加藤大臣会見概要

(令和5年9月12日(火)10:47~11:09 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
岸田首相は先日、訪問先のインドで、今月13日にも内閣改造を行うと発表されました。予定通り改造が実施されれば、明日には加藤大臣の厚生労働大臣としての3期目の区切りを迎えます。昨年夏の就任以降、健康保険法の改正など社会保障の給付と負担の見直しに取り組んでこられたと思いますが、3期目中の改革の評価と大臣の思う今後の課題についてお教えください。
大臣:
明日内閣改造が予定されているということですので、そういうことであれば、本日が今の内閣としての最後の記者会見ということになります。この1年1か月に渡って対応させていただきましたこと、改めて御礼申し上げます。その上で、今、社会保障改革のお話がありました。少子高齢化という流れの中で、今の日本の社会保障、世界に冠たる医療介護保険制度等をしっかりと持続可能なものにしていく、こうした不断の努力が必要だと考えております。そのためにも人口が減少する中で、経済社会の人手、働き手をどう増やしていくか。あるいは医療介護分野におけるそうした働き手を増やしていくということに加えて、必要な社会保障を確保して、負担能力に応じて、全ての世代で公平に皆で支え合う仕組みを強化する取組を進めていく。そうした中で全世代型社会保障制度を構築していくことが必要だということで、これまでも色々と取り組んでまいりました。この1年間では、先の通常国会で出産育児一時金の大幅な引き上げ、またその費用の一部を後期高齢者医療制度で支援していただく仕組みの導入、高齢者医療を全世代で公平に支え合うための制度の見直しを盛り込んだ制度改正を行っていただいたところです。また、コロナ等の話もあろうかと思いますが、やはりそうしたところで出てきた様々な課題、そして更に日本における高齢化が進んでいきます。また、医療の分野で新しい薬や治療法などそうしたものも進めていかなければなりませんし、そうしたものをどう取り組んでいくのか。そうした中でやはり今申し上げたような形で不断の見直しをしていくことに加えて、冒頭から申し上げておりました医療DXをしっかり進めていくということが、より効率的にそうしたサービスを提供していける、より質の高い医療や介護サービスを提供していける基盤となっていくという思いで、この間も総理を先頭に本部を作り、工程表もお示しさせていただきましたので、これに則って1つ1つ着実に進めていく必要があると考えています。
記者:
大臣を務めた約1年間での、新型コロナウイルスやマイナ保険証問題への対応について評価やご感想、課題をお聞かせください。
大臣:
まず新型コロナウイルスへの対応は、私が2度目の厚生労働大臣を務めさせていただいた1月から日本で感染が拡がっていったということです。このコロナへの対応というのは、国民の命と暮らしを守っていく、そうした中で感染拡大を押さえながら、同時に経済社会活動をどう維持していくのか、このバランスを取ることに大変腐心してきたわけです。そうした中で、様々な専門家のご意見等々を踏まえながら進めてきました。多くの皆様方のご協力もいただいて、他の国と比べると、日本ではコロナによって亡くなる方が相対的に少ない、こういった形での評価もいただいているところです。特に、昨年の夏、就任したときには、政府として何波とは言わないわけですが、いわゆる第7波のときでした。そうした中でオミクロン株の特性を踏まえ、重症化リスクのある高齢者を守ることを重点に対応させていただき、まさにウィズコロナの時代への段階を進めていき、そして今年の5月には、いわゆる2類から5類相当の感染症への移行も行うことができました。移行後の医療提供体制は、いわゆる平時の体制に向けてこれから進めていくということですが、この間そうした対応も、四方においても色々とご努力いただきながら進めさせていただきました。また、これまでのコロナへの対応を踏まえて、またこうした感染症が次に起こり得るということを前提に、秋の臨時国会では、感染症発生・蔓延時における保健医療提供体制の整備等のための感染症法の改正、また、先般の通常国会では、国立健康危機管理研究機構、いわゆる日本版CDCを設立するための法案、また、先日の9月1日には内閣感染症危機管理統括庁が設置され、厚生労働省においても感染症対策部を新たに設けるなど、この間の様々な課題を踏まえながら、次なる感染症に向けた体制の整備に取り組ませていただいたところです。改めて、これまでの国民の皆様や関係者の皆様のご協力、ご努力、そしてご理解に心から感謝を申し上げたいと思いますし、まだコロナが収まったわけではありませんので、こうしたところにしっかり注視をしながら、平時への移行をしっかりと進めていかなければならないと思っています。
