武見大臣会見概要

(令和5年9月26日(火)10:44~10:56 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 9月18日から23日まで、第78回国連総会に併せて開催された、各種ハイレベル会合等への出席及び医療関係者等との面会・視察のため、アメリカ合衆国のニューヨーク、ワシントンDC及びボストンへ出張しました。第78回国連総会ハイレベルウィークでは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジハイレベル会合等に参加し、活発な議論を行いました。私からは、G7長崎保健大臣会合及びG7財務大臣・保健大臣合同会合の成果を踏まえ、平時にも有事にも資するUHC達成への取組を更に進めることや、将来の健康危機の予防・備え・対応のための国際的な協調の必要性等を発信しました。また、インドネシア保健大臣等とバイ会談も行いました。米国の政治、行政の中心地であるワシントンDCにおいては、ベセラ保健福祉長官等との面会、医薬品産業の集積地であるボストンにおいては、医療関係者等との面会を行い、創薬基盤に係る産官学の連携メカニズムについて意見交換を行いました。
 「年収の壁・支援強化パッケージ」の現状についてです。こども未来戦略方針も踏まえ、今月中に決定することとされている「年収の壁・支援強化パッケージ」の方向性について、昨日総理からご発言がありました。皆様ご承知の通りです。具体的には、まず「106万円の壁」については、事業主が、労働者に、壁を超えることに伴い手取り収入が減少しないよう支給する「社会保険適用促進手当」の創設、こうした手当や賃上げで労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対する、労働者1人あたり最大50万円を支給する助成金の新メニューの創設といったご発言がありました。なお、この助成金はキャリアアップ助成金を想定しております。こうした内容も含めた「年収の壁・支援強化パッケージ」については、公表に向けた準備段階にあります。詳細は、今週中に決定次第、事務方から改めてご説明いたします。厚生労働省としては、「年収の壁・支援強化パッケージ」の決定後、必要な手続きを経て、取組を着実に実行し、国民の皆様が希望どおり働くことのできる環境づくりを後押しし、急務となっている人手不足に対応してまいります。私からは以上です。

質疑

記者:
認知症の新薬についてお尋ねします。製薬大手エーザイなどが開発した、アルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」が昨日、正式承認されました。症状の進行を遅らせることが期待されますが、こちらについての大臣の期待感をお聞かせください。また今後、中医協で保険適用の是非や、公定価格の設定に向けた検討が始まりますが、今後の見通しと保険医療財政への影響についての大臣の考えをお聞かせください。
大臣:
エーザイが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」については、今年1に薬事承認の申請がされた後、その有効性・安全性等についての優先的な審査、及び薬事・食品衛生審議会での承認の了承などを経て、昨日、承認しました。本剤は、アルツハイマー病の原因に働きかけて病気の進行自体を抑制する薬としては、国内で初めて承認される医薬品であり、アルツハイマー病の新しい治療法を提供するものとして期待されます。また、日本企業によるイノベーションの成果であるということも評価しています。他方で、本剤の対象がアルツハイマー病による軽度の認知障害及び軽度の認知症の患者に限られていることを踏まえて、使用前の検査による対象患者の選択、投与開始後の効果や副作用のモニタリング等が適切に行われるよう対応してまいりたいと考えています。また、今後、中央社会保険医療協議会において薬価収載の検討が進められることになりますが、現行ルールに則り、イノベーションの評価、保険財政への影響等を踏まえて、適切に対応してまいりたいと思います。
記者:
全国で障害者向けのグループホームを運営する「恵(めぐみ)」という会社が、利用者から食材費を過大に徴収していた問題について3点お伺いします。まず1点目に、経済的虐待の疑いがあり、厚労省が関係自治体に事実確認を求めるなど調査をしているとのことですが、この問題についての大臣の受け止めと、厚労省として今後どう対応していくのかお尋ねします。2点目に、元職員の証言では、記録の改ざんや障害福祉サービスの報酬の不正受給の疑いも明らかになっています。厚労省としての問題の把握状況と、今後の対応方針をお聞かせください。3点目に、障害者向けのグループホームでは利用者の立場が弱く、経済的虐待が表面化しにくいという声があります。ほかの事業者の状況について点検や調査をするお考えはありますでしょうか。また、利用者を守る観点から、制度の改善などにどう取り組むかについてお聞かせください。
大臣:
まず第1に、食材料費の過大徴収、お尋ねの法人に関しては、先般、愛知県よりグループホームの利用者から食材料費を過大徴収している旨の報告がありました。これを受けて、6月に厚生労働省から当該法人のグループホームが所在する各県などに、障害者総合支援法に基づく事業所への検査等による事実確認、適切な対応等を依頼したところです。加えて、厚生労働省としても、法人の管理体制に係る検査に着手しているところです。一般論として申し上げれば、食材料費を過大徴収している場合、グループホームの指定基準違反に加えて、障害者虐待防止法の経済的虐待等にも該当する可能性があります。したがって、行政処分の対象になり得るものと承知しています。厚生労働省としては、引き続き自治体との連携の下で、適切に検査を行ってまいりたいと考えています。
 第2に、お尋ねの元職員の証言に対する報道については、承知しています。一般論として申し上げれば、報道にあるような報酬の不正受給などを行っていた場合には、グループホームの指定を行う各自治体において、事実関係等の確認を行った上で、障害者総合支援法に違反する場合には行政処分の対象になると承知しています。厚生労働省としても、技術的な助言を行うなど、自治体と緊密に連携して対応する必要があるものと考えています。
 第3に、他の事業者の検査の一般的な課題についてですが、お尋ねの他の事業者の調査については、厚生労働省として、まず、今般の事案に係る当該法人の検査を適切に行い、必要がある場合には、障害者総合支援法等に基づく適切な措置を講ずることが何よりも肝要と考えておりますので、まずは本件の検査等をしっかり進めてまいりたいと思います。
記者:
新型コロナワクチンについて伺います。9月20日から新型コロナワクチンの第7回接種が始まりました。メッセンジャーRNAワクチン接種は、パンデミック最中には緊急性を鑑みて特例承認として進められましたが、今やコロナは5類となり、切迫した状況とは言えません。メッセンジャーRNAワクチンの接種を進める上で、いつまでこの特例承認が続くのでしょうか。
大臣:
現在、特例承認されているメッセンジャーRNAワクチンについても、PMDAの審査及び審議会の審議を経た上で、その品質、有効性及び安全性をしっかりと確認した上で薬事承認されております。その安全性について、特段問題があるものとは考えておりません。その上で、新型コロナウイルスワクチン接種については、今年度は特例臨時接種による接種を行います。来年度以降は、安定的な制度の下で接種を継続することを検討しており、今後の承認の在り方についても、適宜見直しを検討してまいりたいと考えています。

(了)