武見大臣会見概要

(令和5年10月24日(火)10:00~10:15 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 本日、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案を閣議決定しました。この法案は、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とするための規定の整備、大麻等の施用罪の適用等に係る規定の整備、大麻草の栽培に関する規制の見直しに関わる規定の整備等の措置を講ずるものです。今後、本国会において速やかにご審議をいただくよう、お願いしたいと考えています。

質疑

記者:
季節性インフルエンザの感染者数についてですが、自治体が注意報を出すレベルを全国で超えていて、この時期としては異例の流行となっています。現状の認識と、これから冬の流行のシーズンを迎えるにあたって厚労省としての対応をお聞かせください。
大臣:
インフルエンザについては、患者数の増加が続いていること、今後の流行に備えるために、広く国民の皆様に情報を提供し、適切に対応を呼びかけるために、厚生労働省のHP等で、感染防止のための対策や流行状況等をまとめた広報をしているところです。この感染流行に関わる注意報のインデックスを見ても、10以上が注意報となっていますが、現在11を超えています。まずは、国民の皆様には、これらも参考にしながら、咳などの症状がある場合のマスクの着用や、手洗い・咳エチケット・換気などの感染防止対策に努めていただきたいと思います。また、インフルエンザワクチンについては、65歳以上の高齢者等を定期接種の対象としており、接種を希望される方は、早めの接種を検討いただきたいと思います。インフルエンザの治療にも用いられる鎮咳薬、咳止めや去痰薬、痰を排出しやすくする薬については、その需給が逼迫していることから、医師が必要と判断した患者へ最少日数での処方とするよう、医療機関へ協力を要請したことに加え、更なる緊急対応として、主要なメーカーに対して、供給増加に向けたあらゆる手段による対応を要請し、その結果、これらの社による年内の供給量が1割以上増産されるという見通しとなりました。さらに、今般の経済対策の中で、増産に向けた投資を行っていただくための支援を講じる方向で、検討を進めることとしています。国民に必要な医薬品を確実にお届けできるよう、今後ともあらゆる手立てを講じていきたいと思っています。
記者:
新型コロナワクチンの副反応疑い報告制度について2点お伺いします。私が調べた1例にありますが、札幌市では、予防接種健康被害救済制度において、新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の申請が11件あることが確認できました。うち9件は厚生労働省の救済認定を受けています。しかしながら、一方で、副反応疑い報告においては、この11件と一致する事例は1件も上がっていません。そこで2点お伺いしたいと思います。1点目ですが、接種後28日以内に発生した心筋炎・心膜炎は、ワクチン接種との関連に関わらず、報告しなければなりません。つまり今回のケースは、医師や医療機関の開設者が、本来報告すべき事案を報告していなかったことになり、予防接種法第12条に違反した状態、これが現在も続いていると考えられますが、大臣はこの現状をどうお考えでしょうか。
大臣:
予防接種健康被害救済制度は、予防接種法に基づく予防接種後の健康被害について、極めて稀ではありますが不可避的に生ずるものであるため、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を幅広く救済することを目的として、被接種者や遺族が申請を行うものとされています。また、副反応疑い報告制度は、副反応が疑われる事例の情報の収集、専門家による評価及びその結果の公表などワクチン接種の安全性に関する情報提供を目的とし、医師等が副反応の疑いがあると判断した場合に報告を求めているものであり、それぞれの制度は目的や、報告・申請を行う主体が異なっていることは事実として申し上げたいと思います。その上で、副反応疑い報告制度は、令和3年12月以降、予防接種後28日以内に発生した心筋炎・心膜炎等の厚生労働省令で定める症状を呈していることを知った場合、医師等は厚生労働大臣に報告することを義務づけており、本制度に基づく報告の取り扱いを示した自治体宛ての通知や医療機関向け手引きにおいて周知しています。お尋ねの事例の中で、報告基準に基づく副反応報告が行われていない可能性のある事例が含まれています。そのことから、現在、事実関係を確認中ですが、厚生労働省としては、医師等が副反応の疑いがあると判断した場合は、速やかに報告していただくよう周知することをはじめ、引き続き副反応疑い報告制度の適切な運用に努めていくという立場です。したがって、そうした疑いのある案件が確認されたので、それについて、現在、鋭意調査をしているところです。
記者:
2点目ですが、副反応疑い報告では、接種後に起こった症状のごく一部しか上がっていないということは、今回のことでも分かるかと思います。すると、今までのワクチンの安全性の評価、そして国民に対する情報提供が正しくできていなかったことになるかと思います。武見大臣はこの事態にどう対応されますでしょうか。
