武見大臣会見概要

(令和5年9月14日(木)14:29~14:51 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 この度、厚生労働大臣を拝命いたしました、武見敬三です。先ほども各記者クラブを訪問させていただき、最初の私の所見は述べさせていただきました。厚生労働省は国民の生活を生涯に渡って支えるという使命を担っております。国民の皆様からの期待も大変大きな役所だということもよく理解しております。こうした期待に応えることのできるように、職員が一丸となって、ワンチームでこれに対応し、取り組みを進めていかなければならないと考えております。私は決して医療関係団体の代弁者ではありません。国民の皆様の立場に立ってどのような政策を実現すべきかということを考えていくということが、従来からの私の一貫した立場です。改めて私の一貫した基本的な姿勢というものをご理解いただければ幸いです。そして国民の皆様の立場に立って、様々な課題について、全力で取り組んで行きたいと思います。本日は共同記者会見ということですので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは以上です。

質疑

記者:
まずはご就任おめでとうございます。幹事社から1点質問させていただきます。報酬改定について伺います。来年度は診療報酬、介護報酬の同時改定を控えています。インフレ、賃上げの下で迎える、近年にない報酬改定となる上、業界はこうした背景を踏まえた十分な手当てを求めています。一方で、社会保障財政は厳しさを増しており、少子化対策のための財源は歳出改革によって捻出する、ともされています。大臣としては医療、介護の現状をどのように捉えていて、その上でどのようなスタンスで改定に臨まれるのか、お考えをお聞かせください。
大臣:
来年は6年に1度の診療報酬、それから介護報酬、更に障害福祉サービス等報酬の同時改定が行われる節目の年となります。いわゆる団塊の世代の皆様方が全て75歳以上となる令和7年、2025年以降、また高齢者人口がピークを迎える2040年頃を見据えて、医療と介護の連携等も含め、様々な視点からの検討が必要となってきていると考えています。加えて、昨今の高水準となる賃上げの動向、それから物価高騰の状況を踏まえ、賃上げや物価高騰への対応は重要な課題だと認識しております。令和6年度報酬改定においては、これらの視点も踏まえつつ、物価高騰や賃金の上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえて、患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行っていくべきだと考えています。また、こども・子育て予算の財源について、具体的にどのような財源確保を行うかに関しては、本年6月に閣議決定されました「こども未来戦略方針」に基づき、年末に向けて検討していくものと承知しています。少子高齢化・人口減少時代を迎える中、必要な社会保障を確保して、負担能力に応じて全ての世代が公平に支え合う仕組みを構築することが必要であると考えています。
記者:
新型コロナウイルスについてお伺いいたします。現在の感染者数ですが5月の5類移行後、感染者数が最多となっていますが、現状の感染状況の受け止めをお願いいたします。また10月以降の対応について、与党、関係団体も交えて議論を行っているかと思いますが、いつ頃までに、どのようなかたちで調整結果を公表したいのか、お考えをお聞かせください。また、9月には感染症対策部も設置され、2025 年度以降には国立健康危機管理研究機構も発足する予定ですが、武見大臣として、感染症対策にどのように取り組んでいきたいのか、意気込みなどあればお願いいたします。
大臣:
新型コロナの発生動向については、全国の定点医療機関から報告される1週間ごとの新規患者数で見ると、前週比で1.07となっております。本年4月からの緩やかな増加傾向が続いておりますが、8月の最終週のデータでは、新規入院者数や重症者数は減少しております。これは全国的に見てです。今後も、夏休みが終わり学校が再開した影響が懸念されるので、この状況をしっかり注視していかなければならないと思っています。国民の皆様におかれましても、引き続き十分な感染対策をお取りいただきたいということを考えているところです。そして9月20日から秋冬のワクチン接種が始まるところです。高齢者等の重症化リスクの高い方は接種をするようお勧めします。それから10月以降の対応ですが、病床確保料や医療費自己負担の公費支援等の10月以降の取扱いについては、現在、大詰めの調整を行っているところです。関係審議会等でのご議論も踏まえて、速やかに公表します。それから感染症対策についてですが、本年9月1日に設置した「感染症対策部」、平時から感染症の特性の分析、検査、予防接種、検疫等について一体的に実施し、省内の調整を主導することとしております。また国立健康危機管理研究機構については、科学的知見の基盤として期待される役割を果たせるように、創設に向けた検討や準備を一層進めていくことになります。こうした取組を通じて、そして国民の皆様のご理解・ご協力を引き続き得ながら、感染症対応力の一層の強化を図ってまいりたいと思います。また改めて、この国立健康危機管理研究機構、この役割というのは大変重要な役割だということを改めて申し上げておきたいと思います。
