加藤大臣会見概要

(令和5年7月4日(火)11:10-11:29 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 まず冒頭、マイナンバーカードの健康保険証利用に関してです。5月23日に全保険者に対してJ-LIS照会によって個人番号を取得する際、3情報のみが一致することをもって個人番号を取得・登録するなど、厚生労働省が示している基本的な留意事項とは異なる方法で事務処理をしていなかったか点検を行うよう要請し、6月末までに求めていた作業に関する報告について今般取りまとめましたのでお手元に資料をお渡ししているところでございます。3,411団体ある全医療保険者から回答がございました。基本的な留意事項に沿った対応を行っていなかった等のためデータ点検を行う旨を回答した保険者は293団体、全体の約8.6%。基本的な留意事項に沿った事務処理を行ってきたが確認できない部分等もあるため登録データの点検を行う旨を回答した保険者が1,010団体、約29.6%。基本的な留意事項に沿った対応を行っている旨を回答した保険者が2,108団体、約61.8%でありました。データ点検を行う団体に対しては、漢字氏名、カナ氏名、生年月日、性別、住所の一致などの確認を行っていただき、7月末までにデータ点検結果の報告を求めております。引き続き国民の皆様にオンライン資格確認のメリットを実感してご利用いただけるよう保険者における迅速かつ正確なデータ登録が進んでいただけるよう厚生労働省としても取組を進めていきたいと考えております。資料はお手元にある通りでございます。私からは以上です。

質疑

記者:
障害者総合支援法の第77条に基づく障害者相談支援事業についてお聞きします。市町村が民間事業者にこの事業を委託した場合の消費税を非課税と誤認している自治体が多く、本紙の調べでは中部地方6県の全114市のうち半数超が非課税としていることが分かりました。こうした誤認が広がった要因をどのように認識しておられるのか、誤認している自治体や事業者にどのように対応するのか、大臣の所見を伺います。中部地方に限らず全国でも同様の問題があるとみていますが、厚生労働省として実態を調査したり税務の正しい見解を周知したりする考えはありますでしょうか。
大臣:
今ご質問がありました市町村が実施する障害者相談支援事業、これは社会福祉事業に該当しないため消費税の課税の対象となりますが、一方で指定相談支援事業者が実施する一般相談支援事業及び特定相談支援事業というものがございます。これについては社会福祉事業に該当するため非課税ということになっております。この両者の取扱いについて必ずしも明確でなかったということがこうした取扱いの背景にあるのではないかと私どもは認識しております。厚生労働省としては今申し上げたそれぞれの事業について特に障害者相談支援事業は社会福祉事業には該当しない、そうしたことを自治体や事業所等に周知し、間違った運用がされないよう徹底していきたいと思っております。なお税務上の誤りについては国税庁において対応していただくことなのだろうと思います。
記者:
合計特殊出生率についてお伺いします。人口動態統計の対象が「日本における日本人」であるために、合計特殊出生率の計算式の分母には外国人女性が入っていないのに分子には外国人女性と日本人の父親から生まれた子が入っているということについて、マクロ経済の専門家の方からおかしいのではないかと声が上がっています。外国人も含めた総人口で合計特殊出生率を出すべきではないかという意見もあります。大臣はこのような定義でこのような計算の仕方になっていることを認識していましたでしょうか。また厚生労働省としては定義通りに適切に集計しているのだろうとは思いますが、この定義それ自体は適切だと、問題はないとお考えでしょうか。
大臣:
まず日本における日本人ということが前提に計算しているということであります。したがって人口動態統計の出生数を元に算出し、分母に15歳から49歳の日本人の女性、分子には日本国籍を有する子を計上しているということで、これはずっと従来からやってきたことであります。それに則って発表させていただいているということです。外国人母から生まれたこどもも日本人であることには変わり無く、外国人母と日本人父から生まれたこどもさんも国籍上日本人であります。日本人女性一人に対して将来日本人が何人となるのか見る指標としての合計特殊出生率の算出に当該外国人母から生まれたこどもも算入すること、これは適切ということでこれまで運用してきたということです。
記者:
冒頭の発表の件についてお尋ねします。数をみますとおよそ4割に対して今後再点検を実施しそれを7月末までに報告するということでよろしいでしょうか。それ以外の今回適切にやっていたというところに対しては再点検の対象外になるのかというところです。もう1点、これまで発表としては紐付け誤りが7,300件あまりだと言うことなのですが、今回のこの数を受けてその数自体は規模感としてどれくらい増えるというような見通しがもし立っていればお願いいたします。
