加藤大臣会見概要

(令和5年7月月28日(金)10:39~10:52 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画の変更についてです。本日の閣議で、戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画の変更について閣議決定いたしました。本年6月に成立した「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の一部を改正する法律」により戦没者の遺骨収集に関する集中実施期間が令和11年度まで延長されたことを踏まえ、関係国との連携の推進や遺骨鑑定の迅速化及び高度化等に取り組み、集中実施期間における我が国の戦没者の遺骨収集事業を着実に推進するため、本計画の変更を行うものです。厚生労働省としては、来る令和7年には戦後80年を迎え、戦没者のご遺族がご高齢となられている現実を重く受け止め、一日も早く、一柱でも多くのご遺骨をご遺族の元にお返しできるよう、全力を挙げて遺骨収集事業に取り組んでいきたいと考えております。
 7月20日から21日にかけてインドで開催されたG20労働雇用大臣会合に出席しました。今回の会合では、ディーセントワークの達成が最優先との認識の下で議論がなされ、国際的なスキルギャップへの対処、ギグワーカー・プラットフォームワーカーへの社会的保護、全ての人への適切な社会的保護のための持続可能な財政等についてG20各国の合意が形成されたところです。私からは構造変化への対応や生産性向上を図る上で人への投資が重要であるというG7会合での議論の成果を発信するとともに、多様な働き方への対応や、女性・高齢者・障害者の労働市場参加に関する我が国の取組を共有させていただきました。またインドをはじめ6か国の担当大臣や、ILO事務局長等と会談を行い、共有する政策上の課題等について対話を深めました。
 最後になります。5月8日から開始している新型コロナワクチンの春開始接種については、重症化リスクの高い方等を対象として各自治体で積極的に進めていただいているところです。本日はこの秋開始予定の接種に向けたワクチン確保の取組についてご報告いたします。秋開始接種については、本年3月7日の審議会における議論を踏まえ、接種可能な全ての方を対象に、高齢者、基礎疾患を有する方など重症化リスクの高い方に接種の勧奨を行うとともに、その他の方については接種の機会を提供するが接種勧奨までは行わないとの方針で接種を実施することとしております。この秋開始予定の接種に使用するワクチンについては、先月開催された審議会において我が国における流行主流株の変遷の状況や科学的知見を踏まえ、XBB.1系統の成分を含有する1価のワクチンを用いるのが適当とされたところです。本ワクチンは現在薬事申請中でありますが、この秋からの切り替えを想定し、今般オミクロンXBB対応1価ワクチンとして、ファイザー社から2,000万回分、モデルナ社から500万回分の新型コロナワクチンを追加購入することについて合意しましたのでご報告いたします。両社とは必要に応じて更なる追加購入が可能であることについても併せて合意しております。秋開始接種を着実に進めるため、両社から円滑にワクチンの供給を受けられるよう、引き続き両社等と連携して取り組んでいきたいと考えております。私からは以上です。