記者:
マイナンバーカードについてお伺いします。マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいて、現在、総点検が進められていますが、世論調査などでは、来年秋の健康保険証の廃止について依然否定的な意見が多い状況です。一連のトラブルにどのように対応されていくおつもりか、また来年秋の健康保険証の廃止について予定どおり進めるべきか、現在のお考えをお聞かせください。
大臣:
マイナ保険証については、患者本人の健康・医療情報に基づくより良い医療を受けることができるなどのメリットがあります。電子処方箋の推進など、我が国の医療DXを進める上でその基盤となる仕組みです。他方で、登録データの紐付けの誤りや医療現場でのシステムの不具合など、国民の皆様にご心配をおかけしている課題については、現在、解決に向けた取組を進めているところです。来年秋の保険証廃止については、総理も繰り返し「国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提」ということを発言されています。こうした課題を1つ1つ解決し、メリットを丁寧にお伝えすることを通じて、国民の皆様が安心してマイナ保険証をご利用いただける環境を一刻も早く実現していく努力を進めたいと思っています。
記者:
いわゆる「年収の壁」についてお伺いします。岸田総理大臣は今月中に対策のパッケージを示すと言及していますが、検討状況、また発表の見通しを教えてください。 また、来年の年金制度改正に向け、この問題に対してどのような抜本策を検討していくべきか、今の時点でお考えをお聞かせください。
大臣:
社会保険におけるいわゆる「年収の壁」については、就業調整が行われ、希望どおり働くことが阻害されているとの指摘を踏まえて、壁を意識せず働くことが可能となるように、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに取り組んでいるところです。また、人手不足への対応が急務となる中で、足下での対応も重要です。当面の措置として、いわゆる「106万円の壁」を超えることに伴う労働者の手取り収入の減少分をカバーする、事業主への支援制度の創設を含む当面の対応策を取りまとめることとし、その上で更に、制度の見直しに取り組むこととしているところです。その当面の対応策の具体的な内容については、総理からもご発言あったとおりですが、今月中にお示しするべく検討を進めています。加えて、制度の見直しについては、社会保障審議会年金部会において関係者の意見を伺いながら、これもまた丁寧に議論を進めていきたいと考えています。
記者:
岸田首相は認知症について「国を挙げて取り組む重要な課題」として、新たな国家プロジェクトに位置付けると明言しています。月内には関係者会議の開催も予定されていますが、認知症に関する今後の取り組みや課題について教えていただけますでしょうか。
大臣:
認知症については、国を挙げて対応すべき重要な課題です。この度、厚生労働大臣を拝命するに際して、総理からも「普及啓発や本人発信の支援、地域ぐるみの保健医療・福祉体制、仕事との両立を含めた家族支援など、予防・早期診断や認知症の進行抑制等のための研究開発などとあわせ、関係大臣と協力し、総合的な施策を推進すること」とご指示をいただきました。そのために、鋭意しっかりと努力をしていきたいと思っています。このため認知症の方ご本人やご家族、関係者の皆様の声を政策に反映させる必要があるとの岸田総理のご認識のもとで、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の施行に先立って、今月中に会議を立ち上げることとしています。この会議において、総理の指示事項について議論を深め、総合的な認知症施策の推進を進めてまいりたいと考えています。
記者:
