武見大臣会見概要

(令和5年10月6日(金)11:55~12:11 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 まずインフルエンザ対策について、一言申し上げます。インフルエンザについては、例年と比較して患者が多い状態で推移しております。国民の皆様には、新型コロナ対策と同様に、咳などの症状がある場合のマスク着用、それから手洗いや咳のエチケット、換気などの感染防止対策に努めていただくようお願いします。また、インフルエンザワクチンの接種も始まっており、65歳以上の高齢者や、60歳から64歳までの一定の基礎疾患がある方については、定期接種として接種を受けることが可能です。インフルエンザワクチンは、新型コロナワクチンと同時に接種を受けることが可能であり、私も来週、同時に接種を受けることとしています。接種を希望される方は、早めの接種をお願いします。厚生労働省としても、引き続き、感染状況を注視するほか、インフルエンザワクチンの接種を希望する方が必要な情報を入手できるよう、情報発信等に取り組んでまいります。私からは以上です。

質疑

記者:
昨日、岸田総理は連合の定期大会で、持続的な賃上げの実現を改めて訴えました。一方で今年8月の毎月勤労統計によると、実質賃金が17か月連続で減少しています。この数字についての受け止めと、持続的な賃上げの実現のための具体的な施策について教えてください。
大臣:
本日公表した、毎月勤労統計調査令和5年8月分の速報値では、名目賃金の対前年同月比はプラス1.1%、実質賃金はマイナス2.5%でした。実質賃金は令和4年4月以降17か月連続でマイナスとなっており、経済の好循環により国民生活を豊かにしていくためにも、この実質賃金の上昇が非常に大切だと考えています。なお、具体策についてですが、賃上げに向けて賃上げしやすい環境の整備が重要であり、厚生労働省としては、中小企業の賃上げと設備投資を支援する業務改善助成金を拡充したところです。今年度分で、およそ100億円確保しています。また今後、持続的に賃金が上がる構造を作り上げるために、リスキリングによる能力向上の支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、更に成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革に、働く人の立場に立って取り組んでいこうと考えています。
  
記者:
ネット通販大手「アマゾン」の配達員の労災認定について伺います。男性運転手について横須賀労働基準監督署が配達中のけがを労働災害と認定しました。フリーランスとして下請けの運送会社と契約していましたが、実態として会社に雇用された労働者との判断でした。事案の受け止めと今後の対応を伺います。一般論として厚労省として、労災保険に加入していなかった人について労災認定を出した場合、会社側に対して雇用保険にも加入するような行政指導や労働保険料納付のための行政指導はするのでしょうか。
大臣:
お尋ねの労災認定について、アマゾンの下請けの運送会社でフリーランスとして配送業務に従事していた方が、労働基準監督署による調査の結果、労働者として認められ、労災認定されたものということは承知しています。労働基準監督署では、フリーランスとして働いている方であっても、労災請求がなされれば、働き方の実態を調査の上、労働者として認められた場合には労災保険の給付の対象としています。今後に関しては、同様な事案が発生した場合、個別に状況を精査し、判断して対応することになるかと思います。また、労災保険に加入していない者について労災認定がなされた場合に、保険関係の手続が行われていなければ、手続を行うよう、ご指摘の通り使用者を指導することになっています。また、労働保険料の認定決定を行った上で、遡及して労働保険料等を徴収する措置を講じています。労災保険は事業主の全額負担のため、全面的に事業主のご理解を得なければならないと考えています。
  
記者:
フリーランスとして契約していても、労働者性が認められたことで、場合によっては社会保険の加入義務も発生すると思いますが、日本年金機構を通じて加入手続きをするよう指導をするのでしょうか。
大臣:
個別の事案の対応についてのお答えは差し控えますが、一般論として、令和4年12月に取りまとめられた全世代型社会保障構築会議報告書において、労働基準法上の「労働者」に該当する方々については、社会保険における被用者性も認められ、適用除外の対象となる場合を除いて被用者保険が適用される旨を明確化することとされています。それから、労働基準監督署において労働基準法の労働者であると判断した事案について、日本年金機構に情報提供されることとなっており、この仕組みを活用して被用者保険の適用促進を図っていきたいと考えています。質問のご趣旨については、私どもも同じような問題意識をもっておりまして、フリーランスで働いている方々が、今の労働行政の中で、働く担い手としての制度上の保証、サポートが十分にまだ出来ていませんでした。これをどのようにこれから整備していくかという課題の中で、こうした問題を処理していくということになるかと思います。
  