 それからマイナ保険証に関しては、本年4月からオンライン資格確認について医療機関、薬局への原則義務化をお願いし、また来年秋にはマイナンバーカードと保険証の一体化を図っていくこととしています。こうしたことを進めているのは、やはり医療DXを進めていくということが我が国の、いわば社会保障制度をしっかり持続可能なもの、より良いものにしていくための基盤だと認識していますし、総理もおっしゃっておられますが、こうした取組は、やり遂げなければならない課題だと認識しております。マイナンバー保険証の利用を積極的に進めているクリニック、大学病院、薬局もこの間視察をさせていただきました。そうした中で、手作業によるそうした処理に比べて、マイナンバーカードを活用していただくことによって、事務処理が軽減される、あるいは誤記のリスク等が減少する。こうした事務負担の軽減、あるいは事務の効率化が進んでいるという話。またマイナ保険証で受診することによっていわゆる重複投薬の抑制など、その方の医療情報に基づいた、より良い医療の提供を受けることができたというメリットがあるということも改めて実感させていただいたところです。他方で、他人への紐付け誤り、あるいはシステムの不具合など大変皆様にご心配やご迷惑をお掛けしている課題が現在もあります。これに対しては、1つ1つの課題に対して、具体的なスケジュール感、やり方もお示ししながらその解消に向けて、今、関係者の皆様の力もいただいて取組をさせていただいているところです。こうした取組を通じて、国民の皆様が安心してマイナ保険証をご利用いただける環境、また医療DXを進めていただける環境、これをしっかり作り上げ、より良い医療の構築につなげていければと思っています。
記者:
新型コロナウイルスの10月以降の財政支援見直しについて伺います。自民、公明の与党では、ヒラバの議論も行われており、「低所得者に最大限の配慮を」との声も聞かれます。10月まで残り半月ほどですが、いつ頃までに、どのようなかたちで調整結果を公表したいのか、現状の調整状況も含めてお考えをお聞かせください。
大臣:
今の感染状況ですが、お盆の時期に一時、お盆という特殊事情もありましたが、定点観測の数字が少し下がりました。その後、今、上がっているところです。まだピークアウトしているとは言えないところです。したがって、そのあたりはよく注視していかなければなりませんが、過去3年間の経緯を見ますと、段々と涼しくなっていく、また皆様も換気に努めていただくということで、これからは一時的に感染動向が収まっていく。ただ、冬の寒い時期にまた上がっていくということを専門家からもご指摘いただいているところです。そうしたことを踏まえて、10月以降どうするかということは、先ほど申し上げた形で、今、中で検討させていただいておりますし、足下の状況においては、それぞれ皆様において、体調が優れないといったときには熱を測っていただく、あるいは診療を受けていただく等、必要な対応をとっていただく。また、場合によってはマスクを着けていただく等、適切な措置をとっていただきたいと思っておりますし、我々としても、そうした感染動向、あるいは医療機関のひっ迫する状況、これもしっかり各都道府県と連携しながら取り組んでいきたいと思っております。またコロナウイルスは常に変異しているわけですので、その状況もしっかり押さえながら、その特性、他国における状況、こういったことも踏まえながら、必要な対策をとっていきたいと考えております。
記者:
新型コロナワクチンについて伺います。ワクチン問題研究会は先週の記者会見で、厚労省のデータは氷山の一角にすぎないと指摘し、「ワクチン接種後症候群」には非常に多種多様な病態があり、患者さんが病院に行ってもとりあってもらえず、苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃるということです。現時点で、加藤大臣はこうした実態をどのように対処していくべきだとお考えでしょうか。また同研究会は「ワクチン接種後症候群」が起こる仕組み、その検査法を確立したいという抱負を表明しています。大臣は現時点で、「ワクチン接種後症候群」の実態を明らかにし、検査法の確立などで同研究会などと厚生労働省として協力していくお考えはありますでしょうか。