日本医師会との関係性についてお伺いします。内閣改造を受けて、昨日、日本医師会は会長名でコメントを発表されています。その中で、今回の改造について「大変素晴らしい初陣」とされた上で、特に武見厚生労働大臣の入閣について「誠に喜ばしい限り」とされております。武見大臣はこれまでの選挙で、政治団体の日本医師連盟の組織内候補としてや、あるいは推薦を受けるかたちで当選されてきました。来年度は診療報酬改定もあり、これから様々な場面で利害関係者との間で難しい舵取りが求められると思います。今後厚労大臣として、日本医師会、日本医師連盟とどのようなかたちで関係をとりながら、厚生労働行政にあたっていくお考えか、ご所見をお願いいたします。
大臣:
厚生労働省は国民の生活を生涯に渡って支える大事な使命を負っている役所です。私は、医療関係団体の代弁者ではありません。国民の皆様の立場に立って、どのような政策を実現すべきかという考え方を、一貫して、自分の姿勢として持っていますし、これはこれからもしっかりとその姿勢に基づいて、職務を遂行するつもりでいます。そのような考え方の中で、今後、ご指摘の診療報酬や介護報酬などの改定や、こども・子育て施策の財源など、厚生労働行政をめぐる様々な課題に取り組んでいきたいと考えています。
記者:
武見大臣はこれまで自民党内で医薬品産業に関する活動も多かったと思います。先ほどトリプル改定の言及がありましたが、薬価改定に関する方針やお考えをお聞かせください。
大臣:
それはまさにこれから、大臣としての立場で職務を考えるところですので、これからしっかり国民の立場を基本として考えて取り組んでいきたいと考えております。
記者:
緊急避妊薬のスイッチOTC化について伺います。大臣は以前、議連の会長というお立場で、OTC化に慎重な対応を求める要望書を提出されていますが、慎重という言葉の報道が1人歩きしているように思いまして、大臣の要望書の中では、薬剤師が対面で対応できるような慎重な体制が必要ということをおっしゃられています。そういった方向で今、医薬品販売制度の改定が進んでおりますので、そうした状況が整えば、必ずしも緊急避妊薬のスイッチOTC化に反対というお立場ではないという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
この点も、まさに今、ご指摘の点は非常に重要な課題だと思っておりますので、これから大臣としての立場で、これをどのように取り組むか、その姿勢をこれから確実に検討して確立していきたいと思っておりますので、もう少しお時間をください。
記者:
医薬品に関連する件なのですが、今ドラッグラグやドラッグロス、医薬品の安定供給など、医薬品産業に伴う課題が報道されています。大臣のご所感を伺いたいです。また今、薬価改定のお話がありましたが、産業振興というお立場、また課題解決というものに関してお伺いさせていただければと思います。
大臣:
ご指摘の課題は私にとっても最大の関心事の1つですので、これから大臣としての立場で、自分の考え方を改めてしっかりと取りまとめて、そこで改めてその考え方についてはお示しすることになるだろうと思います。
記者:
年末に結論を出すことになっている、介護保険の給付と負担の見直しについて、武見大臣としては、どのように今後議論を進めていきたいか、ご所見があれば教えてください。
大臣:
これについては、先ほど申し上げたとおり、極めて、これは6年に1度の同時改定ということになります。したがってその全体をどのように把握しながら、それぞれ個別の案件についてどう取り組むか、まさにこれから検討していくことになりますので、まだご指摘のようなかたちの課題にすぐにお答えすることはできませんので、これももう少しお時間をください。
記者:
先日、大手薬局チェーンのアインホールディングスの幹部の方が、病院での敷地内薬局をめぐる入札の汚職事件で逮捕されることが起きました。以前から課題も指摘されている敷地内薬局ですが、大臣として、こうした不正も起きている中ですが、薬局の制度について課題に思っていることがあれば教えてください。
大臣:
事実関係についてまだ十分承知している訳ではありませんので、今この時点で、すぐにお答えすることは差し控えさせていただきます。
記者:
副大臣でいらっしゃった平成18年に、保険診療の具体的な進め方の事例として、副大臣のメタボ体重を進めていらっしゃいました。その後いかがでしょうか。
大臣:
あのときも6か月で6キロの体重を減らすために、それぞれ毎日の食生活、更にはしっかりと歩いて、自分の健康管理をするということを続けさせていただいて、結果として約8キロ、半年を通じて公約以上に自分の体重を管理することができました。ただその後、様々な実情、維持しようと努力いたしましたが、残念ながらその後体重は増えてしまっておりまして、改めてこの大臣の職において、私の健康管理についても引き続き努力していきたいと思います。
記者:
減らした以上に増えてしまったということですか。
大臣:
そうです。

(了)