記者:
雇用保険制度についてお伺いします。労働政策審議会雇用保険部会で、雇用保険の制度改正に向けた議論が本格化していますが、今後、アルバイトやパートなどの短時間労働者も雇用保険に入れるよう、適用拡大に向けた検討が進む見通しです。一方で、雇用保険財政はコロナ禍の影響で危機的な状況が続いていますが、適用拡大の意義と、雇用保険財政健全化に向けた取組みの方針をお聞かせください。
大臣:
適用拡大の意義ですが、現行の雇用保険制度は、原則、週の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上雇用されることが見込まれる労働者について適用しています。本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」等においては、子育て期における仕事と育児の両立支援を進め、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットを構築する観点から、週所定労働時間20時間未満の労働者に対する雇用保険の適用拡大について検討することとされています。今後、労働政策審議会において、この点ご議論いただきたいと考えております。また、雇用保険財政については、コロナ禍の対応として、雇用調整助成金の特例措置などを講じた結果、これは約6兆円ですが、労働者の雇用と生活の安定に大きく貢献してきた一方で、積立金残高が大幅に減少するなど、その財政状況は急速に悪化しています。今後も雇用のセーフティネットとしての役割をしっかりと果たすとともに、人への投資や労働移動の円滑化等の政府の課題に的確に対応するためにも、雇用保険財政の安定化は急務であり、引き続き、収支状況を注視しながら、適切な財政運営を図ってまいりたいと考えております。やはりこの財政状況は危機的かと思いますので、その対応措置は確実に検討してまいります。
  
記者:
岸田首相が、先日の認知症の「『幸齢社会』実現会議」で、「高額医薬品について薬価制度の改革を含めた対応を検討してほしい」という旨、武見大臣に指示しました。これを受けて武見大臣はいつまでに、どのような対応を検討しますか。
大臣:
アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」については、先月25日に承認し、現在、中央社会保険医療協議会において、薬価収載の検討を進めています。高額医薬品への対応については、令和4年度薬価制度改革の骨子において、年間1,500億円の市場規模を超えると見込まれる品目については、通常の薬価算定の手続に先立ち、この中医協において薬価算定方法の議論を行うこととされており、したがって今、議論しております。こうした中で、今般の「レカネマブ」については、先月27日の中医協の総会において、年間市場規模が1,500億円を超える可能性が生じる高額医薬品として、特別に、通常の薬価算定の手続きに先立ち、薬価算定方法を議論することとなっており、12月下旬までの薬価収載に向けて、検討を進めていくという考えです。年末までにまとめます。
  
記者:
昨日、日本医師会の松本会長が、食材費や光熱費などの物価高騰に対する財政支援の要望書を武見大臣に手渡されました。その際、どのようなお話しをされたのか、また診療報酬改定に関するお話しはあったのか教えてください。
大臣:
会った趣旨はまさにご指摘の点でした。したがって、食材費の問題については、長年据え置かれており、事実上放置されていたような課題でもあるということは明らかなので、これについてどう対処するか、当然財政当局とも調整することが必要な課題ですので、今、その旨、財政当局と調整している段階です。
  
記者:
診療報酬のお話しはいかがでしょうか。
大臣:
全くでませんでした。
  
記者:
先ほど総理大臣官邸の方で、岸田総理と河野デジタル大臣とご面会されたかと思いますが、そのときに話し合われた内容と、また総理から何か指示等がありましたら教えていただけますでしょうか。
大臣:
マイナンバーカードの普及に関して、現状に関わる調査状況について、デジタル担当大臣から報告を受け、更に私も昨日、保険者の代表の方々と、医療を提供する方々と、それぞれ責任者の方々に全て集まっていただいて、マイナンバーカード普及に向けて国民の皆様方の信頼の回復をしっかりと図る努力をしながら、普及に向けてご協力いただくお願いをしたところです。こうしたことを私も報告させていただきました。そうした報告を受け、政府一丸となって信頼の回復と普及に向けて努力する、そういうことになっております。是非皆様方も協力してください。

(了)