大臣:
ワクチンの副反応を疑う症状については、先週も申し上げましたが、医療機関等から報告された情報を収集し、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会などにおいて個別症例の評価、集団での系統的な分析・評価による予防接種の安全性等を評価した上で、必要な措置を講じるという姿勢で取り組ませていただいております。他方で、ワクチン接種後にご指摘のような症状に悩まされている方がおられます。そうした方々が地域において必要な医療機関を受診できるよう、各都道府県に対して、相談窓口の設置、また診療体制の確保等を行うよう依頼をしております。現時点では全ての都道府県において相談窓口が設置されていることを確認しているところですが、更にそうした取組を進めていきたいと思います。こうした相談窓口では、かかりつけ医等への専門的な医療機関等の情報提供、また、自治体相談窓口から専門的な医療機関の紹介を行うなど、国民の、そうした症状に悩まされている方々に寄り添った体制の構築を進めております。新型コロナワクチンの接種後に遷延する症状も含め、副反応が疑われる症状に関する実態調査を行うため、本年2月から、厚生労働省の研究班で調査を行っております。この調査等を通じて、科学的な知見の収集に努めるとともに、専門家に評価いただき、ワクチンの安全性の評価も逐次、適切に行ってまいりたい。また新たな情報が得られた場合には、速やかに医療機関に情報提供するなど、必要な対応を行っていきたいと考えております。今申し上げた研究班のワクチンの接種後の副反応が疑われる症状に関する実態調査については、7月の審議会で第2報が報告されたところです。それによりますと、ワクチン接種後の副反応が疑われる症状を診療する専門的な医療機関から報告された症状・確定病名・疑い病名の一覧から、現時点で懸念を要するような特定の症状や疾病の報告の集中は見られなかったということで、ご指摘のように様々な症状があるということはその通りであると思います。また、症状の持続期間が31日以上の事例を精査した結果、特定の症状や疾病の報告の集中は見られず、多くの事例で軽快・回復しているということが確認され、報告されているところですが、こうした調査結果も踏まえながら、実態をしっかり把握する。その上で、それぞれ地域で様々な治療も進めていただいていると思いますので、そうした事例も収集しながら、より良い、それぞれの地域で治療が行われるよう、我々としても努力していきたいと考えております。
記者:
日本年金機構は昨日、事務処理ミスによる年金の未払いが昨年度集計で264件、およそ2億3,213万円に上ったと発表しました。大臣の受け止めについてお聞かせください。
大臣:
日本年金機構では、年金業務の事務処理誤りが発生した場合、把握した都度、説明や訂正処理などお客様への対応、また再発防止の対策を行っております。またそうした対応が完了したものについて毎月ホームページで公表しているところですので、今お話しがあったものは、毎月発表していたものを1年間分取りまとめて集計して、改めて公表したものです。今般発表された年金の未払いについて見ると、例えば一時的に支払いを保留した年金の保留解除が適切に行われていなかったなど、こうした事例が見られるわけですが、既に個々のお客様には未払い分の支給がなされている。また、そうした事務処理間違いが起こらない、あるいは起きても事後的にチェックできる、こうした再発防止策を講じることとしております。令和2年4月からは、日本年金機構本部に専任部署を設置して、年金決定時チェックを行うことによって事務処理誤りの予防・早期対応を図っております。やはりそれぞれの皆様、特に高齢者にとっては生活を支える所得の中心が年金ですから、その年金が適切に支給されるよう、引き続き日本年金機構において正確に業務が実施されるよう、厚生労働省としても連携して、また必要な指導を行っていきたいと考えております。

(了)