加藤大臣会見概要

(令和5年7月7日(金)10:55-11:14 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
来年秋の健康保険証の廃止に伴って発行される資格確認証について伺います。5日の衆議院の閉会中審査で伊佐副大臣は「申請がなくても交付するいわゆるプッシュ型も活用するなどして、全ての被保険者が必要な保険診療を受けられるようにする」と述べられました。この資格確認証のプッシュ型での交付はどのような状況の人が対象になるのでしょうか。カードを取得していない人や保険証と紐付けしていない人全員なのでしょうか、それとも高齢者施設の入居者など申請が困難な限られた人たちを想定しているのでしょうか。また資格確認証は1年ごとの更新とされていますが、申請をしなくても資格確認証が1年ごとに交付されることになるのでしょうか。現時点でのお考えをお聞かせください。
大臣:
ご承知のように健康保険法第51条の3では被保険者又はその被扶養者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときは、当該被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に対し、当該状況にある被保険者若しくはその被扶養者の資格に係る情報として厚生労働省令で定める事項を記載した書面の交付、いわゆる資格確認書を求めることができると書いてあります。このできるという場合において、附則第15条では、必要があると認めるときは、職権で、被保険者に対し当該書面を提供することができる、こういう規定です。その規定を副大臣がご説明されたということですので、具体的な運用をどうしていくのかというご質問については、今後検討していく必要があると考えています。
記者:
毎月勤労統計調査についてお尋ねします。本日発表された5月分の速報で、実質賃金が前年同月比で1.2%減となりました。大臣は以前の会見で「春闘の効果は5月から7月に段階的に表れてくるのではないか」と述べられていましたが今回もマイナスで、これで14か月連続のマイナスとなりました。この受け止めや対策、そして審議が始まっている今年の最低賃金の目安額引き上げの必要性などについてお聞かせください。
大臣:
まず本日公表した毎月勤労統計調査の令和5年5月分の速報値で、名目は2.5%増、実質はマイナス1.2%となっているところです。実質賃金は令和4年4月以降14か月連続のマイナスとなっており、経済の好循環により国民生活を豊かにするという観点からも、実質賃金の上昇が必要と考えております。今申し上げた名目賃金については2.5%増、その中を見ると基本給を含む所定内給与の対前年同月比がプラス1.8%です。これは平成7年2月のプラス1.8%以来の大変大きな伸びとなっているところです。先日申し上げたのはこの名目賃金の動向を申し上げたということで、今後今回の大幅な引き上げとなっている春闘が具体的にそれぞれの賃金にどう反映していくのかということです。賃金引上げ等の実態に関する調査、これは企業規模100人以上ではありますが、これをベースにみていきますと、4月から5月前半には約4割が反映されており、7月中旬までをとると7割ということで、これから7月にかけて5月、6月、7月とこの春闘の効果が現れていくものと考えております。なお、その後においてもいわゆる労働組合未組織企業への波及あるいは人事院勧告の実施に伴う公務員給与の増加、こういったことも反映されていくと思っております。こうした賃上げを進めるためには、まず中小企業において賃上げしやすい環境をしっかり作っていくことが必要です。厚生労働省としても業務改善助成金の拡充等できる限りの支援をしていきたいと思っておりますし、更に1回限りではない持続的な賃金の引き上げを構造的に作り上げていくという意味で、いわゆるリスキリング、職務給の確立、円滑な労働移動の三位一体の労働市場改革に働く人の立場に立ってしっかり取り組んでいかなくてはならないと思います。
 また最低賃金のお話しがありました。6月30日に目安について私から諮問させていただきました。今年の春期労使交渉の賃上げ率は約30年ぶりの高い伸び率となっているが、賃上げの流れの維持・拡大を図り、非正規雇用労働者や中小企業にも波及させていくためには、最低賃金による底上げが必要であります。これらの賃上げにおいては実質賃金をプラスにしていくという点も重要とその際申し上げました。こうしたことにも留意され、公労使の委員において真摯な議論が行われ、結論を得られていくことを期待しております。