大臣:
基本的には、報告は行われていると考えます。ご指摘のような事例があったことは、極めて残念ですが、それについては、現在、鋭意調査しており、それを確認している段階です。その確認ができた段階で、次の対応措置が考えられるということになりますので、ご理解をいただきたいと思います。
記者:
今、札幌だけ1例をあげましたが、宮崎県や富山県など色々と私も調べていますが、ほんの一部しかあがっていません。確認をお願いします。
記者:
障害者向けグループホーム運営について伺います。23日に開催された障害福祉サービス等報酬改定検討チームで、不適切支援や虐待を防ぐために地域住民など外部の目を入れる制度の導入が提示されましたが、この制度導入の狙いをお聞かせください。また検討会では制度の形骸化を懸念する声も上がりましたが、制度の実効性をどのようにして保っていくか教えてください。
大臣:
昨日開催された障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいて、障害者グループホーム等の透明性や支援の質を確保する観点から、会計等の諸記録を整理すべき旨を改めて明示するとともに、地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組を新たに導入することについてお示して、ご議論いただいているところです。その具体的な内容は今後検討を進めていくこととしており、類似する制度もありますので、類似する制度も参考としながら、制度の実効性を担保できるよう取り組んでいくつもりです。
記者:
年金制度改革について伺います。本日午後、社会保障審議会年金部会が開かれ、基礎年金の拠出期間延長について話し合われます。過去の国会審議での附帯決議では、国民年金の加入期間を延長し、老齢基礎年金額の算定の基礎となる年数の上限を45年とすることについて、国庫負担の増加分の財源確保策も含めて速やかに検討を進めることとされておりますが、延長することについての大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
基礎年金については、2019年の財政検証において、マクロ経済スライドの調整期間の長期化により将来の給付水準の低下が見込まれており、国会においても、基礎年金の給付水準を将来にわたって維持するための方策を検討するように求められています。ご指摘の基礎年金の拠出期間を現在の40年から45年に延長することについては、高齢期の就業率の上昇、それから健康寿命の延伸等も踏まえて、社会保障審議会年金部会において関係者とも十分に議論しながら、検討を進めてまいりたいと考えているところです。少なくとも、これから1年かけて、この案件については丁寧に検討を進めるつもりです。
記者:
昨日、ジェネリック大手の沢井製薬が九州工場で胃炎薬の溶出試験で不正があったと発表しました。ジェネリックメーカーを巡っては2020年12月の小林化工以降、不祥事が続いています。大臣の受け止めと、厚労省としての今後の対応をお聞かせください。
大臣:
本件、同社の九州工場で医薬品の品質試験で長年にわたり不正が行われていた事案だと理解しています。昨日、同社が、特別調査委員会の調査結果を元に、不正の内容やその事案に至る経緯などを公表しました。2021年の小林化工に対する行政処分以降、ジェネリック医薬品の不祥事が相次いでいましたが、本件もジェネリック医薬品の信用を著しく失墜する事案であり、大変遺憾だと考えています。今後、同社本社を所管する大阪府及び同社九州工場を所管する福岡県において、更なる調査や処分方針の決定等がなされると承知しています。厚生労働省としても、厳正に対処するよう指導・連携するとともに、医薬品製造業者等に対する一層の薬事監視体制の強化に取り組んでいきたいと考えています。
記者:
新型コロナワクチンをめぐる輸血問題について質問します。厚生労働省は、HP上で、ワクチン摂取後の輸血について、「献血は、ファイザー社及びモデルナ社のワクチン接種後は48時間が経過した後に、武田社のワクチン接種後は24時間が経過した後」であれば、問題ないとしています。しかし、「Safe Blood Donation」というスイスの組織は、メッセンジャーRNA ワクチン接種の残留物は半年以上経過しても人体に残留していると主張しており、意識的にメッセンジャーRNAワクチン接種を拒否してきた人たちの人権を尊重し、非接種者の血液による輸血を受ける方法を世界中の人々に提供することを目指し、少なくとも16か国の人々が会員登録をしているということです。日本では、メッセンジャーRNA ワクチン接種を拒否する人たちの人権を尊重するために、緊急時に輸血される血液を選択できるようにする等の措置を取る予定はあるのでしょうか。
大臣:
現在の制度ですが、メッセンジャーRNAワクチン接種後の採血制限は、血液製剤の安全性の観点からは、不活化ワクチンと同様、接種後24時間で可能と考えられていますが、献血者の安全確保の観点から、接種後の発熱等が多く認められている期間を考慮し、接種後48時間としています。これは、ワクチンの特性や副反応の発現頻度等を踏まえて、安全技術調査会で設定したものであり、現時点で、科学的・国際的に見ても妥当と考えています。引き続き、血液製剤の安全性、献血者の安全確保及び血液製剤の安定供給に努めていきたいと思います。

(了)