武見大臣会見概要

(令和5年10月10日(火)11:18~11:34 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
薬の供給不足について伺います。インフルエンザや新型コロナなど感染症の患者が増える中、解熱鎮痛剤や咳止めなど、必要な薬の供給不足が深刻になっています。厚生労働大臣として、その要因をどのように分析し、本格的な流行シーズンとなるこれからの冬の時期に向けて、どのように対応していくか、お考えをお聞かせください。
大臣:
新型コロナの感染状況は、新規患者数が4週連続で減少するなど、全国的にはピークを越えた可能性がありますが、インフルエンザについては、例年の同時期と比較して新規患者数が多い状態で推移していることは、私どもも十分に警戒しています。こうした感染症に必要となる主要な医薬品の供給量については、解熱鎮痛薬は、新型コロナウイルス感染症の流行以前の生産量以上に増産されています。他方で、鎮咳薬、去痰薬は、流行以前の水準まで回復していないケースや在庫の減少により需給が逼迫している状況が見られています。こうした状況の中、厚生労働省では、メーカーへの更なる増産の要請、そして需給が逼迫している鎮咳薬、去痰薬については、初期からの長期処方を控え、医師が必要と判断した患者への最少日数の処方の協力を要請しているところです。薬局や医療機関における在庫の偏在対策として実施している「医療用解熱鎮痛薬等相談窓口」に、去痰薬を追加する等の強化もすでに行っています。また、後発医薬品を中心とした供給不安については、少量多品目生産といった産業構造上の課題も指摘されております。これは検討会において、その対応策について精力的にご議論いただいているところです。国民に必要な医薬品を確実にお届けできるよう、今後ともしっかりと対応していきたいと考えています。
  
記者:
今、後発医薬品の話もありましたが、こうした供給不足の背景には、毎年引き下げとなっている薬価改定で、後発医薬品の薬価が全体の調整弁となり、下落しやすい構造も指摘されています。薬の安定供給の体制を確保するという観点から、年末に控える来年度の薬価改定にどのように臨まれるか、お考えをお聞かせください。
大臣:
後発医薬品を中心としたこの供給不安については、少量多品目生産といった産業構造上の課題も指摘されており、先ほど申し上げた検討会での検討を進めており、その対応策について精力的にそこでご議論いただいています。医薬品の薬価については、市場実勢価格を踏まえた改定を基本としつつ、医療上必要性の高い医薬品の安定供給確保を図る観点から、供給継続が困難であるものについて、薬価の維持や引き上げを行う仕組みを設け、医療上必要性の高い医薬品の安定確保を図っているところです。今後の薬価制度の在り方については、骨太の方針において、医薬品の安定供給確保や後発医薬品の産業構造の見直しを図るとされていることも踏まえ、令和6年度薬価改定に向けて、中央社会保険医療協議会において議論を進めてまいりたいと考えています。なお、この供給不足の問題については、特に鎮咳薬及び痰切りの薬などの状況には大変憂いているところで、今、事務方の方にも、とにかく当面、迅速に対応できるような措置がないか、あらゆる手立てを考えて欲しいという指示を出したところです。
  
記者:
マイナンバー総点検について伺います。6日に第3回マイナンバー情報総点検本部が開催され、健康保険証に別人情報が誤って紐付けられた件数が8,544件となり、前回から103件増えました。このうち63件は、総点検の枠外で保険者が自主的に調査するなどして判明し報告されたケースということでしたが、どういう経緯で見つかったのかの具体的な例と、総点検の対象の決め方や方法などに問題はなかったかどうかの受け止め、そして今後の対応についてお聞かせください。
大臣:
紐付け誤りの事例については、保険者による総点検の作業とは別に、これまで3回にわたって公表してきたところですが、前回、5月22日までに判明した分を公表して以降、今回、新たに63件判明したということはご指摘の通りです。この63件については、各保険者において、念のため登録データの確認作業を行った中で判明したものや、保険者の日常業務の過程で判明したものなどがあると聞いています。保険者による総点検については、全保険者において、厚生労働省が示している基本的な留意事項とは異なる方法で事務処理をしていなかったかを点検していただいた上で、該当する加入者情報があった場合には、住民基本台帳情報との突合、確認を行っていただいたものです。この総点検の作業は、それぞれの保険者において、適切に実施されたものと考えていますが、事務処理手順と異なり、入力ミスなど作業者自身が気づかない誤りもあり得るということです。したがって、医療情報という特性も踏まえて、保険者による総点検に加え、現在、登録済みデータ全体について住民基本台帳情報と突合してチェックを行っているところです。今後、不一致があったものについては、段階的に、保険者等やご本人において確認を行っていくこととしており、保険者による正確なデータ登録が確保されるよう、厚生労働省としてもこれにしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。
  