質疑

記者:
本日先ほどから最低賃金の小委員会の議論が再開されていますが、改めて今日までの議論のプロセスへの評価と、ランク分けの変更や政府が掲げる全国加重平均で時給1000円の目標などを踏まえて、本日の議論への期待をお聞かせください。
大臣:
令和5年度の最低賃金改定の目安については、先般諮問させていただきました。その後これまで4回、そして本日10時より第5回の目安に関する小委員会で審議されているところです。審議会においては、これまでも諮問の際に私からお願いしたとおり、今年の賃上げの状況や物価の動向、企業の業況等を考慮いただくとともに、地域間格差の是正にも留意いただきながら、納得感のある結論に至るために丁寧に議論を尽くしていただいているものと認識しております。6月16日に閣議決定された「骨太の方針2023」等において、最低賃金については、今年は全国加重平均1,000円を達成することを含めて、公労使三者構成の最低賃金審議会でしっかりと議論を行うこと、地域間格差に関しては、最低賃金の目安額を示すランク数を4つから3つに見直したところであり、今後とも地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げる等、地域間格差の是正を図ることとされたところです。また今年の春季労使交渉の賃上げ率は、例えば連合の最終回答集計結果によると、全体では3.58%、中小企業に関しては3.23%と、約30年ぶりの高い伸び率となっております。この賃上げの流れの維持・拡大を図り、非正規雇用労働者や中小企業にも波及させていくには、最低賃金による底上げも必要であります。これらの賃上げにおいては、実質賃金をプラスにしていくことが重要であります。引き続きこうしたことに留意され、公労使の委員において真摯な議論が行われることを期待しております。
記者:
マイナ保険証を持たない人のための資格確認書の有効期限について一律としない方向で検討に入ったとの一部報道もありますが、運用についての現状の政府の検討状況を教えてください。
大臣:
資格確認書はマイナ保険証による受診ができない方を対象に、必要な保険診療が受けられるよう本人の申請に基づくなどして交付するものであるが、有効期限について法律上規定はありません。具体的な、その運用は省令に委任されております。この資格確認書、あるいはそれをどう運用していくのかについて、保険者等の関係者から様々なご指摘をいただいているところです。そうしたご指摘も踏まえ、検討を進めているところです。
記者:
大阪万博について伺います。万博の工事が遅れています。万博協会は来春に始まる建設業界への時間外労働の上限規制を、万博の工事には適用しないよう政府に内々に要請しました。厚生労働省のところには現時点で要請はきていますか。またこのような要請がなされたことについて、労働行政を預かる立場としてどう受け止め、要請が来たら具体的にどのように対応しますか。また万博を既存の労働法の体系の中で上限規制の対象外にできるのでしょうか。例えば万博は労働基準法33条の対象になりうるのでしょうか。
大臣:
まず報道があったことは承知していますが、万博協会からも建設業業界からもそのようなご要請はいただいておりません。したがって、それを前提としたご質問にはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。建設業は他産業と比べて労働時間が長い実態があります。また、残念ながら先般の東京オリンピックの建設工事においても労災でお亡くなりになった方もおられたことを踏まえますと、厚生労働省としては、働く方の健康確保の観点から、時間外労働の上限規制を円滑に施行することが重要ということで、これまで関係業界とも連携を取りながら進めさせていただいているところです。今ご指摘のありました労働基準法第33条ですが、第1項では、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合に、労働基準監督署長の許可を受けるなどして、上限規制とは別に時間外労働等をさせることができることを定めた規定であります。もちろん申請にあたって個別具体的に検討することとなりますが、一般的には、緊急、災害、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合に限られており、今のご指摘のような単なる業務の繁忙については認められないと認識しております。
記者:
マイナンバーカードと保険証の一体化の方針について伺います。岸田総理大臣が昨日、視察等を通じて、現場の意見を伺いながら対応を考えていきたいという旨の発言をされました。また自民党幹部からも、期限ありきではないという趣旨の発言が相次いでいますが、それらも踏まえ、来年秋という時期の延期を含めて健康保険証の廃止時期についての大臣のお考えを改めてお願いします。
大臣:
先月、総理は、来年秋の保険証廃止への国民の不安を重く受け止め、現行の保険証の全面的な廃止は、国民の不安を払拭するための措置が完了することを大前提として取り組みますとご発言されたところです。現在国民の不安を払拭するための措置ということで、誤った紐付けについて保険者はじめ関係者に精力的に作業していただいている真っただ中ということで、一応今月末までにお答えいただき、できるだけその結果については公表させていただきたいと思っております。また、引き続き一体化のメリットをより多くの国民、関係者の皆様に享受していただくため、医療現場における実務上の課題、また患者様、あるいは例えば高齢者施設における職員の皆様方等からも様々なご指摘をいただいているところです。そうしたご指摘、課題を積極的に把握しながら、1つ1つに対して具体的な対応策を講じさせていただいておりますし、また検討させていただいております。そうして1つ1つ着実に課題を解消していくことが非常に大事であると思いますし、そうしたことを通じて国民の皆様に、従前から申し上げておりますが、より良い医療を受けていただける、こうした環境をつくっていく、これが私どもの責務だという思いで取り組ませていただいております。
記者:
マイナ保険証の誤登録の問題で、紐付け時のルールが厳格化されましたが、弊社の保険者への取材では、特に住所などJ-LIS照会で5情報を完全に一致させることは難しく、今後はマイナンバーの提出がない限り紐付けをしないことを検討する声も上がっています。マイナンバーの提出が任意となっている中で、今後システムへの反映に時間がかかったりマイナ保険証では資格確認ができないなど、そういうケースが出てくることをどこまで想定されていますか。またどのような対応を検討しているかもお聞かせください。
大臣:
医療保険のオンライン資格確認については、保険者において新規に登録されるデータの正確性を担保するため、本年6月から事業主から保険者に提出する資格取得届における被保険者の個人番号等の記載義務を法令上明確化させていただきました。また、提出された資格取得届等に個人番号の記載がない場合は、その都度、事業主に個人番号の提出を依頼・督促し、その上でやむを得ずJ-LIS照会により個人番号を取得・登録する際には必ず、氏名、生年月日、性別、住所により照会を行い、それらの情報が一致しない場合は、その照会結果を取得せず本人への確認を行うこととして、保険者が誤ったデータを登録する余地がないよう改めたところです。また6月以降、新規加入者に係る資格取得届については、個人番号を含む必要な事項が記載されている場合、または氏名、生年月日、性別、住所が記載されている場合に限って、保険者は届出を受け付けることとしており、その他の場合については事業主に当該情報の記載を求めることとしております。こうした仕組みを通じて加入者のデータが迅速かつ正確に登録されるように努力していきたいと思っておりますし、オンライン資格確認や患者本人の医療情報に基づくより良い医療の提供に当たっては、そうした間違いのないデータは大前提になるわけです。厚生労働省としては引き続き保険者の方々とも連携しながら適切な対応を図っていきたいと考えております。

(了)