武見大臣会見概要

(令和5年11月14日(火)9:05~9:17 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
先日公表された介護事業経営実態調査では、特養と老健で調査開始以来、初めての赤字となり、厳しい経営の状況が明らかになりました。この受け止めと、来年度の介護報酬の改定にどのように臨まれるかお聞かせください。
大臣:
ご指摘のように、先日公表した介護事業経営実態調査で、入所施設を中心に非常に厳しい経営状態が明らかになりました。この要因については、介護報酬は公定価格である一方、社会全体として物価や賃金が上昇し、支出のうち光熱水費や、人材確保の観点からの人件費が大きく増加したことが、特に収支差に影響を与えているものと考えています。こうした中で、先日閣議決定した補正予算案において、当面の対応としては、物価高騰対策や介護職員等の処遇改善をはじめとした様々な支援を盛り込むとともに、骨太の方針2023に「物価高騰や賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、利用者負担・保険料負担への影響を踏まえて、利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行う。」とされていることも踏まえ、令和6年度の同時改定に向けての議論に入っていきたいと思います。
記者:
マイナ保険証について伺います。10月のマイナ保険証の利用件数が779万件と前月比で43万件増加しました。医療機関での利用呼び掛けが増加につながったとの指摘がありますが、この数字の受け止めをお願いします。一方、利用率は横ばいで、今月末にはマイナンバー総点検の最終結果も控えていますが、現状の点検結果は国民の不安払拭につながっているか、お考えをお聞かせください。
大臣:
マイナ保険証の利用件数は、9月、10月と再び増加傾向となっています。マイナ保険証は医療DXのパスポートであり、未だマイナ保険証を利用したことがない方にも、是非一度マイナ保険証を利用いただき、そのメリットを実感していただきたいと考えています。マイナ保険証の利用促進に向けて、この秋より、医療関係団体等と連携して本格的な取組を進めており、例えば、日本保険薬局協会に加盟する全法人の薬局において、先月10月から、薬局に来られた患者さんに「保険証を見せてください」ではなく、「マイナンバーカード、お持ちですか」との声かけを一斉にスタートしたと伺っています。また昨日、私自身も、東京慈恵会医科大学附属病院を視察し、来院される皆様に「マイナ保険証1度使ってみませんか」という、キャンペーンPRをさせていただきました。 さらに、こうしたマイナ保険証の利用促進や環境整備を進めるために、今般、閣議決定された補正予算案にも、マイナ保険証の利用促進に取り組んでいる医療機関への支援策等を盛り込んだところです。引き続き、こうしたマイナ保険証の利用促進に向けた取組を進めるとともに、国民の皆様の不安払拭のために、総点検を着実に進めていきたいと思います。こうした、マイナ保険証の活用というものを、とにかく積極的に、皆様に1度使っていただき、そのメリットをご理解いただけるようにするためのこのキャンペーンを、あらゆる関係者に引き続きお願いし、徹底していきたいと思います。
記者:
先日閣議決定された、2023年度補正予算案について伺います。介護職員の賃金を月6,000円引き上げるなど賃上げ関連の支援策が多く盛り込まれましたが、これについての受け止めと、今回の賃上げ措置を踏まえ、年末の医療介護障害福祉サービスの同時改定にどのように取り組むのかお聞かせください。
大臣:
政府全体として構造的な賃上げを進めていくという観点から、今般の補正予算案においては、当面の対応として、医療・介護・障害福祉分野の職員の処遇改善、そして最低賃金の引き上げに向けた中小企業への支援など、広く生産性向上や賃上げを支援するために必要な予算を盛り込んだところです。今般、2024年度の3報酬の同時改定に向けては、今般の経済対策・補正予算案における物価高騰や賃金上昇への対応を踏まえつつ、必要な処遇改善の水準の検討とあわせて、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築する必要があると考えています。患者や利用者が必要なサービスを受けられるよう、確実に検討を進めていきたいと考えています。
記者:
宝塚歌劇団の女性が9月に亡くなった件でお伺いします。先週、会見を開いた遺族の代理人弁護士によると、死亡1か月前の労働時間は400時間を超え、時間外労働も250時間を超えていたといいます。受け止めを聞かせてください。また、宝塚歌劇団では委託契約という形で過剰労働させていたという証言もありますが、宝塚の労働環境について調査などを行う考えはありますでしょうか。
大臣:
本件でお亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。個別の案件についてはお答えを差し控えますが、長時間労働によって健康を害することはあってはなりません。したがって、労働基準監督署において、法違反が疑われている事業場に対して監督指導の徹底を図っているところです。引き続き、長時間労働の是正に対しては、しっかり取り組んでいきたいと考えています。
記者:
人材派遣会社大手の「マックスアルファ」で多数の給料未払いが発生しています。数千人規模になる可能性もあるとみられ、労働基準監督署にも未払いについて相談が入っているものと思われますが、マックスアルファ側に労働基準監督署から確認などされているのでしょうか。また今後、マックスアルファ側への立入調査など行っていくお考えでしょうか。
大臣:
個別の事案についてはお答えを差し控えますが、一般的に、賃金の不払いはあってはなりません。労働基準監督署においては、監督指導の結果、賃金未払いを含め法違反が認められた場合は、その是正を指導いたします。また、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対しては、その未払賃金の一部を政府が企業に代わって立替払を行う「未払賃金立替払制度」があります。この制度により対応することとしています。その際は、もらっていた給与の8割、限度額が296万円です。今後とも、労働基準監督署において適切に対応してまいりたいと考えています。
記者:
WHOパンデミック条約関連で質問します。11月7日の定例会見にて、大臣は「IHRの改定およびパンデミック条約策定のための議論が現在進行中であり、国内産ワクチンの安全性を含めた承認過程についてもまだ議論されていない」とおっしゃいました。2024年5月のWHO総会に向け、改訂・策定の具体的な内容について、我々国民はどの段階で知ることができるのでしょうか。また、大臣は「成分を含めたワクチンの安全性や審査における透明性等について、現状において特段問題があるとは考えていない」ともおっしゃいました。しかし、2021年2月17日以降、12歳以上の死亡例の報告はすでに約2,000人を超えており、重篤者は約27,000人、予防接種健康被害救済制度の認定数は、過去45年の全ワクチンの合計を上回っているとも言われています。たった1回の接種で全く健康だった30代の女性が、指定難病の認定を受けるほど健康を損なってしまったケースを実際に知っています。現時点で、厚労省が、ワクチン接種による「ベネフィットがリスクを上回る」と考える根拠について、具体的にご教示願えますでしょうか。
大臣:
まずIHRおよびパンデミック条約というものについて、案文や議事録の概要については公表されています。それらはWHOのホームページに載っていますが、これは英文です。交渉自体は非公開となっており、その詳細についてご説明することは難しいですが、交渉の経緯や議論の概要等については、外務省において特設ページを開設し、情報提供を行っています。また、近日中に厚生労働省のホームページでも公開する予定です。今後とも、可能な限り丁寧に、必要な情報提供に努めていきたいと思います。また、新型コロナワクチンの接種の方針については、いつも申し上げておりますが、有効性等に関する国内外の科学的知見として、重症化予防効果が確認されていること等を踏まえ、審議会において専門家にご議論いただいた上で決定しています。新型コロナワクチンの副反応を疑う症状については、副反応疑い報告制度等により、新型コロナワクチン接種後の副反応が疑われる症状について医師や製造販売業者等から報告があった場合には、審議会で安全性を評価した上で必要な対応を行うこととしており、現時点で審議会において、新型コロナワクチン接種を見合わせる等の意見はいただいていないところです。

(了)