大臣:
まず7月末までに、もう既に作業していただいているのですが、作業をお願いしているのは先ほど申し上げましたこの回答だと、①と②ということになります。規模感ですがこれは正直言って今の段階でこのぐらいだということを申し上げる情報を持っておりませんので、各保険者における点検作業の結果を踏まえてまたご報告をさせていただきたいと思っております。
記者:
関連して冒頭の発表でお尋ねしたいのですが、①と②の確認できない部分も含めると全体の30%以上である1,300団体で確認が徹底されてない可能性があり、誤った紐付けも起きている恐れがあるということだと思うのですが、それについての受け止めと徹底されなかった理由そして今後は徹底されるのかという点についてお聞かせください。
大臣:
誤っていたかどうかは今やっていただいているということで点検作業をお願いしております。先ほどのご質問と一緒ですが、どのくらいなのか今の段階で我々は情報を持つに至っておりません。それから今後についても既に申し上げたように点検時においては基本的にマイナンバーでやってください、やらない場合には5情報でしっかり確認してくださいということはお願いしているということなので、5月23日以降については、今点検してくださいというやり方、遡ってやってくださいというやり方で23日以降は既に実施していただくことになっておりますので、そこからは適切に実施していただいているものと考えております。
記者:
これまで徹底されていなかった理由という点についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
それは必ずしもどういう形で徹底するかということの作業の手順等について必ずしも十分な周知・徹底が至っていなかったということなので、従って5月23日の段階でそこを改めて周知させていただくと同時に、過去の懸念がありますから、今回のようにまずどういう作業手順でやったのか、その中で疑い事例が起こり得るケースのところについてはもう一度しっかりと作業して欲しいと、その点検作業は先ほど申し上げたような点検手続きに立ってやってくださいということをお願いしているということです。したがって過去分をどのような形で整理し、それから5月23日の新規については先ほど申し上げた形でしっかりした手順をお示ししていただく中で作業を進めていただいていると考えております。
記者:
関連して発表事項なのですが、一方で基本的な留意事項に沿った対応を行っている団体が6割を超えていることに対する受け止めをお願いいたします。
大臣:
1つは、例えば市町村国保とか後期高齢者医療のところは基本的に手元に住民基本台帳データを持っておられて、それと照合しながら進めていただいているというところ、そこにおいても住所地特例等があって手元に住基の情報が無いケースも若干ありますが、それらも含めてそういった作業をしていただきやすいという、そういった方々は今回はこの6割の方に入っておられるという認識をしております。したがってどちらかといえば、住基等を直接見ることのできない被用者保険あるいは協会けんぽ、こういったところ、協会けんぽの場合は全体で1団体ということになりますが、そういったところでしっかり点検を行っていただきたいと考えております。
記者:
東京都江戸川区の福祉事務所の職員が、高齢者男性の死亡を知りながら2か月半にわたって必要な手続きをせずに遺体も放置していた問題が発覚しました。大臣の所感をお聞かせください。またこの職員は区に対し、他の仕事があり後回しになったという説明をしたとされています。ケースワーカーの人員不足と経験の浅い人員の割合が増加していることが全国的な課題として指摘されていますが、再発防止に向けてどのような対策が必要かについて併せてお考えを聞かせてください。また今回は事案の公表に3か月かかりました。その理由について江戸川区は、警察の捜査に支障にならないようにしていたとしています。大臣は適切だったとお考えでしょうか。
大臣:
まずご指摘の江戸川区の事案について、福祉事務所内で必要な情報共有が行われず、その結果としてチェック機能が働かず適切な対応がなされなかった、遺憾な実態・事例だと考えております。厚生労働省としては各自治体において適切な事務処理、この場合はケースワーカーの方はそうした事案が発生した場合にはご遺体を通常であれば葬儀等に付すわけですから、そうした人を探してそしてそうした形でお送りするということを担っていただくことになりますが、そうしたことも含めて、そうした形での処理がしっかり図られるよう引き続き助言・指導を行っていきたいと考えております。ケースワーカーについては、地方交付税措置し、増員を図ってきたところですが、引き続き適切な人員配置がされるよう努めるとともに、研修等を通じて資質の向上が図られるようにしていきたいと考えております。あと、公表に3か月要した点については個別の話なので、どういう事情があるのか承知しておりませんので現時点ではコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、厚生労働省としても事案の詳細・全体について確認をさせていただいているところです。
