加藤大臣会見概要

(令和5年8月29日(火)10:44~10:53 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 冒頭2件ございます。1件目ですが、9月10日から9月16日までは「自殺予防週間」となっています。昨年の自殺者数は、21,881人と前年を上回る水準となり、また、小中高生の自殺者数は過去最多の514人と深刻な状況です。誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けて、電話やSNSによる相談支援を拡充して実施するとともに、今回はJR東日本様にご協力いただき、新たに電車内での広報を行い、通勤・通学者を始め、より多くの方々に相談窓口を周知することとしています。また 10代の自殺は長期休暇明け前後に増加する傾向があるため、夏季休暇中から関係府省庁と連携して、こども・若者向けの啓発活動に取り組んでおります。更に本日、私と文部科学大臣、また小倉こども政策担当及び孤独・孤立対策担当大臣の3大臣連名で、国民の皆様に向けたメッセージを発出することとしており、お手元に資料をお配りしております。悩みをお持ちの方は、1人で悩みを抱え込むことなく、家族や友人などの身近な人、また色々と設けられている相談窓口に相談していただきたいと思います。また、身近な人の様子がいつもと違うと感じられたときは、優しく声を掛けていただければと思います。声を掛け合うことで、不安や悩みを和らげることができるかもしれません。最後にメディアの皆様へのお願いですが、自殺に関する報道は、その報じ方によっては更に自殺を誘発する可能性があります。WHOの「自殺報道ガイドライン」に沿った慎重な報道に引き続きご協力をお願いしたいと思います。
 2点目です。令和5年7月の有効求人倍率は1.29倍と、前月から0.01ポイント低下となっています。また、完全失業率は2.7%と、前月から0.2ポイント上昇となっています。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は求職に増加の動きがみられる中、求人は底堅く推移しており、緩やかな持ち直しとなっています。物価上昇等が雇用に与える影響に引き続き留意する必要があると考えています。私からは以上です。

質疑

記者:
冒頭発言の中で有効求人倍率に関して伺います。3か月連続の下落となった7月の数値を受けて、現在の雇用状況について大臣のご所感を伺わせてください。今の会見でも「物価上昇等が雇用に与える影響に引き続き留意する必要がある」と言及されていますが、物価高が雇用に及ぼす影響や今後の見通しについてどのようにお考えになりますか。
大臣:
求職・求人の動向ですが、有効求職者数は前月比0.9%増加と3か月連続の増加の一方、有効求人数も前月比プラスの0.0%増加となり、底堅い動きが見られております。雇用情勢全般に関しては、求職に増加の動きがみられる中、求人は底堅く推移しており、緩やかに持ち直しているという基調の考え方は変わっておりません。その上で、物価高騰が雇用に与える影響や今後の見通しですが、現場の都道府県労働局などでお聞きした声などを集約いたしますと、まず原材料や電気代も高騰しており、費用がかさむ中で、そういったことが企業活動、ひいては求人活動に与える影響や、また物価高騰の影響から収入面でより良い条件を求めて転職をする方、あるいは、労働力調査でも出ておりますが、新たな求職をする方もいらっしゃいますが、その背景には生活的な意味から仕事を探しておられる方も中にはおられるのではないかと思われます。そういったことも含めて、物価上昇等が雇用に与える影響に引き続き留意する必要がある、と認識しております。厚生労働省としては、求職者の方が置かれている状況に応じた、きめ細かな就労支援、また一方で、人手不足ということもありますので、事業主の方に対する人材確保支援にしっかり取り組んでいきたいと思っております。
記者:
日本遺族会が今後3年間で先の大戦の記憶を継承するための「平和の語り部」事業を全国展開することになりました。こうした語り部事業は本来、国家事業としてやるべきことだと考えますが、現状は、ほぼ遺族らの「手弁当」での運営という状況です。このままでいいのか、大臣の見解を伺います。また遺族会は来年度の厚労省予算の確保を求めていましたが、厚労省としてはどの程度、遺族会の声に応えたのでしょうか。遺族会の事業に今後、具体的な支援を行うのかも含め、見解をお聞かせください。
大臣:
今年で戦後78年が経過し、そうした中で戦没者遺族を始めとする、こうした経験をされている方が高齢化していく。そして先の大戦の記憶が風化していく。そうしたことに対する懸念がございます。そうした懸念を払拭するべく、次の世代にこうした記憶、経験、これを継承していくことの重要性、非常に大事であると考えております。そのためにも、戦争の悲惨さ、あるいは地域で身をもって体験された方が、そのご労苦を、地域で語り継いでいくことも大変重要であり、各地域においては、日本遺族会都道府県支部等により、このような取組が行われているところもあると承知しております。そうした中で今般、遺族会の皆様方においては、これを全国で広げていこうという取組をしていただいているとお聞きしております。我々もこうしたことを念頭に、全国規模で広げていくために必要な経費を令和6年度予算概算要求で計上することを考えているところです。今後、必要な予算の確保に向け、財政当局と調整していきたいと考えております。私どもとしても、平成28年度から、戦後世代の方を対象に語り部になっていただくべく、昭和館などを中心に3年間の研修を実施し、そうした語り部を育成すると同時に、現在でも昭和館を中心に施設内、あるいはどうしても関東周辺になりますが、出前講座等も実施しているところでございますので、こうした活動を更に拡大すべく取り組んでいきたいと考えております。
記者:
昨日百貨店大手のそごう・西武の労働組合が31日にストライキに入ると通知しました。実施されれば百貨店業界ではおよそ60年ぶりとなりますが、このような動きが出ていることへの受け止めと、改めて労働組合の活動やストライキの意義についてお聞かせください。
大臣:
株式会社そごう・西武の労働者で組織する、そごう・西武労働組合において、8月28日、株式会社そごう・西武に対して、ストライキの実施を通知されたと聞いております。個別事案の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、労働組合は、労働者の意見をまとめ、それを使用者に伝達し、労働関係に反映させていく、そうした中で、労働者の働きやすい環境を作っていく役割を担っているものと認識しております。そういった意味において、労使の真摯な努力で早期に解決が図られることを望んでおります。

(了)