記者:
新型コロナワクチンの予防接種をめぐる「健康被害からの救済制度」の最新の認定件数と、過去45年間における他の全ワクチンに関し認定された累計を比べると、新型コロナのワクチンによる健康被害だけで他の全ワクチンの件数を上回っているとの情報があります。その詳細な内訳・実数と、では、なぜそうした現状になっているのか、その現状について評価・見解を伺います。
大臣:
新型コロナワクチンに係る予防接種法に基づく健康被害救済制度の累計認定件数は、令和5年10月6日時点で、4,650件が認定となっております。他方、新型コロナワクチン以外の累計認定件数は令和3年末時点で、3,522件が認定となっております。新型コロナワクチンと他のワクチンでは、接種回数や接種頻度、接種対象者等が異なることから、健康被害救済制度の認定件数を単純に比較することは適切でないと考えています。予防接種法に基づく予防接種を実施するにあたっては、まず薬事承認されたワクチンの有効性・安全性等を踏まえ、国の審議会の意見を聞いた上で決定されております。また、接種後の副反応が疑われる症状について、医療機関や製造販売業者から国への報告を義務づけ、継続的な情報収集を行い、国の審議会において第三者の専門家の委員による評価や確認がなされております。今後とも、科学的な知見の収集に努めるとともに、専門家に評価いただき、ワクチンの安全性の評価を適切に行う。その上で、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関等に情報提供するなどの対応を行っていきたいと考えております。
  
記者:
全国にはコロナの後遺症に苦しみ、助けてほしいと願う人も多い中、審査待ちがどれほどいるのでしょうか。なぜ迅速な救済を国は図れないのか、お尋ねします。健康被害の実態が分かる情報、例えば全国都道府県別の申請件数や認定数、国に到達するまでの時間などを「個人の特定につながるから」との理由で国は出し渋っているようですが、それで通用するのでしょうか。情報公開について、改善する余地はないのか。見解を伺います。
大臣:
新型コロナワクチン接種に係る予防接種法に基づく健康被害救済の審査状況については、令和5年10月6日時点で、国へ進達されている9,070件のうち5,328件の審査が終了しております。残り3,742件が審査未処理となっています。厚生労働省においては、審査会の開催頻度を確実に増加させております。そして審査会を増設しております。従来の親委員会1つの下に、小委員会を作り、この3つの部会で更に審査するようになっておりますので、今、4か所同時並行で審査が進んでいるとご理解ください。事務局機能の強化も確実に図っております。健康被害救済に関する情報公開については、審査会の都度、審査の対象となった全ての事案について、個人が特定されないよう留意の上、性別、年齢、疾病名、判定結果等のリストを、累計の進達受理件数と処理件数とともに厚生労働省ホームページに掲載しています。自治体別の申請件数や認定件数等について国が一律に公表することは行っておりません。自治体が個人の特定の恐れに留意した上で、それぞれの自治体の判断で適切に公表することは可能である旨は各自治体に申し上げているところです。国に到達するまでの時間については、自治体が申請を受け付けた日付を把握していないことから、どのくらい自治体で時間をおかけになったのか、こちらでは分かりかねるところです。厚生労働省としては、引き続き、迅速な救済に取り組むとともに、ホームページ等を通じて健康被害救済制度について情報提供を確実に行ってまいりたいと考えております。
  
記者:
新型コロナワクチンについて伺います。新型コロナウイルスパンデミックに対して、中国やインド・ロシアなどは国産の不活化ワクチンが主として用いられました。2021年6月のジェトロの記事によると、中国における副反応の報告総数は31,434件、重篤なケースは約188件、死亡は報告されていません。接種10万回あたりでは11.86件となっています。厚生労働省でメッセンジャーRNAワクチンと不活化ワクチンの副反応の出方の違いなどについて調査を行っておられるでしょうか。あるいは今後行う予定はありますでしょうか。
大臣:
まずワクチンの安全性について、それぞれの接種の対象となる感染症が異なります。それを踏まえて、製品ごとに評価を行っています。メッセンジャーRNAワクチンについては、他のワクチンと比較して論じることは決して適切だとは思いません。メッセンジャーRNAの新型コロナワクチンを含めて、ワクチンの副反応を疑う症状については、副反応疑い報告制度等により、新型コロナワクチン接種後の副反応が疑われる症状について、医師や製造販売業者等から報告があった場合には、審議会で安全性などを評価した上で、必要な対応を行うこととしており、現時点で審議会において新型コロナワクチン接種を見合わせる等の意見は全くいただいておりません。今後とも、ワクチンの安全性の評価を適切に行っていきたいと考えております。

(了)