記者:
アルツハイマー病の新薬に関して伺います。エーザイと米国企業が共同開発しているアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」について、米国FDAが現地時間の6日に正式に承認しました。それに対する大臣の受け止めと、日本での今後の承認の見通しについて教えてください。
大臣:
エーザイが開発したアルツハイマー病の疾患修飾薬、疾患の根本に介入し、その進行を止めたり遅らせたりする効果をもつ治療薬ということですが、これについて米国FDAが1月6日に迅速承認され、その後の正式承認申請を受けて7月6日に正式な承認がなされたものと承知しております。我が国においても、1月16日に薬事承認申請がなされ、その後優先審査の対象とされているところ、現在PMDAにおいて審査中です。今般の米国の動き等も参考に、引き続き有効性・安全性等について適切かつ迅速な審査を行っていくものと考えております。なお優先審査というのは、通常の承認審査期間は12か月に対して、いくつかの要件に該当する場合には9か月と、より短縮した期間でそうした審査を行うという制度です。
記者:
安倍元首相銃撃事件から1年になります。この間大臣はどのような思いで過ごされましたか。コロナ対応、社会保障制度改革に理解のあった元首相でしたが、その功績とあわせ今のご所見をお聞かせください。
大臣:
まず安倍元総理が亡くなられてもう1年という時期を迎えるわけです。ご冥福をお祈りするとともにご遺族にお見舞い申し上げたいと思います。やはり安倍元総理が亡くなられたこと自体大変ショックな出来事でもありましたし、なかなかそれが現実のものとして、今でも正直言ってなかなか現実のものとして受け入れられるのかという思いをしており、またどこかから総理の声が聞こえてくるのではないかという思いを持っているところです。安倍元総理においては内政外交、様々な分野でリーダーシップを発揮されてきましたけれども、社会保障について、特にコロナ対策については発生以降国民の命と暮らしを守ると、また感染拡大と経済活動のバランスを図っていく、そうした観点に立ちながら科学的知見なども踏まえコロナ対策に最大限取り組んでこられたと認識をしております。そうした取組もあり、またもちろん医療現場の皆様の多大なるご努力等もあって他のG7諸国と比べて、人口当たりの感染者数あるいは死亡者数等は低い水準に抑えられていると考えております。また社会保障制度改革については、この間も社会保障と税の一体改革の着実な推進、消費税の引上げ時における保育の無償化や介護人材の処遇改善等々、様々な社会保障改革に安倍元総理の下で取り組んできたところであります。そうした議論を官邸でする際にも、あるいは安倍元総理とお話をするときにも必ず出てくるのは、自分が自民党の元社会部会長、今では厚生労働部会長に当たりますが、努めていたという話をよくされていたということを印象深く思っております。そういったこともあって、社会保障の議論については、他もそうだと思いますが非常に熱心に聞いていただいたという印象を持っております。岸田政権の下においてもこうした安倍政権で取り組んできた様々な改革あるいはその流れ、これをしっかり踏まえながら先般も全世代型社会保障の構築に向けた健康保険法の改正案等も提出し成立が図られたところでございます。将来にわたって今ある社会保障制度を次の世代に、世界に誇るこの制度をしっかりと繋いでいくのだ、継承していくのだと安倍元総理は仰っていました。まさにそうした思いを受け継いで、我々も引き続き努力していきたいと思っております。
記者:
レカネマブについて、日本初のアルツハイマー病の治療薬が米国で承認されたということについての受け止めと、仮に日本で承認された場合には高額な薬価による医療財政圧迫の懸念もあるとお考えでしょうか。
大臣:
米国におけるそうした承認について直接コメントするのは避けたいと思いますが、そうした承認がなされたということを踏まえ、先ほど申し上げたように我が国において今承認申請が出され、審査がなされておりますから、適正かつ迅速にその作業を進めていきたいと思っております。また承認後においての薬価等はそれから先の話ですから、今の段階で申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
記者:
コロナの感染拡大に加えて、RSウイルスやヘルパンギーナなどこどもの感染症が流行し、小児医療が逼迫しているとの声が現場から上がっています。受け入れ先が見つからなかったり救急搬送に時間を要するケースも出ているようですが、厚生労働省としてどのように現状把握されていらっしゃいますか。また今後何らかの対応をとるお考えはあるのでしょうか。
