加藤大臣会見概要

(令和5年6月30日(金)10:54-11:02 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 雇用統計ですが令和5年5月の有効求人倍率は1.31倍と、前月から0.01ポイント低下となっております。また完全失業率は2.6%と、前月と同水準となっております。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと現在の雇用情勢は求人が底堅く推移する中、引き続き求人の伸びがみられる産業もあるなど緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。私からは以上です。

質疑

記者:
最低賃金について、本日から2023年度の最低賃金改定について審議会での議論が始まります。現在の全国平均は時給961円で、政府は全国平均1,000円を目指しています。これを達成するためには昨年以上の大幅な引上げが必要となりますが、厚生労働大臣として今後の議論に期待することをお聞かせください。
大臣:
本日中央最低賃金審議会において令和5年度の最低賃金改定の目安について、私から諮問を行い審議が開始されることとなっております。6月16 日に閣議決定されたいわゆる骨太等において最低賃金については、今年は全国加重平均1,000 円を達成することを含めて公労使三者構成の最低賃金審議会でしっかりと議論を行うこと、地域間格差に関しては最低賃金の目安額を示すランク数を4つから3つに見直したところであり、今後とも地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げる等、地域間格差の是正を図ることとされているところです。また今年の春季労使交渉の賃上げ率は、連合の第6回回答集計結果では全体で3.66%、中小企業では3.36%と約30 年ぶりの高い伸び率となっています。この賃上げの流れの維持・拡大を図り非正規雇用労働者や中小企業にも波及させていくためには、最低賃金による底上げも必要であります。これらの賃上げにおいては実質賃金をプラスにしていくことが重要であります。中央最低賃金審議会においてはこうしたことにも留意され、公労使の委員において真摯な議論が行われることを期待しております。
記者:
昨日29日の医療保険部会で、マイナ保険証で初めて受診する際などに念のためとして従来の健康保険証も一緒に医療機関に持参するよう呼びかける方針が明らかになりました。マイナ保険証との一体化を目指す中、従来の保険証が必要となり混乱は生じないのでしょうか。またこうした対応は「データ登録状況を知らせる仕組みが整備されるまでの間」となっていますが、いつまで続く見通しでしょうか。大臣の考えをお聞かせください。
大臣:
まず昨日の社会保障審議会医療保険部会では、健康保険証を持たずにマイナンバーカードにより受診されその場でオンライン資格確認を行うことができなかった場合にあっても、医療機関等がレセプト請求を行うために必要な情報を書面で提出していただければ、保険料を払っておられる方が必要な自己負担すなわち3割分等で必要な保険診療を受けられるようにする取扱いをお示しさせていただいた、ここがポイントです。それをするときに今申し上げたような必要な情報を書面で提出していただくということがあります。転職等の際に事業主から提出される資格取得届にマイナンバーが記載されておらず保険者において確認中である場合など、保険証が発行されていてもオンライン資格確認で「資格(無効)」や「資格情報なし」と表示されることがあるが、これは保険者が加入者に対し個別にデータ登録の状況をお知らせできれば、そうしたときの混乱を未然に防ぐことができるということです。このため被用者保険の保険者が今後転職等による新規保険証発行の際にオンライン資格確認等システムへのデータ登録状況を併せてお知らせする取組を進めていくこととしております。
この仕組みが整備されるまでの間、医療機関等の窓口で書面を提出していただく手続き、これも煩瑣なこともございます、それを回避するということで、初めてマイナンバーカードで医療機関等を受診する場合や転職等により新しい保険証が交付された場合などは、受診前にマイナポータルで新しい保険資格が登録されていることを確認するか、念のためマイナンバーカードとあわせて保険証を持参していただくことが考えられるところです。こうした対応はあくまでもオンライン資格確認等システムへのデータ登録状況をお知らせする仕組みが整備されるまでの時限的なものであります。かつ今申し上げたように初めてマイナンバーカードで医療機関を受診する場合といった、いわば限定的な場面での取扱いをお示ししたものであり、常に保険証を持参していただくということでは全くありません。今後対応可能な保険者から順次、データ登録の状況をお知らせする仕組みを整備し、被保険者が医療機関等で安心してマイナンバーカードを利用いただける環境の整備を図っていきたいと考えております。
記者:
今の発言に関連して改めての確認ですが、厚生労働省としては健康保険証の持参をある種積極的に呼びかけるという立場ではなく、念のため初診だったり限定された場面で使えるように持参して欲しいということでよろしいでしょうか。
大臣:
今申し上げたように限定的な被用者保険の被保険者の方であり、そして初めて受診するあるいは転職して初めて受診する、そうした際に登録までの時間等々の結果としてマイナンバーカードで受け付けていただけないケースもあります。そのときには基本は3割負担ということは申し上げました。ただしそのときにいくつか必要な書類を作ることに協力していただかなければなりませんから、そうしたことを考えると場合によっては持ってきていただくという意味で申し上げているということで、先ほどから申し上げているように恒常的に保険証を持参してくださいということを言っているわけでは全くございません。
記者:
虐待事件が起きた八王子の精神科病院、滝山病院についてお伺いします。少なくとも5人の患者について根拠が不明瞭なまま急性心筋梗塞と診断され、その上で副作用のリスクのある薬が投与されていた可能性があると複数の専門医が指摘していることが取材でわかりました。虐待だけでなく医療においても診断や診療内容に疑義があるといった問題が指摘されていることについて見解をお聞かせください。また医療について指導監督する厚生労働省の立場としてどのように対応していくか教えてください。
大臣:
まず滝山病院については本年4月に東京都より医療法・精神保健福祉法に基づく虐待事案に係る改善命令が出されたところであり、現在病院においてこれに基づく改善のための取組が行われていると承知しております。今ご質問のあった具体的な医療の内容については、まさに個別の事案ですのでお答えすることは差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば不適切な医療の疑いに関しては厚生労働省の地方厚生局による調査において必要な情報収集を行い、指導・監査を通じて事実関係の確認を行った上で厳正に対処することとなります。厚生労働省としては関係法令に基づき東京都等と連携して適切に対応していきたいと考えております。

(了)