記者:
今ネット上ではマイナンバーカード返納を呼びかける動きが広がっていますがこうした動きを大臣はどう見ますか。カードを返納することに意味があるとお考えになりますか。改めてマイナンバーカードを手元に持っておくことの意義と合わせ、マイナンバーカードを返納すればどんなことが日常生活の上で不便になると具体的に考えられるか見解をお聞かせください。
大臣:
まずマイナンバーカードの自主返納については報道等が行われたりネット上でいろいろとそうした動きがあることは承知しております。そもそもマイナンバーカードは任意の取得でありますから、取得も任意であれば返納することも可能という立て付けになっているわけですが、厚生労働省としてはデジタル庁等とも連携しながらメリットをしっかりアピールしていくことが必要であり、同時にそのベースとなっている、先ほどから質問がありましたように、このシステムに対する信頼、あるいは情報管理に対する信頼、これをしっかりいただけるような対応をしっかりととっていかなければならないと考えております。マイナンバーカードを持つことのメリット、これまでも申し上げてまいりましたが、例えば健康保険証との一体化については過去の服薬情報や特定健診の結果等、患者ご本人の健康・医療に関するデータに基づいて、その医療機関以外で行われていたこともベースに当該医療機関のその方の疾患に対してより豊富な情報の下で判断していただけるということでより良い医療がなされる、あるいは重複調薬等そういったものも抑制していくことができる、こうした様々なメリットがありますので、こういったメリットをしっかりと私どももよりしっかりとアピールしていく必要があると考えております。またそもそもマイナポータルを通じて様々な行政手続き等が非常に簡易に実施できるわけであります。そういったこともデジタル庁や総務省と連携しながらよくメリットを周知していく中で、国民の皆様がそのメリットを実感していただくためにマイナンバーカードを取得していただく、あるいは活用していただけるように更に努力していきたいと考えております。
記者:
いわゆる130万円の壁についてお伺いします。一部報道で「年収が130万円を超えても一時的な収入増であれば扶養にとどまる場合があると明示する方向」と報じられておりますが、コロナ禍ではそのような同様措置をとられたと思うのですが、これらと同じような基準で収入を見ていくということなのか、現在決まっている方針がありましたら教えてください。また企業に対して最大50万円の助成金という報道もありますが、そうした施策も含め政府としてのパッケージをいつ頃までに策定するか、想定がありましたらお願いします。
大臣:
社会保険における106万円・130万円、税の場合にはまた違う数字になりますけれどもそこで就業調整が行われ、働く側からすればより働きたいのだけれども抑制する、企業側からいえばもっと働いていただきたいのだけれどもそれがなかなか叶わない、こうした指摘をいただいているところです。まずは基本路線としては短時間労働者への被用者保険の適用拡大、あるいは最低賃金の引上げなどを通じていわゆる被用者の方が被用者保険に入っていただけるこういう状況をつくっていくこと、これが基本だと考えております。しかし一方で今人手不足も非常に課題になっている中で足下の対応も求められ、総理からも発言をいただいておりますし、指示をいただいているところであります。106万の壁に関しては今手取り収入が減少しないように労働時間延長や賃上げに取り組む企業に対し必要な費用を補助するなど支援強化のパッケージを今、具体的な中身を整理しているところで、本年中に取りまとめたいと思っております。またそれと平行して制度的な見直しも進めるということにしております。一方で130円の壁ですが、これについては令和2年4月10日に被扶養者の収入の確認における留意点についてという事務連絡をお出しさせていただく中で、基本的に年間収入というのは各保険者が資格確認をする時期、これはそれぞれの保険者ごとまちまちですが、その段階でご判断いただくということを含めて、実はそのとき、例のワクチン接種の部分は別枠、対象にしませんということを明らかにしましたが、その際にお示しをさせていただいた、基本的にはそれが130万の考え方です。したがって年末に云々ということではなく、資格確認をした段階で判断していただくこととなっていることなども含めてしっかり周知を図っていく必要があると考えております。

(了)