大臣:
RSウイルス感染症あるいはヘルパンギーナの報告数は現在増加傾向であり、特にRSウイルス感染症においては新生児や基礎疾患のあるこどもは重症化しやすいということで、注意が必要であると考えています。小児医療関係団体に対するヒアリングによると、感染患者の増加に伴い入院を要する事例も増えており、一部地域によっては救急搬送時も含めて入院先を探すのに時間を要する場合が生じていると承知しております。もっとも全体の救急搬送困難事案は昨年秋感染が落ち着いた状況とほぼ同じ、その水準もコロナの前に比べれば高い水準です。そうした中で厚生労働省としては、感染状況、今の状況をしっかり周知させていただき、こども医療電話相談(#8000)の活用を促すとともに、RSウイルス感染症やヘルパンギーナは飛沫や接触により感染しやすい感染症なので、咳などの症状がある場合はなるべくマスクを着用する、また石けんによる手洗いなどの手指衛生を推奨するなどの感染防止対策に努めていただくようしっかり周知していきたいと考えております。
記者:
今月5日、日本医師会で新型コロナについて沖縄での感染状況を踏まえて「現状は第9波と判断することが妥当だ」と釜萢常任理事が述べられています。本日ADBも開催予定となっていますが、厚生労働省として現状を第9波ととらえているでしょうか。
大臣:
そうした発言が釜萢常任理事からあったことについては承知しております。また先週分の数字が本日の午後に発表される予定です。その上で現状を申し上げますと、全国の定点医療機関から報告される1週間ごとの新規患者数は6月19日からの1週間は6.13ということで前週比1.09と、4月上旬以降緩やかな増加傾向にあると認識しております。またこれまでも申し上げてきたように過去の状況等を考えると、これから夏の時期を迎えるとこれまでも感染が拡大してきたということがございますので、そうした可能性があるということを踏まえて対応していかなければならないと考えております。波については、会見等でいわゆる波をということで使うことはありますが、政府として例えばこの波がいつからいつでという定義をしているわけではございませんので、波に関する言及は差し控えたいと思います。ただこのまま増加していくかどうか、今日のアドバイザリーボードで先週分が発表された後その数字も踏まえて専門家の皆様にご議論していただくことになっておりますので、そうしたご意見も踏まえながら引き続き感染動向等や、この感染動向だけではなくて入院状況等先ほど少し申し上げましたけれど救急搬送困難事例とか、様々な指標等を使って重層的に把握し、引き続き注視していきたい、そして必要な対応を講じていきたいと考えております。
記者:
日本医師会はマイナ保険証に関して環境整備が整わない場合、今の保険証の1年間の猶予期間の延長を含めた対応を検討するという発言がありました。それに対する受け止めを聞かせてください。
大臣:
日本医師会の記者会見を読ませていただきました。前段から見ると、まずそうした形でしっかりやってほしい、医師会等々医療現場の皆様方にはオンライン資格確認に関して大変なご協力をいただいており、また窓口負担等においては混乱等も生じ、大変ご迷惑をおかけしている中であります。そうした声をいろいろと私ども直接に、また間接に聞かせていただいているところです。その上で先日の医師会の会見においては、オンライン資格確認に対する今の混乱、不安は喫緊の課題であってそれをしっかり取り組んでいくということであり、今の取組に対して評価をいただいているところですが、ただこれしっかりやってほしいということであります。その上でという話であれば、これまで総理が仰っておられた国民の不安を払拭するための措置が完了することを大前提として取り組みますと仰っておりますので、そうした流れに沿ったご発言だと受け止めております。いずれにしても今申し上げている措置、それぞれ保険者の方のご協力もいただかないといけませんが、保険者の方々あるいは医療機関の現場の皆様方のご協力をいただきながら、安心してこのオンライン資格確認あるいはマイナンバーカードと保険証の一体化、これが進んでいけるように更に努力していきたいと考えています。
記者:
マイナンバーカードを巡るトラブルを受けて、個人情報保護委員会がデジタル庁へ立ち入り検査を検討していることが分かりました。大臣の受け止めをお願いします。
大臣:
個人情報保護委員会とデジタル庁との関係ですのでそれに対して私から言及することはありません。

(了)