武見大臣会見概要

(令和5年10月13日(金)10:48~11:01 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 本日の閣議で、令和5年版過労死等防止対策白書が決定されました。本白書は、過労死等防止対策推進法に基づき、毎年、国会に報告しており、今回で8回目です。今回の白書では、過労死等の現状のほか、睡眠不足は疲労の回復を遅らせ、うつ傾向や不安を悪化させ、主観的幸福感も低くなるという調査結果を報告しています。また、芸術・芸能分野における働き方の実態に関する調査結果のほか、メディア業界や教職員の労災事案の分析結果などを報告しています。政府としては、引き続き、過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会を実現するという使命をもって、過労死等の防止のための対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
 資産公開についてです。本日、大臣、副大臣及び大臣政務官の人事異動に伴う資産公開を行います。私からは以上です。

質疑

記者:
今月末を目処に政府が取りまとめるとしている経済対策について伺います。一昨日、自民党で開かれた厚労部会で、医療・介護・障害福祉分野の賃上げ、あるいは食材料費や光熱水道費の高騰、あるいは医薬品の供給不足への対応を求める意見が相次ぎました。また、昨日埼玉のポリテクセンターを視察され、その際にリ・スキリングの支援策についても一部言及されましたが、今回の経済対策で、厚生労働大臣として、とりわけ重点を置く分野がありましたらお聞かせください。
大臣:
ご指摘の通り、多くの国民の皆様がこうした物価高に苦しんでおられる。そしてそのことについて総理からは、足元の急激な物価高から国民生活を守るための対策や持続的賃上げなどを柱とする経済対策を、10月末までに取りまとめるよう、ご指示をいただいております。一昨日の自民党厚生労働部会においては、医療・介護・障害福祉分野の食材料費・光熱水費の負担が大きくなっていることに加え、人材の確保も困難となっており、サービス提供体制が危機的事態となっていることを踏まえ、賃上げや、食材料費・光熱水費高騰への対応が必要であること、医薬品の供給不足が現場において大きな課題となっており、安定供給を図る必要があることなどについて、多くの意見が寄せられたと承知しています。更に昨日、ご指摘の通りポリテクセンター埼玉の視察を行いました。訓練生の実習風景などの見学や、実際に訓練を経て活躍されている方などとの意見交換、また、いわゆる社内研修を、ポリテクセンターと連携している、そうした内容から、実際担当する事業者側の方のご意見、こうしたものも伺うことができました。改めてリ・スキリングが極めて重要な役割を今日担っているということを、より具体的に、明確に理解することができました。これらも踏まえ、今後策定される総合経済対策に、必要な施策をしっかり盛り込んでいきたいと思います。
記者:
冒頭発言がありました資産公開について伺います。今回公開されたご自身の資産についての評価をお聞かせください。また制度については、公開の方法や家族名義分の公開義務がないことなどから見直しを求める声もありますが、制度の在り方について大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
まず基本的に、資産公開制度、私どもは公職に就いている以上、国民の皆様から疑念を抱かれないよう、しっかり公開するものだと私は考えております。私自身のものに関しては、大臣等規範に照らして配偶者も含めて公開しており、私自身の報告内容について問題ないと考えております。個別の内容については、会館事務所にお問い合わせいただければと思います。
  
記者:
万博工事に関して1点質問です。10日に開かれた自民党の大阪・関西万博推進本部では、出席した議員からパビリオンの建設について、作業遅れを踏まえ時間外労働の上限規制の対象外とするよう求める意見が相次ぎました。「災害だと思えば良い」という意見もあったと報じられています。加藤前厚労大臣は7月、この件について東京五輪での労災事案に触れた上で、「一般論として単なる業務の繁忙では除外は認められない」との認識を示しております。武見大臣は万博工事の労働規制除外についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
報道については承知しております。建設業は、他産業と比べて労働時間が長い実態があり、厚生労働省としては、働く方の健康確保の観点から、時間外労働の上限規制を円滑に施行することが重要であると考えております。この考え方は、加藤前大臣の時から私も一貫して確保しているものです。また、労働基準法第33条第1項には、災害その他避けることのできない事由により、臨時の必要がある場合に、労働基準監督署長の許可を受けるなどして、上限規制とは別に、時間外労働等をさせることができることを定められています。労働基準法第33条第1項の許可の申請があった場合には個別具体的に判断することになりますが、一般的には、災害・緊急・不可抗力・その他客観的に避けることのできない場合に限られ、単なる業務の繁忙等では認められないものと認識しております。
  
記者:
埼玉県虐待禁止条例改正案についてお伺いします。埼玉県の自民党県議団は、小学3年生以下のこどものみで外出・留守番させることを禁じる条例の改正案を提出した後、保護者らの反対の声を受け撤回を決めました。虐待についてはこども家庭庁の所管事項になるかとは思いますが、仕事と家庭の両立を推進する厚生労働省として、このような改正案が提案され、撤回されたことの受け止めをお願いします。
大臣:
埼玉県議会において、ご指摘の条例案について取り下げの表明があったことは承知しておりますが、県議会における条例案の扱いについて、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。いずれにしても、子育て世帯が安心して仕事と育児との両立を図ることができる社会を実現することは、極めて重要な課題だという認識があることは申し上げておきたいと思います。
  
記者:
コロナワクチンの秋接種について、希望者が、予約が埋まって接種できないという声があるとの報道がありますが、現状の厚労省としての認識と今後の見通し、更に対応について教えてください。
大臣:
9月20日から始まった令和5年秋開始接種に使用するワクチンについては、安定的に供給されるようになったことや、これまでのワクチン接種の状況を考慮した上で、将来の廃棄量を最小限にするため適切な量を確保することとし、現在のところ、新たな変異株オミクロンXBBに対するワクチン合計3,500万回分を確保しています。ワクチン製薬企業とは、必要に応じて追加購入をすることについても契約時に既に合意しており、ワクチン接種状況や自治体の予約状況などを踏まえ、適切な追加購入を急ぎ検討してまいりたいと考えています。
  
記者:
靖国神社の秋の例大祭が17日から始まりますが、例大祭中に神社に参拝されるかどうか、もしされるとしたら何日にされるのか、あるいは参拝しない場合でも、供え物の真榊を奉納されるご予定はあるのかどうか、大臣のご予定をお伺いします。
大臣:
全く予定はありません。
  
記者:
ジャニーズの性加害問題について伺います。一部報道で、23年前当時の自民党議員が国会の場でジャニーズの性加害問題について、当時の厚生省、警察庁に質問をしていたことが報じられています。これを踏まえ、当時の厚生省は児相や警察に調査を要請するなど具体的な動きをとっていたのか、また、もしとっていなかった場合それはなぜなのかお伺いします。
大臣:
23年前の話なので、まだ状況を把握しておりません。今の時点で、どう対応したのかということも含めて把握しておりませんので、今この時点でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  
記者:
介護報酬改定の施行時期に関して質問です。11日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会での議論で、従来の4月実施を維持すべきか、あるいは診療報酬改定に合わせて6月1日にすべきかで、委員の立場によって大きく意見が分かれました。介護報酬改定の施行時期について、大臣のお考えがあればお聞かせください。
大臣:
令和6年(2024年)度介護報酬改定の施行時期については、先日10月11日の社会保障審議会介護給付費分科会において議論を行いました。介護現場の職員やベンダの負担、利用者にとってのわかりやすさ、そして事業所の運営や介護保険事業計画への影響などといった観点から、ご指摘の通り様々なご意見をいただきました。こうした意見等を踏まえ、引き続き、丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。

(了)