またこの結果を受け、厚労省としてはどのような対応を取るお考えでしょうか。全国的な調査の実施をするかどうかも合わせてお教えください。
大臣:
障害者のグループホームに関し、愛知県で調査した結果、利用者から徴収した食材料費を人件費や光熱水費に流用するなどの不適切な取扱いが確認されたことは承知しています。このようなことは、グループホームの指定基準に照らして、あってはならないものであると考えます。厚生労働省では、10月20日に事務連絡を発出し、グループホームを運営する法人に対して食材料費の取扱いについて改めて周知徹底を図るとともに、自治体の監査等の場において適正な運用がなされているか確認するよう、全国の自治体に依頼したところです。引き続き、自治体との連携の下、適切な対応を講じていくつもりです。また令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて、障害者グループホーム等の透明性や、支援の質を確保する観点から、会計等の諸記録を整理すべき旨を改めて明示するとともに、地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組を新たに導入することについて現在検討を行っています。
記者:
中国での呼吸器疾患でのクラスターについて伺います。中国でこどもの呼吸器疾患が急増していて、一部地域では「診断がつかない」との報道もあります。WHOが中国に情報提供を求めており、国際感染症学会も警戒しています。政府として、何か対応を考えていますでしょうか。
大臣:
中国国内で小児の肺炎が増加しているとの情報があると承知しています。すでに、WHOが中国に問い合わせをする前に、国立感染症研究所から、この情報は私どもの方にきており、外交ルートを通じて中国政府に対してこうした新たな肺炎の状況についての情報を伝達して欲しい旨、要望しているところです。厚生労働省としては、WHO、中国政府などの関係機関から直接情報収集を進めるともに、国立感染症研究所等の専門家を通じて、現地情報の収集・分析を継続的に進めているところです。引き続き情報収集に努めるとともに、内閣感染症危機管理統括庁と連携し、国民への情報提供など必要な対応を進めていきたいと考えます。

(了)