武見大臣会見概要

(令和5年10月31日(火)8:31~8:38 院内閣議室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 令和5年9月の有効求人倍率は1.29倍と、前月と同水準となりました。また、完全失業率は2.6%と、前月から0.1ポイント低下となりました。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。私からは以上です。

質疑

記者:
昨日までの衆議院予算委員会で、介護職の賃上げについて、月6,000円では他の産業の水準にかろうじて追いつくだけで、次の報酬改定までの3年間で更に差が開き、不十分ではないかとの指摘が相次ぎました。大臣は、今月19日に視察先で「月額6,000円程度が妥当ではないか」と発言されましたが、改めて、介護職の賃上げ水準について、月6,000円が妥当とお考えでしょうか。
大臣:
昨今の高水準となる賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえれば、介護分野等における賃上げをはじめとする人材確保への対応は、喫緊の課題であると認識しています。今般の経済対策における対応は、金額を含め、具体的な内容が固まっているわけではありませんが、こうした喫緊の課題となっている物価高騰や賃金上昇への具体的な対応策について、この経済対策の中でしっかり検討してまいりたいと考えています。さらに、令和6年度、2024年度の同時改定においても、経済対策における対応を踏まえつつ、介護分野での賃上げの在り方について考えてまいりたいと考えています。したがって、当面の対応として経済対策があり、それに続く、例えば介護であれば3年ごとの改定ですから、3年後を見越した改定というものがそこに繋がる、この2段構えで考えていただきたいと思います。
記者:
昨日、日本化学療法学会の松本理事長らが大臣を訪ねられまして、国内の創薬力の強化に向けて、大学などでの基礎研究と、製薬企業による新薬の開発の橋渡し役として、国が積極的に支援・関与する新しい組織の創設を提言されましたが、これについての大臣の受け止めをお願いします。
大臣:
やはり、我が国における創薬力の劣後ということについては、こうした学会の先生方からも相当厳しい危機感が示されたと受け止めました。日本化学療法学会からは、「有望なシーズを産み出すアカデミアと国内の製薬企業の橋渡し役となり、積極的に創薬に関与していく新たな専門組織の創設」など、様々なご意見をいただきました。創薬力の強化については、スタートアップの起業家・アカデミア・専門家・行政・投資家・大企業などが相互に協力しながらスタートアップの立ち上げと成長を支える「エコシステム」を構築し、開発のための環境整備を行っていく必要があると考えています。さらに、このエコシステムというものの中には、場合によっては海外もエコシステムの中に入るということも、将来は想定していかなければならないと思います。具体的には、海外のエコシステムのプレイヤーとも連携しつつ、革新的なシーズの発見に重要なアカデミアの研究を、質の高い製品として創製していく上でのファイナンスやそのガバナンスを確立していく必要性があると考えているところです。なお、こうした観点から、内閣官房に新たに鴨下一郎参与が任命されたところであり、関係省庁とも一層連携して、こうした環境整備の実現に取り組んでいきます。そして海外も含む深い知見を有する有識者のご意見を伺いながら、検討を深めていきたいと考えています。実際、ボストンなどは、こうしたエコシステムが最もアカデミアから、そして創薬の最終段階に至るまで確実にできている、そういった地域ですが、そうしたところも踏まえながら、我が国も世界の創薬の基盤として、引き続きその役割を果たせるように、そうした仕組みを新たにつくるということが大きな課題だと認識しています。
記者:
仕組みを新たにつくることが課題ということは、提言にあった、新しい組織を作っていくことも検討していくということでしょうか。
大臣:
それも選択肢の1つであり、今まさにその点に関して、有識者から意見聴取を行っているところです。
記者:
先週末、脳死下における移植が1,000件を超えました。それについての受け止めをお願いいたします。
大臣:
平成9年に臓器移植法が施行されてから今年で26年が経過し、10月28日をもって、脳死下での臓器提供事例が1,000件となりました。これは、臓器を提供してくださった方はもちろん、そのご家族の理解と重い決断があってのことであり、心から敬意を表したいと思います。厚生労働省としては引き続き、臓器移植に関して国民の皆様への周知啓発を行うとともに、臓器提供が実施可能な施設の体制整備のための支援等を行い、国内の移植医療の推進を進めてまいりたいと思います。

(了)